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2005年05月26日

「県政検証 シリーズ対談」(3)
福祉医療

対談者
○宮田しずのり(県会議員)
○合志至誠さん(県民いじめの「行革」ストップ!要求実現連絡会代表委員)

(5月22日付け「兵庫民報」より)

≪社会保障改悪を先取り≫

(合志)県「行革」ストップ連絡会で二月、県にたいし福祉医療改悪の撤回を求める知事あて署名を提出しましたが、その際、副知事は、制度を維持するためにと弁明しました。
 内容がいかに悪くなろうとも制度を維持する、県民サービスよりも制度・組織を守ろうとする官僚独特の考え方ではないでしょうか。

(宮田)二年前、県議選直後の六月、「行革」特別委員会が設置されました。2000年にはじめた十年計画の「行革」の半分近くに近づき、それでも今後二千五百億円の収支不足が生じるため「見直し」が必要だと、知事が提案してきました。
 最初から、福祉や県民の暮らしにかかわる分野が対象になっていました。
 制度維持のためだとか、福祉医療の環境が変わってきた――国が社会保障本体で有料化を進める中、福祉医療だけ特別扱いできないというのです。
 県は「ほんのわずかな負担だ」といいますが、高齢者、障害者はじめ幅広い層の負担が増えます。国が導入を進める「応益負担」の考え方をそのまま、県で先取りしてやっています。

(合志)小泉政権になってから、いいことは一つもないですね。社会保障を全部、改悪している。日本経済全体が落ち込んでいる中で改悪を進めるものだから、国民の生活がどんどん悪化しています。
 それは、この病院の外来患者さんをみてもわかります。社会保険などが横ばい、国民健康国保が増えています。生活保護の方もどんどん増えています。

(宮田)正社員が増えていない。リストラなどさまざまな事情で国保に替わっている人が増えているということでしょうね。

(合志)国保料を払えない人が大勢います。行政は徴収を強めているようですが、高すぎて払えないところに問題の本質があります。
 障害者の生活と権利を守る尼崎連絡協議会を八〇年代、中村まさひろ現県議といっしょにつくり、運動をつづけてきましたが、振り返ってみると、障害者がなんとか生活を維持できていることを前提に、道路や駅のバリアフリー化など障害者が暮らしやすい街づくりを市に求めるといったとりくみでした。しかし、いま、国会に上程されている障害者自立支援法は、障害者の生活そのものを壊すものです。
 作業所の賃金は三万円、四万円、それと障害年金で暮らしています。応益負担では暮らしが成り立ちません。
 県「行革」も、県民生活を考えてのことではなく、お金の計算から先に出てきたものです。憲法二十五条(注)を持ち出すまでもなく、県民の暮らしに基礎を置いての行政でなくてはならないと思います。

(宮田)昨日、十二日、兵庫障害者連絡協議会と県福祉局長との懇談に中村議員とともに同席しました。兵障協からは、自立支援法ができてしまったら、生活できない障害者がいっぱい出てくる。作業所も今までのように人件費は払えなくなり、職員を減らさざるをえなくなる。経営自体もなりたたなくなる。介護も、自立支援法の成立を見込んで、国は、今年から補助単価を一・五%減らし、しかも、各作業所で新年度を立てたあとに、補助金削減が通知され、年間計画が狂ってしまった――などの実態が訴えられました。
 これも、国の支援費をどう減らすかということからの発想です。
 県の「行革」も財政面からの必要だけで、社会的弱者を切り捨てていくという点で、政府の悪政と共通しています。
 こうした攻撃にどう反撃していくかが、いま大事です。

(合志)八日に障害者の生活と権利を守る尼崎連絡協議会が集会をひらきましたが、いかに私たちの考えが甘かったか痛感しました。これまで、障害者は、なんとか食べていけるということで運動をしてきたけれど、その足場が崩される。知的障害者を抱えたお母さんは「死んでも死に切れません」と訴えていました。

(宮田)加えて、県の福祉医療削減です。許せないことです。三月議会で、ことし七月からの削減を組み込んだ予算が成立し、このままだと七月からの削減が実施されます。

≪県議会の外では改悪反対が多数派≫

(合志)しかし、今回、福祉医療削減反対の運動は、かつてなく広がりました。計画が発表されて一年あまりに二十五万筆の反対署名が集まっています。「行革」ストップ連絡会などだけでなく、医師会なども反対し、神戸市・西宮市の市議会、神戸・尼崎の市長も反対を表明しました。町長では半数が反対でした。ここまで世論をひろげていった運動は、大事な教訓を残しました。
 福祉医療削減反対は、県議会の中では日本共産党だけですが、議会の外では党派を超えた運動になっています。
 こうした運動で、多少の改善や、精神障害者対象の福祉医療が新設される、ごくわずかな人数ですが六十五歳以上の低所得者への減免制度をつくらせるなどの成果も勝ち取ったことは、今後の運動をすすめていく上で、大きな経験になったのではと思います。

(宮田)兵庫県の場合、財政は市町ほど厳しい状況ではありません。今年度の一般会計予算でも二兆一千億円、特別会計も含め全体では四兆円あります。この税金の使い方を変えると十分にやっていけます。
 日本共産党県議団は今回で五回目になりましたが、予算組み換え提案をしています。空港やトンネル、ダムなどの大型事業の予算や、開発を見込んで買い入れた土地は六千二百ヘクタール――甲子園球場の千五百分――もありますが、こうした土地先行取得の予算などを削れば一千億円ぐらいは出てきます。ここから借金返済などを差し引くと、百億円ぐらいを一般会計に繰り入れることができます。
 高齢者医療は十七億円もあれば削減しなくてすみます。乳幼児医療も就学前まで拡充、三十五人学級も二年生まで広げられます。
 予算の組み方を県民本位にすれば、弱者に負担をもとめなくても十分にやっていけます。県議会では日本共産党以外がオール与党ですが、私たちの予算組み換え提案にはまともに反論するすることさえせず、知事提案をほめあげて、通してしまっています。
 国政の悪政が続く中、地方自治体が、医療や福祉を守る防波堤の役割を果たさなくてはならないのですが、兵庫県の場合、国の先取りをしています。
 知事選挙も近づいています、尼崎では県議会補欠選挙もあります。

(合志)県民の暮らしを第一にする県政に変えなくてはなりませんね。


(注)憲法二十五条〔生存権、国の社会的使命〕
1、すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2、国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
 

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