2002年度予算編成にあたっての重要政策提言全文
提言を行うにあたって 重要施策の具体的提言 1.県民のくらし・福祉の充実のために 2.豊かで安心できる社会づくりとしての経済・雇用対策の推進のために 3.基幹産業としての農林水産業の発展のために 4.環境破壊をやめ、豊かな自然と緑を守るために 5.子どもを大切にする教育のために 6.住民本位の震災復興のために 7.県民の安全・安心のために 8.文化・スポーツの振興のために 9.公共事業のあり方をただし、県民の生活基盤を充実させるために 10.平和を守るために 11.真の地方自治のために
提言を行うにあたって1.21世紀を迎えた今日の日本は、政治、経済、社会、教育・文化など各方面において停滞とゆがみを生じ、国民の将来不安を増大させています。株価の大暴落、史上最悪の完全失業率とあいつぐ大企業の大型リストラ計画の発表、消費不況と大型店進出などによる中小零細商工業者の営業危機など経済不況は深刻の度を深め、さらに、医療費や介護保険料をはじめ社会保障負担増などにより多くの国民に大変な生活苦をもたらし、自殺や残忍な事件が続発する要因ともなっています。 日本の将来を託すべき青少年を取り巻く環境も憂慮されます。いじめや不登校、学級崩壊、学力の低下、少年犯罪の多発などが国民を悩ませ、不安に追いやる重要問題となっています。 2.国民の苦難にいかに応えるか、いまほど政治に携わるものの責任と役割が問われているときはありません。 出口の見えない深刻な不況が長期化するなかで、「需要の喚起」「国民の消費購買力の引き上げ」が『景気対策の決め手』であることを多くの識者や政府の審議会も明確にしています。ところが、小泉内閣は「構造改革なくして成長なし」と言い続け、「不良債権の早期最終処理」で大量の倒産と失業者をつくり出そうとしています。 また、来年度予算では、社会保障費の自然増を3000億円もカットし事業費ベースで国民に2兆円もの新たな負担を押しつけようとしています。 県も、全国水準を上回る不況に加えて震災の痛手もあるなかで、衰退に苦しむ県内中小企業や地場産業の活性化策を脇におき、「失業なき労働移動」や「兵庫型ワークシェアリング」を提唱、大企業の人減らしを容認し、不安定雇用者の増大を当然視する姿勢をとっています。また、県「行財政構造改革」の名で不要不急の公共事業はそのままに、老人医療費公費負担や私学助成金を削減するなど県民サービスの切り捨て、さらに「長期ビジョン」で「一人一人の責任」を強調することによって、県行政の役割を後景に追いやろうとしています。いずれも、国民、県民の将来不安をかき立て、消費購買力を冷え込ませ、景気を低迷させるという悪循環を繰り返す原因となっています。 また、子どもと教育をめぐる問題が深刻になっているなかで、その大きな要因となっている競争主義、管理主義にメスを入れず、高校の統廃合や複数志願制などを強行することは、教育をいっそう困難に陥れることになり、県と国の未来にとっても取り返しのつかない禍根を残すものと断ぜざるをえません。さらに、「新ガイドライン法(戦争協力法)」の具体化と集団的自衛権行使の「研究」、憲法9条の明文改悪の企てなど、世界の平和と日本の安全を脅かす事態が強引に進められているなかで、県が姫路港へのアメリカ軍ミサイル巡洋艦の入港を無批判に受け入れ、政府の「戦争準備」の動きに呼応し、非核「神戸方式」をなし崩しにする策動に手を貸したことは、極めて遺憾であります。 3.以上、県民生活の実態と情勢認識の上に立って、県政運営と新年度予算編成の基本を以下の4点に据えるよう求めるものです。 第1に、県民のくらし・福祉・医療・教育の充実を第一の課題に据えること言うまでもなく、地方自治体は「住民の福祉の増進」に徹することが最大の任務であり、そのためにも、財政危機の主要な要因である不要不急の大規模開発や大型公共事業を抜本的に見直し、自治体にとって最も求められている福祉・医療・教育などの削減をやめ、拡充することが必要です。そのことは県民のくらしを守り、県民に将来への安心感をあたえ、消費購買力を引き上げ、景気回復への道を開くものであり、勇断を持ってあたられることを強く求めます。