2014年度予算編成にあたっての重要政策提言(7)
第7.福祉・医療の充実で、県民の命を守る県政に
「社会保障と税の一体改革」をおしすすめる政府は、社会保障制度改革国民会議の最終報告書を取りまとめた。 その内容は、介護保険で要支援者を保険の対象からはずし、利用料引き上げの方向を示し、医療では70〜74歳の窓口負担倍増の早期実施など受診抑制で医療費の削減を。年金では、支給額の削減と年金控除額の引き下げによる課税強化、支給開始年齢の引き上げを、また、保育の公的責任をなげすてる「新システム」を推進し、いっそう消費税増税の必要性を強調するなど、戦後作り上げられてきた社会保障制度をおおもとから解体させる重大な問題である。 県は、「第2次行革プラン」3年目の総点検を行っているが、医療・福祉など県民サービスを削減するのではなく充実することが、県民のいのちと暮らしを守る県政実現のために求められている。
- 国民健康保険・後期高齢者医療制度について
- 国民健康保険の財政運営を都道府県に担わせる国保の広域化は、権限と責任を都道府県に集中させることで、市町が行っている一般会計からの法定外の繰り入れをやめさせ、市町が独自に行ってきた減免制度の廃止など、保険料のさらなる引き上げにつながる。国保の都道府県への広域化は、国に中止を求めること。
- 国民健康保険料が高くて払えない世帯が県下で2割にのぼっている。国民健康保険への県補助を大幅に増やし、保険料を引き下げること。
- 滞納を理由にした保険証の取り上げや財産差し押さえが、悪質滞納者だけでなく支払い能力のない低所得者にも及んでいる。医療を受ける権利を侵すことをやめ、資格証明書や短期保険証の発行や財産差し押さえはしないよう、市町・後期高齢者医療広域連合に求めること。また、窓口留め置きによる事実上の保険証未交付はただちに解消すること。
- 現在1割に据え置かれている70〜74歳の患者負担を2割に引き上げることは、受診抑制にもつながり中止を国に求めること。
- 後期高齢者医療制度をただちに廃止することを国に求めること。
- 生活保護について
- 生活保護基準の引き下げは、生活保護世帯をいっそう困窮においやるばかりでなく、就学援助制度や最低賃金制、課税最低限、国保や国民年金、介護保険などの保険料の減免制度、生活福祉資金貸付制度、最低保障年金、福祉施設の措置費など福祉の制度広範に影響を及ぼし、福祉制度の大きな後退につながるもので、基準を元に戻すことを国に求めること。
- 国が再提出しようとしている生活保護法改悪案と生活困窮者自立支援法案の2法案に反対し、有期化、医療費の自己負担、親族に扶養を義務付けるなどの生活保護制度の改悪をしないよう国に求めること。
- 民法上の「扶養義務者」による扶養を要件にしたり、申請さえ受け付けないなどの「水際作戦」を行わないよう市町に徹底すること。ソーシャルワーカーを増やし、きめこまやかな体制となるよう支援を強化すること。
- 医療体制について
- 県立こども病院のポートアイランド2期の神戸市立医療センター中央市民病院の隣接地への移転計画は、防災面、救急時のアクセス、また変異株を含むウイルスを扱うバイオ企業群によるバイオハザードの危険性、周産期医療の集約化など、多くの問題をはらんでいる。移転事業を中止し、安全な場所で建替えを行い、周産期医療の充実に寄与する計画に作り直すこと。
- 県立淡路医療センターの新築・移転に伴う看護師不足を早急に改善し、医療体制の充実を図ること。また、災害拠点病院としての機能が果たせるようさらなる対策をとること。
- 救急医療二次輪番病院への補助制度を創設するとともに、県の責任で三次救急の機能確立を図ること。
- 地域医療を崩壊させる国の「医療構造改革」に基づいた、医療適正化計画、保健医療計画、地域ケア体制整備構想、健康増進計画は根本的に見直し、特に療養病床削減計画は中止すること。
- 塚口病院の跡地は、有床の医療機関の誘致等、最後まで住民の意見を尊重すること。
- 県立病院の独立行政法人化は行わないこと。
- 県立病院の一般外来看護師や事務職、技能事務職の削減をやめること。
- 地元の強い要望から市に移譲・存続が決まった県立柏原看護専門学校は、引き続き県下の看護師養成を担う重要な役割をもつことから、県として財政支援を続けることで責任を持つこと。
- 障害者施策について
- 障害を自己責任とみなし、「応益負担」を課す障害者自立支援法は、名称だけを変更した障害者総合支援法に変わった。訴訟団と国との「基本合意」に立ち返り、「骨格提言」にそった「障害者総合福祉法」へ改善されるよう国に求めること。
- 腎機能障害者に対する兵庫県独自の認定基準を設けて、すべての透析患者が障害等級1級に認定されるようにすること。
