日本共産党の震災・台風災害での対政府交渉報告
1.内閣府----仁比聡平参議院議員が同席要望項目:1)被災者生活再建支援法を「見直し期限」を待たず即刻改正し、家屋本体の再建・補修にも支援金を支給できるようにすること。半壊や一部損壊、浸水被害も支援対象とすること。支援金額を引き上げ、所得制限を撤廃すること。 回答の大要:改正したところであり、付帯決議で4年後の見直しとされているのでそれでやる。前回は残念ながら住宅本体を対象とすることに、党派で意見の一致がなかった。 要望項目: 2)家屋損壊判定の基準を抜本的に見直し、生活拠点としての比重が高い1階部分の損害を重視するなど、水害に適応した内容にすると共に、被害実態に応じて柔軟に運用できる旨を盛り込むこと。 回答の大要: (市町など)地域ごとの特性に応じて住宅の損壊判定基準の構成比はある程度変更できる。県の判断。ただし、あまり大きく変わることは困る。抜本的見直しは意見として受けとめたい(支援法第3条との関係で詰め答弁に窮した様子。個人的に理解できるとした)。 要望項目: 3)被害判定を迅速に行えるよう、職員の研修、増員など対応策を講じること。 回答の大要: 職員対応は近隣自治体で連携してほしい。研修等の講師派遣には応じる。 2.国土交通省----こくた恵二衆議院議員が同席1、河川改修について要望項目: 1)国は新たに「堤防点検ガイドライン」を策定し、堤防のボーリング、土質調査を行うとしていますが、この際、河川構造令違反箇所やその他防災のために必要な項目の調査をあわせて行い、調査結果などすべての情報を積極的に公開すること。 回答の大要: 河川構造政令違反の問題については、法令で堤防材料、高さ、天場幅、のり面勾配等基本事項が決められているが、長い歴史で築造されており、すべてが構造令に沿ったものにならず、常に改修している。出水期前の対策として毎年、点検などの実施を地方整備局に指示、都道府県に対する要請もしている。今後も点検結果は公表につとめる。 要望項目: 2)調査結果に基づく改修計画を明らかにし、河川改修事業予算を抜本的に増額し、必要な事業を適正かつ迅速に完了させること。 回答の大要: 改修事業予算の増額と迅速に完成させることについては、予算確保については努力している。必要な事業を効率的に実施することには日ごろから努力している。 要望項目: 3)このたび円山川改修工事が10年計画900億円で採択されましたが、改修にあたっては地元住民の要望を良く聞き、情報を十分に公開して行うこと。 回答の大要: 23号の円山川被害をふまえ26年度までに緊急対策を実施する。21年度までは激甚対策として今回の洪水と同規模対策の防止を目的に、河川掘削、内水対策、橋梁掛け替え、地域連携のソフト対策などを実施する。激特事業は再度の災害防止と、抜本緊急に対応するもの、流域の安全を短期に図るもので、詳細については、円山流域委員会の公開の場で説明する。関係機関と連携した機関をつくり、関係住民との協議も、情報開示はホームページを含め周知はかる。 要望項目: 4)千種川を一級河川とし、国管理のもとで必要な改修を早期に完了させること。また、今年度兵庫県から協議提出されている「千種川推計河川整備計画方針(案)」は県へ差し戻すこと。 回答の大要: 基準からすると、千種川を国管理にするというのは厳しい。しかし安全度を上げるための改修について国も支援する。「計画」については、国はまだ正式に受理していない。法に基づく協議を受けて、適切に判断したい。 2、災害に強い街づくりにむけて要望項目:市街地や農地において、保水力を高め、あるいは遊水機能に資する事業を推進する助成事業を創設すること。 回答の大要: 都市の河川は、被害軽減対策を進めている。公共施設に雨水貯留施設をつくるときには、助成をしている。自治体部局や協議会、流域全体で制度活用を図り、取り組んで欲しい。 3、制度改善について要望項目: 1)台風災害でも宅地等での、崖、擁壁損壊の復旧を公費でおこなうこと。 回答の大要: 崖崩れ対策事業は、自然斜面を対象に災害対策をしている。人工斜面は手をかけた人、管理者がはっきりしているので、対策をという原理原則がある。今回、中越地震では、社会的影響など総合的に判断した。台風の場合は広域ではなく、社会的影響も小さいと認識している。地震だから、台風だからと区別しているわけではない。 要望項目: 2)災害復興公営住宅の家賃補助、家賃低減措置は10年間で終了とせず、被災者が暮らしを再建できるまでつづけること。 回答の大要: 災害公営住宅の家賃は自治体の判断。国としてはこれまで制度延期も行った。時限措置であり、他とのバランスもある。自治体が独自に軽減することは可能。 3.農林水産省1、農業支援について要望項目: 1)「共同利用施設災害復旧事業」の認定について、行政責任で的確な判定を行うよう、体制を確保すること。