2005年度予算編成にあたっての重要政策提言
- 第1.県民のくらしと福祉を第一にする県政へ
- 第2.戦後・被爆60周年の年。憲法9条、平和をまもる県政へ
- 第3.住民本位の震災復興・防災対策強化のために
- 第4.真の地方自治・地方分権のために
- 第5.地域経済活性化のため、農林水産業、中小企業支援と雇用対策の抜本的強化を
- 第6.大型公共事業優先から、生活密着型の公共事業へ
- 第7.環境破壊をやめ、豊かな自然と緑を守るために
- 第8.子どもたちに確かな学力と豊かな人間性を育む教育を
- 第9.文化・スポーツの振興のために
- 第10.警察行政について
景気は「回復基調」にあると言われていますが、中小企業の経営状況「回復」の兆しは一向に見えてきません。また、最新(7月)の労働力調査によると、完全失業率が4.9%と前月より0.3ポイント上昇し、六ヶ月ぶりに悪化するという状況で、事態はまだまだ深刻です。「年金改悪」や消費税増税の動きなど暮らしも大変です。また、「自衛隊のイラク派兵」や「多国籍軍」への参加、さらには「憲法改悪」の動きなどわが国の平和が大きくおびやかされています。 一方、国の財政再建のみを優先させた「三位一体改革」にたいし、全国知事会など地方六団体はこのほど、住民の暮らしを支える重要な国庫補助負担金の削減を自ら打ち出しました。公共事業関連などの無駄な補助金を削減するのは当然ですが、暮らしや福祉、教育に関わり国が財源保障に責任を負うべきものまでいくらかの税源移譲と引き替えに「放棄」することは、サービス水準の低下とともに自治体間格差の拡大、住民への新たな負担増につながるものとなってしまいます。 このような国の動きに対し、県民は不安を増大させつつ、県政への期待と要望はますます強くなっています。 ところが井戸県政の方向は県民の願いとは逆行して、全国の自治体が公共投資削減の方向に進んでいるなか本県のみが県単独事業前年度比105%と従来型の公共事業は温存する一方、県民サービスを大幅に切り捨てる「県行財政構造改革」推進方策を強行する姿勢を崩しておりません。 今こそ、地方自治の本旨にたちかえり、県民の願いに応えて県民生活を守る県政への転換が求められています。 以上の観点から、2005年度の予算編成に当たり、 - 税金の使い方を県民のくらし・福祉・医療・教育など県民生活を守る施策へ抜本的に転換すること。
- 阪神淡路大震災から10年が経過しようとするとき、残されている多数の課題を明確にし、解決することに全力を注ぐこと。
- 県政が国の悪政から県民を守る「防波堤」となるためにも国に対して県民の立場からしっかり「もの」を言うこと。
などを強く求め、以下10本の柱、88項目による「重要政策提言」を行うものです。 第1.県民のくらしと福祉を第一にする県政へ 「行財政構造改革推進方策の後期5か年の取組み」は、大規模開発事業をはじめ、不要不急の公共事業を温存し、予算を優先確保する一方、福祉、医療、くらしに関わる施策は切り捨て、県民生活をいっそう圧迫するものとなっている。来年度はそのまま実施することを中止し、県民生活を守る施策を優先すること。 - 「県行革」での県民負担増などの施策の中止・撤回を
- 福祉医療(老人、母子家庭、乳幼児、重度心身障害者)助成事業は来年以降も「現行通り」継続実施すること。
- 入院生活福祉給付金事業は、04年10月廃止を中止し、助成を復活すること。
- 総合衛生学院および厚生専門学院における看護師課程・保健師課程・助産師課程の縮小・廃止を中止し、継続実施すること。県税事務所、福祉事務所の再編・統合を中止すること。
- 精神障害者の一般医療について福祉医療助成制度の対象とすること。
- 国民健康保険について
- 国民健康保険については、保険料の滞納を理由とした「保険証未交付」や「短期保険証」「資格証明書」の発行が増大している。県民が必要な医療を受けられるようにするため、全ての加入者に正規の保険証を交付するよう徹底すること。県の市町への補助金を増額し、国庫負担の増額を国に求めること。