- 重度障害者医療費助成事業の対象となる精神障害者を、精神障害者保健福祉手帳2級まで拡充すること。
- 移動支援などのサービスを実際には提供できない事業所が多く生じていることから、地域生活支援事業に対する県の財政支援を強め、事業所が確実にサービスを実施できるよう支援すること。
- 介護保険と同様に、障害者福祉サービスを提供する事業所に対する苦情を受け付ける窓口をつくること。
- 介護保険について
- 「要支援1・2」を介護保険制度の対象から外し、ボランティア事業などにゆだねるなど市町へ押し付けることは、国の責任放棄であり、必要とするサービスが受けられなくなり、介護度を重度化させることにもつながる危険があり、国に中止を求めること。
- 一定の所得がある利用者の利用料を1割から2割へ引き上げることが検討されているが、高い保険料がはらえなく必要な介護が受けられない事態を深刻にするばかりであり、国に中止を求めること。
- 特養ホーム入所者のうち要介護1・2の「軽度の要介護者」の利用料の引き上げの中止を国に求めること。
- 保険料軽減のために財政安定化基金を取り崩すことを国に求めるとともに、県独自の保険料・利用料の減免制度を創設すること。
- 介護・福祉労働者の処遇改善のための財政補助制度を復活、拡充すること。
- 施設から在宅介護への移行を名目に2025年までの特別養護老人ホームの増床数を減らす県の方針を撤回し、市町ごとの実態に見合った新増設を行い、待機者(県下で25,100人)を早急に解消すること。そのために整備費補助単価を引き上げること。
- 生活援助の時間区分見直しにより、利用者の生活に深刻な影響が出ている。国の通知に基づき従来どおりの時間提供が可能であることを事業所に徹底するとともに、介護報酬を元に戻すよう国に求めること。
- こども・子育て支援について
- 子育て世代の経済的負担の軽減のため、こどもの医療費を、義務教育を終えるまで、通院も入院も、所得制限を撤廃して完全無料化すること。
- 周産期医療、小児救急医療を充実するため、産科医・小児科医確保の対策を強めるとともに、不足しているNICUなどの整備をさらにすすめること。
- 妊婦健診は全額公費負担となるよう、県の補助を増やすこと。出産費用を補助する制度を創設すること。
- 保育料の第三子軽減制度は、所得制限を撤廃すること。また、保育料減免制度を充実すること。
- 保育を営利企業にゆだね公的保育を後退させる「こども・子育て関連法」にもとづく「新制度」の撤回を国に求め、公的保育を維持すること。「保育施設の設備及び運営に関する基準」に関する条例に、保育士配置基準の上乗せ、看護師の配置、乳児室の面積基準、こども家庭センター等との連携障害児への対応について条例に盛り込むよう改善を図ること。保育所待機児童を解消するためには、認定こども園ではなく認可保育所を基本に増設するとともに、保育士の処遇改善への支援など条件整備を進めること。
- 学童保育(放課後児童健全育成事業)について、待機児童や大規模化解消のため増設をすすめること。小学校高学年や障害児の受け入れ、施設の充実、父母の負担軽減などの取り組みをすすめること。
- 新婚世帯、子育て世代、母子・父子家庭に対する民間住宅家賃補助制度を創設するとともに、県営住宅の入居優先枠を大幅に増やすこと。
- 子宮頸ガンワクチン、Hibワクチン、肺炎球菌ワクチンに対しての支援強化と、ワクチンの安全性の確保、向上を国に求めること。風疹ワクチンへの補助を求めること。
- 過去最多となった児童虐待について、こども家庭センターの専門職員の増員を行い、市町との連携をより強化し、児童虐待を防止する対策をすすめること。
- DV対策は、専門職員を増やし、被害者自立のための住宅や仕
事確保など支援体制を強化すること。また、民間シェルターへの助成を拡充すること。
- 振り込め詐欺や送り付け商法、携帯電話やスマートフォン、インターネットなどを使った悪徳商法など消費者被害が後を絶たない。消費者生活相談員など消費生活センターの職員は、安定した正規雇用とし、消費者行政を市町とともに拡充すること。
- 年金制度の拡充について国に強く要望すること。
- 物価スライドによる年金支給額の切り下げは中止をすること。
- 25年の受給条件を10年に短縮することは、消費税増税と引き換えにしないこと。また、年金財源を消費税に求めないこと。
- 年金控除額の引き下げによる課税強化は行わないこと。
- 最低保障年金制度を導入し、低年金・無年金者をなくすこと。
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