2011年度予算編成にあたっての重要政策提言
第5.大型公共事業優先から、生活密着型の公共事業へ
県の財政悪化の原因は、無駄な大型開発事業による借金であるにもかかわらず、「新行革プラン」のもとでも投資事業の削減は不十分である。とくに県は、「高速道路空白地帯を解消」などと、なお大型公共事業に偏重している。大型公共事業の見直し・大幅な削減と、住民生活密着型の公共事業へ転換すべきである。
- 県内の建設事業者や建設労働者の実態は、特にリーマンショック後、極めて厳しい状況が続いている。公契約条例を制定し、県発注工事の入札に際しては、地元建設業者への発注を増やし、適正価格で、地域経済活性化に効果をもたらす内容に改革すること。また、県幹部職員のゼネコンやコンサル会社への天下りを禁止すること。
- 住宅リフォーム助成制度の創設、耐震化補助制度の拡充、バリアフリー化の推進など、中小建設業者の仕事を増やすこと。
- 道路事業について
県債返済の3分の1を道路関連が占めている中で、高速道路を中心とした6基幹軸優先の道路政策は、これ以上許されない。播磨臨海地域道路、新名神高速道路、大阪湾岸線西伸部、紀淡海峡連絡道路など、不要不急の道路計画を見直し、通学路の安全対策や生活道路の改修など、住民生活に身近な道路政策に改めること。 - 空港事業について
- 神戸空港や関西国際空港2期など、採算がとれる見通しもなく、環境に甚大な影響を与える空港への補助金や出資を止めること。
- 「三空港一体運用」とあわせて、伊丹空港の夜間離発着が言われているが、騒音による住民の犠牲と被害を拡大するものであり、合意なくすすめることは許されない。
- 周辺の公園整備も含めて、毎年6億円以上の財政支援を続けている但馬空港については、新たな負担となる羽田直行便の計画を中止し、空港のあり方についても抜本的に見直すこと。
- 武庫川水系河川整備計画とダムについて
- 今後20年間、ダムに頼らない総合的な治水計画を作成中であるが、武庫川流域のダム計画はきっぱりと中止すること。
- 河床掘削や堤防補強など、武庫川の安全対策は十分にすすめること。
- 天然鮎の遡上できる川に再生するための対策をすすめること。
- 河川整備・ダム事業について
- 但馬・丹波地域で進めている「生活貯水池ダム」や西播磨の金出地ダムなどの計画は、いずれも流域全体の総合治水の検討が不十分である。計画を見直すこと。
- 河川整備については、堤防の補強や危険箇所の改修を優先して安全を守ること。また、生態系の保全など、環境を守る事業も重点化すること。
- ゲリラ豪雨による被害が近年増えている。調査・研究をすすめ、調節池や下水対策など、総合的な対策をとること。
- 河川の堆積土砂の撤去をすすめること。
- 佐用・宍粟など台風9号からの災害復旧事業は、地元業者の優先発注を基本とした観点で行うこと。
- 広畑港や高砂西など、港湾については、利用見込みのない整備は行わないこと。
- 県営住宅について
- 低所得層が増えているなかで、安全で低廉な家賃の県営住宅の建設はさらに必要度を増している。県営住宅の立替え戸数の削減計画を見直し、新規の県営住宅の建設や民間住宅借り上げ県営住宅の対策も含め、県の住宅対策を拡充すること。
- 家賃減免制度を拡充すること。
- 一般会計の繰り入れにより、外壁補修などの計画補修、空家補修等の予算を大幅に増やし、部分補修や改築、エレベーターの設置など計画を立て、積極的におこなうこと。
- 民間指定管理者による管理運営は、入居者の福祉的対応がなされないなど、住民サービスが低下している。県が管理運営に責任を持つようにし、指定管理制度をやめること。
- 入居者が低所得者であることを配慮し、高すぎる駐車料金にしないこと。また、駐車場を自主管理している団地については、十分に話し合いを行うこと。
- 退去時の補修費用で、入居者への不当な負担をやめること。
- 有馬富士公園など、莫大な投資、過大で不要不急の事業が多い都市公園について、抜本的に見直し、さらなる建設は中止すること。
- 企業庁の事業について
- 地域整備事業については、未利用地も含めて所有する土地の簿価や時価などの実態を公開し、県の責任を明確にして県民に説明すること。
- 安すぎる工業用水料金を改定し、高い県水の市町への押し付けを止めるとともに、県水料金を大幅に引き下げること。
- 国の直轄事業負担金の廃止を国に強く求めること。
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