神戸空港ストップ!市民シンポ 北岡県議のパネラーとしての発言(大要)
日本共産党が、5月25日に神戸市内で開催した「神戸空港ストップ!市民シンポ」で、シンポジスとしての北岡議員の発言を整理したものです。
◆最初の発言◆
まず、最初に心からお礼を申しあげたいと思います。ありがとうございます。 私は中央区、空港を建設している中央区からの選出ということもありまして、また常任委員会では建設常任委員会の委員をしているという関係もありまして、県会議員団を代表して皆さんにご報告をさせていただきたいと思います。
兵庫県政の特徴について
神戸市は政令指定都市ですので、県政と深い関わりがないということで、あまり県政を語る機会がありませんので、少しばかり前おきとして、兵庫県政というのはどういう県政であるのかというのをふれさせて頂きたい。 国の政治が公共事業に50兆円、そして社会福祉、社会保障に20兆円という、逆立ちをした政治が行われていますけれども、兵庫県も、まさに国と全く同じ 逆立ちした税金の使い方をしているということを、最初にお話しておきたいと思います。 兵庫県では、平成12年度から「行財政構造改革」を実施している。その中で公共事業(投資事業)については、今まで通り温存をしておくということです。国庫補助事業として2100億円、それから県の単独事業として1800億円、合計しますと3900億円ですけども、「県の財政が危険だから」と言いつつですね、この3900億円は将来的に確保していくということ。この3900億円の水準は、ご承知の通り90年代のはじめから、「景気回復のためには公共事業が一番役に立つ」と、経済対策としても公共事業を進めてきましたけれども、「その水準は維持をしていく、確保していく」こういう方針をとりながら、一方で 国民・県民の皆さんの暮らしや福祉にかかわる部分を削っていく。このようなことが行われているんです。 例えば、「老人医療費公費負担助成」です。65歳から69歳までの間、県が補助をしている。その補助対象者を減らしていく。「所得の高い人ははずしていきますよ」と。それだけで12億円。 それから、いま大問題になっていますけれども、県立病院を民間に売る第一歩ではないかと言われている病院の「改革」ですが、病院事業の経営補助負担金、一般財源から病院会計の方へ流していくわけですけれど、それを11億円ほど削る。まさにみなさん方の暮らしや福祉にかかわる部分で、12年度始まりまして12、13、14年度、本年度の予算を含めてずっと追跡してみますと、69事業、約120億円の削減をしてきた。まさに公共事業温存しながら皆さん方の暮らしの圧迫をしていく政治が進められている。
日本共産党県会議員団の予算組み替え提案
そこで私ども県会議員団は、本年度も予算組み替え動議を提出しました。われわれは県政批判するだけじゃなくて、具体的に予算をこういうふうに組めば、県民の暮らしも戻るのではないかという、具体的な提案をしようということで今回も修正動議を出したんです。 その主なものは、不要・不急の投資事業を中心に、歳出を614億円を削減する、要するに、税金の使い道、お金を使っていくのを614億円削減しよう。そしてその分を県民の皆さんの方に回していこうということです。 この614億円を削りますが、そのうち約半分の309億円は、実は全部借金です。ですから、われわれはこれを削ってまず借金を減らしていこうじゃないか。このような方向に進むのが大切ですね。 今県の借金がどうなっているかといいますと、県民一人当たりが72万5000円の借金になっています。1日に利子だけで8億4000万円です。これだけの借金を抱えている訳ですから、「ムダな公共事業削って、県の借金を減らそう、健全財政の第一歩を踏み出そう」というのが一つです。 もう一つ、そこから捻出されてきた101億円の一般財源を、30人学級を実現しようという教育費、それから先ほど言いました「行革」で削られた福祉や暮らしの部分を元に戻せということで、県会議員団はそういう運動をしているということです。 兵庫県政とはどういう県政で、その中で県議団がどういう風に奮闘しているかということをお話しさせていただきました。
兵庫県の地方空港失敗の先例