- 国民健康保険における、国保法第44条にもとづく医療費(一部負担金)の減免制度を県内全ての市町で実施するよう指導すること。(現在神戸・尼崎・西宮で実施)
また、県として県民に対して医療費・一部負担減免制度が利用できることを周知徹底すること。
- 安心できる介護保険制度にするため、
- 国の介護保険制度の見直しに当っては、厚生労働省が示した「要支援」「要介護1」など介護度の低い人に対するサービス利用の抑制や利用料引き上げなどの負担増には反対すること。ヘルパーの訪問介護を拡充し、負担の軽減を図ること。
- 県独自の介護保険制度の保険料・利用料減免制度を創設すること。
特別養護老人ホームの入所待機者の解消のため、必要な施設の増設を行うこと。
- 障害者支援費制度の現状は、障害者にとって必要なサービスが十分に受けられない実態となっている。専門のケアマネージャーなどの人的体制も含め、必要な基盤整備を行うこと。また、障害者の負担増とサービスの後退につながる介護保険制度との統合に反対すること。
- 1次・2次医療を、一元的に受け入れることができる小児救急医療体制の整備を急ぐこと。また、そのための小児科医の確保・体制づくりへの財政支援を行い、国に対しても診療報酬制度の改善を求めること。
- 政府の「待機児童ゼロ作戦」は、「待機児童」をしぼりこむ策がとられ、つめこみによる保育園の定数増が行われただけで、「保育所待機児童」はいっこうに解消されていない。抜本的解決のため、新設を基本に保育所を増設整備すること。
また、保育料の軽減をはかり、政府が民間保育所運営費の一般財源化をすすめようとしていることに反対し、拡充を求めること。 - 児童の一時保護所を各子どもセンターに設置するとともに専門職員の増員をおこなうこと。また、民間児童養護施設を増設すること。
- DV対策の強化のために、女性相談センターの施設の拡充と、専門職員を増やすなど人的体制の強化や、民間シェルターへの助成を拡充すること。
第2.戦後・被爆60周年の年。憲法9条、平和をまもる県政へ イラク多国籍軍への自衛隊派兵、国内では有事法制や国民保護法制の整備がすすめられている。また、政府・自民党や民主党も含め、憲法9条を改悪し、日本を「戦争する国」にしようとする動きが出てきている。 沖縄の米軍ヘリ事故に見られる米軍の対応に国民的な怒りが広がっているが、米軍基地や自衛隊との共同体制もすすめられ、県内での米軍機による超低空飛行訓練も相変わらず行なわれている。 そんな中、憲法を遵守し、平和と住民の安全を守る地方自治体の役割の発揮が求められている。 - 平和と基本的人権、地方自治を踏みにじる有事法制の発動に反対すること。国民保護法制は、住民の人権を制限するものであり、「国民保護協議会設置条例」は議会提出をしないこと。
- すべての核兵器保有国の核廃絶と、核開発を行なおうとする企てに反対する県の意思を表明するとともに、「非核兵庫県宣言」を行なうこと。
- 非核「神戸方式」を守り、県管理の全ての港湾にこの方式を適用すること。
- 戦後60周年、被爆60周年をむかえるにあたって、戦争や被爆の経験を語り継ぐ事業や被爆者援護の活動強化をすすめること。
- 沖縄の米軍ヘリ事故にたいし、国民的な怒りの声が広がっている。兵庫県でも大阪国際空港などへの米軍機の飛来や県域内での米軍低空飛行訓練が行なわれている。その中止を国や米軍に要求し、日米地位協定の見直しを国に求めること。
第3.住民本位の震災復興・防災対策強化のために 来年1月17日で震災からまる10年を経過しようとしているが、住宅再建への支援などが震災復興対策事業としてもともと取り組まれていなかったことや、残されている課題が多数あり、震災復興対策事業の継続・拡大が必要である。 また、防災計画は災害が起きたときの対策だけでなく、南海沖地震など今後の災害による被害を最小限におさえるための対策をより重視するものに見直すことが必要である。 - 震災復興対策事業の打ち切りや一般施策への解消は中止し、SCSや緊急災害復旧資金融資などの生活再建支援、中小企業支援の震災復興対策事業の水準を維持、拡充すること。各分野の課題は多数残されており、総合的な調整・震災復興を所管する総括部を残すこと。
