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2008年09月11日

2009年度予算編成にあたっての重要政策提言

  1. 原油・原材料高騰に対する緊急要望

  2. 「新行革プラン」を撤回し、住民の福祉増進の県政を

  3. 大型公共事業優先から、生活密着型の公共事業へ

  4. 県民のくらしと福祉を第一にする県政へ

  5. 少子化対策の強化について

  6. 雇用対策について

  7. 中小企業対策について

  8. 観光対策について

  9. 農林水産業の振興

  10. 地球温暖化対策をすすめ、豊かな自然と緑を守るために

  11. 子どもたちに確かな学力と豊かな人間性を育む教育を

  12. 文化・スポーツの振興のために

  13. 憲法と平和を守る県政へ

  14. 県民の命を守ることを最優先にした災害対策と、住民本位の震災復興の強化のために

  15. 警察行政について


 「構造改革」や憲法改定に向かって暴走した安倍首相につづいて、福田首相も内政、外交でゆきづまり、国民の批判が高まる中で進退窮まって辞任した。
 国民を痛め続ける「構造改革」とアメリカいいなり外交の転換という「政治の中身を変える」ことがいまこそ必要である。
 内閣府が発表した2008年4−6月期の国内総生産(GDP)速報では、実質GDP前年比0.6%減、年率換算では2.4%減とマイナス成長となり景気後退を裏付けた。国内需要の二本柱である個人消費と設備投資が落ち込み、政府財界が頼みとする輸出も大幅に減少した。
 来年度予算編成にあたっては、燃油高騰への直接補てんなど生活と営業を守る緊急対策や投機の規制と同時に、家計を犠牲にした大企業・大資産家に奉仕する「構造改革」路線を根本から転換し、年間2200億円の社会保障費抑制策をやめ、暮らしと家計応援に政策の軸足を移すことが強く求められる。
 
 兵庫県内の景況感は昨秋以降一段と厳しさを増しており、日銀神戸支店は、八月は「減速している」にまで弱めた。原油高騰により「仕入れはすべて値上げ」「材料費は何度も高騰」しても原油・上昇分を販売価格に転嫁できない中小零細企業は「利益は20%ダウン」するなどで資金繰り、代金未払い倒産、廃業などが発生するなど大変厳しい状況となっている。
 県は「多様な働き方」を企業、連合と一体ですすめ、全国平均を上回る非正規雇用が増大し、勤労者の所得は全国平均を下回っている。  
 障害者自立支援法・後期高齢者医療制度の導入や介護保険制度の改悪、国民健康保険料が払えず医療が受けられない、セーフティネットが働かないなど、社会保障制度から排除される県民も増え、格差、貧困が広がっている。
 県下各地では、産科、小児科医や麻酔医をはじめ医師不足により、地域医療が崩壊の危機に瀕しており、救急医療や出産が出来ない状況となっている。また、高齢化、少子化がすすみ、限界集落や過疎化がいっそう深刻になっている。
 食料自給率向上が求められる中、9割の兼業農家をささえ農業振興をするのでなく、国の農政に追随し、家族経営切り捨てをすすめている。
 船舶衝突事故で漁業やノリ養殖への深刻な被害の上に燃油の高騰で漁にでられない状況がつづいている。中小零細企業や商工業者、地場産業などの倒産、廃業が従業員数の少ないところほど多くなっている。
 県は大企業立地へ上限なく莫大な補助金を投入するやり方で大企業を応援し、大規模開発、空港、高速道路づくりなどムダな公共事業を阪神淡路大震災をも利用して進めてきた。そのため、借金残高は4兆2321億円、県民一人当たり75万円にもなる。
 自治体財政再建法が施行され、県も「新行革プラン」により、自治体「行革」が事務事業費・職員の3割削減をはじめ、福祉・教育・医療など県民のくらし直結の部分は容赦なく切り捨てる一方で「選択と集中」として高速道路など大型公共事業は優先して行う逆立ち姿勢は変わらない。これでは財政再建どころか、県民の暮らし、営業がいっそう困難になり地域経済を疲弊させるものとなる。「究極の行革」は道州制といわれているが、兵庫県もその役割、責任を投げ捨て、広域行政を推進し、関西広域連合など「先行モデル」として道州制の受け皿づくりを積極的にすすめようとしている。
 地方自治体の役割はいうまでもなく「住民福祉の増進」である。兵庫県として地方自治の本旨にのっとり憲法を生かす県政へ抜本的に改めるべきである。

 日本共産党兵庫県会議員団は、県民の平和と暮らしを守る2009年度予算とするため、以下の提言を行うものである。


第1.原油・原材料高騰に対する緊急要望

 5000兆円を超えるといわれる投機マネーが原油や穀物などに流入することにより、原油や穀物などの高騰が暮らしと営業を直撃している。
 原油価格を押し上げているのが、原油先物取引であり、経済産業省も「その4割は投機」と認めている。
 とどまるところを知らないガソリン、食料や諸物価の値上げで県民の暮らしも脅かされています。原油や飼料、原材料・仕入れ価格の急騰で、漁業、農業や中小業者は価格転嫁ができず、休漁や廃業、倒産もつづいている。このままでは、県民の暮らしや営業、食料の供給や地域経済にも深刻な影響をおよぼさざるをえない。


  1. 原油価格・穀物価格急騰から暮らしと営業をまもる実効的な緊急対策をとることを国に求めること。

  2. 県として「緊急対策本部」を設置し、各分野の実態調査、総合相談窓口の設置をはじめ、全庁的な総合対策を講じること。

  3. 漁業の一斉休漁等に対する政府の緊急対策は、省エネ対応などの制限など対象や額など不充分であり、燃油高騰分の直接補てんをすること。また価格安定策と価格補償の具体化を国に求めるとともに、県としても支援策を講じること。

  4. 国に対し、乳化の引き上げ、加工乳・チーズ用乳交付金の引き上げや、飼料、肥料、農業資材の高騰の直接補てんをおこなうよう求めること。県としても支援策を講じること。

