淀川水系河川整備計画案に関する申し入れ
6月20日、国土交通省近畿地方整備局は、淀川水系4ダム(丹生・川上・大戸川・天ヶ瀬)建設を盛り込んだ河川整備計画案を決定した。そして、兵庫県知事にも意見照会の文書が届いている。 この河川整備計画案は、同整備局の諮問機関である淀川水系流域委員会での最終意見書を待たず、「ダム建設は不適切」との意見と議論を無視したものになっており、「住民の声を生かす」新河川法の趣旨に反したものである。 今回の国の対応は、住民意見を無視し、公共事業の信頼を損なうものであり、住民から強い批判が寄せられている。 日本共産党兵庫県会議員団は、これまで神戸阪神臨海部の水余りの実態を指摘し、近畿にあらたな水資源ダムは必要のないことを主張し、実態に見合った水需要計画に見直しと、近畿の国直轄ダム建設中止への取組みを兵庫県に求めてきた。 大阪や京都と同様に丹生、余野川ダムの水利権者である阪神水道企業団や、川上ダムの水利権者である西宮市の水余りによって、利水面でダムの必要性がないことは明らかとなった。 洪水対策・治水面では、7年間にわたる流域委員会での審議を通してダムは不適切とし、ダムによらない治水対策についての案を国に提示するよう求めた中間意見書が出されたが、国土交通省は、整備計画案を一方的に発表した。 しかし、兵庫県に接する猪名川をはじめ、ダムに頼らない河川改修や堤防補強、流域対策など、より検討が必要とされている。 また、財政面でも直轄事業への負担金として、兵庫県もこれまでに丹生ダム分で6億3400万円、余野川ダム分で41億6400万円(1996年〜07年は決算、08年は予算)支出している。余野川ダムは事実上中止となっているが、丹生ダムは当初事業費1,100億円が変更される見込みで、今後の負担額は決まっていないが、県民にとって、大きな負担となることは明らかである。 よって、兵庫県知事におかれては、県意見を出す前に、住民代表としての立場から、以下の事項について取り組まれることを、強く要請する。
- 河川整備計画案を撤回し、河川法の趣旨にのっとり、淀川水系流域
委員会の審議を十分に保障し、意見を尊重することを、国土交通省に強く求めること。
- 知事として、淀川水系流域委員会の意見を、直接聞く機会を設けること。
- 淀川水系4ダムの必要性について、ダム代替案も含めて、県民に対する説明責任を果たすこと。特に、建設費用、県負担額について、明らかにすること。
- 猪名川の銀橋狭窄部の開削や堤防補強の促進を強く求めること。
- 市町、県民からの意見を聞く機会を十分に持つこと。
以上 2008年7月7日 兵庫県知事 井戸 敏三 様
参考資料:日本共産党兵庫県会議員団のこれまでの取組み |