2014年度予算編成にあたっての重要政策提言(9)
第9.大型公共事業優先から、生活密着型の公共事業へ
県下でも橋脚や道路などインフラ(社会基盤)が寿命を迎えつつある下で新規建設を抑制し、維持・更新事業へ転換することは、待ったなしとなっている。ところが安倍政権は、アベノミクス「三本の矢」のひとつとして、公共事業による財政出動を経済対策・景気対策と位置づけ、高速道路や巨大港湾など新規の大型開発事業に「国土強靭化」と称して、10年間に200兆円もの投資をしようとしており、県も「高速道路空白地帯の解消」などと、なお大型公共事業に偏重している。社会基盤整備プログラムの見直しに当たっては、高規格道路、空港、ダムなど、大型公共事業の大幅な削減と、住民生活密着型の公共事業へ転換し、中小企業への発注を増やすことが求められている。
- 東海、東南海、南海地震等に備える「津波防災インフラ整備5ヵ年計画」の実施に当たっては、住民への説明を丁寧に行い、県民の意見を広く反映したものとすること。その際、計画に伴う資料及び予算規模等を含めて公開すること。防潮門扉等の電動化、遠隔操作化をすすめること。
- 公契約条例を制定し、県発注工事については、県内建設業者への発注をさらに増やし、適正価格により、末端の下請け業者、建設労働者にいたるまで、営業と生活が保障される内容に改革すること。
- 住宅リフォーム助成制度の創設、耐震化補助制度の拡充、バリアフリー化の推進など、中小建設業者の仕事を増やすこと。
- 「ひょうごインフラメンテナンス10か年計画」などの老朽化対策にあたっては、橋梁などの点検の際の専門家不足や、新規建設と同じ基準単価では、採算がとれないため事業所が補修工事に参入できない等の問題点も指摘されている。専門家の育成などで体制を確保し、補修単価の引き上げ等を行うこと。
- 財政難の最大の原因となっている高速道路を中心とした6基幹軸優先の道路政策を転換し、通学路の安全対策や生活道路の改修など住民生活に身近な道路政策に改めること。建設中の東播磨南北道路、新名神高速道路を含め、名神湾岸連絡道路、大阪湾岸線西神部、播磨臨海地域道路、紀淡海峡連絡道路など不要不急の道路計画を見直すこと。
また、西宮北有料道路無料化のさらなる前倒しを検討すること。
- 空港事業について
- 神戸空港及び関西国際空港2期に対する県の補助金や出資をやめること。関西国際空港と神戸空港を結ぶ「海底トンネル構想」は、計画を中止すること。
- 大阪国際空港の安全・環境対策について、国の責任でこれまでの裁判結果や存続協定などを踏まえ、環境基準の達成にむけて、運用制限と発着枠を厳守すること。また、夜間離発着は、騒音による住民の犠牲と被害を拡大するものであり、住民合意なしにすすめないこと。関西国際空港との経営統合について、関西国際空港が負債を抱えた原因と責任の所在を明確にし、負債の解決方法を検討し、国が直接管理・運営する空港として債務の解消を図ること。
- 但馬空港については、毎年6億円以上の県の財政支出に加えて、但馬地域の各市町も多額の負担を強いられている。今後の需要拡大の見通しもない中で、空港のあり方について抜本的に見直すこと。「但馬空港フェスティバル」に自衛隊戦闘機の参加を求めないこと。
- 神戸電鉄粟生線については、住民の足・公共交通を守るため、路線存続のための支援を継続し、運転本数などを利用者のサービス向上になるよう働きかけること。
- 神戸電鉄の死亡事故に対しては、踏切施設等の安全点検と再発防止対策を、早急に実施するよう強く働きかけること。
- 武庫川水系河川整備計画とダムについて
- 今後20年間、ダムに頼らない総合的な治水計画がつくられたが、その後においても、武庫川流域のダム計画はきっぱりと中止すること。
- 河床掘削や堤防補強など、武庫川の安全対策は十分にすすめること。その際、住民合意を重視すること。
- 総合治水対策のなかで、将来の分担量目標が極めて低く設定されている流域対策の目標を引き上げ、抜本的に強化すること。
- 天然鮎の遡上できる川に再生するための対策をすすめること。
- 河川整備・ダム事業について
- 西紀ダムや金出地ダムなどの建設は、いずれも流域全体の総合治水の検討が不十分であり、見直し・中止すること。
- 河川整備については、下流からの改修だけにこだわらず、堤防の補強や危険箇所の改修を優先して安全を守ること。また、生態系の保全など、環境を守る事業も重視すること。
- 毎年被害が増加している記録的豪雨対策について、調査・研究を進め、調整池や下水対策など予算を大幅に増やすこと。
- 県営住宅について
- 安全で低廉な家賃の県営住宅の建設はさらに必要度を増している。県営住宅の立替え戸数の削減計画を見直し、新規の県営住宅の建設や民間住宅借り上げ県営住宅の対策も含め、県の住宅対策を拡充すること。
- 家賃減免制度を拡充すること。
- 一般会計の繰り入れにより、外壁補修などの計画補修、空家補修等の予算を大幅に増やし、部分補修や改築、エレベーターの設置など計画を立て、積極的におこなうこと。
- 民間指定管理者による管理運営は、入居者の福祉的対応がなされないなど、住民サービスが低下している。県が管理運営に責任を持つようにし、指定管理制度をやめること。
- 入居者が低所得者であることを配慮し、高すぎる駐車料金にしないこと。また、駐車場を自主管理している団地については、十分に話し合いを行うこと。
- 介護や在宅療養が必要な入居者について、居住面積などを配慮すること。
- 条例委任された入居者の収入基準を、現行より厳しくしないこと。
- 公営住宅の入居承継基準をもとに戻すこと。
- 企業庁の事業について
- 地域整備事業の新会計制度については、事業ごとに過年度も含めて収支、資産負債状況、事業内容がわかる会計制度に早急に改めること。
- 安すぎる工業用水料金を改定し、大幅に値上げすること。高い県水の市町への押し付けをやめること。
- (株)夢舞台事業を抜本的に見直すこと。天下り役員ポストをなくすこと。
- 国の直轄事業負担金の全廃を国に強く求めること。
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