- 「生活再建支援法」の見直しにむけて、支給条件の緩和、支給金額の大幅増の抜本改正となるよう、国に働きかけを強めること。
住宅本体への支援、支給金額を最高500万円とするよう国に強く求め、阪神・淡路大震災への遡及適用を求めるとともに、鳥取や福井などで実施しているように被災者の実態に即して県単独の支援策を講じること。 - 防災行政は、東部新都心や三木防災記念公園など大規模施設づくりに偏重するのではなく、防災体制や消防力の強化のために市町への支援を強化すること。
- 震災の教訓を生かして、無料耐震診断の復活をはじめとする民間住宅の耐震化策の強化、小・中学校、公的病院の耐震化の目標と計画を策定し、国とともに財政支援を積極的に行なうこと。
- 台風16号被害によってあらためて防災対策の不十分さが明らかになった。災害救助法について、小規模な災害にも適用されるよう見直すことを国に求めること。また、防波堤の強化など南海沖地震対策を強化すること。
第4.真の地方自治・地方分権のために 小泉自公政権は「三位一体改革」で、地方自治体の「構造改革」、自治体リストラを強行している。国庫補助負担金の一般財源化や「交付税の財源保障機能全般についての見直し」などで、国の支出の大幅な削減を図り、財源移譲を十分にしていない。 また、小規模市町を強制合併させたり、合併しない市町の権限を制限・縮小することは地方自治の本旨に反するものである。 真の地方自治・地方分権をすすめるためにも、情報公開を積極的に行い、県民参加を保障する県の役割が一層求められている。 - 義務教育国庫負担制度や生活保護費など、住民の福祉や教育サービスの削減につながる国庫補助負担金制度の縮減に反対すること。
- 地方交付税の財源保障機能と財政調整機能を堅持し、地方交付税の削減を行わないよう国に強く求めること。
- 年金をはじめ社会保障の財源を名目に消費税の増税がねらわれているが、消費税は社会的弱者に重い負担のかかる逆進性の強い税である。国に対し、消費税の増税に反対すること。
- 省庁縦割りの重複・類似事業や不要不急のムダな公共事業の国庫補助負担金は抜本的に見直し削減を求めること。「都市再生」型の公共事業を見直し、生活密着型公共事業の拡充を国に求めるとともに、県としても実施すること。また、国直轄事業における地方自治体の負担金は廃止するよう求めること。
- 市町合併については、合併支援県道や「交付税削減」の誤った情報提供など合併誘導策をやめること。合併しない小規模自治体にたいしては支援策を行うこと。
住民の自治には程遠くなることが危惧される「道州制」については反対すること。 - 現状の「パブリック・コメント」は、「県行革」などで多くの県民からの反対意見があったにもかかわらず計画を決定するなど、真の県民参加を保障できるものとなっていない。
県民への周知や、期間・方法、内容を見直すとともに、県民意見を施策に反映させること。
第5.地域経済活性化のため、農林水産業、中小企業支援と雇用対策の抜本的強化を 真の景気回復には地域経済の活性化が不可欠である。そのため中小企業や農林水産業を県内産業の主役と位置づけ、ふさわしい支援をおこなうとともに、深刻な雇用状況の改善をはかることが緊急に求められている。 雇用対策について- 新規学卒者をはじめ、若年層の雇用拡大をはかるため、大企業に対し、新規採用の拡大を強力に働きかけ、地元中小企業対象の若年者雇用への補助金を創設すること。また、県の職員採用に当たっては、高校卒業者の採用枠の拡大をはかるなど、支援策を講じること。
