2006年度予算編成にあたっての重要政策提言
- 石綿(アスベスト)被害対策について
- JR列車事故など交通安全対策について
- 県民のくらしと福祉を第一にする県政へ
- 憲法と平和を守る県政へ
- 住民本位の震災復興・防災対策強化のために
- 真の地方自治・地方分権のために
- 地域経済活性化のため、農林水産業、中小企業支援と雇用対策の抜本的強化を
- 大型公共事業優先から、生活密着型の公共事業へ
- 環境破壊をやめ、豊かな自然と緑を守るために
- 子どもたちに確かな学力と豊かな人間性を育む教育を
- 文化・スポーツの振興のために
- 警察行政について
阪神淡路大震災から10年が経過し、被災者のくらしは今なお復興途上です。その中、今年4月のJR尼崎事故による多数の犠牲者や、さらにアスベストによる中皮腫の被害者の続出など重要問題が生じ県民の安全・安心確保などの県政あげた対策が求められています。 また、先の知事選挙では、多くの県民から「福祉医療の削減や高校統廃合はやめて」、「35人学級の実現」、神戸空港と関空を結ぶ「海底トンネル」はムダなど多くの問題点が県政問題としてとりあげられ、県民の願いが渦巻いていることが明らかになりました。 私たちはあらためて県の税金の使い道、毎年3400億円の公共投資枠を「聖域」とせず、今こそ県民の声に真摯に耳を傾け、地方自治の本旨に立ち返って県民生活最優先の県政に転換することを強く求めるものです。 一方、小泉政権による「構造改革」の名のもとに、年金、医療、介護など社会保障制度の大改悪、政府による「リストラ」応援と賃金破壊など、国民に対してすさまじい“痛み”が押しつけられています。さらに今後は、消費税の大増税、サラリーマン増税など空前の大増税が計画されています。その一方で史上最高の利益を上げている大企業には応分の負担を求めず減税を続けているのです。 また、自民党などによる「憲法9条改悪」を表明し戦争する国への策動などわが国の平和が大きく脅かされています。 地方自治体への負担増の押しつけも昨年につづき「三位一体改革」と称した地方交付税の大幅削減など自治体間の格差の拡大や住民に対するサービス水準の低下、新たな負担増が強行されています。 こういう時にこそ県政は、県民のくらしを守るため、国の悪政に対する「防波堤」となって、県民生活を守る施策への抜本的転換が強く求められています。 以上、2006年度の予算編成に当たり、緊急課題として「アスベスト対策」「JR事故対策」のほか、12本の柱、133項目による「重要政策提言」を行うものです。
第1.石綿(アスベスト)被害対策について 今年7月、クボタ尼崎神崎工場におけるアスベスト被害者発表に端を発した「アスベスト健康被害問題」はその後、石綿関連企業の労働者だけでなく、家族や周辺住民にも被害が広がっている。 しかも、石綿が主な原因とされるガンの一種、中皮腫による死亡者は、政府が統計をとりはじめた95年以降だけで6,000人を超え、今後40年間で10万人にのぼるといわれ、事態はきわめて深刻である。 こうした事態は、歴代政府と企業が、その危険性を認識しながら充分な安全対策をとらず、長期にわたって石綿使用を続けてきたことに原因と責任がある。 兵庫県では、神戸港で大量の石綿を輸入・取り扱われ、石綿含有製品の製造企業が届出でのあったものだけでも24社に及んでいる。 また、阪神・淡路大震災での被災建築物の解体等に伴うアスベスト飛散による二次災害、さらに今後の解体等に伴う被害が懸念され、県として、被害者救済、被害の拡大防止に全力を尽くすことが求められている。
- 石綿による被害発生防止について
- 石綿製造・使用等を早急に全面禁止し、在庫回収と安全除去を国の責任で実施するよう求めること。
- 公共施設、特に学校施設における石綿製品の使用実態を再調査し、完全撤去を徹底すること。
- 除去および石綿使用施設の解体、解撤作業等における被害発生防止対策について県民に完全徹底・実施を義務付けること。また、解体時は、作業従事者はもとより、周辺住民にも作業内容を周知徹底すること。
- 大気汚染防止法の大気中アスベスト濃度規制基準を厳しくみなおすよう国に求めること。
- 被害者救済と県の施策について
- 石綿の製造および使用事業所、下請けなど関連企業の従事者や周辺住民など、石綿を吸入した、あるいは吸入する恐れがある人への継続的な健康診断調査を早急に実施すること。その際の費用負担は被害者負担としないこと。