次に、空港の話へ移っていきたいんですが、実は県は、既に神戸空港の失敗を先取りするような失敗をしています。 但馬空港の建設費は約310億円。94年に開港して8年になりますけれども、大阪空港へ朝晩2回だけ2往復しているだけです。310億円かけて朝晩大阪空港へ2往復だけ、しかも冬は雪や霧が多いので、1便だけです。 地元の人に聞いたら、「確実に大阪へ行かなあかん時は空港、飛行機は使わない」。こういうふうに言われているらしいです。そういう飛行場です。 それで、空港の管理費用はいくらかといいますと、年間・約7億3000万円です。今度は、皆さんに質問したいんですけども、2001年の但馬空港の着陸料とか、あるいはそこに飛行機を止めた時に払うお金、「純粋な収入」はいくらぐらいだと思いますか? なんと1年間に400万円です。ですから、県は、毎年1億円以上の借金の穴埋めをずっとしてるんです。こういう無駄遣いをやっているにもかかわらず、まだ、播磨空港をやろうとしているのです。(その後、知事の実質「計画断念」記者発表がありました。) こういう失敗から、全然教訓を学ばない。それどころか、今度は新たに神戸空港の後押しをしようというんですね。県はいままでは、神戸空港の建設には、「あくまで神戸市の事業である」ということで、神戸空港建設促進協議会の代表会長を知事さんがやって、その協議会の費用とか、あるいはパンフレットの宣伝の費用とか、そういうものを出しました。しかし、神戸空港の直接後押しをするような税金はいっさい出してなかった。 ところが、今年度から税金を使おうということになったんです。どういうことかといいますと、空港整備にかかわる地方負担額の3分の1、つまり、3分の2は神戸さんもってよ、3分の1は県がなんとか負担しましょう、ということなんです。 各年度の企業の進捗状況及び起債償還を合わせて、今後20数年間にわたり71億7000万円、結局神戸市さんがいろいろ事業をやって、起債(借金)持ちますよね、それも償還していかなあかんということですから、おそらく20数年になると思いますけれども、その20数年間にわたって71億7000万円。 それからもう一つ、ターミナルビル株式会社がターミナルをつくりますけれども、これに出資しようということで、今後3年間にわたって3億3000万円、総額にしますと75億円、これを神戸市に補助してやろう、空港建設の後押しをしようと、その内、今年度1億1800万円が予算に計上されております。
県議会で、神戸空港への県民の税金投入を追及
それで、実は私中央区の選出の県会議員で、選挙の時から空港反対の唯一の県会議員ということで、「これはなんとしても議会で質問をしなければあかん」と考えてきました。ところが、県は「神戸空港は、神戸市さんの事業ですから神戸市に聞いてください」と言うだろうから、「これは質問しにくいな」と思っていたら、ちょうどわたしの質問の近くになって、県が金を出すということになった。これはもう真っ正面から知事と渡り合えるということでです。私は本会議の一般質問で取り上げまして、予算特別委員会で増井さん、それから総括質問で磯見さん、そして、その後、建設常任委員会で私が質問をするという形で4回ほどにわたって県議会で質問をしました。 実は、県は無責任きわまりない態度です。これだけの75億円のお金を出そうというんですから、「75億円出して大丈夫や、出す理由はこんなんや」というのを説明する必要があると思います。しかし、一切説明しません。どういうことかと言うとね、「なぜ支援をするんだ」ということを質問すると、「本県の空の玄関口として神戸市民だけでなく、県民に広く利用され、県民の利便に資する空港だから県として支援する」。つまり、神戸空港というのは神戸市民だけが使うのではなくて、多く広く兵庫県民が利用するから、県も応分の負担をする。だから3分の1を負担する。こういうことです。 次に、問題になっている需要予測についてどういうふうに考えているのか、私も質問しましたが、知事は、「航空事業は毎年のびている。心配する必要はない」。こういう答弁で今更需要予測を見直す必要はないとこういうんです。 