- 大企業に社会的責任を果たさせるために、リストラ・人減らしをやめ、雇用を守ること。違法な「サービス残業」を根絶し、正当な賃金が支払われるよう、県として強く働きかけること。
- 賃下げなしの労働時間の短縮を実現し、あらたな雇用拡大を図る真のワークシェアリングを推進すること。
- 正規雇用が減少する一方で、パートや派遣など不安定雇用が大幅に増大し、労働者の低賃金化、労働条件の悪化が問題となっている。県として、福祉・医療、教育などの各分野の施策を充実し、不安定雇用でなく、常用の公的分野での雇用拡大を図ること。また、民間企業での正規雇用の採用枠の拡大を働きかけ、啓発・推進活動をすすめること。
地域経済・中小企業支援について- 中小企業・地域経済振興条例を制定し、県の重要施策として、ふさわしい中小企業支援施策を展開すること。そのため、中小企業予算を大幅に増額すること。
- 「貸し渋り」「貸しはがし」が依然として横行している。中小企業向けの制度融資の改善と拡充を図ること。経営活性化資金融資の利用を、法人と青色申告者に限定せず、白色申告者も含めて広く利用できるように改善すること。
- 中小企業への支援、特に販路拡大のための営業指導を強化すること。
また、中小企業向け官公需発注率を工事部門を含め80%以上に高めること。 - 大型店の出店、撤退を規制するため、必要な法律の制定を国に求めること。
大規模小売店舗立地法を活用して、環境、交通の規制はもとより、教育、非行問題なども含め、市場・商店街の持つ「まちづくり機能」を重視して大型店の事実上の出店規制を行うこと。 - 不当に低く抑えられている下請単価について、くらしが成り立つ単価に設定するよう、親企業・元受け企業などに強く働きかけること。
県発注の公共事業については、発注元責任を果たすこと。 - 自営業者の家族従事者(業者婦人)の日本経済のなかで果たしている役割は大きいが、それにふさわしい社会的・経済的な地位の確立がなされておらず、その対価が正当に評価されていない問題がある。県として、実態把握のための調査を行うこと。また、国保においても傷病・出産手当の給付を実施することや、所得税法56条廃止を国に求めること。
安全な食料の安定供給のため、農林漁業を再生し、食料自給率の向上をはかる- 政府の農政「改革」での農産物輸入のいっそうの拡大や競争に耐えられない農家の切り捨て、農業予算の大幅な削減に反対すること。また、県民への安全な食料の供給、環境や県土を守るためにも重要な役割を持つ農林水産業を県の基幹産業と位置づけ、食料自給率の向上と地域経済振興のための施策をとること。
- 米「改革」は中止し、麦・大豆など主な農産物にも価格・所得保障をおこなうよう国に求めること。大規模経営だけでなく、複合経営、兼業など地域や農家の条件に応じた家族経営や集落営農などへの支援を強化すること。
- 小・中学校給食へ地元産の農水産物導入の補助を増額すること。導入のための教育委員会との連携や調整・支援を行なうこと。
- 「食の安心・安全」について
- 農薬や化学肥料へ過度に依存した生産・供給体制を改め、有機農業など生態系と調和した生産に取組みをいっそう進めること。
- 輸入食品への安全を確保するために、輸入農産物のチェック体制の強化と原産国表示の徹底を図るよう国に要望すること。
- BSE問題での政府の全頭検査、危険部位の除去を継続・堅持し、全頭検査をしていない国からの輸入禁止の継続を求めるとともに、県産牛肉の全頭検査も堅持すること。
- 今年2月の鳥インフルエンザ問題の教訓から、被害を受けたすべての農家へ被害補償をさらに充実すること。さらに、人畜共通感染症への対策を抜本的に強化するために、縦割り行政の弊害を改善し、一体的に機敏な対応が可能な体制にすること。
- 林業の活性化と森林の多面的な機能を発揮させるためにも、除伐・間伐を治山・治水事業の一環として位置づけ、国が責任を持ってすすめるよう求めると共に、県産材の活用促進など、県としてもいっそうの支援策をおこなうこと。