- 石綿に関連した全事業所を例外なく厳密に調査し、情報をすべて公開すること。
- 石綿の労災制度について、認定時効を撤廃し第三者納付金の対象拡大などの見直しをおこなうよう国に求めること。
- 新たな立法による救済制度については、被害労働者、家族・周辺住民も含めた石綿による健康被害者すべてを救済する充分な内容となるよう国に求めること。その際、国と取り扱い企業の責任を明確にし、費用等の応分の負担を求めること。ただし、中小零細事業所については必要な配慮を行うこと。
- 医療スタッフの知識と技術の向上、専門科目の設立、新たな検査方法や治療術の研究など、検診、治療体制を拡充するよう国に求めるとともに県としても努力すること。
- アスベストを不法投棄された地域の周辺住民への健康被害対策にも同等の救済措置を講ずること。また、防止対策として不法投棄しないよう規制するともに県として摘発を行うこと。
- 国と自治体に総合専門対策部門を設置するとともに自治体負担を軽減するために国の責任による財政措置を求めること。
- 国の対策待ちとせず、県独自でも対策を先行実施すること。
第2.JR列車事故など交通安全対策について 多数の犠牲者と負傷者を出したJR福知山線の大惨事は、事故を起こしたJR西日本株式会社の「乗客の安全よりも会社の利益を優先」してきた経営姿勢とともに、「国鉄民営化」以降、規制緩和で利益優先を推進してきた国にも大きな責任がある。 また、県内の大量輸送機関に対する「安全・安心」対策や事故発生時の自治体対応策等が厳しく問われるものとなった。今回の事故被害者対策に万全を期するとともに、地域防災計画の見直しをはじめ再発防止策を早急に確立することを強く求める。
- 被害者対策について
- 犠牲者の遺族や負傷者・家族が補償を求めて交渉を行う際、被害者の立場に立って誠意を持って対応することはもちろん、いたずらに解決を長引かすことの無いようJR西日本に求めるとともに、法的相談や弁護士等の紹介など県としても最大限の支援を行うこと。
- 事故に遭遇し甚大な被害にあったマンション住民全員が、新しい住居に速やかに転居し、安心した生活を送れるよう誠意ある対応を行うようJR西日本に申し入れるとともに、必要があれば法的相談や弁護士等の紹介などの支援を行うこと。
- 心のケアの必要な人たちに対して専門医の紹介や経費の負担など積極的な支援を強めること。
- JR西日本に対して安全第一・人命優先とするよう、当面、以下を強く求めること。
- 新型ATSを早急に全施設に設置するなど、安全対策を最優先すること。
- 一部実施された「ダイヤ改正」はまだまだ不十分であり、全線にわたりさらに「ゆとりあるダイヤ」への改正を早期に実施すること。
- 人員削減計画を止め、安全第一のために必要な職員配置をおこなうこと。
- すべての駅・ホーム、踏み切り等の安全点検と、障害者など「交通弱者」の声を反映した安全対策を実施すること。
- 地域防災計画の見直しについて
大規模事故が発生した場合の人命救助や、情報収集・発信、医療機関等の迅速な行動、地域との連携のあり方等について「地域防災計画」の総点検・改善と同時に、今回の事故のように事故原因者の責任と合わせて、市・町の枠を超えて「県」が果たさなければならない責務を明確にすること。 - JR以外の県内すべての鉄道事業者に対して、踏み切り施設等の安全点検と、「安全第一」を実現するための具体的な対策を実施するよう強く求めること。
第3.県民のくらしと福祉を第一にする県政へ「行財政構造改革推進方策の後期5か年の取組み」は、大規模開発事業をはじめ、不要不急の公共事業を温存し、予算を優先確保する一方、福祉医療費助成の削減が強行実施され、県民生活をいっそう圧迫するものとなっており、県民生活を守る施策へ転換を図ること。
- 福祉医療費助成の復活、拡充について
- 老人医療費助成、母子家庭医療費助成、重度心身障害者医療費助成の各事 業は2005年7月以前の助成水準を復活すること。
- 乳幼児医療費助成事業は入院、通院とも就学前まで無料化を図ること。
- 入院生活福祉給付金事業は、助成を復活すること。
- 国民健康保険について
- 県の市町に対する国民健康保険の助成金を増額すること。
