兵庫県2002年度予算案についての見解
兵庫県は、21日2002年度予算案を発表、一般会計2兆983億円(前年度比0.1%減)と特別会計1兆384億円(前年度比20.6%増)、企業会計1,754億円の合計3兆3,074億円、伸び率は5.7%増となっています。 新年度予算は、小泉内閣による構造改革、長引く消費不況や震災の影響などを大きくうけ1,000億円を超える多額の財源不足が生じています。
新年度の歳入の大部分を占める県税は、法人関係税などの減収から前年度を540億円下回る5,505億円(前年度比8.9%減)と消費税導入前年の1988年当時と同様の県税収入となっています。しかも、財源不足に対応するため基金の取り崩は898億円と99年当初予算に次ぐ過去2番目の規模となっています。また、国が地方交付税の不足額を穴埋めするため483億円分を赤字地方債に振り替えたため、県債は2,258億円と震災年の95年度をのぞき前年度つづき過去最高を更新しています。そのため2002年度末の県の借金総額は初めて4兆を超え、4兆379億円と一般会計予算の倍近くになっています。県民一世帯当たり194万円(72万5,000円/1人当たり)にもなります。銀行への借金返済総額は3,066億円にもなり、毎日8億4,011万円を返すことになります。
新年度予算の事業費支出で特に見逃せないのは、神戸市民はもとより多くの県民や自民党の幹部、国土交通大臣までもが反対する「神戸空港整備事業」の建設費など総額1億1,800万円を初めて補助を行い、今後、空港整備に関わる地方負担額(神戸市)の1/3と神戸空港ターミナルビル会社への出資とあわせ75億円の補助を知事が決めたことは問題です。 また、企業誘致の見通しのない「ひょうご情報公園都市」建設(三木市)の79億円をはじめ、関西空港二期工事出資、金出地ダムなどムダな大型公共事業を当初計画通り推進しようとしています。 県住宅供給公社が建設、完成し他にも関わらず売れ残った分譲住宅が509戸もあり、新規分譲住宅原則禁止を県が打ち出しているのに新都市建設をやめないばかりか1,200億円をかけて用地買収している宝塚新都市建設、埋め立てる必要のない尼崎臨海地区整備など大規模開発推進姿勢は問題です。高速道路や大規模開発事業は、大幅削減が求められていますが、国にならって前年度比90.1%の3,507億円を計上し削減したといっていますが、国の第2次補正予算で372億円を増額補正するもので、3,900億円枠は確保されることは間違いありません。
一方、県は県民犠牲の「県行財政改革」の本格実施2年目として、県立病院の民営化を視野に入れた安上がりの県民医療にするため、県立病院運営に企業経営を全面的に持ち込み一層の効率化と医療の公的役割を縮小する「公営企業法全部適用」を県民合意もなく強行するなど医療費を削減。また、県単独事業の老人医療費公費負担助成は高齢対象者の所得制限を強め、2億5,000万円の削減や私立高校の経常費補助額の県独自財源を2億8千万円の削減しています。これら事務事業の見直しは506件、54億円を削減しています。また、教職員229名の削減を始め、一般行政職員131名の県職員を削減するなど、県民や職員に負担増を押しつける予算案となっています。
この間、日本共産党をはじめ医療団体や父母の強い県民世論に押されて乳幼児医療費助成制度の対象者は昨年、通院六歳未満児まで拡大したのにつづき義務教育就学前までとなりました。しかし、昨年から医療費の通院一割負担導入や所得制限があり、完全無料化を取り戻す課題は残されています。
震災対策では、震災関連事業予算として前年比713億円減の1,933億円を計上していますが、被災地10市10町の公共事業や産業対策事業など震災関連事業と冠しているものが多く、神戸東部新都心整備事業や三木震災記念公園事業などで被災者支援事業は被災者を支援するための研修事業などしかありません。被災者への直接支援事業は、震災復興基金事業で行われており、1,300人をこえる被災者が就労している「被災地しごと開発事業」は3月末でうち切られ、新年度は、「生きがい就業」事業として臨時的、短期的な支援変質され予算も19億6,500万円から4億4,200円と大幅に縮小され被災者のくらし再建に打撃を与えることは必死で、救済策強く求められています。
日本共産党県議団は、県民犠牲の県行革やムダな公共事業をやめさせ、県民のくらし、福祉・医療、教育を守るため15名の議員が力をあわせ、予算組み替え修正案の提出など県民要求実現のため全力でがんばります。
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