- 日本は水産物も世界最大の輸入国で、自給率も50%近くまで低下し、漁業経営を圧迫している。乱獲での資源の枯渇も問題であり、資源管理のための対策を強化すること。
干潟・藻場の破壊や埋立、河川の汚濁などによるノリの色落ちをはじめ、漁場の荒廃・破壊をくいとめるため、豊かな瀬戸内海をとりもどす総合的な再生事業を、目標を明確にしてすすめること。
第6.大型公共事業優先から、生活密着型の公共事業へ 一部ゼネコンの「仕事づくり」のためと思われるような大型公共事業は、県財政を破綻に追い込むだけでなく、環境破壊をもたらし、地域経済の発展にもマイナスとなっている。「公共事業依存型県政」からの脱却こそが真の改革であり、時代の要請である。 公共投資の抜本的見直しを行うため- 来年度の予算編成に当たっては、3,400億円の県「行革」優先確保枠を廃止し、必要な事業の積み上げ方式に改めるとともに、公共投資予算を大幅削減すること。
- 国の直轄事業は、本来国の責任で行うべきであり、県の負担金について中止すること。
- 県の行う事業について、特に広範な県民が利益をこうむる事業は県が責任を負うべきであり、事業対象市町に負担を求めないこと。
- 先行取得用地を始め、県が関わっている用地全てについて県民に明らかにするとともに、今後の土地利用計画について県民参加のもとで見直すこと。
- 現在の「公共事業等審査会」は、事実上の「追認機関」となっており、本来の役割を果たしていない。県民に公開、傍聴できるようにすることや公募委員を入れること。また、住民からの対案提出の機会保障と検討の義務づけなど、抜本的改善を行うこと。
- 企業庁地域整備事業については、基本的に「開発抑制」を行う視点から「経営ビジョン」の抜本的見直しとともに、県民誰もが理解できるような会計制度とするため、各プロジェクト別収益収支状況の公表を行うこと。
無駄で環境破壊につながる大型公共投資事業は中止すること- 高規格道路偏重の道路行政を改め、第2名神高速道路の建設中止など、高速道6基幹軸計画の抜本的見直しを行うこと。
- 投資規模が莫大で採算見通しもない紀淡海峡連絡道路建設計画や、阪神疏水構想・大阪湾横断鉄道構想は中止すること。
- 神戸空港建設や、関西国際空港2期など採算の見通しもなく環境に甚大な影響を与え、多くの住民が反対している空港建設への県の補助金支出や出資をやめること。
- 武庫川ダムの中止を明確にした上で住民参加の下「治水計画」を策定すること。但馬・丹波地域で進めている西紀ダムや八鹿ダムをはじめとした「生活貯水池ダム」や、寺畑前川の「地下巨大貯水槽」の建設計画を中止・見直すこと。
- 進度調整を行っている播磨科学公園都市2・3工区をはじめ、分譲見通しのないひょうご情報公園都市など、巨大な「公園都市」づくりはただちに凍結・中止すること。
- 宝塚新都市、小野長寿の郷構想や但馬空港周辺整備のように、将来にわたって事業見通しが不透明な開発事業はいったん中止をし、率直な県民の意見を聞き今後の検討を行うこと。
- 有馬富士公園2期工事や、播磨中央公園2期工事など広大な「県立公園」づくりを中止すること。身近に利用できる「まち中の公園」整備への支援とともに利用しやすい公園管理のありかたを地域住民とともに確立すること。
県民生活に直接役立ち、中小業者の「仕事づくり」になる公共投資を充実すること- 県営住宅の必要な増設を行うこと。また快適な入居環境を確保するため改築・改修など積極的に行うこと。また、明舞団地再生計画については、県営住宅建て替えではPFI的方式をやめて現在の戸数を確保し、入居者の追い出し・転居につながる計画を見直すこと。
- 特別養護老人ホームや保育所・障害者施設など福祉関連施設の新・増設を大幅に行うこと。
- 既設県道を整備するための予算を大幅に増額すること。特に、都市部を中心に安全な歩道整備など交通安全対策やバリアフリー対策を中心とした道路行政を実施すること。