  5. 中小業者救済のため、価格転嫁ができる制度の構築、セーフティネット保証5号認定業種枠を撤廃し、すべての業種に拡大するよう国に求めること。県として、相談窓口を充実すること。「元金返済の凍結」返済要件緩和、借換の保証料支援を行うこと。小口融資の借換保証料を負担すること。地元業者への仕事の発注を増やすこと。

  6. 学校給食費の値上げをおさえるため、県としても学校給食への支援を強め、保護者負担が増加しないようにすること。

  7. 国に対し、投機マネー規制のための国際的ルールを確立するため、ヘッジファンドの情報開示や、原油、穀物など人類の生存の土台となる商品に対する投機の制限を設けるよう求めること。

  8. 過度の投機を抑制のため、短期的に移動を繰り返す投機マネーに対し、適正な課税を検討するなど投機マネー規制の実効ある行動に踏み出すよう国に求めること。


第2.「新行革プラン」を撤回し、住民の福祉増進の県政を

 財政悪化を理由にした平成30年までに1兆3000億円を削減する「新行革プラン」は、多大な負担と犠牲を県民と県職員、市町に負わせる計画である。すでに今年度から第一次プランが実施されているが、一般事務費の3割カットで、職場では必要な修繕なども先送りにされ、結局、仕事にも影響がでてくるなどの矛盾も各地でおきている。
 財政悪化の原因は、長年にわたり、過大で、不要・不急の公共事業をつづけてきたことである。それに根本的な反省もなく、「選択と集中」といって、基幹道路ネットワーク優先などの姿勢は変わっていない。
 本来、県の役割は「住民の福祉増進」にある。「新行革プラン」は、逆に県民の福祉を後退させ、県の役割を投げ捨てるものである。県民犠牲の新行革プランは撤回し、憲法にそった改革に抜本的に転換することを求める。


  1. 福祉医療助成制度の改悪実施の延期ではなく、きっぱりと撤回をすること

  2. 県民の暮らし、安全・安心に直結する部署、部門については、一律3割の人員削減を行わないこと。

  3. 重度身心障害者(児)介護手当制度を改悪前に戻すこと。

  4. 長寿祝い金制度の見直しをやめ、昨年並みの水準に戻すこと。

  5. 小規模作業所への県補助は平成25年度以降も継続すること。また、廃止が前提となるような指導はやめること。

  6. スクールアシスタント配置事業の廃止を中止すること。

  7. 私学助成の削減をやめ、授業料軽減についても低所得者世帯に絞ったものでなく、対象者すべてを軽減する内容に改めること

  8. 大企業のための立地補助金を廃止し、地域経済をささえる中小企業への施策の抜本的に充実すること。

  9. 地方機関について

    1. 県税事務所、健康福祉事務所、農林水産振興事務所、農業改良普及センター、土地改良、土木事務所など、地域事務所の大幅削減と人員削減は、県民サービスの低下をもたらすものとなる。大幅削減でなく拡充をおこなうこと。

    2. 健康福祉事務所は、地域住民の健康と保健を守る大切な役割を担っており、保健師は、難病や母子、精神疾患でもきめ細やかな対応をしている。また、鳥インフルエンザなど新型感染症などの緊急時の対応でも地域に密着した健康福祉事務所の存在は重要である。健康福祉事務所と人員の削減計画は見直すこと。

    3. 農業業改良普及センターは、野菜、果樹、畜産などの専門家として県民にたよりにされており、県の普及員とJAの経営方針に沿った営農指導とは、性格の異なるものであり、JA内の「地域普及所」ではサービス維持はできない。集約化して削減するのではなく、専門家として充実すること。

    4. 地域土木事務所を廃止しパトロール事業だけになるのは、災害などの緊急時に即対応することができなくなる。また、地域で解決していた日常的な道路補修や河川改修などの要望も、地域事務所がなくなると住民の声・要望が届きにくくなる。地域土木事務所の削減は行わないこと。

  10. 明石西公園・西武庫公園などの公園を市町へ移譲する計画は、市町の反対意見もきかず、費用負担ができないと不満の声がでている。強制的に市町に押しつけるようなやり方は改めること。
  11. 試験研究機関について
    1. 試験研究機関はこれまでの行革によって研究者が少なくなっている。蓄積された研究を継承し、県民の健康や福祉を守り、ものづくり、農林水産の振興などをさらに発展させる重要な役割を担っている。公的な責任を果たすため、効率性や実用性ばかりを重視した再編統合や廃止統合計画は止め、人員の削減を行わないこと。

    2. 健康環境科学研究センターの環境部門を(財)ひょうご環境創造協会に移管する計画は、水質・土質・空気など調査において中立性、公平性を保つ保障がない。民間に移管するのでなく、県が責任をもった調査をするべきであり、(財)環境創造協会への移管は行わないこと。

    3. 三木市にある機械金属工業技術支援センターの統合再編は、地元の地場産業を担う中小業者にとって気軽に相談できる窓口がなくなり、地域産業の育成に大きな支障をきたす。統合・廃止するのでなく、存続すること。

    4. 生活科学総合センターに寄せられる消費生活相談は年間約9,000件もあるにもかかわらず、相談員は非常勤職員の2名だけがほとんど対応している。正規化などで体制を強化し、県民の消費生活を守る県の役割をはたすこと。

  12. 病院局について
    1. 県立塚口病院を廃止して、尼崎病院に統合する計画は中止すること。

    2. 地域医療の後退につながりかねない、県立西宮病院と西宮市立中央病院、芦屋市立病院のネットワーク化の計画はやめること。

    3. 医療費抑制路線・「公立病院改革ガイドライン」にそった「県立病院改革プラン」でなく、県民の命と地域医療をしっかりとささえる県立病院をめざすこと。

  13. 県が環境林として管理する先行取得した「未利用地」は、県の大規模開発計画の失敗によって生じた土地がほとんである。県は広大な塩漬け土地をつくった責任を認め、情報を明らかにし、県民に説明するべきである。

