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2005年02月27日

県知事選挙での日本共産党の政策

 ことし夏の兵庫県知事選挙にあたって、兵庫県政の問題点と改革すべき方向など日本共産党兵庫県委員会の考え方(「争点と政策」案)をまとめました。これをもとに日本共産党は、県民のみなさんと対話と共同を広げ、「県民が主人公」の県政の実現に全力をつくす決意です。

2005年2月27日
日本共産党兵庫県委員会


大型開発のムダづかいあらため、福祉・暮らし優先の県政に--2005年兵庫県知事選挙にあたって(案)

 前県政をひきつぎ4年前、初当選した井戸敏三知事は、公共事業削減の全国の流れに反してダムや空港、「新都市」づくりなどに毎年3400億円の公共投資を確保しながら、「行革」計画(推進方策00年〜08年度)で1360億円もの負担増を県民におしつけてきました。少子化対策に逆行し、ことし7月からは乳幼児の医療費助成さえも減らそうとしています。阪神・淡路大震災の復興では、10兆円もの巨費を「多核・ネットワーク型都市」づくりに投入。被災者の生活と営業の再建よりも大型開発優先の復興計画をすすめてきました。夏の知事選挙は、県民、被災者に冷たい「オール与党」の県政をやめさせ、福祉・暮らし・教育優先の「だれもが安心して暮らせる県政」「県民にやさしい県政」を実現するチャンスです。力をあわせて「県民が主人公」の新しい県政を実現しましょう。 

1.不況と災害、うずまく県民要求

 阪神・淡路大震災から10年、被災者の生活再建は途上にあります。昨年の連続した台風の被害は、県内全域におよび、県民の暮らしと営業に大きな打撃をあたえています。多くの県民は、長期不況と自然災害の影響から、懸命に立ち上がろうとしていますが、中小業者の倒産や自己破産、リストラや失業の増大など暮らしは深刻です。
 その深刻さは、経済的な理由などによる自殺者が、県下で年間1400人をこえるなど年々増加傾向にあることにも表れています。県民意識調査(03年度)でも、自分の生活が「低下している」と答えた人(44%)は、「向上している」と答えた人(5%)の9倍にのぼります。子どもへの虐待、DV被害、青年の就職難や不安定雇用など、県民の要求がうず巻いています。
 震災を体験した兵庫県政は、他の自治体にもまして、暮らしをまもるという自治体ほんらいの役割を果たすことが求められてきました。しかし、県民意識調査をみても、暮らしにかかわる施策への県民の評価は、「よくやっている」という声より「努力が必要」という回答が多く、のきなみ“落第点”です。とりわけ「雇用の安定」「中小企業の育成」「福祉対策」に批判が強く、雇用・営業・福祉に冷たい県政に県民は、きびしい目をむけています。
  小泉内閣は、定率減税の廃止など7兆円もの国民負担増を押しつけ、「三位一体の改革」による地方への財政支出削減で、福祉・教育など住民サービスの水準を切り縮めようとしています。「国民保護法制」による戦争協力の押しつけ、憲法9条や教育基本法の改悪策動など県民への攻撃は、強まっています。
  知事選挙では、こうした国の悪政の防波堤となり、県民の雇用や営業をまもり、福祉、医療、教育の向上に力をつくす県政にきりかえるのか、国の悪政のうえに、ムダな大型公共事業をおしすすめ、県独自の福祉施策を次つぎと切り捨てる冷たい県政の継続を許すのかが問われています。