- 河川整備のあり方については、@堤防の補強A危険箇所を改修して治水レベルをあげるB生態系の保全など、環境と安全に配慮した事業を最優先してすすめること。
- 鉄道駅舎のバリアフリー化の年次計画を早急に策定し整備することをはじめ、高齢者や障害者など社会的弱者も住みやすい「まちづくり」をさらにすすめること。
第7.環境破壊をやめ、豊かな自然と緑を守るために 地球環境保全が叫ばれる中、県のあらゆる施策の根本として環境保全を位置づけ、その立場からの施策のあり方の見直しが求められている。また、環境を破壊してきた原因と責任の明確化が不可欠である。 - 自然破壊、地球温暖化を防止する点からも、すべての開発事業において代替案の検討も義務づけた総合的な環境アセスメントの実施を原則とすること。
- イヌワシ・クマタカをはじめとする希少な動植物の保護・保全の施策をすすめること。
- 自動車NOx・PM法対策地域への排出基準不適合車の流入規制の実施にあたっては、
- 車の「買い換え」への財政支援や「後付装置」の開発促進など中小業者への具体的支援対策を今後もさらに強化すること。
- 今後、環境基準の達成状況を毎年検討し、必要な場合は時機を失することなく規制強化策を講じること。
- 国道43号線、阪神高速神戸線における大型車の通行台数の削減のため、早期に削減目標、実施方策等を確立するよう、国・阪神高速道路公団に働きかけること。
- 「産業廃棄物等の不適正な処理の防止に関する条例」を厳格に実施すること。とくに、排出事業者の責任の明確化、監視・指導体制の強化、企業責任を明確にしたリサイクルの徹底など環境を守るための抜本的な対策を講じること。また、条例施行前の不法投棄についても、条例に準じた対策をすること。
- 高砂PCB汚染固形化汚泥の安全性の確保と、高砂西港内の汚染調査、特に魚介類の調査を行なうこと。
第8.子どもたちに確かな学力と豊かな人間性を育む教育を いじめや不登校、学級崩壊など、学校教育の現状は引き続き深刻である。要因は様々だが、根底には行き過ぎた競争と教育のゆがみがある。 今こそ教育基本法と子どもの権利条約を生かし、子どもの発達と成長を中心にすえる教育が求められる。 - 義務教育国庫負担金の縮減は、憲法に規定された「義務教育に対して国が負うべき責任」を崩すものであり、堅持・拡充の立場に立つこと。
- 今年度実施した小学校1年生の35人学級を来年度も引き続き実施するとともに、2年生以上にも広げること。また、国に少人数学級実施の予算を要求すること。
- 教育基本法を「改正」しないよう国に求めること。
- 「心の教育」については、内心の自由を尊重し、個人の内面を学校教育の評価の対象としないこと。
- 県立高校は希望者全員入学を基本とすること。姫路・福崎学区(来年度)や加印学区(2006年度)への複数志願制の導入を中止すること。
また、地元住民の合意も無く、総合学科や単位制導入の強行は中止すること。阪神間および明石学区の総合選抜制度を堅持すること。 - 経済的理由で就学困難な児童・生徒を支援するため、就学援助の国庫負担の増額を国に求めること。県奨学金制度については、手続きの簡素化と給付制度の創設など拡充を行うこと。また、私学助成の増額を行うこと。
- 全ての学校施設の耐震診断を行い、耐震工事を早急に実施すること。期日・目標を明確にして学校施設の改修をすすめること。エレベーターや普通教室へのクーラー設置を推進すること。
- 障害児教育については、生徒の増加により深刻な問題となっている養護学校の教室不足や長時間通学を解消するため、新設養護学校の整備計画をつくること。また、「特別支援教育」への移行に当たっては、障害児教育を保障する役割を果たしている障害児学級をなくすことなく、専任の教員の配置など、現在の教育水準を維持すること。
- 兵庫県立大学の運営については、独立行政法人化をすすめるのではなく、大学の自治を守り、公立大学本来の役割を発揮し、学問と研究の自由を守り充実させること。
