このサイトは旧サイトです。最新情報などはこちらをご覧ください。
メニューをスキップする TOPページへ 本会議へ 予算決算特別委員会へ ニュースへ 政策見解へ 県会報告へ リンクへ スケジュールへ
2014年09月10日

2015年度予算編成にあたっての重要政策提言(9)

第9.すべての子どもの命、成長発達を支える教育への転換を

 政府は、集団的自衛権容認の閣議決定を行い、教育行政では、教育委員会制度の改悪で教育への介入、上からの統制を強めようとしている。
 教育予算の増額や、教育の無償化・負担の軽減、行き過ぎた競争教育からの脱却、上からの統制≠やめて、子どもの権利を保障する立場から、教育を立て直すことが求められている。

  1. 肉体的な苦痛や恐怖で子どもを服従させることは、成長途上の子どもたちの心と体に複雑で深い傷を残すものであり、教育の場で絶対にあってはならないことである。兵庫県も含めいまだに少なくない学校で教員による体罰・暴力があることは、日本の教育の重大な欠陥である。体罰根絶のための研修、取り組みを繰り返し行い、教育現場での体罰を一掃すること。


  2. 「いじめ自殺」が後を絶たず、社会に衝撃を与えている。「いじめ」はいかなる形をとろうとも人権侵害、暴力であり、絶対に許されるものではない。目の前の「いじめ」から、子どもたちのかけがえのない命、心身を守り抜くこと、なぜ「いじめ」がここまで深刻になったのかを分析し、その要因をなくすことに正面から取り組む必要がある。以下を対策として求める。
    1. 学校現場で、いじめの対応を絶対に後回しにしない、いじめの兆候があれば様子見せずただちに全教職員、保護者に知らせ連携する、子どもの自主的活動の比重を高めいじめを止める人間関係をつくる、被害者の安全を確保したうえで加害者にはやめるまで対応する、被害者・家族の知る権利を尊重する。

    2. いじめ・不登校を多発・深刻化させている受験競争など過度の競争と管理の教育をあらため、子どもの声をききとり、子どもを人間として大切にする学校をつくること。子どもの権利条約の普及に努めること。

    3. 教員の多忙化は、子どもたちと接する時間や授業の準備をする時間を奪っている。共同して問題解決にあたる教師集団作りのために、教員の多忙化解消を図り、教員評価制度をやめること。

    4. ネット・SNS(LINE等)を通じたいじめへの対策を強め、ネット上の言葉の暴力について、家庭まかせにせず、学校教育でもルールやモラルを教えること。


  3. 教育費の負担軽減・無償化をすすめること
    1. 義務教育は、無償が原則である。しかし、無償の対象は、授業料や教科書代などに限られ制服代、修学旅行費の積立などの負担が家計を圧迫している。義務教育に相応しく家計負担の解消を求めること。また、就学援助の国庫負担制度を元に戻し、対象や支給額を拡充するよう国に求めること。学校給食費の無償化を目指し、当面、必要な免除措置をすすめること。

    2. 父母や教職員らの長年の運動を受けて2010年4月に始まった公立高校無償化に対し、所得制限が導入された。生徒たちの間に分断を持ち込み、「社会全体で学びを支える」という教育無償化の理念に真っ向から逆らうものであり、所得制限を撤廃すること。

    3. 通学費、教科書、教材、制服、修学旅行、部活動などへの支援のため、公立・私学を問わず、県として給付制奨学金制度をつくること。

    4. 私立高校の実質無償をめざし、政府の所得制限導入案の撤回を求め、授業料補助単価の引き上げ、国の「高校生就学支援基金」を入学金等にも拡大し、恒久化を国に求めること。県外通学者についても県内と同額に戻し、専門学校・外国人学校にも適用すること。私学経常費補助については、国庫補助制度を堅持し、拡充を図るよう国に求めること。県としても拡充すること。


  4. 教育条件の整備をすすめること
    1. 30人以下学級・少人数学級は、世界のすう勢であり、国民のつよい要求である。国に対し、30人以下学級をすみやかに実現するよう求めること。また、義務教育の国庫負担を元の2分の1に戻すよう強く求めること。また、この施策は、若者の雇用をふやし、地域の景気対策としても有効である。県としても義務教育はもとより、高校教育でも30人学級を早期に実現すること。当面、小学校4年生でとまったままの35人学級について、中学3年生までひろげること。

