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2014年度予算編成に対する申入書
産業労働部
- 安倍内閣は、2014年4月から、消費税率8%への増税を決定した。消費税の増税は、中小企業の営業と暮らしを破壊し、経済と財政に新たな困難をもたらすものであり、来年4月からの消費税増税を実施しないよう国に求めること。
- 福島第一原発事故では、汚染水問題が非常事態にあるが、解決の見通しは立っておらず、今尚15万人が県内外への避難をよぎなくされ、先行きも見通しも全くない事態が続いている。原発の使用済み核燃料の処理する技術もないなか、大飯・高浜原発をはじめ、全原発の再稼働計画を中止すること。あわせて即時原発ゼロを決断するよう国に求めるとともに、県としても即原発ゼロの立場にたって、再生可能エネルギー導入の促進を図ること。
- 安倍内閣は、国民多数の反対を押し切ってTPP交渉に参加したが、大企業にはより利益をもたらし、中小企業や地域経済には大きな打撃をあたえるものである。TPP(環太平洋経済連携協定)への交渉からの撤退をするよう意見を国にあげること。
- あわじ環境未来島構想にみられるような、大企業を主体にした再生可能エネルギー対策を中心にするのでなく、地域の特性や資源を活用した地産地消のエネルギー対策を中心とした、持続可能な新しい地域振興策をすすめること。そのため、中小企業や農林水産業、地域住民などが主体となる再生可能エネルギー発電施設設置への支援策を創設するなど、予算を大幅に増額すること。
- 自然災害で被災した中小零細業者にとって、生活と生業、店舗や住宅を一体として再建することが生活再建上不可欠であり、国に対し、被災者生活再建支援法を改正し、商店・店舗も対象にするよう強く国に求めること。
- 大企業を応援すれば、中小企業も雇用・地域経済もよくなるとする国いいなりの兵庫県経済戦略をやめ、雇用の7割を支える中小企業中心の経済対策に転換すること。
- 三菱造船神戸造船所の民間造船の撤退や、川崎重工業(株)船舶海洋カンパニーの下請け業者や外注業者への単価引き下げや、社外工のリストラ計画、さらには、神戸製鋼所の溶鉱炉廃止による下請け業者や労働者へのしわ寄せなど、県下の大企業による、一方的な下請け切り・リストラをやめさせるために、県として強く働きかけること。県産業活性化センターの相談窓口の事業内容を実効あるものに改善すること。
- パナソニック社は尼崎工場で唯一稼働していた第二工場を2013年度内に閉鎖し、完全撤退するとの報道があった。県としてただちに800人余の労働者全員の雇用確保と出入り業者の営業に対し、パナソニック社が責任をもつことを申し入れ、実施を求めること。
また、パナソニック社に対し、工場閉鎖・撤退に関する情報の全面的な説明を求め、その内容を県民に公表すること。交付した補助金の全額返還を求めること。
- 雇用対策について
- 若者を違法な労働条件で働かせ、使い捨てにする、いわゆる「ブラック企業」について、労働局と連携し、離職率の高い企業名の公表や、違法行為の是正を求めること。県経営者協会に対し労働法制の遵守の徹底を求めるとともに、若者しごと倶楽部などに働くルールを知らせる冊子を置いたり、教育委員会などと連携して、若者に労働者の権利の啓発を進めること。
- 労働者の解雇が自由になる「限定正社員制度」、残業代ゼロを狙うなどの労働法制の改悪に反対し、不当解雇、大リストラなどが自由にできないよう、解雇規制法の制定を国に働きかけるとともに、県においても企業に働きかけること。
- 労働者派遣法を専門業種の撤廃などで労働者派遣を拡大する方向でなく、製造業への派遣禁止など労働者派遣法の抜本改正や、有期雇用を規制強化し、非正規雇用を期限の定めのない正社員化するよう国に働きかけること。正社員になるまでの期間を5年から10年にのばす労働契約法の改悪を行わないよう国に求めること。
- 長時間・過密労働、「サービス残業」をなくして雇用をふやすよう企業に働きかけること。
- 新規卒業者の就職難、非正規、不安定雇用の増大など、県下の若者の雇用情勢は、深刻な実態にある。これを打開するために、経営者団体への要請、中小企業とのマッチング、就職できなかった新卒者に対するスキルアップや雇用対策を、労働局をはじめ、あらゆる関係機関との連携を強め、若者の就労支援対策を抜本的に強化すること。
- 地元中小企業の人材確保を支援し、若者の安定した雇用を促進するために、地元中小企業にたいし、賃金(初任給)を引き上げる助成制度、新規の正規雇用に対する税制上の優遇、福利厚生面での支援策など、具体的な支援策を実施すること。
- 最低賃金を時間額1000円に引き上げ、全国一律の制度とするよう国に求めること。また、最賃引き上げを、日本経済全体を底上げする経済対策の一環として位置づけ、最低賃金引き上げのための中小企業支援を抜本的に拡充するよう国に求めるとともに、県として独自の支援策を講じること。
- 企業の一方的なリストラで住む家を失った失業者に対して公営住宅や雇用促進住宅の活用を引き続き実施すること。
- 県として「多様な働き方」や「ワークライフバランス」など不安定雇用を推進する方策を改めること。
- 公契約条例を制定し、県発注事業でワーキングプアをなくすこと。
- 「離職者生活安定資金融資制度」を、貸し付け条件や再就職まで返済を据え置くなど、利用しやすい制度に引き続き改善すること。
- 県内の中小零細企業に対して、技能向上、技能継承など訓練への支援を行い、ものづくり産業の振興を図ること。