- 国民健康保険については、保険料の滞納を理由とした「保険証未交付」や「短期保険証」「資格証明書」の発行が依然として続いている。県民が必要な医療を受けられるようにするため、全ての加入者に正規の保険証を交付するよう徹底すること。
- 国民健康保険における、国保法第44条にもとづく医療費(一部負担金)の減免制度を県内全ての市町で実施するよう指導すること。
また、県として県民に対して医療費、一部負担減免制度が利用できることを周知徹底すること。
- 安心できる介護保険制度にするために
- 国の介護保険制度の改訂による「要支援1」「要支援2」など予防給付事業おいて家事サービス等の利用が抑制、縮小にならないようにすること。ヘルパーの訪問介護を拡充し、負担の軽減を図ること。
- 予防給付における介護保険除外の事業を市町が実施する場合県の独自補助を実施すること。
- ホテルコスト、食費の全額自己負担の導入により支払い困難な施設利用者に対して支援策を講じること。
- 県独自の介護保険制度の保険料・利用料減免制度を創設すること。
- 特別養護老人ホームの入所待機者の解消のため、必要な施設の増設を引き続き行うこと。
- 障害者支援費制度をより有効に活用できるようにするため、専門のケアマネージャーなどの人的体制も含め、必要な基盤整備を行うこと。
- 廃案となった障害者自立支援法案の再提出に反対すること。
- 難病患者に対する県独自の医療費助成を拡充すること。
- 1次・2次医療を、一元的に受け入れることができる小児救急医療体制の整備を急ぐこと。
- 県下の小児科医、産婦人科医の確保の取り組みをいっそう強化すること。
また、神戸地域における小児医療のセンター的役割を担っている県立尼崎病院の産婦人科、小児科の休診状態を早期に解決すること。 - 保育所の「待機児童」は、解消されていないばかりか政府の「待機時ゼロ作戦」
により、定数増・詰め込みが行われた結果、保育所での様々な事故も発生しており抜本的解決のため、新設を基本に保育所を増設整備すること。 また、保育料の軽減を図るために、県として市町に対する財政支援を行うこと。 - 児童の一時保護所を各子どもセンターに設置するとともに専門職員の増員をおこなうこと。また、民間児童養護施設への支援を強化すること。
- DV対策は、実効ある「基本計画」を策定するとともに女性相談センター施設のいっそうの拡充をはかること。また、専門職員を増やすなど、被害者自立のための住宅や仕事確保など支援体制を強化すること。同時に民間シェルターへの助成を拡充すること。
第4.憲法と平和を守る県政へ 小泉首相の靖国神社参拝が国内やアジア各国から厳しく批判され、侵略戦争や植民地支配を反省しない政府の歴史認識が問われている。 また、自民・民主両党を含む憲法9条の改悪、すなわち戦争する国家づくりの動きが強まり、有事法制や国民保護法制の県内での具体化も行われている。
- 平和と基本的人権、地方自治を踏みにじる有事法制の発動に反対すること。県の国民保護計画は、住民の人権を制限しないものとすること。また、県民を訓練等にまき込まないこと。
- すべての核兵器保有国の核廃絶と、核開発を行なおうとする企てに反対する県の意思を表明するとともに、「非核兵庫県宣言」を行なうこと。
- 非核「神戸方式」を守り、県管理の全ての港湾にこの方式を適用すること。
- 戦争や被爆の経験を語り継ぐ事業や被爆者援護の活動強化のため、県が積極的に取り組み、平和を守る県民運動を支援すること。
- 沖縄における米軍機事故や米兵による少女暴行など犯罪の多発に対し、国民の怒りが高まっている。兵庫県でも大阪国際空港などへの米軍機の飛来や県域内での米軍低空飛行訓練が行なわれている。その中止を国や米軍に要求し、日米地位協定の見直しを国に求めること。
- 憲法「改正」を掲げている「日本会議」への知事の祝電は、憲法に定められた「憲法を尊重し擁護する義務」を踏みにじるものであり、直ちに撤回し、憲法擁護の立場に立つこと。
第5.住民本位の震災復興・防災対策強化のために震災からまる10年を経過したが、住宅再建への支援や被災高齢者、低所得者などに対する震災復興対策事業の継続が求められている。 また、防災計画は災害が起きたときの対策だけでなく、東南海、南海沖地震など今後の災害による被害を最小限におさえるための対策をより重視するものに見直すことが必要である。
