淀川水系におけるダム事業の中止と河川改修・整備の緊急実施を
日本共産党衆議院近畿ブロック事務所と近畿各府県の地方議員でつくる淀川水系ダム問題懇談会は、10日、国土交通省近畿地方整備局に以下の申し入れを行いました。
国土交通省近畿地方整備局 河川部長 宮本 博司 殿
日本共産党 衆議院議員近畿ブロック事務所 日本共産党 淀川水系ダム問題懇談会
「淀川水系におけるダム事業の中止と河川改修・整備の緊急実施」を求める申し入れ1、淀川水系ダム事業の中止を 淀川水系5ダムの建設事業は、その目的を失い、事業の必要性はなくなっています。 利水に関しては、大阪府や京都府など水道水の供給のために5ダム事業に参画していた8水道事業者のうち大阪府(丹生、大戸川ダム)、阪神水道企業団(丹生、余野川ダム)、奈良県(川上ダム)、大阪府箕面市(余野川ダム)、兵庫県西宮市(川上ダム)、京都府(丹生、大戸川)の6事業者が撤退を検討し、水利用者側の水あまりが顕著になっています。三重県(川上ダム)、大津市(大戸川ダム)も水需要などを見直し中です。今後も水需要の増加が見込めないのに、新たなダム建設に要する莫大な事業費負担だけが、住民に押し付けられるという事態は、絶対に避けなければなりません。 治水に関しても、昨年の集中豪雨・台風による洪水被害の教訓から、ダムに頼った治水でなく、脆弱な堤防補強など河川の整備こそ急がれていることが明らかになりました。例えば、余野川ダム事業を優先し、猪名川の銀橋狭窄部の開削を怠り、周辺地区の浸水被害を放置してきた事例はその典型です。 本年1月、「事業中のダムについての意見書」を提出した淀川水系流域委員会も、(1)自然環境の保全・回復という視点からダム建設は基本的に避けること、(2)治水は、ダム以外の方法により、河道整備や堤防補強などの『河川対応』、土地利用規制や避難対策などの『流域対応』の併用を基本とするべきであること、(3)後の人口減少予測など考慮し、利水面からの新規ダムの建設を行わず、水系全体で安定した利水の枠組みを構築する必要があるとして、ダム事業を抜本的に見直すことを改めて表明しています。 25年以上も前のダム建設計画が、時代の変化の中で、その根拠を失えば、計画そのものを見直し、中止するのが当然です。
2、河川堤防の補強、河道整備など河川の改修・整備の緊急実施を 昨年の豪雨・台風による洪水は、近畿でも円山川や由良川の堤防の決壊などが甚大な被害を起こすことが明らかになりました。そして、国土交通省が平成16年9月16日に実施した、全国の堤防等の緊急点検によって、975箇所もの問題箇所が発見されるなど、日常的な河川改修・整備の不十分な実態と、その重要性が明らかになりました。また、既設ダムの洪水調整も、極めて限定的な効果しかないことも明らかとなっています。 こうした事態をふまえ、ダムに頼った治水対策ではなく、国民の命と安全を守るために、緊急に河川堤防の補強、河道整備など河川の改修・整備を実施すべきです。そのためにも、ダム事業費に重点特化し、河川改修・整備を後回しにする公共事業予算の配分方法を根本的に転換する必要があります。 貴局は、現場を具体的に把握し、直接改善対策を実施する立場であることから、積極的に対応されるよう申し入れます。
記
- 淀川水系ダム事業を中止すること
(1)、丹生ダム・大戸川ダム・川上ダム・余野川ダムの4ダムを直ちに中止すること 天ヶ瀬ダム再開発事業については、環境・景観の視点から中止を含め、抜本的に見直すこと。 (2)、ダム工事の中止が確認されるまで、一切のダム付随工事を中止すること。
- 河川堤防の補強、河道整備など河川の改修・整備を緊急に実施すること
(1)、これまで放置されてきた狭窄部などの開削と下流の河床掘削を速やかに開始する。 猪名川流域の問題として、銀橋狭窄部の開削などがあります。 (2)、計画されている緊急堤防補強と無堤防地区の築堤を急いで実施する。 (3)、今年度中に、ボーリング調査を含めた堤防の安全点検を行い、補強計画を立てる。
以下の点について資料提供を求めます 1、河川堤防の修繕に関する進捗状況について明らかにされたい 昨年実施の「堤防等の河川管理施設の緊急点検結果」に基づくもの、 以後の台風等被害による修繕等を要する箇所の場所、状態、修繕進捗状況。 2、淀川水系5ダムに関連する河川の整備関係費用の推移・総額(ダム計画時から)を明らかにされたい (例えば、余野川ダム:猪名川流域の河川改修・修繕に関する投資額(国・地方)、丹生ダム:高時川・姉川の河川改修・修繕費など)
以上
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