- 公的職業訓練を縮小・廃止しないように国に求めるとともに、県としても拡充すること。職業訓練事業を民間任せにせず県が責任をもって、正規雇用にむすびつくよう対策を強化すること。
- 介護従事者、医師、看護師、教員、保育士、消防職員など生活関連事業の職員の必要な雇用を確保し、そのための職業訓練も含め養成できるよう県が支援すること。
- 「若者しごと倶楽部」で、カウンセラーなど相談員が安定して働けるよう入札制度をあらため、体制の強化を図ること。利用者に対し、憲法で保障された労働者の権利や雇用の義務をしらせるパンフレットの配布など、広報・啓蒙活動を強化すること。
- 障害者雇用を促進するため、法定雇用率を守るよう企業に指導すること。未達成企業名を公表するとともに、県の障害者雇用率向上の対策を強化すること。
- 女性労働者の社会的進出を支援するため、保育所や学童保育の拡充をはじめ、仕事と家庭の両立が可能な環境整備を、他の部局とも連携し、促進すること。
- 地方労働委員会の労働者代表委員の選任は、「連合兵庫」の独占でなく、労働組合の構成員数に比例した配分とし、公平な選任を行うよう抜本的に改善すること。
- 企業の一方的な工場移転や閉鎖、事業縮小に対して、労働者のくらしや地域経済への影響などの調査を行い、必要な場合は企業の計画見直し等を規制できる条例を制定すること。
- 中小企業・地域経済の振興策の抜本的強化を
- 地域づくりの主体として中小企業を位置づけ、それを育成するために「中小企業振興基本条例」を制定し、地域経済の再生に努めること。
- 地元の中小建設業の仕事おこしと地域経済の活性化につながる「住宅リフォーム助成制度」を県で創設すること。
- 中小企業向け予算を抜本的に引き上げること。
- 大企業向けの「新事業・雇用創出型産業集積促進補助金」は、廃止すること。
- 公契約条例を制定し、公共事業の地元中小企業への発注をさらに拡大し、末端の下請け労働者にいたるまでの賃金・単価保障をすすめ、経営安定をはかること。
- 地場産業へ抜本的に支援を強め、ものづくりと地域経済振興をすすめること。
- 工業技術センターを人員と体制を充実し、中小企業の技術革新を強化すること。
- 中小企業や個人事業所、商工業者へのものづくり技術支援、異業種交流や産学連携などの総合的支援策を強化し、試験研究機関なども気軽に活用できるようにすること。
- 再生可能エネルギーの技術開発と設備などに対する補助金制度を創設し、中小企業の参入を促進し、地域活性化をすすめること。
- 商店街の活性化のため、こどもや若者、高齢者の居場所づくりを空き店舗を活用して行うなど、住民が楽しみながら買い物ができる商店街づくりに支援を行うこと。
- 地域の中小商工業や商店街に大きな打撃を与える、身勝手な大型店の出退店を規制する県の規則をつくること。
- 小規模工事契約希望登録制度を確立し、県下の全自治体に制度を普及すること。分離・分割発注を増やし 中小業者への発注を増やすこと。
- 福祉や環境、まちづくりと商店街・市場対策を結合した地域振興対策をすすめること。そのため、公募による業者団体代表、経営診断士、学識経験者、行政担当者で構成する「市場・商店街振興審議会」(仮称)を設置すること。
- 皮革排水処理を事業者負担からはずれて公共下水道事業にくみいれた国と県の責任は重大である。原因者負担を基本としつつも、皮革関連業界の経営環境は大変厳しく、たつの市や姫路市等、自治体からの繰り出しが財政を圧迫している。県の助成をさらに増額し、国にも増額を要請すること。
- 自営業の家族従事者として働く女性の実態調査を行い、地位向上の対策をこうじること。自家労賃を認め所得税法56条の撤廃を国に求めること。
- 事業の承継を条件にした相続税の猶予制度を設けるよう国に求めること。
- 金融・融資について
- 無担保無保証人融資などの小規模事業融資への利子補給、信用保証料の県独自の補助を行うこと。また、条件変更における保証料負担を緩和させる措置を講じること。
- 東日本大震災では2重ローンへの対応、債務の買い取り、免除等が政府で検討されている。県として、阪神・淡路大震災時の「緊急災害復旧資金」について、返済凍結・債務免除等の対策を検討すること。
- 県として、信用保証付きの自治体制度融資がまとめられるよう、借換貸付の内容を充実、改善させること。
- 「責任共有制度」で、県独自の直接損失補償施策を早急に実現すること。以前の100%信用保証協会保証に戻すよう国に要望すること。
- 緊急中小企業対策として、県独自の小口(50万円限度)直貸し制度を創設すること。
- 商工ローンやサラ金、ヤミ金、年金担保融資など不法行為、違法行為を警察と連携し厳重に取り締まるとともに、生活福祉資金融資制度の改善など被害者の生活再建になるよう救済をはかること。
- 観光施策について
- 県が招致するコンベンション等は、大手観光業者だけでなく、兵庫県旅行業共同組合など、地元の中小旅行業者にもまわすこと。 減額された「走る県民教室」の予算を元にもどすこと。
- 地域の自然と歴史を生かし、伝統・技術が蓄積されている地元産業振興と結んだ観光振興を図ること。また、農林水産業と連携し、地産地消の食物と観光をマッチングした対策をすすめること。
- 観光客誘致対策は、イベントや一過性のものを中心とするのでなく、世界遺産の姫路城や山陰ジオパークなど地元の持続可能な資源を生かした対策を強化すること。
- 県内の様々な地域資源を生かし、観光と地域経済発展につながるよう、映画・ドラマのロケ地として誘致するフィルムコミッションへの支援を強化すること。
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