2.県民の願いを大切にする県政へ

1.「福祉医療」の削減やめ、いのちと健康を第一に

 県民の命と健康を守るべき県政が、「行財政改革」の名のもとに、それに逆行する施策をすすめています。そのひとつが、乳幼児、高齢者、重度心身障害者、母子家庭などを対象にした医療費助成の削減です。小学校就学前の子どもたちの入院時の医療費を有料化したり、65歳から69歳までの高齢者の医療費を1割負担から2割にひきあげるなど、県民116万人に影響を及ぼします。
  県医師会や神戸市医師会が削減反対の署名を提出し、神戸、西宮、尼崎の市長や県町村会も継続を要望してきました。しかし、県は、昨年10月から強行した入院給食費助成の廃止につづき、福祉医療の削減をことし7月から実施すると公表。「市町と十分な協議、検討をおこなう」という約束をほごにされた市町は、「住民が不況で大変なときに」と困惑しています。福祉医療助成に必要な予算は、入院給食費助成をふくめ年間40億円、県の一般会計の0.2%、県の公共投資3400億円の1%にすぎません。
「行財政改革」では、お年寄りの長寿祝い金を13億円削減したり、特別養護老人ホームや保育所など民間の福祉施設職員を支援する補助金もうちきりました。県内26カ所の健康福祉事務所(保健所)は、感染症対策や食品衛生など充実が求められているのに、地元市町の存続要望も無視して、統廃合や機能縮小がすすめられようとしています。
  「保険料が高すぎて払えない」――国保料の滞納者は、県内で18万5000世帯。加入世帯の17.5%にのぼります。県政は、滞納者から無慈悲に保険証をとりあげる制裁を強めています。保険証の未交付は、2万5000世帯(04年6月)、窓口でいったん医療費全額を払わなければならない資格証明書の交付は9000世帯、1カ月、3カ月などと有効期限を限定した短期証も4万3000世帯にのぼります。保険証が未交付のため、子宮ガンの治療が手遅れとなり死亡するという痛ましい事件もおこっています。
  特別養護老人ホームの入所を待つお年よりは、1万1000人と増えつづけ、あと何年待てば入れるのか、見通しはありません。

 私たちは、「福祉医療」を削る「行革」をやめ、社会保障を拡充する県政をめざします。

  1. 乳幼児・高齢者・障害者・母子家庭など福祉医療の助成を削減せず、継続します。入院給食費助成を復活します。
  2. 健康福祉事務所(保健所)の再編・統合の中止など、県の「行革」を抜本的に見直します。
  3. 県独自の介護保険料、利用料の減免制度を創設します。特別養護老人ホームなどの施設の整備や県独自の財政支援を強めます。
  4. 国保の市町への支出金を増やします。保険証の未交付などをなくし、県民が必要な医療を受けられるようにします。

2.中小企業・農林漁業を応援、雇用の拡充

 県内の雇用の8割を支える中小企業への支援は、きわめて不十分です。県の中小企業の予算は、融資をのぞけば、76億円で一般会計の0.4%しかありません。一方、関西電力の跡地に進出する松下電器には、最大30億円もの助成制度をつくるという優遇ぶりです。しかし、マスコミも「かさむ負担、増えぬ雇用」と県の大企業優遇策を疑問視しています。
  県は、大多数の農家を切り捨てる国の農政に追随し、家族営農へのまともな支援はありません。
  兵庫の雇用状況は、有効求人倍率が全国0.69倍(03年)にたいし、0.55倍。完全失業率は、全国5.3%(03年)を大きく上まわり、6.5%と全国ワースト5位です。県下の常用労働者数は、大企業のリストラなどで4年間で13万人も減少するなど、非正規雇用へのきりかえがすすんでいます。井戸県政は、大企業におよび腰で、「リストラの規制、サービス残業・長時間労働の規制を」との要求にも「それは労使の問題」と県民の不安にこたえる姿勢はありません。
財界人らを交えた「ひょうご経済・雇用戦略会議」で「5万人雇用創出」策を打ち出しましたが、実現したのは臨時の不安定雇用がほとんどです。県地方労働委員会の労働者委員は連合で独占し、井戸知事の選挙母体からしか選出しないという不公平ぶりです。

 私たちは、大企業優遇よりも、中小企業・農林漁業をしっかりと応援する県政をめざします。

  1. 「中小企業振興条例」を制定し、中小企業予算を抜本的に増やします。
  2. 県の融資制度、信用保証制度などを活用して、地域に根ざした金融機関の育成と地域中小商工業への融資を促進します。
  3. まちづくりの視点から、野放しの大型店を規制し、商店街・小売業の活性化をはかります。
  4. 中小企業向け官公需発注率を工事部門を含め80%以上に改善します。
  5. 住宅リフォーム助成制度、小規模工事登録制度の創設など仕事おこしにとりくみます。
  6. 農林漁業を基幹産業に位置づけ、コメ「改革」の中止を国に求め、家族営農を守り、食料自給率の向上と農林漁業の再生へとりくみを抜本的に強めます。
  7. 米国産牛肉の輸入が再開されても、畜産と県民の健康を守るため、県として全頭検査を堅持します。

 リストラを野放しにせず、若者が安心して働ける県政をめざします。

  1. 高卒者の就職、青年雇用対策を抜本的に強めます。
  2. 職業訓練所の充実や雇用助成制度を創設するなど未就職者をなくします。
  3. 公的就労の促進をはかります。
  4. 県内の大企業に働きかけるなどサービス残業ゼロ対策を強力に推進します。

