2015年度予算編成にあたっての重要政策提言(7)
第7.大型公共事業優先から、生活密着型の公共事業へ
安倍内閣は、防災・減災に名を借りつつ、財界の要望にそって大規模開発の復活、拡大をすすめる「国土強靭化」法を成立させた。そのもとで浜坂道路や新名神高速道路などの建設、名神湾岸連絡線、播磨臨海地域道路などの調査費など、高速道路網整備に多額の予算がつぎ込まれている。 その一方で大規模災害から県民の生命・財産を守るために建物やライフラインの耐震化、地すべりなどの危険箇所の対策などの防災対策や、道路橋梁などの維持管理・老朽化対策に力を集中することが求められている。 将来の世代のためにも、莫大な費用を伴う高速道路などの新規建設を抑制し、維持管理・老朽化対策にシフトし、住民生活密着型の公共事業に転換し、中小企業への発注を増やすことが求められる。 - 南海トラフ巨大地震に備える「津波防災インフラ整備5ヵ年計画」の実施に当たっては、住民への説明を丁寧に行い、県民の意見を広く反映したものとすること。その際、計画に伴う資料及び予算規模等を含めて公開すること。ひきつづき防潮門扉等の電動化、遠隔操作化をすすめること。
- 公契約条例を制定し、県発注工事については、県内建設業者への発注をさらに増やし、適正価格により、末端の下請け業者、建設労働者にいたるまで、営業と生活が保障される内容に改革すること。
- 住宅リフォーム助成制度の創設、耐震化補助制度の拡充、バリアフリー化の推進など、中小建設業者の仕事を増やすこと。
- 「ひょうご・インフラメンテナンス10か年計画」に基づく老朽化対策にあたっては、橋梁などの点検の際の専門家不足や、新規建設と同じ基準単価では、採算がとれないため事業所が補修工事に参入できない等の問題点も指摘されている。専門家の育成などで体制を確保し、補修単価の引き上げ等を行うこと。特に点検、調査、事業化にあたっては、民間依存を改め、第3次行革プランによる職員の1割削減計画を止め、総合土木職、建築職など技術職、専門知識をもった技術職員の養成も行い、十分な人的体制を確保すること。
- 財政難の最大の原因となっている高速道路を中心とした6基幹軸優先の道路政策を転換し、通学路の安全対策や生活道路の改修など住民生活に身近な道路政策に改めること。建設中の東播磨南北道路、新名神高速道路、名神湾岸連絡線、大阪湾岸線西神部、播磨臨海地域道路、紀淡海峡連絡道路など不要不急の道路計画を中止すること。
また、西宮北有料道路無料化のさらなる前倒しを実施すること。
- 空港事業について
- 関西国際空港と大阪国際空港の統合、両空港の運営権売却(コンセッション)がすすめられ、その相手先に神戸空港の運営権も売却する動きが出ている。国が責任をもってきた「安全性」や「環境対策」が売却優先、コスト優先でおろそろかになる懸念があり、反対すること。神戸空港売却になれば税金からの負担が避けられなくなる懸念がある。運営権売却をやめ、供給過剰の関西3空港は、安全性や環境を優先し、国の責任で抜本的に見直すこと。
- 神戸空港及び関西国際空港2期に対する県の補助金や出資をやめること。関西国際空港と神戸空港を結ぶ「海底トンネル構想」は、計画を中止すること。
- 大阪国際空港の安全・環境対策について、国の責任でこれまでの裁判結果や存続協定などを踏まえ、環境基準の達成にむけて、運用制限と発着枠を厳守すること。また、夜間離発着は、騒音による住民の犠牲と被害を拡大するものであり、住民合意なしにすすめないこと。
- 但馬空港については、毎年5億円以上の県の財政支出に加えて、但馬地域の各市町も多額の負担を強いられている。今後の需要拡大の見通しもない中で、但馬空港ターミナル(株)と運営権実施契約が締結され、来年1月1日からの事業が開始されるが、空港のあり方について、抜本的に見直すこと。
- 神戸電鉄粟生線については、住民の足・公共交通を守るため、路線存続のための支援を継続し、運転本数などを利用者のサービス向上になるよう働きかけること。
- 武庫川水系河川整備計画とダムについて
- 今後20年間、ダムに頼らない総合的な治水計画がつくられたが、その後においても、武庫川流域のダム計画はきっぱりと中止すること。
- 河床掘削や堤防補強など、武庫川の安全対策は十分にすすめること。その際、住民合意を重視すること。
- 総合治水対策のなかで、将来の分担量目標が極めて低く設定されている流域対策の目標を引き上げ、抜本的に強化すること。
- 天然鮎の遡上できる川に再生するための対策をすすめること。
- 河川整備・治水事業について
- 金出地ダムは、流域全体の総合治水の検討が不十分であり、見直し・中止すること。
- 河川整備については、下流からの改修だけにこだわらず、堤防の補強や危険箇所の改修を優先して安全を守ること。また、生態系の保全など、環境を守る事業も重視すること。
- 毎年被害が増加している記録的豪雨対策について、調査・研究を進め、調整池や下水対策など予算を大幅に増やすこと。
- 災害を未然に防ぐために、土石流危険渓流や地滑り危険個所等の整備を急ぐこと。
- 県営住宅について
- 安全で低廉な家賃の県営住宅の建設はさらに必要度を増している。第三次行革プランにもとづく県営住宅全体の削減計画をやめ、立替え戸数の削減計画を見直し、新規の県営住宅の建設や民間住宅借り上げ県営住宅の対策も含め、県の住宅対策を拡充すること。
- 家賃減免制度の見直しが第3次行革プランにもとづき、来年度家賃より実施されようとしている。現在の政令月収額をもとに減免率が決定されていたものを世帯の総収入を実質的な家賃負担能力に反映させる制度に変更するもので、入居者、とりわけ高齢者世帯に重い負担となる。計画を中止すること。
- 一般会計の繰り入れにより、外壁補修などの計画補修、空家補修等の予算を大幅に増やし、部分補修や改築、エレベーターの設置など計画を立て、積極的におこなうこと。
- 民間指定管理者による管理運営は、入居者の福祉的対応がなされないなど、住民サービスが低下している。県が管理運営に責任を持つようにし、指定管理制度をやめること。
- 入居者が低所得者であることを配慮し、高すぎる駐車料金にしないこと。また、駐車場を自主管理している団地については、十分に話し合いを行うこと。
- 介護や在宅療養が必要な入居者について、居住面積などを配慮すること。
- 公営住宅の入居承継基準をもとに戻すこと。
- 企業庁の事業について
- 地域整備事業の新会計制度については、事業ごとに過年度も含めて収支、資産負債状況、事業内容がわかる会計制度に改めること。また、先行取得用地をはじめ、用地全てについて時価、含み損も含めて県民に明らかにすること。
- 安すぎる工業用水料金を改定し、大幅に値上げすること。高い県水の市町への押し付けをやめること。
- (株)夢舞台事業を抜本的に見直すこと。天下り役員ポストをなくすこと。
- 国の直轄事業負担金の全廃を国に強く求めること。
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