また、学校教育はすべての子どもの能力を伸ばすことが基本であり、それを置き去りにした競争主義・管理主義を厳しく見直し、教育基本法と「子どもの権利条約」に基づく教育行政を求めるものです。 第2に、産業振興と雇用確保に全力をあげ、県民生活の基盤を確立すること 県民のくらしを支えるうえで産業振興と雇用確保は決定的です。とりわけ、県内企業の98.9%を占め、78.6%の雇用を支える中小企業・地場産業の振興は、県内産業の活性化と雇用の安定にとって決定的に重要であることは言を待ちません。ところが、県のこの分野での施策はあまりにも貧弱で、融資対策を除く予算は予算総額の0.4%に満たない状態であり、抜本的増額を強く求めるものです。 また、失業問題が深刻な社会問題になっているにもかかわらず、違法なサービス残業の横行、長時間・過密労働が常態化し、家庭崩壊の主要な要因にもなっています。この改善は雇用の拡大にとっても、労働者の健康を守る上でも、家庭生活と育児にとってもきわめて重要であり、行政の指導責任を明確にした対策を強く求めるものです。 さらに、福祉・医療、教育、環境、防災などの諸施策をさらに充実することによる公的就労の拡大を求めるものです。 第3に、公共投資を大規模開発優先から、くらし・福祉・教育など生活密着型に切り替え、くらし向上と雇用確保につとめること 政府統計によると、工事費100万円当たりの就労者数は、5億円以上の大型工事で8人であるのに対し、1000万円以下では18名と2倍以上の雇用効果があることを証明しています。 そのためにも、県の公共投資を大規模な開発や高速道路建設優先ではなく、県民の利便性を考慮したものに改めるとともに、くらし・福祉・教育施設の整備など生活に密着した事業に大胆に転換すること、このことこそ景気の回復と雇用の拡大、財政の再建への確かな道であることを明確にし、強力に推進することを強く求めるものです。 第4に、県民の参加を思い切って拡大し、真の地方自治と地方分権を確立すること 税財源の委譲を欠いた不十分な地方分権推進法の改正を政府に強力に求めるとともに、地方自治の確立・強化にとって「住民参加」が決定的であり、各種審議会への住民代表の参加の保障、県事業の構想段階からの県民参加など県独自の具体化を強く求めるものです。 また、真の意味での地方自治と地方分権を確立する上で、県当局自身が国・政府から自立し、毅然とした姿勢をとることが決定的です。なお、税財源の委譲・確保について、消費税の増税につながる地方消費税の拡大や法人事業税の外形標準課税など安易に県民に負担を強いる財源策にくみしないよう強く求めるものです。 重要施策の具体的提言 - 県民のくらし・福祉の充実のために
社会保障の連続改悪と県「行革」による福祉切り捨てにより、県民のくらしと老後の不安が一段と広がっている。さらに政府は一層の社会保障改悪を計画しており、いまこそ県行政は県民のくらしと福祉、医療を守る防波堤の役割をはたさなければならない。また、少子化の進行は、社会全体が活力を失うなど日本社会の将来にかかわる問題として、早急かつ責任ある克服策が講じられなければならない。新生児から高齢者まで、誰もが安心して暮らせる兵庫県政へ、福祉・医療を主役にした予算の編成が求められる。- 介護保険は、県独自の保険料・利用料減免制度を創設すること。また特別養護老人ホーム入所待機を早期に解消すること。
- 老人医療費公費助成事業は、所得制限を本年6月以前の水準に戻すこと。また老人医療の対象年齢の引き上げを行わないよう国に求めること。乳幼児医療費公費助成事業は、自己負担をなくすとともに、国に制度創設を求めること。
- 県民の健康と命を危機にさらす国民健康保険証取り上げ(資格証明書発行扱い)をただちにやめるよう市町を指導すること。また、国に対して国庫負担の増額を強く要求すること。
- 県立病院は安易な民間移譲ではなく、公的医療機関として充実させ、その役割を果たせるようにすること。また、県立病院のあり方の検討は、広く県民の議論と合意で進めること。