  14. 県立障害者施設15施設の事業団立化と運営費の県費継ぎ足しをゼロにする計画は、施設運営に大きな困難をもたらす。福祉人材の確保が一層厳しくなり、施設の障害者に大きなしわ寄せになる。事業団立化と県費継ぎ足しゼロの計画は撤回すること

  15. 株式会社夢舞台の社長や会長はすべて県幹部のOBがなっており、「天下りポスト」と見られても仕方がない。天下りは見直すこと。

第3.大型公共事業優先から、生活密着型の公共事業へ


  1. 県の財政指標悪化の原因は、無駄な大型開発事業による借金増大である。県は「社会資本整備プログラムの改訂」でも、「高速道路空白地帯を解消」など、大型公共事業に偏重している。住民生活密着型の公共事業へ転換すること

  2. 県内の建設事業者や建設労働者の実態は、事業量の縮小などで極めて厳しくなっている。県発注工事の入札に際しては、地元建設業者への発注を増やし、適正価格で、地域経済活性化に効果をもたらす内容に改革すること。また、県幹部職員のゼネコンやコンサル会社への天下りを禁止し、容認する知事の発言を撤回すること。

  3. 住宅のリフォーム助成制度の創設、耐震補助制度の拡充、バリアフリー化の推進など中小建設業者の仕事を増やす施策を拡充すること。

  4. 道路事業について
     県債返済の3分の1が道路関連である。高速道路を中心とした6基幹軸優先の道路政策は、これ以上許されない。「道路特定財源をやめ一般財源化」するなか、播磨臨海地域道路、新名神高速道路、大阪湾岸線西伸部、紀淡海峡連絡道路など、問題の多い道路計画を見直し、通学路の安全対策や、生活道路の改修など、住民生活の身近な道路政策に重点をおいた道路政策に改めること。

  5. 空港事業について
    1. 神戸空港や関西国際空港2期など、採算の見通しもなく、環境に甚大な影響を与える空港への補助金や出資をやめること。

    2. 周辺の公園整備費も含めて毎年5億円以上の財政支援をし続けている但馬空港については、地元豊岡市民にとっても一番必要ない施設になっている。新たな負担となる羽田直行便への計画などは中止し、空港のあり方についても抜本的に見直しをすること。

  6. 武庫川ダムについて
    1. 武庫川流域委員会はダムによらない総合治水対策を提言したが、県は新規ダムの建設も含めた基本方針案を国に提出した。あくまでダム建設をしようと固執することはやめること。

    2. ダム建設前提の貴重植物などの移植実験はやめること。

    3. 河床掘削や堤防補強など武庫川の安全対策をすすめること。

  7. 河川整備・ダム事業について
    1. 但馬・丹波地域ですすめている「生活貯水池ダム」や西播磨の金出地ダムなどの計画は、いずれも流域全体の総合治水の検討が不充分である。計画を中止し見直しすること。

    2. 河川整備のあり方について、堤防の補強や危険ヶ所を改修して安全を守ること。また、生態系を保全するなど、環境と安全を守る事業に抜本的に改めること。

    3. 野田川水系外堀川の地盤沈下は現在も継続している。再度、広域的な徹底した調査を行い、原因を究明し、市民の安全を守る対策を行うこと。

    4. 急激な増水に流され5名の死亡者を出した都賀川被害に対して、雨水幹線なども含め徹底した原因調査を行い、親水河川として危険性の周知の徹底も含めた再発防止の対策を行うこと。

    5. ゲリラ豪雨による被害が近年増えている。調査・研究をすすめ、調節池や下水対策など、総合的な対策をすすめること。

  8. 県営住宅について
    1. 安全で低廉な家賃の県営住宅の建設は県民の多くの願いである。県営住宅の立て替え戸数を削減するなどの計画を見直し、県営住宅の建設や、民間住宅借り上げ県営住宅の対策も含め、県の住宅対策を拡充すること。

    2. 国の法・政令改正による家賃値上げは行わないこと。

    3. 県行革による駐車料金の新たな徴収計画がすすめられているが、入居者が低所得者であることを配慮し、高すぎる駐車料金にしないこと。

    4. 明舞住宅など民間指定管理者による管理運営は、入居者の福祉的対応がなされないなど、住民サービスを低下させている。県が管理運営に責任をもつようにし、指定管理制度の拡大をやめること。

    5. 一般会計の繰り入れにより県営住宅空き屋補修予算を大幅に増やし、部分改修や改築、エレベーターの設置など積極的に行うこと。

  9. 都市公園について
     有馬富士公園や丹波並木道公園、三木防災公園など、莫大な投資による、過大、不要不急の事業が多い都市公園整備について、抜本的に見直し、さらなる建設は中止すること。

  10. 企業庁の事業について
    1. 地域整備事業は、未利用地も含めて所有する土地の実態を簿価や時価も含めて県民に公開し、県の責任を明確にして県民に説明すること。

    2. 水道事業は、高い県水を市町への押し付けをやめ、安すぎる工業用水料金を改定し、県水料金を大幅に引き下げること。

第4.県民のくらしと福祉を第一にする県政へ


 国の構造改革による非正規雇用の増大や社会保障費の削減で、社会的格差が大きく広がり、貧困が大きな社会問題となるなか、県行革の「事務事業費3割カット」の方針で県民サービスを削減した影響は多大であり、県民の暮らしは一層苦しいものとなっている。
 保健所や試験研究機関等の統廃合をする「新行革プラン」(第二次案)で、さらに県民サービスを削るのではなく、県民が安心してくらすことができるよう、福祉・医療の充実をはかることこそ求められている。


  1. 安心してかかれる医療のために
    1. 国に対し、医療費抑制政策をあらため、診療報酬の抜本的引き上げを行うよう強く求めること。

    2. 医療構造改革に基づく関連計画、「医療適正化計画」「保健医療計画」「地域ケア体制整備構想」「健康増進計画」を見直し、医療費抑制路線でなく、地域医療を守り、社会保障を充実する予算とすること。特に、療養病床削減計画は中止すること。

