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「県政検証 シリーズ対談」(1) 震災10年、神戸空港
対談者 ○筒井もとじ(県会議員) ○岩田伸彦さん(阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議事務局長)
(5月1日・8日合併号「兵庫民報」より)
≪震災10年≫ (筒井)今年は知事選挙・神戸市長選挙の年であると同時に、震災10周年の節目の年です。県や市は、「震災復興は終わり。あとは教訓の発信」と、区切りをつけようとしていますが−
(岩田)復興県民会議などで被災者の救援・支援活動をつづけ、公営住宅の家賃滞納や震災復旧融資のすえおき期間の延長など、「復興道なかば」というのが率直な印象です。10周年でひらかれた国連防災会議でも、たくさんの課題が指摘をされましたね。
(筒井)わたしはこの前の予算議会の代表質問で知事にたいし、「個人補償と復旧のあり方、この二大問題こそ、最大の教訓ではあり、その立場にたって現行の支援策の強化こそ」と迫りました。そのなかで、県外被災者の県営住宅優先募集の改善や、民間住宅の耐震化問題も提案しました。 しかし、井戸知事は個人補償を中心にすえるという姿勢が弱い。あくまで被災者相互の助け合いである「住宅再建共済制度」を予算議会の目玉にするしまつです。これでは政府にたいしての迫力に欠けてしまいます。
(岩田)やっと個人補償として実現した「被災者生活再建支援法」は、県民会議をはじめ、被災者と全国のみなさんの運動が実った成果です。 しかし、欠陥も多い法律です。「住宅本体」に支援できないこと、所得制限などはその典型ですが、日本列島に相次ぐ災害に対応するためにも、ただちに改正すべきです。
(筒井)全くその通り。井戸知事は、小泉首相の法改正に慎重な姿勢に同情して、「4年後の見直しの附帯決議があるから、いま直ちに制度改革を検討するのはなかなかしにくいお立場」などと記者会見で答えている。被災地の知事としては、本当に問題の重大性を認識していない発言だと思う。
(岩田)改正の野党案が提出されていますが、政府に法改正を強くせまる、被災地の自治体の首長が必要ですね。
≪神戸空港≫ (岩田)震災からの「復旧」「復興」のあり方も問題でしたね。
(筒井)神戸空港を震災復興に位置付けて、神戸市と一体になってすすめてきたのも井戸知事です。 以前、「空港よりも住宅を」が住民のスローガンになりましたが、被災者支援よりも、空港や道路などの大規模開発が優先されたことが、被災者の苦難の原因になってきました。
(岩田)政治のなかで、お金の使い方が間違っている、それが大震災の復興でも、まざまざと見せつけられた印象です。住民投票運動をはじめとして、市民は根強く反対していますね。
(筒井)神戸空港反対の運動は、無駄な公共事業ストップという全国の流れにつながりました。政府のなかの審議会でも関空2期の税金投入に疑問符がつくぐらいですから。空港利用者の実際の「のび」と予測が大きく離れてしまい、赤字が膨れ上がっています。しかし、この問題でも井戸知事は、「関西3空港5本の滑走路でも不足するのではないか」という絵空事のような言葉で、税金投入の言い訳をしています。とんでもありません。
(岩田)滋賀県の人が伊丹空港を、和歌山県の人が関西国際空港を、それぞれ通りすごして神戸空港を利用するという需要予測など「だましのテクニック」ですね。根拠のないものでわたしたちの税金をドカドカつぎ込むのは許せませんね。
(筒井)無駄な空港建設をストップする上で、関西3空港すべてに関わっている兵庫県が、住民の声をうけとめる自治体になるかどうかが重要です。 |
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