3.30人学級、少子化問題に正面からとりくみ、子育て不安の解消を

 保育所の待機児童数は、1814人(03年)。待機児にカウントされないベビーホテルの利用者などを含めると、その数倍になるとみられますが、県の解消策は、「定員の弾力化」「民間活力の導入」にとどまり、市町まかせです。合計特殊出生率は、全国1.29にたいし兵庫1.25(全国38位)と少なく、安心して子どもを産み、育てられないのが現状です。
  県は、父母や生徒、教師の願いに背をむけて、「高校改革」の名で高校の統廃合や定数の削減、地域に根づく「総合選抜制」つぶし、受験競争を激しくする「複数志願制」導入などをすすめています。芦屋高校への単位制導入では、再考を求める芦屋市の要望書のうけとりを拒否するなど、地元市町の意向も無視しています。
 少人数学級は、県民のねばり強いとりくみで小学1年の35人以下学級がやっと実現しました。しかし、県教委は、少人数学級に「メリット・デメリットがある」と消極的で、全国で広がりつつある小中学校全学年の30人学級にくらべて遅れています。

  私たちは、教育条件を向上させ、文化・スポーツを振興する県政をめざします。

  1. 小中学校全学年で30人学級の実現をめざします。すべての子どもたちが基礎学力を身につけられるよういきとどいた教育をすすめます。
  2. 県立高校の統廃合を中止し、希望者全入をめざします。県民不在の「高校改革」を改め、総合選抜制度の堅持や複数志願制の再検討など県民参加でよりよい制度をめざします。奨学金の給付制度をつくります。
  3. 私立学校の支援の拡大のため、「行革」で削減された補助金を元にもどし拡充します。生徒の授業料軽減補助制度を拡充をします。
  4. 文化振興条例を制定し、県民の文化的な事業を応援します。
  5. 身近に気軽に参加できるスポーツ施策を強め、料金の低廉な施設を整備します。

  子育て支援・少子化対策に正面からとりくみます。

  1. 待機児童の解消など保育所や学童保育を拡充します。
  2. 乳幼児医療費を無料にもどし、所得制限をなくし、対象年齢などの拡充をすすめます。
  3. 小児科医を確保するなど小児救急医療体制を拡充します。
  4. 児童虐待をなくすとりくみやDV対策を強化します。相談・支援のための専門的な体制と施設を早期に拡充します。

4.被災者の生活再建支援の拡充、安心・安全のまちづくりを

 井戸県政は、10年を区切りに被災者支援策をうちきろうとしています。災害復興公営住宅の高齢化率は43%に達し、「孤独死」が327人にのぼります。家賃を払えない被災者は、追いだされています。国連・社会権規約委員会が、ひとり暮らしの高齢者や被災者の生活再建を懸念し、必要な支援の実施をもとめた勧告さえも、県は「事実誤認」と拒否してきました。
  県政は、国とともに被災者への個人補償を否定。「共済制度」に固執してきました。「創造的復興」をとなえ、被災者の生活と営業の再建より大型開発を優先し、復興事業費16兆3000億円の6割、10兆円を「多核・ネットワーク型都市」づくりに投入しました。ダムなど公共事業を中止し、地震被災者の住宅再建に個人補償をおこなった鳥取県とは正反対の態度です。
昨年の台風被害では、世論と運動で支援策を拡大させる前進面もありましたが、京都府が最高600万円の支援金を支給するのに、井戸県政は最高400万円と少なく「大震災を体験した兵庫県なのに」と批判の声があがっています。

 私たちは、震災・台風被災者への公的支援を拡充、継続する県政をめざします。

  1. 災害復興公営住宅の家賃補助など必要な支援を継続・拡充します。
  2. 「災害援護資金」の返済期間や「災害復旧融資」の返済猶予を延長します。
  3. コミュニティー再建にとりくみ、高齢者の見守り体制を抜本的に拡充します。
  4. 台風被災者への支援は、全壊に最高6百万円など京都なみに拡充します。
  5. 被災者生活再建支援法の早期抜本改正を国に求めます。
  6. 中小業者や農家の再建を直接支援する制度をつくります。

 防災対策の強化、安心・安全のまちづくりをすすめます。

  1. 学校や住宅の耐震化の促進、河川改修など総合治水、津波・高潮対策に本格的にとりくみます。
  2. 県民生活の安全に真に奉仕する警察に体質、体制を改革し、空き交番を解消します。