    3. 県民が安心して医療にかかれるために、「新行革プラン」(第1次)の福祉医療費助成制度の削減は中止すること。

    4. 「新行革プラン」(第二次案)にもとづく県立塚口病院の県立尼崎病院への統廃合計画は白紙撤回し、地域の総合病院として、周産期・小児救急の拠点病院として充実させること。 
       「県立西宮、西宮市立中央、芦屋市立病院の役割分担」となっているが、一方的な集約化や診療科目の再編などは行わないこと。また、県立病院の独立行政法人化は、行なわないこと。

    5. 県立加古川病院の跡地については、住民の声を十分に聞くこと。また新加古川病院に、産科・小児科を開設すること。

    6. 国の「公立病院改革ガイドライン」にもとづく公立病院の集約化、再編ネットワーク化はやめ、公立病院を地域医療、住民福祉の拠点として支援すること。

    7. 診療科の閉鎖など住民・患者の命と健康を脅かしている医師不足解消のために、国に対して医学部の定員増など医師数を抜本的に増やすことを引き続き求めるとともに、深刻な小児科・産科については、県として市町や大学病院と協力して特別な体制をとるなど、問題解決に全力を尽くすこと。

    8. 救急医療体制の充実のため、二次輪番病院への補助制度を創設するとともに、県の責任で三次救急の機能確立を図ること。姫路で要望のある新型救命救急センター実現のための県独自補助を行うこと。

    9. 1次・2次医療を一元的に受け入れることのできる小児救急医療体制の整備を急ぐこと。また、不足しているNICUをさらに増床し、周産期医療を拡充すること。

    10. 子育て支援の重要な柱である乳幼児医療費公費助成は、通院・入院とも義務教育終了まで所得制限も撤廃し、完全無料化をはかること。また、妊婦健診助成の拡大を進めること。

  2. 公衆衛生の重要な役割を果たしてきた保健所・健康福祉事務所の削減は行わないこと。

  3. 国民皆保険制度の崩壊につながる後期高齢者医療制度は、廃止を国に求めること。当面、高齢者の生活実態に即した支払い可能な保険料とし、独自の減免制度をつくることや、保険料の滞納を理由にした「資格証明書」「短期保険証」の発行はしないことなどを広域連合に働きかけること。

  4. 国民健康保険について
    1. 後期高齢者医療制度導入などを理由にした保険料(税)の値上げがあいついでいることから、支払い可能な保険料(税)とするため、県の市町に対する助成金を増額すること。

    2. 保険料(税)の滞納を理由とした「保険証未交付」や「資格証明書」「短期保険証」の発行はしないこと。とくに、母子世帯、乳幼児のいる世帯には、正規の保険証を発行すること。

    3. 国保法第44条にもとづく医療費(一部負担金)の減免制度を、県内全ての市町で実施するよう指導すること。

  5. 障害者施策の充実について
    1. 「県行革」の「事務事業費3割削減」で、障害者団体にとって切実な助成金がカットされ、国の制度が使えないなど二重・三重にも予算削減となっていることから、「県行革」の方針を白紙撤回すること。

    2. 障害者自立支援法の「原則1割」の応益負担が、利用者・施設運営者のどちらにも大きな負担となっていることから、「応益負担」の撤回など障害者自立支援法の改善を国に求めること。また、県独自の減免制度をつくること。

    3. 法内施設に移行できない小規模作業所への県独自の支援は、引き続き行なうこと。

  6. 安心できる介護保険制度にするために
    1. 来年度に予定されている介護保険制度の改定で、サービスの低下や保険料・利用料の負担増とならないよう国に求めること。

    2. 県独自の保険料・利用料の減免制度を創設すること。

    3. 予防給付における介護保険除外の事業を市町が実施する場合は、県独自の補助を実施すること。

    4. ホテルコスト、食費の全額自己負担の導入で支払い困難になった施設利用者に対し支援策を講じること。

  7. こども家庭センタ−の専門職員の増員を行なうとともに、一時保護所を各子どもセンターに設置すること。

  8. DV対策は、専門職員を増やし、被害者自立のための住宅や仕事確保など支援体制を強化すること。また、民間シェルターへの助成を拡充すること。

  9. 年金制度の拡充について国に強く要望すること。
    1. 「消えた年金」問題の一日も早い解決のため、照合作業を引き続き行なうこと。

    2. 25年という受給条件の期間を10年に短縮すること。

    3. 最低保障年金制度を導入し、低年金・無年金者をなくすこと。

    4. 年金財源の国庫負担の増額を、消費税に頼らず行なうこと。

  10. 生活保護制度の老齢加算や母子加算の削減の中止を国に求めること。

  11. 多重債務者に対するきめ細かな相談活動を、市町とともに行い、生活資金の融資制度の改善など抜本的な支援策をつくること。また、民間支援団体を対策協議会のメンバーに加えること。

  12. 社会福祉事業所の不正にかんするチェックについて、体制や監査のあり方の改善を行なうこと。

第5.少子化対策の強化について


 本県における出生率は、1.28と全国38位であり、依然として少子化は深刻な問題となっている。今こそ安心して子どもを生み、育てることのできる条件づくりと、すべての子どもたちが、未来に希望の持てる社会をつくりだすことが緊急に求められている。
 なかでも、不安定雇用の増大が、インターネットカフェ難民、ハンバーガーショップ難民など、新たな貧困層をつくりだし、「結婚できない」「子どもを産みたくても産めない」若年世代をますます拡大させている。また、18歳未満の子どものいる世帯が貧困世帯の3割を占め、親の経済状況により、子ども世代の格差が大きく広がっている。しかし県は、「新行革プラン」で、福祉、医療、教育、いずれの分野でも、予算削減を行い、少子化対策に逆行している。
 青年の雇用の改善をはじめ、少子化対策への本腰を入れた以下の取り組みを求める。


  1. 子育て世代の経済的負担の軽減のため、こどもの医療費を、義務教育を終えるまで、通院も入院も、所得制限を撤廃して完全無料化すること。
      また、保育料の第三子軽減制度は、所得制限を撤廃し、保育料減免制度を充実すること。

  2. 産科医・小児科医不足を解消し、周産期医療、小児救急医療を充実するため、NICUなどの整備をさらにすすめること。そのために、県立塚口病院の尼崎病院への統合は行わないこと。