- 少子化克服のために各分野における必要な施策を講じること。特に「保育所待機児童」の解消、保育料の引き下げなどの施策を充実すること。
- 「子どもの権利条約」を重視し、これを具体化する立場に立つこと。児童虐待に適切かつ総合的に対応するために、相談体制など必要な手だてを講じること。
- 人権擁護の施策にあたっては、日本国憲法に基づく権利の尊重と擁護を太くつらぬくこと。地域改善対策関連予算は即刻廃止し、市町に対しても関連事業の終結を強く指導すること。
- 豊かで安心できる社会づくりとしての経済・雇用対策の推進のために
産業・雇用情勢は非常に厳しく、とりわけ本県は震災の影響から、いっそう深刻な状況にある。重大なのは、県が産業振興と雇用確保に対して有効な施策をとろうとしないことである。特に、既存中小企業への直接支援を軽視し、地域経済を破壊する大規模店舗の進出・撤退を野放しにしていること。また、雇用対策において、常に「労使間の問題」として雇用を確保するルールづくりに消極的であるなどの姿勢を改めるべきである。- 中小企業対策予算を抜本的に増額し、融資だけでなく経営を直接支援する施策に転換すること。
- 「景気回復で不良債権処理を」との立場に立ち、県内中小企業の適正な評価と事業の継続に有効な支援策を講じること。また、中小企業を救済するための融資制度をつくるなど、地域密着型の金融行政を進めること。
- 地域経済を活性化させる観点から、企業等が撤退する場合のアセスメント実施の義務化、大型店舗の出店規制、市場商店街振興策を強化すること。
- 深刻な雇用問題を解決するため、
(1)解雇規制などにより新たな失業者を生まないルールを確立する、 (2)賃下げなしの労働時間の短縮による真のワークシェアリング、違法な「サービス残業」の根絶、公的就労の拡大などで雇用を増やす、 (3)雇用保険給付の延長など、失業者のくらしを支援することを国に求めるとともに、このための県独自の努力を強めること。 5.IT化に伴う不安定雇用者の増大と正規雇用者が被る不利益、長時間・超過密労働の強制と心身へのストレス増大などを解決するためのルールづくりを促進すること。
- 基幹産業としての農林水産業の発展のために
農林水産業は、本県の生活文化を形成してきた源泉であると同時に、21世紀の県民の生存・生活の基盤であり、さらに、県土と自然を守るうえでも重要な役割を果たしている。従って、県の基幹産業である農林水産業への支援強化が求められる。- 農林水産物の自給率を高めるため輸入規制を国に強く求めること。
- 農林水産関連予算は、土木事業偏重から価格補償と所得保障を重点にすること。
- 認定農家や大規模農家支援に偏った農業政策を改め、農業の基本である家族営農への支援を強化すること。また、減反政策の強要はやめること。
- 環境破壊をやめ、豊かな自然と緑を守るために
地球環境を守ることが焦眉の課題となっている。地球温暖化防止をはじめ、ダイオキシン汚染や環境ホルモン、産業廃棄物処理、大気汚染などから県民の命と健康を守ることが急務である。- 自然環境を次代に引き継ぐため、豊かな自然、貴重な動植物の生息地を破壊する大規模開発を徹底的に抑制すること。
- 大気汚染と地球温暖化防止のため、企業責任の明確化と実効ある措置を可能とする法整備を国に求めるとともに県独自の取り組みを強化すること。
- 産業廃棄物の不法投棄や野焼きを厳しく規制する監視・指導体制をさらに強化すること。また排出業者の責任を明確にし完全処理を迫ること。
- ごみの減量化やリサイクル、分別収集を進め、大型焼却施設に頼るごみ処理行政を見直すこと。
- 「家電製品リサイクル法」で処理費用が有料化され、不法投棄が激増している。メーカーの責任と負担を明確にした「法」改正を国に求めること。
- 風力、太陽熱・光、バイオマスなどグリーンエネルギー(再生可能エネルギー)の開発と普及を促進すること。
- 子どもを大切にする教育のために
