ムダな公共投資温存し 暮らしに犠牲押しつける2005年度県予算案への見解
兵庫県の2005年度予算案の特徴と問題点を見てみました。新年度予算は、一般会計で174億円増のプラス予算となりました。昨年の23号台風など被害対策予算を組んでいますが、福祉医療の改悪など県民犠牲の「県行革」をもりこみ、35人学級の実施は昨年同様、小学1年生のみで改善されていません。一方、夏の知事選挙を意識した新規メニューが多く、バラまき型予算、関空2期工事など公共投資温存の予算となっています。予算規模は、一般会計2兆1112億円と特別会計、企業会計の合計4兆2147億円、前年比度21.9%の大幅増ですが、震災復興基金債5687億円の償還金を除くと前年比4.9%増となっています。
【歳入】 県民のふところ厳しい中、大学授業料値上げ、新税導入
2005年度県予算案の内訳一般会計 2兆1112億円 特別会計 1兆9184億円 企業会計 1851億円 ---------------------- 合計 4兆2147億円 | 県税は、前年度比5.9%増の5370億円ですが、増加の主な要因は、製造業の輸出増など企業業績の回復から法人関係税が356億円増えたことによるものです。その一方で、地方消費税の減や個人県民税の所得割りの減など、県民のふところは依然と厳しい状況が予算に表れています。 地方交付税や義務教育費国庫負担金の廃止・縮減など、国の「三位一体改革」による地方財政切り捨ての影響は、前年度比306億円の減となって表れています。前年度予算の大幅削減につづくものです。また、小泉自公政権の所得税・住民税定率減税の半減・廃止など国民負担増路線の中、県立大学の授業料1万5000円の値上げが提案されています。 さらに井戸敏三知事は「県民緑税」を06年度に導入する条例を突然提案しました。県民税を支払う240万人県民から1人年額800円を5年間にわたり課税。県内の企業10万社にも課税しようというものです。多くの県民、納税者に新税の内容を十分に知らさないまま、使途についても合意がない中での提案は問題です。 県債(借金)発行は、2116億円と前年度比2.9%の増となり、県の全会計の県債残高の合計は4兆1186億円、県民1世帯当たり186万円にもなります。借金体質の改善はされていません。
【歳出】 福祉医療削減の一方で、神戸空港・関空2期に補助
福祉・医療では、県民の運動で、重度精神障害者1級の医療費補助がやっと実現しました。しかし、乳幼児医療入院費の有料化や老人医療費の2割負担など福祉医療の削減を、県民の強い反対の中、7月実施で強行する予算となっています。 教育では「高校改革」として総合選抜制度の見直しや県立高校の統廃合、高校教員の237人の減員など教育にも冷たい知事の姿勢が表れています。 リストラなどで依然として深刻な中、前年度に2700人の「緊急雇用創出事業」を廃止し労働費は前年度の半分と激減しています。 震災被災者支援は、住宅共済制度の創設や高齢者の見守り体制の継続が主で、被災中小業者が強く求めている災害融資の返済延長もありません。しかも被災者の再建は道半ばなのに震災復興本部も解消しようとしています。 一方、神戸空港には、開港記念事業として3000万円を新たに補助、既存分も含めると1億6600万円を補助します。また、需要見通しもなく、ムダな関西国際空港2期工事にも、「利用促進」予算3000万円を含む、計4億3000万円を補助するなど、投資的事業には前年度並み3352億円を確保しています。さらに補正予算では宝塚新都市や小野市場用地を土地開発公社から534億円で買い戻すなどこれまでの大型開発失敗のツケの後始末をしています。
戦争準備の条例案も
また、「国民保護法制」の協議会設置など小泉内閣による戦争準備のための条例提案など兵庫県議会の審議に注目しなければなりません。(小田桐功・党県議団事務局長)
ねりき恵子政調会長の談話
平和と暮らしを守るため、唯一の野党として日本共産党県会議員団の奮闘が求められています。県民のくらし、福祉、教育を応援する予算となるよう組み替え提案など積極的におこない県民の願い実現に全力あげます。
3月6日付「兵庫民報」より転載 |