中小企業を応援します
日本共産党兵庫県議団は9月18日、「中小企業・地域経済振興基本条例」案を9月議会に提案すると発表しました。条例制定の意義や内容について、とりまとめの中心となった島田しずお県議に聞きました。
Q なぜ議員提案することになったのですか
A 島田 中小企業の果たす役割がたいへん大きく、そして現状が余りにも深刻だからです。兵庫県では、生産の51%、販売額の80%を占め、雇用の80%を支えています。文字通り経済の主役ですが、最近の深刻な失業問題の原因が中小企業の不振にあることはまちがいありません。 中小企業が潤えば大企業などと違って地域にお金がまわりますから地域経済が活性化しますし、逆であれば地域経済はさびれます。中小企業の問題と地域経済は一体の関係です。条例名が「中小企業・地域経済振興」となっているのは、そのためです。 このほか、中小企業は「ものづくり」や「まちづくり」、さらに地域文化の継承発展にとって重要な役割を果たしています。今後、高齢者が増え、福祉や環境優先社会を展望する上で中小企業の役割はますます高まるでしょう。 党議員団は、11年も前から毎年の予算要望で条例の制定を求めてきましたし、99年2月議会でのわが党の代表質問で当時の井戸副知事(現知事)は、「これまでの経験も踏まえて検討し、有効な場合に実施したい」と答弁しましたが、その後、一向に提案のそぶりを示さず、具体的施策についても見るべき改善もないため、3年前からプロジェクトチームをつくり、研究と議員提案の準備を重ねてきました。 このような政策条例を議員提案することは、大変な作業を伴いますが、議会の役割を高めるものという評価もいただいております。 7月13日に「中小企業問題を考える懇談会」を開き、第1次案を発表しました。保守的といわれるところも含めて広範な中小企業団体によびかけ、訪問し、懇談を重ねてきました。私たちは、多くの人の声を徹底的にくみとることを基本姿勢としましたが、このこと自体に好感が寄せられ、数多くの意見や要望、率直な批判もいただきました。必要な補充もし、最終案を決めるに至ったのです。
Q 中小企業振興条例とは、どういうものですか
A 島田 条例とは、いわば県の「法律」に相当するもので、行政は、これに従わなければなりません。この条例ができれば中小企業政策の充実・強化に資することになります。 中小企業基本法は第6章で「地方公共団体は…区域の自然的経済的社会的諸条件に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する」と規定しています。これは2年前の法改正の時にできたものですが、県は従来通り国の施策に準じたことしかやっていません。条例もつくらず、独自の施策もやらないというのは、いわば怠慢といってもいいでしょう。条例が制定されている東京都墨田区に行ってみてきましたが、条例があるためにたいへん中小企業対策が充実しています。 私たちの提案は県の条例です。都道府県では全国初の試みです。私たちは、中小企業に身近に接する市町の役割が大きいと考えますが、市町の財政状態などを見たとき、広域自治体としての県の役割は絶対に必要です。そのため、県の責務を明確にし、必要な財政措置をとること、市町との連携を重視すること、大企業の社会的責任を強く求めることなどを強調しています。 この条例案は、全国的にも注目されています。埼玉県議団がこられたのをはじめ、他府県から資料提供の依頼が相次いでいます。私も全国の中小商工業の研究集会で報告したところ、大きな反響をいただきました。
Q 条例制定にむけ、どうとりくみますか
A 島田 私たちは、自民党はじめ他会派をまわり丁重に説明し、虚心に耳を傾ける姿勢を堅持し、成立のため、誠心誠意、努力しています。可能な共同を追求する広い姿勢とともにこの条例の正当性を道理をもって明らかにする論戦も大いにやりたいと思っています。何事もそうですが、県民の世論が大事です。県条例制定のためにも、できた条例が力あるものとするためにも、議会の中だけでは不十分です。広く県民、諸団体の運動が大事です。党県議団は、このためにも力を尽くします。 (9月22日付「兵庫民報」よりの転載)
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