子どもたちを取り巻く状況は、まさに日本の未来に関わる大問題となっている。これは、長年続けられてきた「競争主義」「管理主義」の学校教育が、子ども達を過酷な競争にさらし、学校を荒廃させ、子どもたちの世界をゆがめてきたからである。 いまこそこの反省の上にたち、憲法と教育基本法、子どもの権利条約を生かした、平和、民主主義、人間の尊厳をふまえた教育が求められている。- 学習指導要領のおしつけをやめ、すべての子どもに基礎的な学力を保障すること。また、「30人以下学級」や教員の増員を早急に実施すること。
- 老朽化し危険な状況となっている学校施設の改修、耐震工事を早急に行うこと。また、非常事態や事故に備え、設備の整備や人的配置を含め、学校の安全確保に万全を期すこと。
- 競争教育を激化させ、事態をさらに深刻化させる「高校改革」は抜本的に見直すこと。
- 深刻な不況が続く中、経済的理由で中途退学を余儀なくされる生徒が激増していることから、県独自の奨学金制度の創設、私学助成費の大幅増額を行うこと。
- 県立大学の改革にあたっては、教授会や学生などの合意を重視し、安易な統廃合は行わないこと。
- 人権教育は、憲法にうたわれた基本的人権と人間の尊厳を基本にして具体化すること。また、「解放学級」は廃止すること。
- 住民本位の震災復興のために
国連社会権規約委員会は、阪神・淡路大震災の被災者が住宅建設に必要な公的資金や銀行からの融資を受けられるよう配慮すべきこと、また、兵庫県に対して震災で被害を受けた老人や身体障害者に対する地域サービスを拡大するよう促すことを日本政府に勧告している。こうした点を踏まえ住民本位の震災復興を行うべきである。- 県外被災者を含め被災者の実態を全面的に把握し、震災復興後期5カ年計画を被災者の実態にあったものに見直すこと。
- 被災者生活再建支援法を抜本的に改正・拡充し、生活と営業、住宅の再建に公的支援を行うよう国に強く求めること。
- 復興基金事業は、被災者への「支援策」を強化し、必要に応じて期間の延長、事業内容の拡充を図ること。あわせて、復興基金の役員に被災者代表などを加えること。また、被災者自立支援金をめぐる控訴は取り下げること。
- 復興都市計画事業を見直し、希望する被災者がもとのまちに戻れるよう支援策を講じること。
- 県民の安全・安心のために
自然災害から県民の生命・財産を守ることはもちろん、凶悪で異常な犯罪や、増大する交通事故をはじめ、様々な事故から県民の安全と安心を守ることは、県政の重要な使命である。- 防災行政は、特定の地域に集中した大規模施設に偏重せず、消防力の強化や防災体制の確立のために市町への支援を強化すること。特に雑居ビルに対する緊急の査察と安全管理の徹底について市町を指導すること。
- 高齢者や障害者などの安全と安心のために、建築物や公共交通機関、道路、公園等のバリアフリー化を早期に実現すること。
- 信号機や道路標識など、交通安全施設の設置や歩道の整備等、交通安全対策を抜本的に強化すること。
- 警察行政においては、犯罪や事故から県民生活を守る活動を重点にするとともに、開かれた警察とするため情報公開を徹底すること。
- 明石市での歩道橋圧死事件については、原因と責任を徹底的に究明し、再発防止に生かすこと。その際、雑踏警備における警察の責任を明確にすること。
- 文化・スポーツの振興のために
県におけるスポーツ施策の基本は、県民の健康保持・増進と福祉の充実、学校や社会教育の保障と結びついたものでなければならない。同時に(1)強制しない、(2)支配・干渉を禁止する、(3)差別せず、平等に対応するの3原則を堅持することが必要である。- 文化芸術関連施設は一点豪華主義をとらず、県民に親しまれ使いやすいものを、県内に広く展開し、地域に根づき、地域の発展に寄与するものを拡充すること。
- 低廉で使いやすいスポーツ施設を数多く県下に設置すること。また、障害者が気軽に使える施設整備を進めること。
- 地域文化を掘り起こし、継承・発展させる取り組みを進めること。
- 良質の文化に触れる機会をふやすため、鑑賞団体への支援を行うこと。同時に県民が文化に触れ、自ら文化活動を行う時間を確保できるよう、企業に対する労働時間短縮の要請・指導などを積極的に行うこと。