- 震災復興対策事業の打ち切りや一般施策への解消は中止し、SCSや緊急災害復旧資金融資などの生活再建支援、中小企業支援の震災復興対策事業の水準を維持、拡充すること。
- 「生活再建支援法」の見直しにむけて、支給条件の緩和、支給金額の大幅増の抜本改正となるよう、国に働きかけを強めること。
住宅本体への支援、支給金額を最高500万円とするよう国に強く求め、阪神・淡路大震災への遡及適用を求めること。 - 防災行政は、三木防災記念公園など大規模施設づくりに偏重するのではなく、防災体制や消防力の強化のために市町への支援を強化すること。
- 民間住宅の無料耐震診断の復活と、耐震化をはかる支援策を目標と計画をもち抜本的に強化すること。小・中学校、公的病院の耐震化の目標と計画を策定し、国とともに財政支援を積極的に行なうこと。
- 昨年の一連の台風被害によってあらためて防災対策の不十分さが明らかになった。災害救助法については、小規模な災害にも適用されるよう見直すことを国に求めること。実施された床上浸水被害へなどの県の支援策を共済制度の導入によって廃止するのではなく、継続、拡充すること。また、防波堤の強化など東南海、南海沖地震対策を強化すること。
- 住宅共済制度については、県職員などへの加入強制を行わないこと。
第6.真の地方自治・地方分権のために 小泉自公政権は「三位一体改革」で、地方自治体の「構造改革」、自治体リストラを強行してきた。国庫補助負担金の一般財源化や「交付税の財源保障機能全般についての見直し」などで、国の支出の大幅な削減を図り、財源移譲を十分にしていない。 真の地方自治・地方分権をすすめるためにも、情報公開を積極的に行い、県民参加を保障する県の役割が一層求められている。
- 義務教育国庫負担制度や生活保護費など、住民の福祉や教育サービスの削減につながる国庫補助負担金制度の縮減に反対すること。
- 地方交付税の財源保障機能と財政調整機能を堅持すること。とともに地方交付税の削減を行わないよう国に強く求めること。
- 年金をはじめ社会保障の財源を名目にサラリーマンをはじめ庶民への大増税、さらには消費税の増税がねらわれている。しかし、消費税は社会的弱者に重い負担のかかる逆進性の強い税である。庶民増税や消費税の増税に県として反対すること。また、大企業への減税は中止し、応分の負担を求めるよう国に働きかけること。
- 「県民緑税」については、県民合意を得ていないことから2006年4月実施は凍結すること。
- 省庁縦割りの重複・類似事業や不要不急のムダな公共事業の国庫補助負担金は抜本的に見直し削減を求めること。「都市再生」型の公共事業を見直し、生活密着型公共事業の拡充を国に求めるとともに、県としても実施すること。
また、国直轄事業における地方自治体の負担金は廃止するよう求めること。 - 市町合併については、強引な合併誘導はただちにやめること。合併しない小規模自治体にたいしては支援策を行うこと。
住民の自治には程遠くなることが危惧される「道州制」については反対すること。 - 現状の「パブリック・コメント」は、福祉医療で多くの県民からの存続要望があったにもかかわらず削減計画を決定するなど、真の県民参加を保障できるものとなっていない。県民への周知や、期間・方法、内容を見直すとともに、県民意見を施策に反映させること。
第7.地域経済活性化のため、農林水産業、中小企業支援と雇用対策の抜本的強化を経済のグローバル化がすすむ中、国内の地域経済や雇用は厳しい状態が続いている。正規雇用数が過去最低に、非正規雇用数が過去最高になり、とりわけ、青年労働者や女性労働者の半数が非正規職員で、低賃金、無権利状態にある。労働者の生活と未来を脅かすだけでなく、技術の継続的な蓄積がされず日本経済の将来にも深刻な影響をもたらす。地域住民の生活に軸足をおいた持続可能な地域産業政策が強く求められている。住み続けられ、働き続けられる地域社会づくりこそ経済再生の土台である。
T 雇用対策について
- 企業に対して正規雇用の拡大を緊急に要望し、改善を求めること。また、県の職員採用にあたっても正規雇用を増やすこと。
- 県民生活と地域経済に深刻な影響を与える企業の一方的なリストラ・配転、工場閉鎖を行わないよう、県として企業に強く働きかけること。
- 違法な「サービス残業」をやめさせ、正当な賃金が支払われるよう県が企業に厳しく働きかけること