  3. 出産費用を補助する制度を創設するとともに、妊婦健診の公費助成を拡充するために、県の補助を増やすこと。

  4. 保育所待機児童を解消するため、保育所を増設すること。
     また、認定こども園制度については、すくなくとも従前の保育水準を維持するため、補助金を含めた支援の強化をすること。

  5. 学童保育(放課後児童健全育成事業)について、待機児童や大規模化解消のため増設をすすめること。とくに、1校区1クラブのみ、開設日数加算はしないとする方針を撤回すること。また、小学校高学年や障害児の受け入れ、施設の充実、父母の負担軽減などの取り組みをすすめること。

  6. 新婚世帯、子育て世代に対する民間住宅家賃補助制度を創設し、県営住宅の入居優先枠を大幅に増やすこと。

  7. 7.若い世代の雇用において、不安定雇用を減らし、正規雇用の拡大や仕事確保のための施策を抜本的に強化すること。
      最低賃金を、結婚できるような水準にまで、抜本的に引き上げるよう、国に強く働きかけること。

第6.雇用対策について


 県下の非正規雇用の割合は、36.8%(07年)と全国平均を上回り、勤労世帯の家計収支(05年)は実収入で全国39位、実支出は44位、可処分所得は34位と全国でも下位に位置している。景気を回復のためには、外需頼みでなく県民の懐をあたためることが肝要であり、非正規雇用から安定した正規雇用に早急に改めるための県の取り組みが求められている。


  1. 県として「多様な働き方」や「ワークライフバランス」など不安定雇用を推進する方策をやめること。公契約、県発注工事で働く労働者も含め、県下の労働者の実態調査を県独自で行うこと。

  2. 県下の企業や事業所に対し、不安定雇用をなくすため、派遣や請負労働でなく正社員で雇用するよう要請すること。また、成果主義賃金や違法なサービス残業を行わないよう働きかけ、社会的責任を果たさせること。

  3. ワーキングプア対策として家賃補助や生活貸付金制度、有給の職業訓練制度などの創設を国に求めるとともに、県としても制度を設置すること。

  4. 県職員の採用は原則正規雇用とすること。現在の臨時職員を正規職員へ登用すること。

  5. 国に対し、人間らしく働ける職場環境をつくるため、「派遣労働者保護法」の制定、一時間の単価が千円以上の全国一律最低賃金制の確立を求めること。

  6. 憲法で保障された労働者の権利や雇用主の義務をしらせる広報・教育活動を強化すること。

第7.中小企業対策について


 大もうけをしている大企業の誘致に莫大な税金を投入するなどの優遇施策をやめ、県下の事業所の99%を占める中小企業、商工業者や地場産業を中心に地域循環型の経済政策で地域経済の活性化を図ることこそ求められる。


  1. 中小企業振興条例を制定し、抜本的な予算の引き上げや支援を行うこと。

  2. 地場産業の振興のため、県は試験研究機関の拡充やアンテナショップをはじめPR活動を積極的に行い、地域産業の活性化のための施策を充実すること。

  3. 小規模事業所ほど倒産、廃業に歯止めがかからなくなっている。業種別、地域ごとの実態調査をおこない、中小企業、商店街などが地域で果たす役割を認識し、福祉やまちづくりを合わせた支援を行うこと。

  4. 大型店の出店や退店に際しては規制を強化し、地域への貢献や責任を果たすよう指導すること。

  5. 責任共有制度による金融機関の貸し渋り等に対し、県の融資制度要綱にそって、指導すること。県独自の直接損失補償施策を早急に実施すること。

  6. 小規模工事登録制度や住宅リフォーム制度の導入、公共工事の分離分割発注で地元中小業者の仕事発注を大幅に増やすこと。

第8.観光対策について


  1. 兵庫県で唯一の世界文化遺産である「姫路城」など、地域資源を生かした観光対策を行い、国内外の観光客誘致をすすめるなど観光振興をすすめること。

  2. 県の受注を大手観光業者だけでなく、地元の中小旅行業者にもまわすこと。

第9.農林水産業の振興


 食の安全、安心や地球環境から、また地域経済活性化のためにも農業、漁業、林業の振興が求められている。


  1. 食料自給率の向上を最優先課題とし、50%台に早期に回復するよう国に求めること。

  2. 農業を県の基幹産業として位置付け、農業土木偏重をあらため農業生産支援の予算とすること。

  3. 生産者米価の暴落や燃料費、資材、エサ代の高騰で経営は悪化の一途である。抜本的改善のため、米、麦、大豆や畜産、野菜・果樹などを含め、農産物の価格補償と所得補償を行うよう国に求めること。

  4. 「水田・畑作経営所得安定対策」(品目横断対策)をやめ、大規模経営だけでなく、家族経営、農業をつづけたい人を応援する施策に改めるよう国に求めるとともに県でも改めること。

  5. 中山間地域直接支払交付金制度の拡充や対象の拡大を国に求めるとともに、知事特認制度の拡充で交付金の上乗せや地域拡大をはかること。

  6. 国に対し、ミニマムアクセス米の輸入をやめさせ「食料主権」を尊重する立場から輸入規制措置をとるよう求めること。

  7. 地産地消で直売所や産直、学校給食に地元産の農産物が供給される取り組みも広がり、高齢者や女性、兼業農家などが元気で参加する例も生まれている。地域流通や食育にも大変効果的であるため、学校給食を教育委員会とも共同して取りくみ飛躍的に前進させること。

  8. 輸入食品・農産物は、水際での検査率の引き上げ、厳格な検疫・検査の実施と結果が明らかになるまで市場にでまわらないようにすること。また、原産国表示の徹底と遺伝子組み替え食品の承認検査を厳密にすることなどを国に求めること。

  9. 農産物・加工品の産地偽装等を防止のため、食品に関する表示制度の一本化、製造年月日表示の復活をすること。また、卸売市場の公正な運営をはかり、相対取引をふくめて、大手スーパーと産地、中小小売が対等な立場で交渉できるなどの公正な流通ルールを実現するよう国に求めること。