5.公共事業の浪費にメスを入れ、生活密着型に

 全国の自治体が公共事業を削減しているのに、井戸県政は、毎年3400億円もの予算を空港やダムをはじめ公共投資に投じるなど逆行しています。ふくれあがった借金は、4兆186億円(県債残高)、県民一世帯あたり186万円にのぼります。
  マスコミも「『売れない』塩漬け・保有地、全国最大」「安易な開発計画を基に用地取得を続けてきたツケに今、直面している」と指摘するように、開発計画が破たんした未利用地が県内各地に広がり、県の保有地は、尼崎市の面積より広い6000ヘクタールとなっています。 
  井戸知事は、こうしたムダづかいに反省もなく、“兵庫県は広いからまだ整備する個所も多い”と宝塚北部の新都市づくりなど見通しのない大規模開発もすすめようとしています。神戸空港に75億円、関空二期に100億円の県費の支出を決め、昨年12月の「どう生かす関西3空港」シンポジウムでは、「神戸空港は国際と国内の乗り継ぎ機能をもつ」とのべ関西国際空港とを結ぶ海底トンネル(事業費7000億円以上)の建設をあらためて主張し、参加者をおどろかせました。

 私たちは、大型開発より暮らしと環境を優先する県政をめざします。

  1. 武庫川ダムや宝塚新都市などムダと環境破壊の大型公共事業を中止します。
  2. 公共事業を生活密着型にきりかえ、福祉施設の新増設、学校の耐震化、森林保全など「生活・福祉・防災・環境」型の事業を推進します。
  3. 大型開発による環境破壊をやめ、生態系や住環境をまもります。
  4. 大気汚染対策やゴミ減量化、産業廃棄物対策を強化します。

6.市町いじめや国追随の姿勢をあらため、真の地方自治を

 市町合併では、前知事と異なり、井戸知事は「市町経営のあり方支援検討会議」を「本部」に格上げし、自ら本部長となって強引に合併を推進しています。合併をめぐる議論がつづく浜坂町には副知事が直接のりこみ、合併促進をせまるなど、地元の自治体や町民の意志を無視する態度です。南芦屋浜や淡路・津名の埋め立てでは、利用見通しのない大規模開発用地の尻ぬぐいを地元の自治体に押しつけています。
県政の国追随の姿勢は、市町合併の押しつけや福祉切り捨てにとどまりません。01年、米ミサイル巡洋艦の姫路港への入港時や03年、イラク戦争に参戦した米ミサイルフリゲート艦の入港時には、明確な非核証明がないのに、県民の不安や批判の声を無視して、入港を許可しました。

 私たちは、県民参加、真の地方自治の発展をめざします。

  1. 押しつけの市町合併に反対し、合併しない市町の支援策を強めるとともに合併した新しい市町のまちづくり支援策を充実します。
  2. 県のあらゆる施策の策定段階から県民参加を促進し、県民の目線にたった県政運営に変えます。
  3. 知事の退職金5000万円を大幅に削減し、県民の目線で仕事をします。
  4. 「三位一体の改革」に反対し、国庫補助負担金制度を守り、国からの税源移譲の推進に全力をあげます。

 県民の安全と平和を守る県政をめざします。

  1. 有事法制・国民保護法制と憲法改悪に反対し、県民を戦争の危険にさらさないとりくみを強めます。
  2. 非核平和兵庫県宣言で平和な県土をめざします。

3.力をあわせ県政転換を

 自治体の変質がすすみ住民との矛盾が噴出するもと、自治体ほんらいの役割をとりもどそうという新しい変化が全国で生まれつつあります。兵庫県内でも、尼崎市などで「オール与党」の現職が敗れ、新市長が誕生したり、出石町では県内で4人目の日本共産党員の町長が生まれました。県「行革」をめぐり、県医師会や神戸市医師会が10万人、8万人もの福祉医療削減反対の署名を集めたり、患者団体が立ち上がるなど、従来の枠をこえた要求運動も広がっています。地域住民や市町の意向も無視した「高校改革」の押しつけに尼崎、西宮、芦屋、神戸、明石、相生など各地で運動がおこっています。
  井戸知事を含め兵庫県政は、旧内務省や自治省の天下り官僚が41年間にわたり知事をつとめてきた全国的にもまれな県です。しかも日本共産党以外の「オール与党」体制に支えられた県政です。国に追随して市町に福祉削減をおしつけ、県民の暮らしを犠牲にする冷たい県政から、「県民が主人公」の新しい兵庫県政に改革しようではありませんか。いまこそ県民の願いを大事にする知事を誕生させるため、力をあわせましょう。

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