2015年度予算編成にあたっての重要政策提言(4)
第4.福祉・医療の充実で、県民の命を守る県政に
政府は、「社会保障と税の一体改革」をおしすすめ、成立した医療・介護総合法は、要支援1・2の高齢者を介護保険制度から外し、地域支援事業として市町へ移行させる。医療については、急性期のベッド数削減や70〜74才の窓口負担倍増の早期実施など、介護・医療の大幅削減がされようとしている。 年金では、支給額の削減と年金控除額の引き下げによる課税強化、支給開始年齢の引き上げを、また、保育の公的責任をなげすてる子ども・子育て支援新制度を推進し、戦後作り上げられてきた社会保障制度をおおもとから解体させる内容となっている。 県の「第3次行革プラン」では、ひとり親家庭医療費助成の所得制限強化や、老人医療助成の所得制限強化や、老人医療費助成の低所得1割から2割への負担増など、医療・福祉などの県民サービスを削減するのではなく、充実することが、県民のいのちと暮らしを守る県政実現のために求められている。 - 「県行革プラン」による、ひとり親家庭の対象者の削減や、老人医療費助成の2割負担などは元にもどすこと。障害者医療、乳幼児・子どもの医療費助成の削減を元にもどし、拡充の転換を図ること。
- 国民健康保険・後期高齢者医療制度について
- 国保の広域化・都道府県単位化は、国に中止を求めること。国庫負担の増額を強く求め、国が応じないときは協議を中止すること。
- 国民健康保険料が高くて払えない世帯が県下で2割にのぼっている。国民健康保険への県補助を大幅に増やし、保険料を引き下げること。
- 滞納を理由にした保険証の取り上げや財産差し押さえが、悪質滞納者だけでなく支払い能力のない低所得者にも及んでいる。医療を受ける権利を侵すことをやめ、資格証明書や短期保険証の発行や財産差し押さえはしないよう、市町・後期高齢者医療広域連合に求めること。また、窓口留め置きによる事実上の保険証未交付はただちに解消すること。
- 後期高齢者医療制度をただちに廃止することを国に求めること。
- 生活保護について
- 2013年8月からの生活保護基準の引き下げは、生活保護世帯をいっそう困窮においやっている。基準を元に戻すよう国に求めること。
- 基準引き下げにともなう、就学援助や各種減免制度等の連動した基準引き下げの状況について調査し、是正すること。
- 国が検討している住宅扶助(家賃)基準や冬季加算の引き下げを行わないよう求めること。
- 民法上の「扶養義務者」による扶養を要件にしたり、申請さえ受け付けないなどの「水際作戦」を行わないよう市町に徹底すること。ソーシャルワーカーを増やし、きめこまやかな体制となるよう支援を強化すること。
- 医療体制について
- 国による都道府県ごとの医療費削減目標の押し付けに反対し、医療計画は必要な地域医療が確保できるものとすること。
- 県立こども病院のポートアイランド2期の神戸市立医療センター中央市民病院の隣接地への移転計画は、防災面、救急時のアクセス、また変異株を含むウイルスを扱うバイオ企業群によるバイオハザードの危険性、周産期医療の集約化など、多くの問題をはらんでいる。移転事業を中止し、安全な場所で建替えを行い、周産期医療の充実に寄与する計画に作り直すこと。
- 県立淡路医療センターの医療体制の充実を図ること。また、災害拠点病院としての機能が果たせるようさらなる対策をとること。
- 救急医療二次輪番病院への補助制度を創設するとともに、県の責任で三次救急の機能確立を図ること。
- 県立病院の独立行政法人化は行わないこと。
- 県立病院の一般外来看護師や事務職、技能事務職の削減をやめること。
- 事実上の混合診療である「患者申出療養(仮称)」制度に反対すること。
- 難病対策について
難病対策の新法は、対策充実のために大きな前進であるが、対象疾患、医療費の自己負担、小児慢性疾患の成人継続治療などについて課題が残されている。
- 人工呼吸器の使用者など、低所得の重症患者の自己負担の無料化を継続するよう国に求めるとともに、県として軽減すること。
- 特定医療費の支給にかかる患者・家族の手続きを簡素化し負担を軽減すること。
- 療養生活環境整備事業を患者の要望にそって確実に実施すること。
- 障害者総合支援法により新たに支援の対象となった難病患者に制度の周知を徹底するとともに、支援を必要としながら障害者支援にも難病対策にもあてはまらない患者の救済をはかること。
- 障害者施策について
- 障害を自己責任とみなし、「応益負担」を課す障害者自立支援法は、名称だけを変更した障害者総合支援法に変わった。訴訟団と国との「基本合意」に立ち返り、「骨格提言」にそった「障害者総合福祉法」へ改善されるよう国に求めること。