    2. 安全で豊かな完全給食を全ての小・中・特別支援学校で実施し、学校給食を柱とする食育を推進すること。未実施の中学校での給食導入に県の補助制度をつくるとともに、「全員喫食」を基本とした「実施計画」とするよう市町に強くはたらきかけること。また、すでに給食を実施している市町に対する運営費補助制度を創設すること。

    3. 阪神淡路大震災を経験した兵庫県での公立学校の耐震化の予算を大幅に引き上げ、早急に耐震化をすすめること。

    4. 普通教室のエアコンの設置予算を増やし、計画を前倒し、すすめること。

    5. 中学校の武道必修化にともない柔道の事故が心配されている。指導体制がない中で、すすめないこと。


  5. 障害児教育をもっとゆたかにすること
    1. 特別支援学校や特別支援学級に在籍する子どもたちが急増している。「分教室」の設置など安易な対策でなく新たな施設整備を含め早急に改善すること。特に急がれる阪神間、神戸市東部に、分教室や既存学校への仮設校舎の設置で対処するのではなく、知的障害特別支援学校の新設を行い、過大・過密・長時間通学を解消すること。

    2. 特別支援学級を大幅に増設・充実し、一クラス6人以下の少人数にし、一人ひとりに応じて丁寧に対応ができるようにすること。

    3. すべての学校に通級指導教室を置き、自分の学校の通級指導教室で学べるようにすること。

    4. 安全な通学を保障するため、スクールバスの増車とともに、添乗は民間委託せず公的な介助員を配置すること。


  6. 競争とふるいわけの教育をあらためること
    1. 現行の16通学区を5学区に統合し、全学区で複数志願選抜を実施、自由学区を市町単位の双方向受験に拡大する新学区制度が、保護者や教育関係者の反対を押し切って2015年度から実施されようとしている。競争の激化や、高校のさらなる「序列化」が指摘されてきたが、教育長OBらの「進路選択支援機構」の中学生統一模試および同内容の学習到達度テストの実施は、この懸念を裏付けるものである。偏差値偏重の進路指導につながる学区の統合を中止すること。

    2. 通学区域拡大と第二次高校改革実施計画の評価・検証を行う「県立高校長期構想検討委員会」も設置されたが、非公開となっている。住民の傍聴・発言を認めるなど、公開すること。

    3. 全国いっせい学力テストを廃止するよう国に求めること。

    4. トライやるウィークで自衛隊での職場体験はやめること。自衛隊はいざとなれば他人に銃を向けることを任務の一つとしており、学校からの職場体験にはふさわしくない。教育の役割は自衛隊に賛成・反対のどちらの立場も押し付けるのではなく、自衛隊の成り立ちや歴史認識などを深めることで子どもたちが自主的に判断できるようにすることにある。

    5. 公的・民間を問わずスポーツ施設において障害者の利用を保障すること。


  7. 教育の自由と自主性を保障し、子どもの豊かな成長をささえること
    1. すべての子どもに基礎的な学力を保障することを学校教育の基本的な任務として重視すること。暗記ではない自然や社会のしくみがわかる知育、市民道徳の教育、体育、情操教育などバランスのとれた教育をおこなうこと。

    2. 市民道徳の教育を、憲法にもとづき、基本的人権の尊重を中心にすえ、子どもたちが自らモラルを形成できるようにすること。子どもの納得を無視して「規範意識」を叩き込むようなやりかたは、反人間的・反道徳的なものであり強制はやめること。

    3. 教育振興基本計画については、「愛国心」の押し付けなど、教育の内容に介入するのではなく、行政は教育条件や教育環境の整備を責任もっておこなうこと。


  8. 教職員の条件整備
    1. 定数内の臨時講師や非常勤教師など非正規の教師が増大している。そのため教育条件を不安定にし、官製ワーキングプアで劣悪な処遇となっている。早急な定数改善を国にもとめ、県としてもただちに正規化への取り組みをすすめること。

    2. 教師間の連携・協力を妨げ、教師の管理統制を目的とした主幹教諭制度をやめること。また教員免許更新制を廃止するよう国に求めること。


  9. 私学助成の削減をやめ、授業料軽減についても低所得者世帯に絞ったものでなく、対象者すべてを軽減する内容に改めること。

前のページへ戻る このページの上へ
Copyright(c)2001-2018 日本共産党兵庫県会議員団