- 人権教育は、不公正な「同和教育」偏重でなく、憲法にうたわれた基本的人権と人間の尊厳を基本にすること。県の「人権教育基本方針」を廃止し、事実上の「解放学級」は直ちに中止すること。
第9.文化・スポーツの振興のために 文化・スポーツの振興のためには、県民が生活の中で文化・芸術を楽しみ、スポーツに親しむことができるような県の支援が必要である。 - 県民の文化・芸術活動を保障し、発展させるため「文化・芸術振興基本条例」を制定すること。また、県民が優れた芸術文化を享受できるように、鑑賞活動への支援を抜本的に改善すること。
- 宝塚ファミリーランドの跡地を、ひきつづき文化・芸術の拠点、県民の憩いの場として整備できるよう県としても支援を行うこと。また、全国的にも貴重な宝塚映画撮影所を有する県として、映画文化を守り継承するための支援を行うこと。
また、旧宝塚音楽学校の保存にあたり、建物の無償提供を阪急電鉄に働きかけること。 - 芦屋市岩園で発掘された徳川大坂城採石跡史跡などの貴重な文化遺産について、本格的な調査を行なうとともに、保存の取り組みをすすめること。
- 低廉で使いやすい文化・スポーツ施設を数多く設置するとともに、障害者が気軽に使える施設整備をすること。
- 国民体育大会の準備にあたっては、国に必要相当の負担を求めること。
また、勝つことだけを目的として県外からの選手移入をしたり、一部エリート選手の育成ではなく、県民が広くスポーツに親しめるものにすること。
第10.警察行政について 県民の安心・安全を保障するべき県警察への要望がいちだんと高まっている。ところが県警察において、警察官の不祥事が組織的にも相次いでいる。県民の信頼を得るために、絶えざる検証と改革を実行し、警察刷新を進めることが重要である。 - 県警自動車警ら隊による「微罪処分手続書」「少年事件簡易報告書」などの捜査書類の偽造事件が発覚し、県警察の犯罪にたいし、県民の怒りと不信をまねいている。現在、調査中であるが次の点で見直しをすすめること。
- 調査結果を全て県民に公表すること。
- 本件、偽造事件の起きた原因を明らかにし、再発を防止すること。また、本件の背景にあるノルマ達成やそれを強いる組織体質を改めること。
- 本偽造事件に関して、県民が参加した第三者機関による調査を行うこと。
- 加古川署管内における7人の殺害事件が県民に大きな衝撃を与えている。そのなかで近隣住民から過去4回にわたって警察に訴えられていたにも関わらず、適切な対応が行われていなかった。住民からの相談に充分な対応ができる組織的体制をとり、犯罪の未然防止に努めること。その際、知事部局との連携をはかり、きめ細かい体制をとること。
- 捜査報償費の「裏金疑惑」に対し、県の監査の際に「架空名義の領収書」の報償費の受け取り人(捜査協力者)の確認も含め、全面的に解明をすすめ、額を大幅に減らすこと。
- 地域交番の統廃合・再編にあたっては、地域住民の安全を守るうえからも一方的に結果をおしつけるのではなく、住民、関係者等の意見を反映させること。
- 公安委員会が、県警察を民主的にコントロールできるようにするため、独立した事務局の設置や、委員の選出にあたって住民推薦や公選制の導入などの改革をすすめること。
- 警備公安偏重から市民生活の安全を守る本来の警察行政にたちかえること。そのために地域警察官の比率を高めるとともに、その勤務に誇りを持てるよう試験制度や教育内容、処遇などの改善、改革を行うこと。
- 暴力団対策としては、その資金源を絶つことが何より重要である。「五菱会」の例に見られるようなヤミ金融や麻薬及び類似品の密輸・販売ルートを徹底的に捜査し、根絶すること。
- ますます被害が拡大しているヤミ金・オレオレ詐欺などの対策や捜査を強化すること。
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