- 県障害福祉計画の改定に当たって、当事者の参画を強化し十分意見を反映すること。
- 腎機能障害者に対する兵庫県独自の認定基準を設けて、すべての透析患者が障害等級1級に認定されるようにすること。
- 重度障害者医療費助成事業の対象となる精神障害者を、精神障害者保健福祉手帳2級まで拡充すること。
- 在宅重度心身障害者(児)介護手当制度を改悪前に戻すこと。
- 法内施設に移行できない小規模作業所への県独自の支援は、引き続き行うこと。
- 移動支援などのサービスを実際には提供できない事業所が多く生じていることから、地域生活支援事業に対する県の財政支援を強め、事業所が確実にサービスを実施できるよう支援すること。
- 入所施設やグループホームを抜本的に増設し、地域での生活を保障すること。精神科病院の病棟・病床の一部を「居住系施設」に転換する国の方針には反対すること。
- ジョブコーチ制度や職業訓練や資格取得の支援を拡充し、企業等における雇用率の引き上げをはかること。障害者手帳を持たない難病患者等の就労を支援すること。
- 介護保険について
- 「要支援1・2」を介護保険制度の対象から外し、ボランティア事業などにゆだねるなど市町へ押し付けることは、国の責任放棄であり、必要とするサービスが受けられなくなり、介護度を重度化させることにもつながる危険があり、国に中止を求めること。
- 計画の改定による保険料の引き上げを抑え、基盤施設整備を充実すること。
- 一定の所得がある利用者の利用料の2割引き上げの中止を国に求めること。
- 特養ホーム入所者のうち要介護1・2の「軽度の要介護者」の利用料の引き上げの中止を国に求めること。
- 保険料軽減のために財政安定化基金を取り崩すことを国に求めるとともに、県独自の保険料・利用料の減免制度を創設すること。
- 介護・福祉労働者の処遇改善のための財政補助制度を復活、拡充すること。
- 施設から在宅介護への移行を名目に2025年までの特別養護老人ホームの増床数を減らす県の方針を撤回し、市町ごとの実態に見合った新増設を行い、待機者(県下で25,100人)を早急に解消すること。そのために整備費補助単価を引き上げること。
- 生活援助の時間区分見直しにより、利用者の生活に深刻な影響が出ている。国の通知に基づき従来どおりの時間提供が可能であることを事業所に徹底するとともに、介護報酬を元に戻すよう国に求めること。
- 保育を営利企業にゆだね公的保育を後退させる「こども・子育て関連法」にもとづく「新制度」の凍結・延期を国に求めること。保育所待機児童を解消するためには、認定こども園ではなく認可保育所を基本に増設するとともに、保育士の処遇改善への支援など条件整備を進めること。
- こども・子育て支援について
- 子育て世代の経済的負担の軽減のため、こどもの医療費を、義務教育を終えるまで、通院も入院も、所得制限を撤廃して完全無料化すること。
- 周産期医療、小児救急医療を充実するため、産科医・小児科医確保の対策を強めるとともに、不足しているNICUなどの整備をさらにすすめること。
- 妊婦健診は全額公費負担となるよう、県の補助を増やすこと。出産費用を補助する制度を創設すること。
- 保育料の第三子軽減制度は、所得制限を撤廃すること。また、保育料減免制度を充実すること。
- 学童保育(放課後児童健全育成事業)について、待機児童や大規模化解消のため増設をすすめること。小学校高学年や障害児の受け入れ、施設の充実、父母の負担軽減などの取り組みをすすめること。
- 新婚世帯、子育て世代、母子・父子家庭に対する民間住宅家賃補助制度を創設するとともに、県営住宅の入居優先枠を大幅に増やすこと。
- 子宮頸ガンワクチン、Hibワクチン、肺炎球菌ワクチンに対しての支援強化と、ワクチンの安全性の確保、向上を国に求めること。風疹ワクチンへの補助を求めること。
- 過去最多となった児童虐待について、こども家庭センターの専門職員の増員を行い、市町との連携をより強化し、児童虐待を防止する対策をすすめること。
- DV対策は、専門職員を増やし、被害者自立のための住宅や仕事確保など支援体制を強化すること。また、民間シェルターへの助成を拡充すること。
- 振り込め詐欺や送り付け商法、携帯電話やスマートフォン、インターネットなどを使った悪徳商法など消費者被害が後を絶たない。消費者生活相談員など消費生活センターの職員は、安定した正規雇用とし、消費者行政を市町とともに拡充すること。
- 物価スライドによる年金支給額の切り下げを中止し、最低保障年金制度を導入し、低年金・無年金者をなくすこと。
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