政策・見解・議員団活動

  • 2025年12月04日
    見解

    「インターネット上の誹謗中傷、差別等による人権侵害防止に関する条例(案)」に対する日本共産党兵庫県会議員団の態度について

     12月2日、第373議会において「インターネット上の誹謗中傷、差別等による人権侵害防止に関する条例(案)」が上程されました。

     日本共産党兵庫県会議員団は、提出された条例案について反対を表明し、以下、その主な理由を述べます。

     はじめに、この条例をつくるさいの立法事実が明記されていません。兵庫県

    この種の条例をつくるさい、兵庫県での文書問題に関わる問題と切り離せません。しかし、文書問題に関わる、または、文書問題に端を発して行われた知事選挙の際などに飛び交ったインターネット上の人権侵害への言及がなく、一般論に終始しており、必要な条例制定の理由が明記されているとはいえません。

     

     「条例案」の前文では、この問題が、あたかも社会全体の責任で起こっているかのような表現となっており、ふさわしくありません。とくに第3条で、「県民の責務」として、課題を課すことも適当ではありません。 

     人権侵害情報のモニタリング等(第8条)の主体者は県、削除措置の要請(9条)、指導又は助言(第10条)の主体者は知事となっていますが、そもそも人権侵害行為となるものの基準が示されておらず、知事や県の恣意的な判断が入りうるものとなっており、憲法で保障された表現の自由が脅かされかねません。

    第11条では、削除措置の要請等の基準も知事が定めるものとなっており、その際に「表現の自由その他の国民の権利を不当に侵害しないように留意する」とされていますが、そのことを保障する仕組みも明記されていません。

     ※この点に関して、12月3日公表されたパブリックコメントでの回答では、

    「表現の自由その他の国民の権利を不当に侵害しないように留意し、有識者の意見等、専門的な知見を踏まえて法的に整理して基準を定めます。また、社会状況の変化等に柔軟に対応し、より迅速かつ実効的な対応を可能とするため、詳細な事項は基準に定めることとしております」とありますが、法的に整理するというのであれば、そのことを条例にも書き込むべきです。また、有識者や専門家の知見を踏まえるとされていますが、下記の理由などより、有識者、専門家の知見を正しく取り入れるのかどうかについて、疑念を持たざるを得ません。(12月5日加筆)

    兵庫県の文書問題に関する第三者調査委員会があきらかにしたのは、知事や県の幹部職員が、職員の公益通報を恣意的に誹謗中傷だととらえ、公益通報者保護法で禁じられている通報者の探索、不利益取扱いなどを行ったことに対し、違法で無効であると指摘したものです。しかし、現兵庫県知事、並びに県当局は、これらのことをいまだに認めていません。その知事、及び県当局が主体者となり、正しく人権侵害行為として判断しうる保障(――例えば、判断のための第三者機関などを設置するなど)は、条例案のどこにもありません。

     すなわち現知事及び県当局に、この条例案を提案する資格、あるいは前提があるのかということが問われており、法律に基づいた客観的判断がなされる保障となる記述もないと言わざるを得ません。

     以上のことなどから、日本共産党兵庫県会議員団は、現在、上程されている条例案については、反対の立場を明確にし、各会派への働きかけや議会の論戦をすすめていくものです。

     

    2025年12月4日 

    日本共産党兵庫県会議員団

    団長 庄本えつこ

    政務調査会長 久保田けんじ

     

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