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2013年度予算編成に対する申入書
産業労働部
- 野田内閣は、国民に隠れて実質的な交渉をすすめ、なし崩し的にTPPに参加しようとしており、国からの情報提供がないためわからないという県の姿勢では、中小企業や雇用を守ることはできない。TPPは、大企業にはより利益をもたらすが、中小企業や公共事業など地域経済と雇用を破壊するものである。TPP(環太平洋経済連携協定)への参加に反対の意見を国にあげること。
- 自民、民主、公明の3党合意で、消費税率10%への増税が強行された。消費税の増税は、中小企業の営業を破壊し、暮らしと経済と財政を破壊するものである。雇用の7割を支える中小企業に大打撃の消費税増税を実施しないよう国に求めること。
- 福島原発事故で今尚16万人が県内外への避難をよぎなくされ、ふるさとに帰れない、見通しも全くない事態が続いている。原発の使用済み核燃料の処理する技術もないなか、原発と人類は共存しないことは明白である。国民の多数者となった即時原発ゼロを決断するよう国に求めるとともに、県としても即原発ゼロの立場にたって、本格的な自然エネルギーの推進策を強化すること。
- あわじ環境未来島構想にみられるような、大企業を主体にした再生可能エネルギー対策を中心にするのでなく、地域の特性や資源を活用した地産地消のエネルギー対策を中心とした、持続可能な新しい地域振興策をすすめること。そのため、中小企業や農林水産業、地域住民などが主体となる再生可能エネルギー設置への支援策を創設するなど、予算を大幅に増額すること
- 中小零細業の被災者にとって、生活と生業、住宅を再建することが生活再建として一体のものであり、東日本大震災で多くの中小零細業者が立ち直れない実態からも明らかである。中小零細業者にとって商店や店舗への支援は生きるための生業であり、まさに生活再建の中心となるものである。国に対し、被災者生活再建支援法を改正し、商店・店舗も対象にするよう強く国に求めること
- 大企業を応援すれば、中小企業も雇用地域経済もよくなるとする国いいなりの兵庫県経済戦略を止め、雇用の7割を支える中小企業中心の経済対策に転換すること。
- 三菱重工は神戸造船所での商船建造からの撤退、潜水艦・原子力事業への特化計画をすすめている。神戸造船所の撤退は、雇用や下請け企業、またその雇用など大きな影響を及ぼすものであり、中小企業と雇用、地域経済、兵庫県経済を守る立場から、三菱重工業に原子力事業を推進するのでなく、商船建造を存続するよう、県知事が直接要請すること。
- パナソニック尼崎工場と姫路工場は、生産停止・変更・集約化等に伴う大量の雇い止めなどが行われている。企業に対して、労働者全員の雇用確保に責任をもつことを知事が直接要請し、実施を求めること。また、地元地域から正規雇用採用を実施するよう求めること。
- 雇用対策について
- これまでの緊急雇用就業支援事業は正規雇用にほとんど結びついていない。 淡路島で人材派遣会社パソナに数億円もふるさと雇用人材育成事業を委託しているが、農業定住者は極めて少なく、委託事業としてふさわしくない。非正規雇用の人材派遣会社パソナへの事業委託を中止すべきである。国に対して正規雇用を増やす雇用・経済対策を求めるとともに、県としても正規雇用拡大に踏み出すこと。
- 新卒者のきびしい就職状況を打開するため、経営者団体への要請、中小企業とのマッチング、就職できなかった新卒者に対するスキルアップや雇用対策を強化すること。
- 県が誘致する企業に対して雇用は原則正規雇用を義務付けること。
- 円高、デフレが長引くなか、県下の企業に、派遣社員や期間工の大規模な雇い止め・リストラをしないよう働きかけるとともに、個別の企業にも強く求めること
- 企業の一方的なリストラで住む家を失った失業者に対して公営住宅や雇用促進住宅の活用を引き続き実施すること。
- 労働者派遣法は国会の審議で骨抜きにされ、有期雇用に置き換えるなど労働者の安定した雇用とは逆行している。県として労働法制の改悪を撤回し、正規雇用が当たり前のルールの制定を国に求めること。