- 企業に採用枠の拡大を要請し、新規学卒者や若年層の雇用を促進すること。「若者しごと倶楽部」のカウンセラーの増員など拡充するとともに、阪神間など県下各地に整備を進めること。
- 賃下げなしの労働時間の短縮でワークシェアリングを推進すること。
U 中小企業支援について
- 地域経済を支える中小企業の果たす役割を明確にするため、中小企業・地域経済振興条例を制定すること。
- ダイエーの撤退が大きな問題になっているが、身勝手な大型店の進出と撤退が、中心市街地の衰退をはじめ、地域経済を疲弊させている。国に法律の改善を要望するとともに、県としても事実上大型店の出退店を規制する対策をとること。
- 住宅リフォーム助成制度、小規模工事登録制度を創設し、中小建設業者の仕事おこしを進めること。
- 信用保証協会の保証承諾額は前年度を大きく割り込んでいる。金融機関からの貸し渋りのため、やむなく高利のまち金融に手を出した被害者が後をたたない。地域経済活性化を推進する立場で「貸し渋り」をしないよう保証協会と金融機関に強く要望すること。
- 産業政策として企業誘致は重要だが、大企業への補助金を大幅に増額するなどの偏重でなく、地域に根ざした中小企業の新しい「ものづくり」を大規模に推進する施策を産業政策の中心に据えること。
V 農林水産業について 農業基本法今年3月策定された「食料・農業・農村基本計画」は、食料自給率の目標は、前計画どおり45%に、達成期限は2015年へと先送りした。農産物の輸入自由化を前提として、国内農業を市場万能主義に全面的にゆだねている。一部の大規模経営にだけ農地や施策を限定し、大多数の家族経営はきりすてるものである。多くの国民と農家が求める農政の立て直しと食糧自給率の向上のため、国に農政の根本的に転換することを求めるとともに、県としても施策を講じるよう求める。
- アメリカや財界いいなりの食料の外国依存政策をやめ、WTO、FTA交渉で、日本の米を自由化対象から外すなど農業協定を改定させ食料主権を回復し、食料自給率を当面50%を農政の中心課題とするよう国に求めること。
- 西日本随一の農業県として、農林水産業を県の基幹産業にふさわしく位置づけること。また、土木事業偏重を改め、農産物の価格補償・所得保障を行うこと。
- 「米改革」は中止し、米価を最低でも60キロ2万円で下支えする制度を確立すること。また、主な農産物の生産費をつぐなう水準での農産物価格を実現すること。担い手を大規模経営などに限定することなく、地域農業を守るために、集落営農や家族経営など大多数の農家を担い手に位置づけ、支援の対象にすることなどを国に求めるとともに県としても独自に施策を講じること。
- 地産地消をすすめるため、小中学校給食へ地元産の農水産物導入への補助金の増額をはじめ支援の拡充をはかること。米飯給食を週3回にするため教育委員会や関係団体などと連携し、早期に進めること。
- 食の安全・安心をはかるため、BSE問題での政府の全頭検査、危険部位の除去を堅持し、これを実施しない国からの輸入はしないよう国に求めるとともに、県産牛肉の全頭検査は堅持し安全を確保すること。
- 昨年の台風による農地やため池の崩壊や風倒木の被害などの早期復旧をはかるとともに、被害を最小限にとどめるため、治山、治水、ため池の管理など自然災害への対策を日常的に強めること。
- 林業の振興と森林の多面的な機能発揮のためにも、林業政策の抜本的転換を国に求めること。徐伐・間伐など森林整備の支援や県産材の活用促進のため、課題解決の実践的な研究やとりくみを拡充すること。
- イノシシ、熊、シカなど野生動物の被害をくい止めるための研究を強め、生態系をとりもどす根本的な対策をとること。またアライグマやブラックバスなどの外来種の駆除・防止対策を抜本的に行うこと。
- 水産物の自給率も低下し、輸入魚介類の増加は漁業経営を圧迫している。乱獲での資源の枯渇解消、休漁補償と資源管理の対策を強化し、水産物の自給の向上をはかること。
ノリの色落ちをはじめ、漁場の荒廃・破壊をくいとめるため、干潟・藻場の再生など豊かな瀬戸内海をとりもどす総合的な再生事業を目標を明確にしてすすめること。
第8.大型公共事業優先から、生活密着型の公共事業へ 不要不急の大型公共事業は、抜本的に見直し「つくるからつかう」を文字通り実施し、公共事業優先の県政を改めること。T 公共投資の抜本的見直しを行うために
