2014年度予算編成にあたっての重要政策提言(8)
第8.農林水産業を基幹産業として再生し、食料自給率を向上させ、食の安全を守る県政へ
21世紀の世界は、「食料は金さえ出せばいつでも輸入できる」時代ではなくなっている。 完全自由化で日本の農林水産業を壊滅の危機に陥れるTPPは、食料自給率を低下させ、独立国としての存立の基盤を失わせるものであり、撤退しかない。日本有数の農業県として、TPP撤退を求める立場を明確にし、基幹産業としての農林水産業の本格的な再生と食料自給率の向上、食の安全を守る県政への根本的転換を求めるものである。
- 国にたいし、農林水産業に壊滅的な打撃を与えるTPP(環太平洋連携協定)撤退を強く求めること。FTA(自由貿易協定)、EPA(経済連携協定)締結や、ミニマムアクセス米の義務的輸入、WTO農業交渉など、輸入自由化・拡大路線をやめ、食料自給率を早期に50%台に引き上げるよう求めること。
- 国の「成長戦略」による農業・農村の「所得倍増」計画は、コメの生産コスト引き下げや大手流通加工企業の主導する6次産業化など、農業を株式会社の参入で大企業のビジネスチャンスにするもので、農家の所得を増やすものではない。国に撤回を求めること。
- コメの生産について、少なくとも60キロ・1万8千円の価格保障を中心に、農地面積などを対象にした各種の所得補償を組み合わせて生産コストをカバーできる施策に切り替えるよう国に求めること。県としてコメなど農産物の価格安定対策にとりくむこと。
- 兵庫県の状況をふまえ、中山間地等直接支払制度の恒久化と要件緩和を国に求めるとともに、県として中山間地など条件不利地への支援を充実すること。
- 集落営農や大規模農家に対する施設・機械導入などへの助成・低利融資など支援の充実とともに、家族営農を含む中小零細農家が農業を続けられるように抜本的に支援を充実するなど、担い手対策を行うこと。新規就農者への助成・支援を拡充すること。
- 食の安全を守るために
- BSE全頭検査を復活・継続すること。
- 仮にTPP参加による非関税障壁撤廃が求められた場合にも、食の安全を守る立場から、産地表示、遺伝子組み換え表示、農薬回数等の表示、トレーサビリティなどが継続されるよう求めるとともに、「ひょうご安心ブランド」など独自の認証も継続すること。
- 食品の産地偽装や賞味期限の改ざんなどを防ぎ食の安全を守るため、健康福祉事務所など検査体制の強化をおこなうこと。
- 放射能で汚染された農産物・畜産物・水産物が流通することのないよう、国に対し、抜本的できめこまかな調査の徹底とともに、県としてもきめこまかい検査を継続しておこなえるよう検査体制を引き続き強化すること。生産者に対する迅速な補償を国と東京電力の責任で行うよう引き続き求めること。
- 都市近郊農業の宅地並み課税をやめ、生産緑地の要件を緩和するよう国に求めるとともに、県として農業を都市づくりに位置付け、生産緑地指定拡大、直売所や体験農園などの取り組みへの支援充実に取り組むこと。
- 鳥獣被害対策について、防護柵などの設置・更新への補助増額や駆除に参加する猟友会員への支援など、被害防除や駆除対策を引き続き強めること。被害を食い止めるとともに生息できる生態系を取り戻す研究と対策を強めること。
- 小中学校の給食への県産農畜水産物などの供給や、中学校給食の実施を県主導で推進し、農政環境部・産業労働部・教育委員会などが連携し、販路拡大と食育に寄与する地産地消を抜本的にすすめること。 米飯給食実施への補助制度を復活すること。
- 口蹄疫や鳥インフルエンザなど、家畜の伝染病対策について、防疫・治療研究とともに、発生し長期化した場合の対応と費用負担、保険制度創設を含む営農保障、埋設場所、焼却対策の整備など対策を抜本的に強めること。
- 木材の生産、水源の涵養、国土保全、生物多様性など森林の多面的な機能と林業の振興のために
- 林業労働者の計画的な育成と待遇改善をはかるため、「緑の雇用事業」の拡充と事業体への支援を国に求めるとともに、県としても行い、系統的な林業労働者の育成にとりくむこと。
- 県産材需要拡大のため、公共事業での県産材使用を拡大すること。 県産材活用の住宅リフォーム助成制度を実施すること。
- 自然環境に悪影響をあたえる広域基幹林道優先でなく、「作業道」の設置を計画的にすすめること。
- 間伐材等によるバイオ燃料など、森林資源を活用した自然エネルギーの供給を促進する支援をおこなうこと。
- 国の間伐補助の面積要件(5ha以上)を従前の0.1haにもどして事業ごとの補助とするよう国に求めること。
- 経費に見合う水産物価格の実現のために、価格保障、所得補償をはかるよう国に求めるとともに、共済制度の拡充や、水産資源保全のための休漁補償など、漁業経営の安定対策に県としてとりくむこと。 漁業への新規就業者支援を行うこと。
- 瀬戸内海での藻場・干潟の再生や、栄養塩供給などの対策に環境保全と両立させながらとりくむこと。
- 燃油高騰に対する支援を行うこと。
- 軽油引取税の免税措置・農林漁業用輸入A重油にかかる免税措置・農林漁業用国産A重油にかかる還付措置の恒久化を国に求めること。
- 「漁業経営セーフティネット構築事業」における燃油費の補填発動の基準を引き下げるよう国に求めること。
- 県として値上がりに対する補てんなど独自の支援を行うこと。
- 試験研究機関を、「行革」対象にすることなく、充実すること。
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