- 県「行革」による県職員の3割削減は、使い捨ての雇用を県自らが行い、格差と貧困を拡大し、兵庫県経済を疲弊させ、率先して経済発展を阻害している。兵庫県財政が全国ワースト1か2になった原因は、ムダな大規模開発事業で巨額の借金を増やしたことにあり、県職員や県民にはなんら責任はない。根本原因にメスを入れることなく、県職員の削減と非正規雇用の拡大をすすめるのは、止めるべきである。経済発展も財政再建もできない県行革路線をやめ、正規雇用を拡大すること。
- 県として「多様な働き方」や「ワークライフバランス」など不安定雇用を推進する方策を改めること。
- 公契約条例を制定し、県発注事業でワーキングプアをなくすこと。
- 最低賃金を大幅に引き上げることは、経済張発展の大きな柱である。一時間1,000円以上の全国一律最低賃金制の確立と、兵庫県の最低賃金の大幅な引き上げを国に求めること。その場合、中小企業には独自の支援をおこなうこと。
- 「離職者生活安定資金融資制度」を、貸し付け条件や再就職まで返済を据え置くなど、利用しやすい制度に引き続き改善すること。
- 県内の中小零細企業に対して、技能向上、技能継承など訓練への支援を行い、ものづくり産業の振興を図ること。
- 公的職業訓練を縮小・廃止しないように国に求めるとともに、県としても拡充すること。職業訓練事業を民間任せにせず県が責任をもって、正規雇用にむすびつくよう対策を強化すること。
- 成果主義賃金、違法なサービス残業をやめ、8時間労働制を遵守し、人間らしく働ける職場となるよう、県下すべての事業所に働きかけ、実施するよう強く要請すること。
- 介護従事者、医師、看護師、教員、保育士、消防職員など生活関連事業の職員の必要な雇用を確保し、そのための職業訓練も含め養成できるよう県が支援すること。
- 「若者しごと倶楽部」に、正規の職員の増員をはかること。憲法で保障された労働者の権利や雇用の義務をしらせる広報・啓蒙活動を強化すること。
- 障害者雇用を促進するため、法定雇用率を守るよう企業に指導すること。未達成企業名を公表するとともに、県の障害者雇用率向上の対策を強化すること。
- 女性労働者の労働実態を調査し、保育所や学童保育の拡充をはじめ、仕事と家庭の両立が可能な環境を整えるための施策を他の部局との連携のもとで促進すること。
- 地方労働委員会の労働者代表委員の選任は、「連合兵庫」の独占でなく、労働組合の構成員数に比例した配分とし、公平な選任を行うよう抜本的に改善すること。
- 企業の撤退問題など
- 大企業誘致の経済効果がほとんどないことがパナソニック尼崎工場の閉鎖で明らかになった。パナソニックに企業立地補助金の全額返還を求めるとともに、大企業誘致補助金制度を廃止すること。
- 企業の一方的な工場移転や閉鎖、事業縮小に対して、労働者のくらしや地域経済への影響などの調査を行い、必要な場合は企業の計画見直し等を規制できる条例を制定すること。不当な労働者の解雇をやめさせ、雇用を守り確保することを企業に求めること。
- 川崎重工の下請け切りや一方的な単価の引き下げなどが強行されている。兵庫の経済と発展に大きな影響を及ぼす問題であり、下請けいじめをやめるよう、県として企業に申し入れをおこなうこと
- 中小企業・地域経済の振興策の抜本的強化を
- 中小企業に大打撃となる消費税増税を実施しないよう国に求めること。
- 地域づくりの主体として中小企業を位置づけ、それを育成するために「中小企業振興基本条例」を制定し、地域経済の再生に努めること。
- 地元の中小建設業の仕事おこしと地域経済の活性化につながる「住宅リフォーム助成制度」を県で創設すること。
- 中小企業向け予算を抜本的に引き上げること。
- 大企業向けの「新産業・雇用創出型産業集積促進補助金」は、見直すこと。
- 公契約条例の制定で、公共事業の地元中小企業への発注と末端の下請け労働者にいたるまでの賃金・単価保障をすすめ、経営安定をはかること。
- 地場産業へ抜本的に支援を強め、ものづくりと地域経済振興をすすめること。
- 工業技術センターを人員と体制を充実し、中小企業の技術革新を強化すること。