また、1箇所40万円以上(激甚指定で13万円以上)とする要件の撤廃、設計費用や施設への進入路も対象とするなど、農業再開へむけた必要な支援ができる内容に改正すること。 回答の大要: 判定は行政が責任を持ってやっていると認識しているが、県にもう一度良く話を聞いてみる。設計費は負担重との認識はある。今後の検討。進入路は、施設への進入路なら適用対象になりうるのではないか。規定規模以下の事業は、小規模災害支援や起債充当、交付税などを活用して欲しい。 要望項目: 2)農機具の被災・損失により、新規購入を余儀なくされた農家への機具購入助成をおこなうこと。 回答の大要: 共同利用の農機具は振興総合対策の補助事業で補助はできる。農機具が施設の一部であるなどの時は補助できる。器具購入助成は、長期低利の融資を活用して欲しい。 要望項目: 3)農薬、肥料、種苗などの再購入への補助金、収穫し格納していた農作物の被害に対する補償制度など農業推進制度を創設すること。被災の教訓から、育成品目の変更、土壌や土地形状の変更などを支援する制度を創設すること。 回答の大要: 農業資材は補助金対象にはならないので難しい。野菜に関しては、全部ではないが、被害を受けたハウス、復旧の鋼材、引っ越し、路地、レタスなどの地力回復の改良資材、肥料の一部の購入、路上被覆材、トンネルハウス、風上に防風ネットなどが補助対象になる。種も補助対象にしたかったが財務省から断固拒否された。これは直接被害にあった野菜に限るのではなく、次の作物でもできるとなっているので活用を。県を通じて執行するもので、県議会が2月で終わると間に合わないので、県庁にも、門が閉まらないまでに話をしてもらえればと思う。金は余裕がある 要望項目: 4)被災し破損した溜池等の改修を早急に実施すること。その際、共同ため池だけでなく、農業用個人ため池も対象とすること。また、改修計画を公表すること。 回答の大要: 農業用水確保という点からも「早急に復旧を」と言っている。申請をもらった箇所については先週土曜日(1月22日)に査定が終了した。今後、県と連携しながら事業費や交付決定などをなるべく早くやり、復旧事業ができるようにしたい。個人のため池は、個人財産から公共団体の財産に移転登記するなどをすれば災害復旧事業でできる。改修計画は事業実施主体の市町村がつくることになっている。 要望項目: 5)農家の大規模化や競争による淘汰を促進する農政を転換し、小規模・家族経営の育成・支援、農地保護と積極的活用で、保水能力の維持・向上や、村落によるため池・用水路などの管理も可能にすること。 回答の大要: 農薬代や肥料代、生産資材の購入資金、収穫を終えた米などの支援は、それらが収入源であり、融資制度になる。農業従事者の高齢化と減少で農地の減少も進んでいる。米中心の土地利用型農業は、零細な農業経営になっており、これが続くと生産構造が崩れる。地域経済にも大きな影響が出る。力強い農業つくるためには、担い手を明らかにして、経営関係を集中していく必要がある。担い手以外を切り捨てるのではない。共同施設利用や地域ぐるみの取り組みへの支援もある。今後の農業を担うのは担い手だろうと思うので、個々に支援していく。担い手以外の農家は、集落営農への参加などで継続してもらう。不可欠な農業施設の管理は基本的には地域農家共同で進めている。資源は農家のものだけではなく、地域、国民の貴重なもの。支えてきた農家が高齢化や混住化が進んで、従来の維持管理が難しくなっている。地域資源を引き続き地域の力で支えることができるか、そのために必要な施策。防災機能も含めて公共性があるので、17年度から調査をはじめる。スタートラインに着いたところと認識している。 2、森林対策について要望項目: 1)人家をはじめ、直接災害につながる範囲の倒木除去等対策を公費で速やかに実施すると共に、森林全体の状況把握と必要な対策もあわせて講じること。 回答の大要: 13市町村の査定が終わった。結果的には32億円、国費は半分、被害面積700ヘクタールで事業費をつくった。他の被害地の対応は一般公共事業・森林整備事業で復旧していく。復旧予算は、災害に強い森づくりをあわせて35億円の補正で計上している。兵庫県からは、予算の2割を超える要望がきている。予算執行については配慮したい。国県市で全額対応すると聞いている。 要望項目: 2)風倒木の処理等にあたって自治体が実施する査定前調査(航空写真撮影)などに財政補助を行うこと。 回答の大要: どんな災害対策事業でも査定前調査は自治体で調査するのが基本。なお、県がたてる地域森林事業には、森林に関する資源の図面など、経費は高いが衛星を利用するなどの画像データを補助事業に加えたので、活用の検討をしてはどうか。 要望項目: 3)森林政策を抜本的に充実させ、保水力の向上をはじめ、適切な樹種への移行や日常的な管理・保全事業を推進できる体制を確保すること。 回答の大要: 森林基本法に変えた事に示されている通り、防災面も含めて、二酸化炭素の吸収、森林の持つ公共性などを重視する方向へ転換している。予算は厳しいがやっている。間伐は、今年度までの5カ年計画で、来年度からは3カ年計画でやりたい。 要望項目: 4)地籍調査を国の責任で今度こそ完遂すること。 回答の大要: 国土交通省所管だが、外部委託による調査も可能になったので、連携して進める。 3、漁業対策について要望項目: 海岸や海底にある、いわゆる災害ごみを早期に撤去すること。 回答の大要: 津名港は実施したはず。今後も県からの要望に応じる。要請して欲しい。