もっと驚いたのは、建設常任委員会でのやりとりで、需要予測の問題については、県当局は、神戸市から説明を受けていました。わたしが、「説明を受けただけで質問も県の見解も述べなかったのか」と聞くと、「それは神戸市さんが決めることでありまして、県として口を挟む立場にはありません。」こういう態度です。 まさに県税をつぎ込もうとしている事業が、成功するか成功しないか、そういうことの確認もしないまま、神戸市さんのいうことだからそのまま鵜呑みにしています、こういう無責任な態度をとっているんです。 それで、私も怒りまして、引き続いて追及しました。ところが、本会議で恐るべき答弁があったんです。「この空港が震災復興のシンボルプロジェクトである、だからやるんだ」それにつづいて、「井戸も矢田も当選させて頂きました」こんなことを言っています。空港推進の「井戸も矢田も選挙で通ったのだから文句を言うな」という言い方です。 この問題について、はっきりと態度を表明して反対したのは、政党としては日本共産党だけです。よく調べて見ると、昨年度自民党は、「神戸市さんに(空港建設を)応援せよ」というような発言をしております。公明党も一般財源の投入についての意見を言いつつも、その県予算に賛成しています。この問題で本当に神戸市民、県民の立場でたたかっているのは共産党だけだということです。
壮大なムダな公共事業の計画が
それから最後に、どんなムダなことがあるかと、これは、神戸空港だけじゃ済まないんです。壮大なムダの計画があるんです。 「大阪湾横断鉄道構想」という計画があります。関西国際空港、大阪国際空港および神戸空港の3空港連携と機能分担をはかるために、空港間の「定時性」それから「高速性」、「大量輸送性」、鉄軌道で連絡する構想です。つまり、海底トンネルをつくる計画です。神戸都心部、新神戸・三宮から神戸空港、関西国際空港へわたる延長36キロ。所要時間30分の横断鉄道を造ろう、こんなムダなことまで考えているのです。 ここで我々がストップをかけていかないと、新たなムダな事業が着々と進んでいくのではないかと心配します。 私も県会議員団も、皆さんと一緒になってがんばっていきたいと思います。
◆二度目の発言◆
私の方はなんで空港に県がお金を出すのかということを、もうすこし説明しておきたいと思います。県は表向き「神戸市民だけが使うのではなくて、兵庫県の空の玄関口として、多くの県民が利用する。だからその利便に対して支援をしている」と言っています。 しかし、これはやっぱり、今までの経緯があるんです。県議会の中にも。空港をつくることに県・市の合意があり、県議会の決議もあります。 もう一つ私が気になっていることは、今のところ県議会で「これ以上新たな負担はないのか?」と質問をしたら、県は「今のところ追加するようなことはありません」と答弁していますが、さきほど言った鉄道構想もあります。これが県にとって、新たな事業をする一つの「呼び水」になるのではないかと思います。 それからもう一つ、これは私の推測ですが、とかく今まで兵庫県と神戸市、特に神戸市は革新市政でしたからね、県と神戸市はあまり仲がいいという状況ではなかったんですが、最近は、地下鉄海岸線にお金を出すなどして、「できるだけ県・市仲良くして、神戸に再び革新市政が生まれないように」という風な思惑もあるのではないか。これは私の個人的な感じ方です。 また、播磨空港の問題については、もう完全に計画は見直すということになって、現在の計画についてもう知事も「やりません」と言わざるを得ないと思います。6月30日には、最終的結論として「総合的判断をする」と言っていますが、「(空港推進の)協議会は残しておきたい」という思いがあるのではないか。つまり、現在の計画中止は間違いないと思いますが、火種だけは残しておきたい、いうふうになるのではないかと思います。 やっぱり問題は運動です。播磨空港の計画を中止させた教訓に学んで、我々もがんばって、仮に空港島ができたとしても、その「上モノ」として、飛行場はつくらせない、こういうことが必要ではないでしょうか。私自身は、そういう運動が大切ではないかと思っております。
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