  10. 米国産牛肉の輸入は、アメリカ側の安全体制が確立されない輸入は中止し、県での全頭検査に対する補助金の継続を国に求め、全頭検査は堅持すること。

  11. 飼料高騰で立ち行かない酪農の経営安定のための支援を強め、畜産公害抑制と堆肥利用の有機農業推進のため、施設改善や技術支援などの施策を講じること。

  12. 林業の振興と森林の多面的な機能発揮のために、輸入木材にたよるなどの林業政策を抜本的に改め、森林整備をすすめ国産木材供給を促進するよう国に求めること。

  13. 県産材活用促進のため、研究や課題解決の施策をいっそう促進すること。林業労働者の育成と技術の継承のための支援策を講じること。

  14. 猪、猿、熊、鹿など野生動物の被害を食い止めるための研究の強化と生態系をとりもどす根本的な対策をとること。また、アライグマやブラックバスなどの外来種の駆除・防止対策を強めること。

  15. 輸入水産物や燃油高騰で漁業が立ち行かなくなっている。緊急に直接補償や休漁補償と恒常的な価格安定対策を国に求めること。

  16. 船舶衝突事故によるノリ養殖や魚価の低下による被害補償を国に求め、県としても市町施策への支援をはじめ、再びノリ養殖や漁業に意欲がもてるよう支援を行うこと。

  17. ノリの色落ちをはじめ漁獲量の低下などが顕著になっている。豊かな瀬戸内海をとりもどすため、藻場・干潟の再生をはじめ瀬戸内の環境を守る具体的な施策を積極的にとりくむこと。

  18. 農林水産事務所、試験研究機関や農業改良普及センターなどは、農業振興のために不可欠なものであり、基礎的な研究をはじめ農林水産業を支えるために「新行革」での人員削減や大幅な集約をやめ、いっそうの拡充をおこうなうこと。

第10.地球温暖化対策をすすめ、豊かな自然と緑を守るために


 地球温暖化防止のためには、気温上昇を産業革命前に比べて2度以内に抑えることがEUなどの諸国の合言葉になっている。そのために、今後10数年間が重要な時期となっており、国、地方をあげた実効ある対策をする必要がある。
 特に、兵庫県は、全国5番目のCO2排出量の神戸製鋼加古川工場(気候ネットワーク調査)をはじめ、大規模CO2排出量の事業所が多く立地しており、その責任は大きい。しかし、兵庫県は2010年までに90年度比で6.3%削減する計画であるが、04年でもほとんど削減されていない。
 また、自動車公害や、アスベスト対策をはじめ大気汚染やPCB対策、公害被害者対策などに真剣に取り組むこと。


  1. 洞爺湖サミットで実現できなかった温室効果ガス削減の積極的な「中期目標」を、2020年までに(90年比で)30%削減するなど、国に強く働きかけること。

  2. 兵庫県として検討している「排出量取引制度」の実効性を確保するため、企業の排出量削減を自主目標等でなく、条例や協定などで義務的に課し、住民参加でチェックできるようにすること。

  3. 政府がCO2排出量を非公開にしている大規模排出事業所を、情報開示するよう、国や企業に働きかけること。

  4. 健康環境科学研究センターについては、水質・大気・有害物質などの県民の安全にかかわる公的研究機関として存続すること。
     また、「行革」によって大気や土壌汚染等の測定地点を削減しないこと。

  5. 神戸製鋼のばい煙、粉塵対策については、市と協力して健康調査と喘息・がん等の疫学調査を行い、PM2.5の調査も実施すること。また県・市の監視体制を強化し、チェックのあり方を抜本的に見直すこと。

  6. 高砂西港の再整備にあたっては、高砂西港内の徹底した調査、PCB汚泥盛立地の対策など、安全性の確保を第一にし、県民合意のないまますすめないこと。

  7. 自動車NOx・PM対策については、大型車を中心にしたロードプライシングをさらに強化し、中小事業者の負担軽減のための支援対策をさらに強化すること。

  8. 石綿(アスベスト)被害対策について
    1. 石綿新法で、石綿肺などの対象疾病を加えることや、厳しすぎる認定基準を緩和するなど、すべての被害者、家族に、より充実した補償と救済を行うよう国に要望すること。

    2. 公共施設、特に学校施設に使用されている石綿の完全撤去を徹底するとともに、除去作業にあたっては飛散防止対策に万全を期すこと。

    3. 除去および石綿使用施設の解体、撤去作業等における点検を強化すること。

    4. 民間建築物にかかるアスベスト除去費用に対する補助制度を県としてつくること。

  9. 大型処理施設を前提とした猪名川流域、北但馬広域、西播磨広域ゴミ処理施設等の建設計画をやめ、ゴミの減量・リサイクルをめざし、住民本位に見直すこと。

  10. 「産業廃棄物等の不適正な処理の防止に関する条例」を厳格に実施すること。とくに、排出事業者の責任の明確化、監視・指導体制の強化、企業責任を明確にしたリサイクルの徹底など環境を守るための抜本的な対策を講じること。

  11. コウノトリの経験は、絶滅後の種の復活の大変さ・困難さをあらわしている。現在、絶滅が危惧されている県下の動植物の保護・保全に、積極的に取り組むこと。

第11.子どもたちに確かな学力と豊かな人間性を育む教育を


 行き過ぎた競争と押し付けの教育をすすめる教育行政のあり方は、いじめや不登校だけでなく、さまざまな問題の根源になっている。
 今こそ、憲法の精神と子どもの権利条約を生かし、子どもの確かな学力と豊かな人間性を育む教育が求められている。


  1. 憲法を生かした教育をすすめること。特に、「教育振興基本計画」においては教育内容に介入せず、教育条件の整備を中心にすること。計画策定の検討委員会は、住民の傍聴を認め、公開で行うこと。

