日本人拉致事件にかかわる兵庫県議会の経過について
1.1996年(H8)11月議会 (意見書案:廃案) 当時の新進・県民クラブ会派(3名)から意見書案「朝鮮民主主義人民共和国在住日本人妻の里帰りの実現と同国に拉致・拘留されている日本人の原状回復を求める意見書」案が各会派政調会長会に提案され審議された。 各会派態度として、日本共産党は、「人数の根拠を知りたい。分かれば賛成」とし、反対は「ひょうご県民連合(民主、社民)」と新社会党(浜崎議員・北中議員の2人会派)、修文は自民党と反対的な修文をしたのが公明党ということであった。 結果は、全会派一致が得られず意見書案は見送り(廃案)となった。
2.1997年(H9)2月議会 (意見書案:廃案) 当時の新進・県民クラブ会派(大前繁雄 議員など3名)から「日本人拉致疑惑事件の真相解明を求める意見書」案が各会派政調会長会に提案され審議された。 日本共産党は賛成だが人数の根拠を示してほしい。反対は、自民党・ひょうご県民連合・新社、公明党は修文の意見表明、前議会と同様の全会派一致が得られないことから見送り(廃案)であった。
3.1997年(H9)6月議会 (請願採択・意見書採択) 有本明弘さんから「北朝鮮にいると思われる娘の帰還に関する件」の請願が提出された。各会派を有本ご夫妻が訪れ、共産党への訴えでは「請願の表題に拉致という言葉をいれたかった。しかし他会派の一致が見られない」との話があった。 その中で上記の表題の請願とし、全会派が紹介議員となり全会一致で6月11日に意見書が採択された。 ・意見書第40号「兵庫県出身者の行方不明事件に関する意見書」
4.2000年(H12)2月議会(3月6日) (請願採択・意見書採択) 被拉致日本人の救出を求める兵庫県民の会から「日本人行方不明事件の早期解決を求める意見書提出」の請願がだされ、わが党も紹介議員になり多数決で採択された。反対したのは、新社会党・県民クラブの北中議員(尼崎選出)で、意見書採択。
5.2002年(H14)9月議会 (意見書採択) 日本共産党、県民連合、公明党の各党が「意見書案」を提出、政調会長会で調整案で一致し「拉致事件の全容解明と早期解 決を求める意見書」(意見書87号)を賛成多数で可決され提出。 反対したのは、新社会党・県民クラブの北中議員(尼崎選出)。
意見書案第87号
拉致事件の全容解明と早期解決を求める意見書 先月17日に行われた日朝首脳会談は、日朝平壌宣言によって、長年の懸案であった両国の国交正常化交渉に道筋を開いた歴史的会談であり、その意義は高く評価できる。 しかしながら、拉致事件については、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の金正日総書記が初めて拉致の事実を認め、謝罪したものの、北朝鮮側の安否情報により、拉致された13人のうち、本県出身の有本恵子さんを含む8人もの方々の死亡が伝えられた。生存と帰国を願っていた拉致被害者の家族の心情は察するに余りあり、拉致という許すことのできない犯罪行為に対し、強い憤りを禁じ得ない。 北朝鮮側から示された情報については、被害者の家族はもとより、国民として到底納得できるものではなく、政府は、北朝鮮に対し、拉致事件の被害者に関するすべての情報の開示を要求するとともに、厳正な現地調査を実施するなど、事実解明に全力を挙げなければならない。 よって、国におかれては、拉致事件を国交正常化交渉の最優先事項として取り組み、拉致被害者の生存・死亡の事実解明と生存者の早期帰国、さらに政府が拉致被害者と認定している以外の行方不明者の安否確認などを実現し、その全容解明と早期解決を図られるよう強く要望する。 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
平成14年10月8日
衆議院議長 参議院議長 内閣総理大臣 総務大臣 外務大臣 国家公安委員長 警察庁長官
兵庫県議会議長 水田 宏 |