- 来年度の予算編成に当たっては、3400億円の県「行革」優先確保枠を廃止し、必要な事業の積み上げ方式にすること。
- 最近発覚した「鋼鉄製橋梁工事」の談合事件は、三菱重工、新日鉄、川崎重工、神戸製鋼など日本を代表する大企業がかかわり、本県としても黙過できない大問題である。県の鋼鉄製橋梁工事について談合の有無などの調査を行うとともに、内容を県民に明らかにし、県幹部職員の天下り全面禁止など、談合防止対策を強化すること。
- 先行取得用地をはじめ、県が関わっている用地すべてにおいて取得経過や時価などを県民に明らかにすること。また、今後の土地利用計画について県民参加のもとで見直すこと。
- 「公共事業審査会」は、本来の役割を果たすことができるよう、公募委員の参加や傍聴など県民に公開するとともに、住民からの対案提出の機会保障と検討の義務付けなど抜本的改善を行うこと。
- 企業庁地域整備事業は、これ以上の拡大をせず、凍結・中止を含め抜本的検討を行うこと。また、県民誰もが理解できるような会計制度とするため、各プロジェクトごとの収益収支状況の公表を行うこと。
U ムダで環境破壊につながる大型公共投資事業は中止すること
- 高規格道路偏重の道路行政をやめ、第2名神高速道路を建設中止すること。
- 投資規模が莫大で採算見通しもない紀淡海峡連絡道路建設計画を中止し、その建設推進をめざす「大阪湾環状紀淡連絡道路建設推進協議会」への参加や税金負担をやめること。
- 神戸空港や関西国際空港第2期工事など、採算の見通しもなく環境に甚大な影響を与える空港建設への補助金支出や出資をやめること。
また、神戸空港と関西国際空港を結ぶ海底トンネル構想は中止をすること。 - 武庫川ダムや但馬・丹波地域で進めている西紀ダム、八鹿ダムなど「生活貯水池ダム」、金出地ダムなどのダム計画は、いずれも流域全体の総合治水の検討が不十分であり、計画を見直し、中止すること。
- 進度調整を行っている播磨科学公園都市2・3工区をはじめ、分譲見通しのないひょうご情報公園都市など、巨大な「公園都市」づくりはただちに凍結・中止すること。
- 宝塚新都市、小野長寿の郷構想や但馬空港周辺整備のように、将来にわたって事業見通しが不透明な開発事業はいったん中止をし、率直な県民の意見を聞き今後の検討を行うこと。
- 有馬富士公園2期工事や、播磨中央公園2期工事など広大な「県立公園」づくりを中止すること。身近に利用できる「まち中の公園」整備への支援とともに利用しやすい公園管理のありかたを地域住民とともに確立すること。
V 県民生活に直接役立ち、中小業者の「仕事づくり」になる公共投資を充実すること
- 県民のための住宅政策について
- 県営住宅について
民間住宅の借り上げを含め公営住宅の応募する希望者のために新設・増設を行い公営住宅の比率を高めること。快適な入居環境を確保するため改築・改修など積極的に行うこと。 - 明舞団地再生計画については、県営住宅建て替えではPFI的方式をやめて現在の戸数を確保し、入居者の追い出し・転居につながる計画を見直すこと。
- 民間住宅の耐震化助成制度の拡充とリフォーム助成制度を創設すること。
- 特別養護老人ホームや保育所・障害者施設など福祉関連施設の新・増設を大幅に行うこと。
- 既設県道を整備するための予算を大幅に増額すること。特に、都市部を中心に安全な歩道整備など交通安全対策やバリアフリー対策を中心とした道路行政を実施すること。
- 河川整備のあり方については
- 堤防の補強
- 危険箇所を改修して治水レベルをあげる、B生態系の保全など、環境と安全に配慮した事業を最優先してすすめること。
- 鉄道駅舎のバリアフリー化の年次計画を早急に策定し整備することをはじめ、高齢者や障害者など社会的弱者も住みやすい「まちづくり」をさらにすすめること。
第9.環境破壊をやめ、豊かな自然と緑を守るために 持続可能な経済・社会のために、温暖化ガス削減を実現する対策など地球環境の保全とともに、深刻な社会問題となっているアスベスト対策をはじめ自動車公害等による大気汚染やPCB対策、公害被害者対策などに真剣に取り組む必要がある。
- 地球温暖化対策について(京都議定書)
地球温暖化防止のための「京都議定書」を実践するためには、温暖化ガス排出量の8割を占める産業・公共分野の思い切った削減対策を国だけでなく地方においても実行すること。とりわけ本県においては削減の総量を明確にした上で、開発事業の抑制を行うこと。また、すべての事業において総合的環境アセスメントを実施するなど実効ある対策を行うこと。 - 自動車NOx・PM法対策について
