このサイトは旧サイトです。最新情報などはこちらをご覧ください。
メニューをスキップする TOPページへ 本会議へ 予算決算特別委員会へ ニュースへ 政策見解へ 県会報告へ リンクへ スケジュールへ
2005年01月17日

阪神・淡路大震災10周年にあたって
被災者の苦難の軽減に全力をつくします

 6433人の命をうばい、住宅の全半壊(焼)47万世帯、一部損壊26万棟という大きな被害を与えた阪神・淡路大震災から10年がたちました。亡くなられた方がたに心からの哀悼の気持ちをのべるとともに、被災者のみなさんにお見舞いを申し上げます。
 いま阪神・淡路の被災地では、行政が復興10年の「成果」をアピールするとりくみをすすめています。「復興10年の検証」を言うのなら、個人補償がなかったため、いまなお震災による困難から抜けだせない被災者の現状と課題を明らかにして、苦難の軽減に全力をあげること、国や自治体の復興施策を被災者の立場から検証し、今後の自然災害に教訓を生かすことが求められています。
 被災者への個人補償は、震災後の世論と運動で前進し、被災者生活再建支援法にもとづき最高300万円を支給する制度ができました。しかし、支給の条件が実態にそぐわないなど見直し・拡充は、急務です。震災10周年にあたり日本共産党は、阪神・淡路大震災の被災者の切実な要求の実現、生活再建支援の抜本的な拡充、防災対策の強化に新たな決意で奮闘します。

震災前の暮らしとりもどせない

いまも多くの被災者が、震災前の暮らし向きをとりもどせずに苦闘しています。震災前と同じ場所に住みつづけられている人は、神戸市内51%(「復興の総括・検証」)、西宮市内、芦屋市内ともに37%(「復興カルテ」)にすぎません。
 人口は、被災地全体としては「震災前水準にまで回復した」といいますが、神戸市長田区は8割、隣の兵庫区、須磨区は9割にとどまったままで、「まず区画整理ありきで復興が遅れた」(党神戸市議団の震災10年アンケート調査より=以下、アンケート)と怒りの声をあげています。
 災害復興公営住宅は、市街地から離れた臨海部や丘陵地に立地する大規模団地が多く、コミュニティーを分断された高齢者が入居をよぎなくされました。高齢化率は43%に達し、「孤独死」が仮設住宅での233人を上まわり、327人にのぼっています。いまの暮らしに不安感を訴える人は、約7割にのぼり(アンケート)、家賃を払えず追いだされる被災者も相次いでいます。
 自宅を再建した人も、ローンの負担にあえいでいます。住宅金融公庫の被災者向け住宅ローンの返済破たんは、年々増えつづけています。災害援護資金を借りた5万6000人のうち約3割は、10年の期限内返済が不可能となっています(復興県民会議調べ)。
 売上高・利益が震災前を下回る中小企業は、約7割(産業復興推進機構調べ)にのぼり、「震災の影響が残っている」と答えた事業所は5割以上です。商工自営業者は、震災で9割が年商・売上高を減らし、被災企業が入居する神戸市の「ものづくり復興工場」(復興支援工場)では、約4割の事業所が家賃を3カ月以上、滞納せざるをえない実態です。「商売人は生きていくのがつらい」(アンケート)と悲痛な声をあげています。
 神戸市兵庫区、灘区、長田区では、震災後の97年から01年までの自殺率が全国平均の1.5倍にのぼっています。

支援策うちきる国・自治体

 被災者は、「いまからでも遅くない、公的支援を」と求めているのに、国や自治体は10年を区切りに、「復興基金」をはじめ被災者支援策を打ち切ろうとしています。
家賃補助は、災害復興公営住宅入居者の8割が継続を望み(アンケート)、「打ち切られたら生活できない」と声をあげているのに、廃止されようとしています。災害援護資金は、回収への「努力」をせまる国の意向も受け、神戸市などでは「滞納者」への強制執行にふみきっています。さらに数千人を対象に「法的措置を前提に厳しい対応を執っていく」と取り立てを強めています。
 被災した中小企業への「災害復旧融資」は、国が05年から返済猶予を延長しない方針を明らかにしました。利子補給も打ち切られます。兵庫県商工団体連合会は「被災地の実態を見ない冷たい対応だ」と延長中止を批判しています。
 「ものづくり復興工場」(復興支援工場)の家賃の値下げを拒否してきた神戸市は、「外部評価」で民間賃貸工場の家賃補助の打ち切り、市外避難者への市広報の有料化などの方向を打ち出しています。

