2012年度予算編成にあたっての重要政策提言(13)
第13.地方自治、道州制について
東日本大震災は、あらためて国の責務や地方自治体のあり方を浮き彫りにした。 憲法と地方自治の精神を生かし、「住民の福祉の向上」をめざす県政の実現が求められている。
- 基準緩和や一括交付金化などを含む「地域主権改革」は、憲法にもとづく国民の権利を保障する国の責任を後退させるものである。
第1次一括法にもとづく条例委任にあたっては、少なくとも福祉・教育・環境分野の中で国がナショナルミニマムとして保障してきた最低基準を引き下げないこと。
- 「関西広域連合」は、「道州制とのちがい」を強調しているが、関西の財界が道州制への突破口に位置づけて提案・推進してきて経過がある。広域連合をつくった最大の目的は、国の出先機関の廃止にあわせた、国の権限移譲の受け皿をつくり、関西圏の大規模開発を進めることである。
私たちの指摘どおり関西広域連合では、「広域インフラ検討会」を設置し、広域交通インフラとして北陸新幹線、関西国際空港の高速アクセス、関西圏全体における高速鉄道、総合交通体系、日本海拠点などを検討しようとしている。これらの大規模開発構想は、今後、国や地方自治体の莫大な財政支出を伴い、新たな財政困難を招くことは明らかであり、検討をおこなわないこと。
- 税と社会保障の一体改革で、消費税引き上げの方向が打ち出されているが、これ以上の消費税の引き上げは、住民の重い負担となり、地域経済をますます冷え込ませることは必至である。地方財源の充実を求める際に、庶民に重い負担(逆進性)のある消費税の増税を求めないこと。
- 県下の市町合併によって、自治体行政が住民から遠いものになって、様々な弊害が出ている。市町の実態や生の声を聞いて、市町合併について改めて検証し、住民にとって、必要なサービスの提供に県として役割を果たすこと。
- 公務員削減とともに、指定管理者制度の拡大や民間委託などがすすめられているが、東日本大震災の被災地では、市町合併や公務員減らしにより、震災復興が困難となっていることが明らかとなっている。職員削減のための安易なアウトソーシングを行わないこと。
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