- 対象地域への排出不適合車の流入規制をさらに徹底すること。大型車流入制限のためのロードプライシングをさらに強化・実施すること。
- 国道43号、阪神高速神戸線における大型車の通行台数削減を強化するため、国との協議を行っている地元公害患者の意向が十分に反映され、早期に削減目標や実施方法が確立できるよう、国・阪神高速道路公団に強く働きかけること。
- 中小事業者に過大な負担がかからないよう、車の「買い換え」への財政支援や「後付装置」の開発促進などの支援対策をさらに強化すること。
- PCB対策について
兵庫県ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画(案)については、関係住民の意思を反映させ、中小業者への対策を強化すること。 高砂PCB汚染固形化汚泥についての安全性の確保策を強化すること。また、「高砂みなとまちづくり構想」における高砂西港の再編については、安全のための詳細な調査や住民の納得なしにすすめないこと。 - 阪神間五市一町の上流で人体への危険な影響が危惧されている猪名川流域ゴミ処理施設建設計画を白紙撤回するよう市町へ強く働きかけること。
- 県下各地で廃自動車等の処理施設を巡って地元住民との間でトラブルが多発している。計画段階から影響が予測される地域全体の住民に説明責任を果たさせるとともに、環境への負荷が最大限除去され住民の納得が得られるよう事業者に対して厳しく対処すること。
- 自然環境保護のために
- 森林環境を守るためにも、台風等による風倒木の処理は人的財政的措置の強化を図り早急に実施するとともに、自然林を涵養すること.
- イヌワシ・クマタカを始めとする希少な動植物の保護・保全の施策を進めること。
第10.子どもたちに確かな学力と豊かな人間性を育む教育を いじめや不登校、学級崩壊など、学校教育の現状は引き続き深刻である。要因は様々だが、根底には行き過ぎた競争と教育のゆがみがある。 今こそ教育基本法と子どもの権利条約を生かし、子どもの発達と成長を中心にすえる教育が求められている。
- 教育基本法を「改正」しないよう国に求めること。
- 義務教育国庫負担金の縮減は、憲法に規定された「義務教育に対して国が負うべき責任」を崩すものであり、堅持・拡充の立場に立つこと。
- 小学校1年生の35人学級を、2年生以上にも広げること。また、少人数学級による効果を一層発揮できるようにするための研究、交流の取り組みを行うこと。国に少人数学級実施の予算を要求すること。
- 「心の教育」については、内心の自由を尊重し、個人の内面を学校教育の評価の対象としないこと。
- 人権が叫ばれながら、教育現場での体罰が後を絶たない。世界人権宣言や子どもの権利条約が有名無実になっていることの反映である。体罰を根絶し、基本的人権尊重が貫かれた教育を行うこと。
- 県立高校は希望者全員入学を基本とすること。加印学区への複数志願制の導入を中止すること。
また、地元住民の合意も無い、一方的な統廃合や総合学科や単位制導入の強行を白紙撤回すること。阪神間および明石学区の総合選抜制度を堅持すること。 - 県立学校の教科書採択は、教育長専決となっており、教育委員会の合議が保証されていない。本来、教科書採択は、教育現場、教師にゆだねられるべきものであり、教育長専決は直ちに改めること。
- 教育委員会への請願は、一方的に教育行政事務当局の教育委員長権限で処理されているが、これは、教育委員会の合議制を踏みにじるものである。教育委員会への請願は、教育委員の合議の場にはかり審議するよう、ただちに改めること。
- 経済的理由で就学困難な児童・生徒を支援するため、就学援助の国庫負担の増額を国に求めること。県奨学金制度については、手続きの簡素化と給付制度の創設など拡充を行うこと。また、私学助成の増額を行うこと。
- 全ての学校施設の耐震診断を行い、耐震工事を早急に実施すること。期日・目標を明確にして学校施設の改修をすすめること。エレベーターや普通教室へのクーラー設置を推進すること。
- 障害児教育については、生徒の増加により深刻な問題となっている養護学校の教室不足や長時間通学を解消するため、新設養護学校、特に阪神間の整備計画をつくること。