- 国民体育大会の準備にあたっては、市町の負担をなくすよう配慮するとともに、国に必要相当の負担を求めること。
- 公共事業のあり方をただし、県民の生活基盤を充実させるために
景気対策と称した大型公共事業は、景気の回復に役立たなかったことは明らかである。その反省のうえにたって、不要・不急で採算の見通しのない公共事業は大幅に削減し、県民のくらしに直接役立つ事業に転換し、中小事業者の仕事確保と雇用拡大で、不況打開に役立つものとすることが求められる。- 県営住宅の大量建設、特別養護老人ホームや保育所、教育施設建設など県民のくらしに直接役立つ公共事業を大幅に増やすこと。
- 投資事業の評価は、対象事業の選定も含め、県民参加を保障したうえで、第三者機関が行うよう評価システムの抜本改正を行うこと。
- 播磨空港をはじめ空港建設を中止するとともに、高速道路建設優先の姿勢を改め、公共交通(鉄軌道等)や生活道路の拡幅・改修・歩道整備などを重点とすること。
- 県営住宅の建設や管理は、公営住宅法の目的に則り県が直接責任を果たし、住宅供給公社への全面委託はやめること。
- 地域整備事業は、採算の見通しが立たず事実上破たんしており、これ以上の事業拡大を中止し、事業規模の縮小に努めること。
- 平和を守るために
1975年、非核「神戸方式」が実施されて以来、これまで神戸港はもちろん県下の港湾には米国軍艦は一隻も入港させず、国内外から高い評価を受けてきた。 また、県下の多くの市町で非核平和自治体宣言が行われているなど、県民の平和に対する思いは熱いものがある。いまこそ憲法と地方自治の本旨にもとづき、県民の平和と安全を守る立場に立った毅然とした態度を確立することが必要である。- 県として、非核平和自治体宣言を行うとともに、非核「神戸方式」を県が管理するすべての港湾に適用し、軍艦の入港を拒否すること。
- 新ガイドライン関連法にもとづく自治体への協力要請に対し、県民の安全を守る立場から、断固拒否する態度を貫くこと。
- 大阪国際空港への米軍機の飛来、米軍機や自衛隊機による超低空飛行訓練、IDDN中継基地建設など県民の安全を脅かす行為の中止を求めること。
- 平和行政を積極的に推進する専門の部署を設置すること。
- 真の地方自治のために
「地方交付税」の削減、市町村合併のおしつけなど、地方自治を踏みにじり、住民サービス切り捨ての動きが強まっている。また、不要不急の公共事業の拡大で財政危機を深刻にし、これを理由に県民サービスの削減を行うなどは本来の地方自治体の役割からかけはなれたもので問題である。いまこそ地方自治の精神にたち、県民参加と情報公開、市町の自主性を尊重し、「住民の福祉の増進」(地方自治法第1条の2)という本来の住民の利益をまもる仕事を、より自主的・積極的におこなうことが求められる。 - 地方交付税は、住民にナショナルミニマムを保障する十分な財源を確保し、削減は行わないこと。また、公共事業の誘導策や市町村合併推進のための手段としないことを国に求めること。
- 地方の自主財源を増やすために税源移譲を国に強く求めること。その際、「税収の安定」を名目にした地方消費税の増額や赤字の中小企業に新たな負担を強いる法人事業税の外形標準課税の導入などは求めないこと。
- 市町合併はその住民にとってのデメリットも正しく紹介し、住民合意を基本とし、国の市町村合併のおしつけに反対し、県自身もおしつけは断じて行わないこと。
- 県民局の再編が行われたが、市町の自主性や県民参加を徹底して尊重し、地方分権に逆行する官僚的統制は行わないこと。
- 情報公開を進めるとともに、事業の構想・計画段階から県民の意見を聞き、真の県民参加の県政を進めること。
- 電子県庁は、(1)個人情報の漏洩、(2)政府・行政による住民管理・監視、(3)行政サービスの低下、(4)“使える人”と“使えない人”の格差拡大、(5)職員の労働強化など負の問題を解決すること。
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