2011年度予算編成にあたっての重要政策提言
第7.どの子にもゆきとどいた教育を
子育ての経済的負担の増加、なかでも教育費の負担は重く、高校から大学卒業までの費用は子ども一人当たり平均で一千万円を超えている。ヨーロッパでは教育費負担がほとんどない国が多く、わが国でも、憲法では、「ひとしく教育を受ける権利」(第26条)を保障し、「経済的地位、、、、によって、教育上差別されない」(教育基本法第4条)とされている。公立高校の授業料の無料化がおこなわれたが、さらなる教育費の軽減・無償化がもとめられている。
- 教育負担の軽減・無償化をすすめること
- 義務教育にかかる家計負担の解消するため、授業料や教科書代以外のドリル代や制服、修学旅行費の積立などの負担の軽減や、就学援助の国庫負担制度を元に戻し、対象や支給額を拡充するよう国に求めること。学校給食費の無償化を目指し、当面必要な免除措置をすすめること。
- 公立高校の無償化をすすめ、私立高校教育の無償化をめざし、私学助成をもとにもどし、国の「高校生就学支援基金」を入学金などにも対象を拡大し、恒久化を国に求めること。県外や専門学校、外国人学校にも措置を適用すること。また、通学費、教科書、教材、制服、修学旅行、部活動などへの支援のため、給付制奨学金制度をつくること。
- 30人以下学級は欧米では当たり前であり、国民のつよい要求である。文部科学省の中央教育審議会分科会も「学級規模の引き下げ」を求める提言を行ったところである。国に対し来年度予算に反映し、30人学級をすみやかに実現するよう、また、義務教育の国庫負担を元の二分の一に戻すよう強く求めること。県独自にも先行して実現すること。若者の雇用をふやし、地域の景気対策としても有効であることから、県としても義務教育はもとより、高校教育でも30人学級を早期に実現をはかるよう計画的にすすめること。
- 全国いっせい学力テストは、本来の知育教育がおろそかになる傾向が基本的には変わっていない。学力テストを廃止するよう国に求めること。
- すべての子どもに基礎的な学力を保障することを学校教育の基本的な任務として重視すること。暗記ではない自然や社会のしくみがわかる知育、市民道徳の教育、体育、情操教育などバランスのとれた教育をおこなうこと。
- いじめ・不登校の多発・深刻化する要因である過度の競争と管理の教育をあらため、子どもの声をききとり、子どもを人間として大切にする学校をつくること。子どもの権利条約の普及に努めること。
- 市民道徳の教育を、憲法にもとづき、基本的人権の尊重を中心にすえ、子どもたちが自らモラルを形成できるようにすること。子どもの納得を無視して「規範意識」を叩き込むようなやりかたは、反人間的・反道徳的なものであり強制はやめること。
- 教育振興基本計画については、「愛国心」の押し付けなど、教育の内容に介入するのではなく、行政は教育条件や教育環境の整備を責任をもっておこなうこと。
- 高校教育改革第二次実施計画は撤回し、地域の高校を守り、高校統廃合をやめること。
4月23日に高校通学区検討委員会は高校通学区の拡大の方針を答申した。「検討委員会」では、学校選択の幅を広げ、複数志願制をより有効にするなどとして、当初から全県一学区が議論されている。通学区数は当面、教育事務所に対応する7通学区となりそうだが、隣接する学区へも通学可能となれば、事実上全県一学区となってしまう。序列が明確化し、学校間格差が拡大する。「行きたい学校」を自由に「選択」できるのは、一部の「エリート」でしかない。選ばれない学校は統廃合の対象となり、地域の教育力を弱める。通学区の拡大はやめ、地域の学校を子どもたちを中心に、学校と地域が一体となり守り、育てるよう支援すること。 - 環境整備
- 特別支援学校や特別支援学級に在籍する子どもたちが急増している。そのため普通教室や特別教室、体育館や運動場などが足りないなど、劣悪な教育条件となっている。施設の整備、拡充と教員定数を増やすことを国に求め、県独自でも直ちに行うこと。
- 阪神淡路大震災を経験した兵庫県での公立学校の耐震化は、率先して行われるべきだが、現在67.8%で、全国平均と同水準にとどまっている。予算を大幅に引き上げ、早急に耐震化を実現すること。
- 普通教室のクーラーの設置を予算を増やし、計画を前倒ししてすすめること。
- 教職員の条件整備
- 定数内の臨時講師や非常勤教師など非正規の教師が増大している。そのため教育条件を不安定にし、官製ワーキングプアで劣悪な処遇となっている。早急な定数改善を国にもとめ、県としてもただちに正規化への取り組みをすすめること。
- さまざまな報告等で教師が子どもたちと接する時間や授業の準備をする時間もとれず、忙しすぎる状況にある。共同して問題解決にあたる教師集団作りのためにも教員評価制度をやめ、教員の多忙化解消を図ること。
- 主幹教諭制度をやめること。また教員免許更新制を廃止するよう国に求めること。
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