4.経済産業省(中小企業庁)---石井郁子衆議院議員が同席要望項目: 1)被災地の伝統産業や地場産業をはじめ、中小事業者の経営に対しては、直接支援を行えるよう制度を創設すること。 回答の大要: この度の台風災害にあたって中小企業庁が実施を決めた融資制度を説明。また、「下請工場などへの機械貸与制度の活用を」とした。なお、豊岡の鞄産業を支える内職者へのミシン貸与などは、「支援策は相談してみたい。市や県が支援するときに手伝いできるかもしれない。」とした。 要望項目: 2)緊急災害復旧資金融資の返済猶予期間をひきつづき延長すること。 回答の大要: 据置期間が10年になっているので、国、県、市との話し合いの中で立ち直れるだろうと制度設計した。国の関与も、貸付期間を越えて据え置きを延長するのは問題。新潟でも、神戸並みのものが出ていないので、神戸だけ特別の対応を取り付けるのはむずかしいということで対応した。市も納得している。全体の延長はないと思う。個別対応にあたっては、基準どうこうではない。国は介入しない。個別対応の中で延長というのはあり得る話だろう。 5.厚生労働省要望項目: 1)赤穂市にも災害救助法を適用すること。 回答の大要: 適用は都道府県知事が被害をみて判断するとなっている。実際は、救助も県知事が実施して市長が補助するとなっている。県に聞くと、赤穂市は、被災状況をふまえると救助法の適用には至らなかったといっている。救助法は、応急的に支援しようという応急的なもので、今はないということで遡及して適用というのは困難。 要望項目: 2)災害救助法は、被災世帯数に関わらず適用となるよう法改正すること。災害援護資金の償還期間の延長を早期に決めること。 回答の大要: 世帯数にかかわらず適用している例もあるので、法改正には至らないと思っている。援護局長の言葉で神戸市が強制執行に出たという訳ではない。悪質だということで執行したのであって、局長の指示ではない。償還期間の延長は、関係者と話し合い、調整、検討してみるということで、現状はそうした答えしかできない 6.総務省要望項目: 復興基金事業には、民間賃貸住宅入居者への家賃補助や中小企業への利子補給、高齢者の見守りなど、さらに継続・拡充すべき事業がある。10年を区切りにすべての施策を打ち切りに刷るのではなく、今後も被災自治体が、被災者の生活と営業の再建に必要な支援事業を積極的におこなえるよう、国として、ひきつづき財政的な支援をおこなうこと。 回答の大要: 基金は17年度で終わるが、今後は兵庫県でどうするかを検討すると聞いている。引き続き財政運営に、支障が生じないよう、トータルで支援していきたい。
【参加者】 平松順子(交渉団長)、中村まさひろ、つづき研二、杉本ちさと、森本真、村岡峰男、竹浦昭男、古池信幸、小林篤二、山根昇、片岡格、谷ゆう子、蛭子智彦、加味美昭、伊部健一、金田峰生 協力議員:市田忠義(総合窓口)、石井郁子、こくた恵二、仁比聡平、高橋千鶴子 【当局側対応者】内閣府 | 両角 明(防災担当政策統括官付災害復旧・復興担当参事官補佐) | 国土交通省 | 松本(住宅局住宅総合整備課補佐) 上條洋(住宅局建築指導課建築物防災対策室係長) 石原・ 緒方(河川局治水課補佐) 津森(河川局河川計画課補佐) 光永(河川局保全課補佐) | 経済産業省 | 月舘 実(中小企業庁事業環境部企画課経営安定対策室長補佐) 浅井 享(中小企業庁事業環境部金融課長補佐) | 農林水産省 | 岡田正孝(生産局野菜課長補佐) 野口武人(生産局総務課生産振興推進室課長補佐) 松田 明(生産局農産振興課技術対策室課長補佐) 木下光弘(経営局経営政策課長補佐) 熊谷卓二(課長補佐) 松本納広(課長補佐) 島 尚士(農村振興局防災課長補佐) 馬場(課長補佐) 村岡 宏(農村振興局農村整備課長補佐) 山崎 準(林野庁企画課長補佐) 永山正一(林野庁計画課長補佐) 寺川 仁(林野庁整備課長補佐) 小野寺昇(林野庁整備課森林災害復旧指導官) 千葉美辰(林野庁経営課長補佐) 佐伯知広(林野庁治山課長補佐) 森 健二(水産庁計画課漁港計画官) 中村 隆(水産庁防災漁村課災害査定官) 田端秀実(水産庁魚場資源課係長) | 厚生労働省 | 佐々木薫(社会援護局保護課災害救助・救援対策室長補佐) | 総務省 | 堀井(自治財政局財務課企画官) 小鍋(自治財政局財務課係長) | |