- 中小企業や個人事業所、商工業者へのものづくり技術支援、異業種交流や産学連携などの総合的支援策を強化し、試験研究機関なども気軽に活用できるようにすること。
- 自然エネルギーの技術開発と設置などに対する補助金制度を創設し、中小企業の参入を促進し、地域活性化をすすめること。
- 商店街の活性化のため、こどもや若者、高齢者の居場所づくりを空き店舗を活用して行うなど、みんなが楽しみながら買い物ができる商店街づくりに支援を行うこと。
- 地域の中小商工業や商店街を壊す大型店の進出を規制し、身勝手な大型店の出退店を規制する県の規則をつくること。
- 小規模工事契約希望登録制度を確立し、県下の全自治体に制度を普及すること。分離・分割発注を増やし 中小業者への発注を増やすこと。
- 福祉や環境、まちづくりと商店街・市場対策を結合した地域振興対策をすすめること。そのため、公募による業者団体代表、経営診断士、学識経験者、行政担当者で構成する「市場・商店街振興審議会」(仮称)を設置すること。
- 皮革排水処理を事業者負担からはずれて公共下水道事業にくみいれた国と県の責任は重大である。原因者負担を基本としつつも、皮革関連業界の経営環境は大変厳しく、たつの市や姫路市等、自治体からの繰り出しが財政を圧迫している。県の助成をさらに増額し、国にも増額を要請すること。
- 自営業の家族従事者として働く女性の実態調査を行い、地位向上の対策をこうじること。自家労賃を認め所得税法56条の撤廃を国に求めること。
- 事業資産については、事業の承継を条件にした相続税の猶予制度を設けるよう国に求めること。
- 金融・融資について
- 無担保無保証人融資などの小規模事業融資への利子補給、信用保証料の県独自の補助を行うこと。また、条件変更における保証料負担を緩和させる措置を講じること。
- 来年3月末で切れる金融円滑化法の延長、もしくは恒久化を国に求めるとともに、金融機関の中小企業への貸しはがしを辞めさせること。条件変更などを一方的に戻させるような金融機関の対応にならないよう、指導すること
- 東日本大震災では2重ローンへの対応、債務の買い取り、免除等が政府で検討されている。県として、阪神・淡路大震災時の「緊急災害復旧資金」について、返済凍結・債務免除等の対策を検討すること。
- 県として、信用保証付きの自治体制度融資がまとめられるよう、借換貸付の内容を充実、改善させること。経営円滑化融資制度の借り換えは2年前からできなくなっている。元に戻して借り換えができるように見直すこと。
- 「責任共有制度」で、県独自の直接損失補償施策を早急に実現すること。以前の100%信用保証協会保証に戻すよう国に要望すること。
- 緊急中小企業対策として、県独自の小口(50万円限度)直貸し制度を創設すること。
- 商工ローンやサラ金、ヤミ金、年金担保融資など生命保険により利用者の命まで担保に貸し出すなど不法行為、違法行為を警察と連携し厳重に取り締まるとともに、民間支援団体も協議会の構成員に加え、生活福祉資金融資制度の改善など被害者の生活再建になるよう救済をはかること。
また、各自治体での丁寧な相談体制、解決策がとられるよう、県が指導すること。
- 観光施策について
- 県が招致するコンベンション等は、大手観光業者だけでなく、兵庫県旅行業共同組合など、地元の中小旅行業者にもまわすこと。
減額された「走る県民教室」の予算を元にもどすこと。
- 地域の自然と歴史を生かし、伝統・技術が蓄積されている地元産業振興と結んだ観光振興を図ること。
農林水産業と連携し、地産地消の食物と観光をマッチングした対策をすすめること。
- 日本の農業を壊すTPPは観光事業にも壊滅的な打撃となるため、反対すること。
- 世界遺産の姫路城や山陰ジオパークなどを生かした国内外の観光客誘致対策を強化すること。
- 県内の様々な地域資源を生かし、観光と地域経済発展につながるよう、映画・ドラマのロケ地として誘致するフィルムコミッションへの支援を強化すること。
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