  2. 「心の教育」については、内心の自由を尊重し、「愛国心」など個人の内面を学校教育の評価の対象としないこと。

  3. 「新行革プラン」による教育予算の削減を行わないこと。県単教員・事務員の3割削減を行わないこと。

  4. 「高校教育改革」については、充分に県民の声を反映した取り組みであることが求められる。
    1. 「高校教育改革」第二次実施計画を撤回し、充分な県民参加と議論を保障すること。特に、生徒や父母に大きな影響を与える「学区の統合・拡大」は行わないこと。

    2.  一方的な複数志願制度などの入試制度の改変や、統廃合や単位制導入、学級数減の強行はしないこと。特に、弱者切捨てにつながる定時制や分校の募集停止はしないこと。

  5. 日本の教育の異常な高額費は、世界の無償化の流れに逆行するものとして国連からも改善が求められている。無償化に向けて以下の改善をすべきである。
    1. 経済的理由で就学困難な児童・生徒を支援するため、就学援助の国庫負担の増額を国に求めるとともに手続きの簡素化をすすめること。

    2. 県奨学金制度については、外郭団体への依託は中止し、手続きの簡素化と給付制度の創設をおこなうこと。

    3. 定時制高校の給食は、予算を削減せずにより充実したものにすること。

    4. 私学助成の増額を行うこと。

  6. 35人学級を、小学校5年生以上、中学校に広げ、高等学校でも過疎地や教育困難校など、必要性のあるところからすすめること。さらに30人学級に拡充すること。また、少人数学級による効果を一層発揮できるようにするための研究、交流の取り組みを行うこと。国に第8次定数改善と少人数学級実施の予算を要求すること。

  7. 全国一斉学力テストについては、子どもたちに競争強化と序列化をもたらすものであり、国に対して中止を求めること。すでに実施したテストは、結果を公表しないこと。

  8. いじめ問題の実態を見えなくする「数値目標による管理」はしないこと。

  9. 児童・生徒、保護者、教職員及び地域住民の参加と協同による学校運営を行うこと。

  10. すべての学校施設の耐震工事を早急に実施すること。期日・目標を明確にして学校施設の改修をすすめること。エレベーターや普通教室へのクーラー設置を推進すること。

  11. 教員同士を分断する成果主義賃金につながる教員評価制度を廃止し、学校業務の民間委託はしないこと。

  12. 教育委員会への請願は、教育委員会議の場にはかり、審議するよう直ちに改めること。また、事務局の裁量権が肥大化している現状を改め、教育委員会議の民主化をはかること。

  13. 特別支援教育については、生徒の増加により深刻な問題となっている学校の教室不足や長時間通学を解消するため、保護者の納得できる場所に学校を新設すること。

  14. 兵庫県立大学の運営については、独立行政法人化をすすめるのではなく、大学の自治を尊重し、大学本来の役割を発揮させ、学問と研究の自由を守り充実させること。

第12.文化・スポーツの振興のために


 文化・スポーツの振興のためには、県民が日常的に文化・芸術を楽しみ、スポーツに親しむことができるような県の支援が必要である。


  1. 文化・芸術を発展させるためには、「文化・芸術振興基本条例」を制定し、県民の文化・芸術活動を保障すること。また、県民が優れた芸術文化を享受できるように、財政支援を含めた鑑賞活動への支援を抜本的に改善すること。

  2. 県下各地の歴史的・文化的遺産の調査・保存と県民鑑賞の保障をはかること。

  3. 低廉で使い易い文化・スポーツ施設をさらに設置するとともに、障害者が気軽に使える施設を整備すること。

  4. 安全最優先の立場から、学校施設や公園の遊具など、全施設の定期的な点検をおこない、安全対策に万全を期すこと。

第13.憲法と平和を守る県政へ


 イラク戦争・アフガニスタン戦争の泥沼化は、軍事力では紛争解決はできないことを示した。東南アジア友好協力条約への加入が東南アジア以外の地域でも増えるなど、戦争放棄と扮装の平和的解決は世界の流れになっている。このような中、県民の命を守る責務を持つ県として、また「アジア・太平洋時代にふさわしい国際交流」をとなえている県として、過去の戦争への反省に立って、憲法と平和を守り、憲法をいかした県政を行うことが求められている。


  1. 憲法9条を守り、改憲に反対する立場を明確にすること。

  2. 新テロ特措法やイラク特措法の延長と、イラク・アフガニスタンでの自衛隊による米軍支援活動に反対すること。

  3. 「日本の侵略戦争・植民地支配は誤りだった」との明確な姿勢に立って、アジア諸国等との友好施策をすすめること。

  4. 「従軍慰安婦」問題、強制連行・労働問題、中国残留日本人問題、シベリア抑留者、原爆・大空襲などの民間被災者問題など、未解決の戦後補償問題について、国の責任を明確にするよう働きかけ、被害者の立場に立った解決に向けて尽力するとともに、県内の被害者に必要な支援をおこなうこと。原爆症認定について、新基準の再見直し、集団訴訟の全面解決を国に求めるとともに、県の被爆者支援の充実を行うこと。

  5. 戦跡の保護など、戦争の加害と被害の記憶を後世に伝えるための施策を行うこと。

  6. 地方自治に反する「国民保護法」に基づき、県民の人権を大幅に制限し戦争にまきこむおそれのある兵庫県「国民保護計画」は、凍結すること。陸上自衛隊中部方面総監部と事務職の人事交流を中止すること。

  7. 県として「非核兵庫県宣言」を行い、核兵器保有や核開発に反対する意思表明をするとともに、県管理のすべての港湾に非核「神戸方式」を適用し、非核証明書のない軍艦の入港を認めないこと。

  8. 米軍ジェット機の低空飛行訓練はただちに中止するよう強く求めること。
    また、違憲の日米共同演習をはじめ、県民を危険にさらす自衛隊の軍事演習・訓練は中止を求めるとともに、「展示訓練」など、利用目的から逸脱する県管理の港湾への自衛隊艦船入港を拒否すること。