被災者の立場で「震災10年の検証」を

 震災をきっかけに行政への失望感は、激増しました。なぜ被災者を失望させたのか、国や自治体は、震災復興のあり方を被災者の視点で検証すべきです。
 検証すべき第一は、国や自治体が「私有財産に税金は投入できない」と個人補償を否定したことです。最近の世論調査でも、住宅再建に国費を支給しない政府の方針を「支持しない」は67%にのぼっています。震災後の国や自治体の態度が、個人補償を願う被災者を失望させ、生活再建を困難にしたことは、明らかです。
 第二に、国や自治体の復興施策が被災者の生活再建よりも開発が優先だったことです。国の復興委員会や兵庫県は、「単に震災前の状態に回復するだけではない」と「創造的復興」をとなえ、「多核・ネットワーク型都市」づくりを復興の基本目標にすえました。県下各地に新都市をつくり高速道路などで結ぶゼネコン型の大型開発そのものでした。神戸空港までが復興事業とされました。16兆3000億円の復興事業費の6割、約10兆円もの巨費が「多核・ネットワーク型都市圏の形成」にあてられました。「住みなれた元のまちに」という被災者の願いに背を向け、「元の状態にもどしていいのか」「高齢者の集団を長田につくって、一体どうするのか」(前知事)とコミュニティーを無視して被災者をバラバラにしました。
 兵庫県が震災から教訓を組みつくしていないことは、昨年の台風被害への対応からも明らかです。住宅の応急修理は、震災のときの反省から「制度の一層の普及、活用が図られるべきである」としていたのに、台風被害でも活用が遅れました。台風被災者への県の支援金は、京都府よりも少なく、「大震災を体験した兵庫県なのに」と批判の声があがっています。個人補償の否定や復興施策のゆがみを国や自治体が猛省し、必要な支援を継続・拡充すること、震災の教訓を今後の災害に生かしてこそ、真の「震災10年の検証」です。

支援の拡充、県政・神戸市政の転換を

 日本共産党はこの10年間、阪神・淡路大震災救援・復興兵庫県民会議や被災者と力をあわせて、個人補償の実現など生活と営業の再建に奮闘してきました。復興施策のゆがみを批判し、被災者の切実な要求の前進に力をつくしてきました。世論と運動が、被災者生活再建支援法とその改正、鳥取県をはじめ全国18都府県での独自制度の創設など、個人補償を前進させてきました。兵庫県が台風被災者に最高400万円の支援金支給にふみきらざるをえなくなったのも、震災以来のたたかいの大きな成果です。
 日本共産党兵庫県委員会は昨年10月、震災10年の被災者の現状を示し、継続・拡充すべき支援策を政府に要求しました。ローン負担の軽減、災害援護資金の返済期間延長と返済免除の拡大、「災害復旧融資」の返済期間延長、災害復興公営住宅の家賃補助の延長や高齢者の見守り体制の拡充、固定資産税の震災特例の延長、PTSD対策などを求めました。被災者生活再建支援法を改正し、支給額のひきあげ、住宅本体の再建・補修への適用、所得制限など支給条件の見直し、中小業者の営業再建への直接支援、阪神・淡路大震災の被災者に相当の支援措置をもりこむことを要求しました。これからも必要な支援を国に求めて奮闘します。
 災害援護資金のとりたて強化や家賃滞納を理由にした災害復興公営住宅からの追い出しなど冷たい県や神戸市などの対応の是正、新長田駅南再開発など震災復興のまちづくりを住民本位に見直すことを求めて奮闘します。震災10周年での「幕引き」を許さず、「国民の苦難あるところ、日本共産党あり」の精神で、被災者の切実な要求の実現にひきつづき力をつくします。ことしの県知事選挙、神戸市長選挙では、真の復興をめざして県政、神戸市政の転換に全力をつくす決意です。
個人補償を求める運動の成果を発展させ、復興支援を抜本的に強めること、住宅や学校の耐震化など地震対策、河川改修など総合治水や津波・高潮対策、国土保全に役立つ山づくりなど防災対策の拡充に奮闘する決意です。(日本共産党兵庫県委員会 1月17日発表)

前のページへ戻る このページの上へ
Copyright(c)2001-2018 日本共産党兵庫県会議員団