また、「特別支援教育」への移行に当たっては、障害児教育を保障する役割を果たしている障害児学級をなくすことなく、専任の教員の配置など、現在の教育水準を維持すること。 - 兵庫県立大学の運営については、独立行政法人化をすすめるのではなく、大学の自治を守り、公立大学本来の役割を発揮し、学問と研究の自由を守り充実させること。
- 人権教育は、不公正な「同和教育」偏重でなく、憲法にうたわれた基本的人権と人間の尊厳を基本にすること。県の「人権教育基本方針」を廃止し、事実上の「解放学級」は直ちに中止すること。
第11.文化・スポーツの振興のために 文化・スポーツの振興のためには、県民が生活の中で文化・芸術を楽しみ、スポーツに親しむことができるような県の支援が必要である。
- 県民の文化・芸術活動を保障し、発展させるため「文化・芸術振興基本条例」を制定すること。また、県民が優れた芸術文化を享受できるように、鑑賞活動への支援を抜本的に改善すること。
- 県下各地域の歴史的・文化的遺産の調査・保存と県民鑑賞の保障をはかること。
- 低廉で使いやすい文化・スポーツ施設を数多く設置するとともに、障害者が気軽に使える施設整備をすること。
- 国民体育大会の開催にあたっては、国に必要相当の負担を求めること。
第12.警察行政について 県民の安心・安全を保障するべき県警察への要望がいちだんとたかまっている。この間、本県において重要かつ凶悪な事件、事故に対する「判決」が下され県警の責任が法廷の場でも明らかになった。県民の生活を守り、信頼を得るために絶えざる検証と改革を実行し、警察刷新を進めることが求められる。
- 明石花火大会歩道橋事故から丸4年。県警察の責任を断罪した神戸地裁の判決が下された。「雑踏警備の第1義的な責任は警察にある」との判決の内容に真摯に応えること。
- 県民の安全確保は県警の基本的な責務であり、11名もの死亡者、247名の負傷者を出しながら、事故発生以来、県警が議会で「主催者の自主警備が原則」との態度をとってきたことへの反省と謝罪を遺族だけでなく県民にも行うこと。
- 再発防止のために、判決内容に沿って「雑踏警備関係規定」の改正を行うこと。
- 公判のなかで明らかになった花火大会における警察警備の弁当代を明石市に10数年来負担させていた問題で県警は過去にさかのぼり実態を把握し、精算すること。
- 暴力団による神戸商船大学院生の拉致・暴行死事件で大阪高裁は、警察の捜査ミスと死亡の因果関係を認め、一審の神戸地裁判決を支持、県側の控訴を棄却した。改めて県警察の責任が明確になった。県警は判決内容を真摯に受け止め、上告を取り下げ、被害者へ誠実に謝罪をすること。同時に、原因の徹底調査と再発防止に努めること。
- 暴力団壊滅を絶対命題にしながら、「山口組」を始めとする傘下暴力団組織・組員は一向に減少せず、むしろ増えている。しかも、覚醒剤及び類似品の密輸・販売ルート、ヤミ金融、性風俗業など県民生活に深く関わっていることが大問題である。資金源を断つためにも、これまでの取り組みを総括し、成果をあげるために徹底的に捜査し、根絶すること。
- 最近、県民の行うビラ配布や署名活動に対して警察の干渉、妨害が増加し「言論・出版の自由」を封鎖する行為として問題である。
- ビラ配布に道路許可が必要でないことは、この間の判例でも明らかであり、「許可」を前提とする考え方を改め、警察内の教育を徹底させること。あわせて、商店会などへの間違った指導や情報を撤回すること。
- 警備公安偏重から県民の基本的人権を守り、市民生活の守る本来の警察行政にたちかえること。
- ますます被害が拡大しているヤミ金・振り込め詐欺・架空請求など経済事犯やDV・児童虐待・ストーカー犯罪など生活安全に関わる対策に人的体制も含め充実、強化すること。
- 地域交番の統廃合・再編にあたっては、地域住民の安全を守るうえからも、一方的に結果を押しつけるのではなく、住民、関係者等の意見を反映させること。また、廃止する交番所については解体は急がず住民の要求をきくこと。
- 公安委員会が、県警察を民主的にコントロールできるようにするため、独立した事務局の設置や、委員の選出にあたって住民推薦や公選制の導入などの改革をすすめること。
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