第14.県民の命を守ることを最優先にした災害対策と、住民本位の震災復興の強化のために


 今年に入ってからも、岩手・宮城内陸地震、岩手北部地震と大規模な震災が相次いだ。東南海、南海沖地震への備えをはじめ、大震災の教訓を生かした震災対策の強化が引き続き重要である。また、近年の、豪雨災害・洪水の増加、台風の強度増加・進路変化、熱中症の増加など、気候変動による災害の被害を最小限に食い止めるための備えも必要である。いずれも、県民の生命とくらしを守ることを最優先に、予防に重点をおいた災害対策が求められている。


  1. 7月28日に発生した都賀川増水事故について、警報装置の設置や、危険性の周知徹底、関係機関の連携などの当面する安全対策強化はただちに行うこと。原因の徹底究明とともに、局地的豪雨に対応する抜本的な再発防止策をとること。

  2. ゲリラ豪雨といわれる、降り始めから災害発生にいたるまでが非常に短時間の災害が頻発していることを考慮し、前提となる対応雨量の見直しを含め、県の各種計画をはじめ防災対策を抜本的に見直すこと。そのための全庁的な対策会議を持つこと。
     河川整備についても、局地的豪雨を考慮に入れ、河川改修や堤防強化を進めるとともに、流域住民の参加で総合的な治水対策を進めること。

  3. 震災被災県でありながら住宅や学校など公共施設の耐震化が全国的に見ても遅れており、抜本的な対策が求められている。
    1. 学校は、避難所にもなり児童生徒の安全のみならず県民の安全にかかせないため、学校の耐震化を市町にまかせにせず県としても年次の目標と計画を持ち支援を強めること。

    2. 住宅の耐震化促進のため、年次の目標と計画を持つこと。民間住宅の耐震診断を無料にし、耐震化補助を100万円程度に拡充するなど、耐震化を抜本的に促進すること。
      また、「わが家の耐震改修促進事業」の実施にあたっては、「兵庫県住宅再建共済制度」の加入を補助要件から外すこと。

  4. 改正被災者生活再建支援法による住宅本体への公的支援をさらに充実するため、県の上乗せ支援金(100万円)を復活し、さらに充実すること。

  5. 災害援護資金貸付金の支払い免除要件について、借受人、保証人ともに破産している場合、または著しく生活に困窮し徴収が困難な場合も支払い免除対象になるよう国に要望すること。

  6. 地域防災計画を予防・減災に重点をおいた計画に抜本的に見直し、「災害予防年次計画」をたて、東南海・南海地震による津波対策、高潮等の予防および避難対策、災害情報内容と伝達の改善、コミュニティー単位の防災計画、資機材整備など予防と財政支援をおこなうこと。

  7. 消防本部を減らす「消防の広域化」は行わず、計画を市町におしつけないこと。
    国が示した「消防力の基準」に満たない消防力の強化こそ重要であり、消防職員の増員や、消防水利の整備などを国に求めるとともに、県としても支援すること。

第15.警察行政について


 貧困と格差社会の中で、無差別殺傷事件が全国で相次ぐなど、県民の安心・安全を保障するべき県警察への市民警察としての役割は強まっている。一方で警察の不祥事も相次いでいる。県民の生活と安全を守り、信頼を得るために絶えざる検証と警察刷新を進めことが求められる。


  1. 犯人逮捕に至っていない未解決の「加古川市における小学生女児殺人事件」やこれまでの大学院生殺害事件、姫路2女性殺人事件はじめ、警察の初動捜査のあやまりを反省し、教訓化して再発防止を図り、事件の早期解決をはかること。

  2. 都賀川の増水事故を受け、再発防止のため、河川管理者や消防署との連携をはかり、緊急時の対応をはかること。

  3. 増え続けるヤミ金・振り込め詐欺や・架空請求など経済事犯やDV・児童虐待・ストーカー犯罪、サイバー事件など生活安全に関わる対策を人的体制も含め充実、強化すること。

  4. 明石花火大会歩道橋事故の教訓は、雑踏警備についての第一義的な責任は警察にあることは明らかであり、今後も引き続きその責務を果たすために全力をあげること。

  5. 交通事故対策、交通公害対策の強化について
    1. 信号機の設置を求める住民の声は切実であり、すみやかに応えられるよう「新行革プラン」による予算の削減をやめ予算を抜本的に増額すること。歩車分離信号の設置も大いに進めること。

    2. 生活道路への車の進入を抑える街づくり、交通計画を積極的に進めること。

    3. 歩行者安全エリアを全県に拡大していくため、今後の計画を早期につくり実施すること。

    4. 国道43号線、阪神高速神戸線の公害については、大型ディーゼル車の通行量の削減など、警察の立場からも積極的に取り組むこと。

  6. 県下の「山口組」を始めとする傘下暴力団員および同準構成員数はこの10年来最大になりなお増え続けている。傷害・暴行、覚せい剤、窃盗、恐喝など、暴力団犯罪も依然として多発し、治安悪化の最大の要因となっており、平穏な県民生活を脅かしている。徹底して取り締まりを強化し、根絶すること。
     また、暴力団に関わる銃器犯罪では、組そのものの摘発と徹底捜査を行なうなど、取締りを強化すること。

  7. ビラ配布や署名活動に対する警察の干渉、妨害行為は「言論・表現の自由」を侵害するものであり、やめること。

  8. 警備警察偏重から市民生活の安全を守る本来の警察行政にたちかえること。そのために地域警察官の比率を高めるとともに、キャリアシステムを改革し、警察勤務に誇りが持てるよう試験制度なども改革を行うこと。
     県の「新行革プラン」にあわせた一方的な給与削減や労働条件の改悪をやめること。

  9. 公安委員会が県警察を民主的にコントロールできるようにするため、独立した事務局の設置や委員の選出にあたって住民推薦や公選制の導入などの改革をすすめること。

  10. ラブホテル、パチンコ、ゲームセンターなどの建設問題については、住民合意を最大限尊重した「許可」業務を行なうこと。
     また、類似ラブホテルについては、厳しく取り締まりを行い、抜本的な法改正を国に求めること。

  11. 自白強要やえん罪の防止のため、捜査の全体を可視化すること。また、「代用監獄」を即時廃止し、被疑者・被告人は法務省が管理する拘置所に収容するように取り組みをすすめること。

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