兵庫県高等学校通学区域の「見直し」等に関する申し入れ
8月4日、教育委員会に対し、以下の内容で申し入れをおこないました。
兵庫県高等学校通学区域の「見直し」等に関する申し入れ 貴職におかれましては、よりよい教育のためご精励いただいていることに敬意を表します。 さて、このほど、「通学区を全県16学区から5学区に統合・拡大」「自由学区の見直し」「複数志願制の全学区への導入」などを内容とする兵庫県高等学校通学区域検討委員会報告(素案)が発表されました。 通学区域検討委員会は、2009年8月に設置され、検討がおこなわれてきましたが、この会議は傍聴や住民の参加が認められておらず、「中間まとめ」が発表されてからも、その内容自体が多くの県民には知られていません。ましてや、「5学区」案は多くの住民にとって「寝耳に水」です。 通学区域や選抜方式は、生徒の進路・将来や保護者の教育権に関わる重大な問題です。こうした問題を検討するには、当事者である生徒・保護者・地域住民・学校現場の参加による、各地域ごとの慎重な議論の積み重ねが必要であり、今回の発表は民主的な手続きを欠いたものといわざるをえません。 また、7月に「素案」についての説明会も行われました。県下7ヵ所のみ、平日の開催でこれ自体も非常に不十分なものですが、その中でも、「通学の負担が増えるのでは」「地域の学校がなくなるのではないか」との不安や批判が相次いでいます。明石市は、市長自ら説明会に参加し「半世紀ぶりの改革をなぜこんなに急ぐのか」「明石市民の総意を無視するのか」などと発言し、先月27日には、市長・市議会議長・教育長と連名で、学区再編に反対し明石学区の維持を求める意見書を県教育委員会へ提出しました。但馬の3市2町の首長も、過日、学区と選抜制度の現状維持を求める要望書を提出しています。また、県下の17市町議会でも反対や慎重な検討を求める意見書が採択されています このように県民合意が得られていない状況で、今回の「素案」を、手直し程度で10月にも「最終報告」とし、通学区域の変更等を2014年に実施することは到底受け入れられません。 少なくとも、「素案」を前提とせず、通学区域を広げることが必要かどうかも含め、県民参加で時間をかけた議論が必要です。 日本共産党県会議員団としても、通学区域の拡大には多くの危惧を持っています。 通学費や通学時間など、生徒や保護者の負担を新たに増やすことになり、高校無償化に逆行する事態を招きかねません。また、競争の激化や高校のさらなる「序列化」がもたらされ、高校教育の機会を奪われる生徒が増えたり、一部の高校への生徒の集中により、地域の学校の存続に関わる事態が生まれることも心配されます。 私たちは、「選択肢を増やす」ことよりも、希望するすべての生徒に、地域に根ざした十分な高校教育を保障する条件整備こそ求められていると考えます。 今回の「素案」にもとづく通学区域等の変更を強行することは、到底認められません。 よって、下記について申し入れるものです。
記 - 2014年度からの通学区域変更や複数志願制全県導入は行わないこと。
- 通学区域について、兵庫県通学区域検討委員会の結論をもって決定とせず、「見直し」の必要性も含めて、地域ごとに生徒・保護者・地域住民・教育現場など、県民参加のもとで議論を行うこと。
- 教育委員会会議において、通学区域の見直し等について「報告事項」としてすませず十分な合議を行うこと。
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