兵庫県06年度予算案
福祉医療改悪そのまま、格差社会の是正できない県予算案
兵庫県は20日、2006年度予算案を発表しました。一般会計2兆744億円と特別会計、企業会計あわせて合計3兆5,249億円、震災復興基金の償還分をのぞき昨年並です。 井戸知事は「意欲型予算」と説明しますが、「格差社会」「ライブドア事件」などで小泉政府の問題点が浮き彫りになり、その対応が求められていますが、予算案はそうなっていません。 知事選挙で争点となった福祉医療の改悪はそのまま継続し、「県民緑税」など県民合意のない負担増を国といっしょになって押しつけています。 特に教育や子育て支援は県民の強い要求・期待を裏切る内容になっています。小学校の35人学級の拡大は、来年は2年生だけにとどまり、段階的に4年生まで導入する方針。さらに1月の予算原案に入っていた「保育料軽減のための補助制度」が知事査定(予算案を確定するための知事と担当者の会議)でなくなりました。長年要求しつづけた父母や保育関係者を落胆させました。
【歳入】 歳入では、県税収入が昨年より10.6%・567億円の増。法人関係税が287億円、個人県民税は04年度から179億円増えていますが、その大半の115億円は、国の高齢者への控除廃止などによる負担増の影響分、その他さらに17億円は県民緑税(年間一人800円)の増税分で、けっして県民の懐があたたまっているわけではありません。 借金総額(全会計の起債残高)は、4兆1,207億円になり、一人あたり73万7円(一世帯あたり191万4千円)となっており、多少改善されたとはいえ借金体質は変わらず。 また、「三位一体改革」による補助金や地方交付税の縮減によって、2年後の08年までには500〜800億円の収支不足が生じるとして、新たな「行革」の必要も見通しています。
【歳出】 歳出では、「元気ひょうご」をスローガンにする知事のもと、勝ち組大企業に新年度は27億円の補助(松下は2工場で総合計91億5千万円)がある一方で、中小企業や青年を中心に望まれている正規雇用を増やす対策は貧弱です。教育部門など職員給与では六十八億円を削減しています。 公共事業では、金出地ダム(西播)が復活し、批判の強い神戸空港や関空2期にも補助を継続、借金をさらに増やしています。 さらに知事は「県の高速道路の延長は全国第二位だが、いくつか課題がある」(2月のさわやかエッセー)と、第二名神・湾岸線西伸・播磨臨海地域高速道路などに強い意欲を示しています。住民の目線から必要性や採算性などのチェックが急務です。
【県民要求の実現】 ・民間住宅の耐震改修補助の増額 計画が16→20万円 改修が50→60万円 ・吹き付けアスベストの除去への融資制度創設 ・阪神北に小児救急センターを新設 ・乳がん健診車の購入(補正も含め9台) ・配偶者暴力(DV)被害者が避難する一時保護所が増築 ・若者しごとクラブ支所(尼崎・加古川)で、青年の就職活動を支援するセンター ・こども病院にICU棟 ・中小企業借換融資の拡充(100億円の目標増)
乳幼児医療費 新しく1万6千人に助成 乳幼児医療費助成の所得制限が緩和(4人世帯で780万円→860万円)され、あらたに1万6千の世帯が対象になります。全国的には半分近くの23府県で、所得制限がない状況(表参照)で、兵庫県はこの点では遅れた状況でした。 日本共産党は、昨年の県議会で、「乳幼児医療費助成制度を義務教育が終わるまで拡大し、所得制限も撤廃して、完全に無料化を」(六月八日、毛利代表質問)と求めていました。 乳幼児医療費助成制度は、これまでも粘り強い運動がありました。その運動と連携し、日本共産党は一貫して奮闘。特に99年に倍の14議席に躍進した力は大きく、その年の7月には、6歳未満児まで大きく拡大、さらには、02年の就学前までの拡大につながったのです。 小学校卒業まですべての子どもたちの医療費を無料にするため、さらに奮闘します。
【ねりき恵子政務調査会長の談話】 県予算は、県民からみると、少ない収入に押し付けられた増税が県に吸い上げられ、「行革」で福祉医療などのサービスは削られたままという内容となっています。 「少子化対策」も、保育料補助にみられるように建前だけの姿勢です。県民要求実現のために、県議団は予算組替提案を含め、全力で奮闘します。
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