議会報告
-
私は、日本共産党県会議員団を代表し、上程されている請願、第40号、第46号、第47号ないし第49号について、不採択ではなく採択を求め、主な理由を述べます。
まず請願第40号「県として国に対して、公立学校の教職員未配置解消のための施策に早急に取り組むことを求める件」についてです。 教員の未配置解消のためには長時間労働と過重労働の改善が必要です。教職員勤務実態調査によると、小中高校と特別支援学校の1か月時間外勤務(持ち帰りを含む)の平均は96時間10分です。現場からは「いじめなどの対応に手が届いていない」「委員会や部活を一人で担当している」という声があります。精神疾患による病休職者が毎年7000人を超えており、長時間労働がメンタルヘルスに影響を与えていることも否めません。長時間労働の是正には、給特法の〝公立学校の教員には残業代を支給しない〟という条文を廃止し、労働基準法37条(残業代支給)を適用することが求められます。過重労働の是正には「カリキュラム・オーバーロード」として問題になっている子どもへの過大な教育の見直し、2027年度に予定されている学習指導要領の改訂で年間授業時数を適正化し教員の業務削減を進めること、教員以外の専門職の配置を充足させること、全国学力テストや教員評価を見直すなどが求められます。国が責任を持って教職員未配置を解消するために、これらの施策に取り組む必要があるため、本請願は不採択ではなく採択を求めます。次に請願第46号「日本政府に核兵器禁止条約の署名、批准を求める意見書提出の件」についてです。
被爆80年、戦後80年、国連憲章制定80年。人類の歴史は、平和と人権の尊重へと大きな前進をとげています。昨年は「生きているうちに全ての核兵器をなくし、平和な世界の実現を」願っている被爆者のみなさんの全世界に向けての運動に対し、ノーベル平和賞が授与されました。これは世界から核兵器をなくす「希望の光」となりました。
しかし、世界では今でも、戦争、紛争が続いています。その中で、ロシアのウクライナ侵略におけるプーチン大統領の核兵器使用威嚇、イスラエルのガザ侵攻においてもイスラエル政府関係者による核威嚇など、核兵器が決して「戦争の抑止力」ではなく、核兵器保有国の戦争の手段であること、それが戦争をエスカレートさせたことをはっきり示しています。核兵器がある限り人類は核兵器使用の危険にさらされているのです。ガザではやっと停戦へ向けて「第1段階」の合意がなされました。合意の厳格な実施、一時的な停戦に終わらせず、恒久的で包括的な和平の実現を望むものです。
日本の被爆者が、世界に向け被爆の実相を伝え、核兵器廃絶を訴え続ける長い運動が後押しする中、核兵器禁止条約が、2017年7月7日、122か国の賛同を得、国連で採択されました。2021年1月22日に正式発効され、禁止条約は国際法となりました。これは、核兵器完全廃絶につながる画期的な条約です。現在、95か国が署名、さらに署名はしていないが参加している国が4か国あり、合わせて99か国です。批准国は74か国となっています。世界は核兵器廃絶を求めています。しかし、日本政府は、いまだに禁止条約に調印せず「核抑止論」にしがみつき反対の立場をとっており、世界から大きな批判が寄せられています。核兵器廃絶は、人類の生存と平和にかかわる問題であると同時に、この非人道的兵器から未来の人類を守るためにも緊急の課題です。日本政府は日本国憲法からも、唯一の戦争被爆国であることからも当然支持し、積極的に進めるべきものです。 日本被団協は、10月8日、日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める国民的行動を呼びかけました。本県においては、兵庫県被団協のみなさんを先頭にした県民の運動が実り「非核平和兵庫県宣言」決議が「世界の恒久平和と核兵器廃絶を希求する兵庫県宣言」として2017年12月14日、全会一致で採択されております。
筆舌に尽くしがたい体験を世界で語り、「核戦争を回避するには、核兵器をなくすしかない。核兵器で苦しむ被害者は、私たちを最後にしてほしい」という被爆者の悲願を実現するために、一日も早く日本政府に核兵器禁止条約の署名、批准を求める意見書提出についての本請願に賛同し不採択ではなく採択を求めます。
あわせて、日本被団協は国会と地方議会での被爆者証言を要望しています。すでに東京都議会では行われており、兵庫県議会で被爆者証言を早い時期に行うことを求めるものです。次に請願第47号「兵庫県における医師臨床研修の充実・質向上を求める件」、第48号「兵庫県が削減した令和8年度臨床研修病院の研修医募集定員を令和9年度からは0名から2名以上に戻すことを求める件」、第49号「医師臨床研修の研修医募集定員を設定する会議体の改善を求める件」についてです。
臨床研修制度は医師としての基盤形成時期に、医師としての人格をかん養し、将来専門とする分野にかかわらず、医学及び医療の果たすべき社会的役割を認識しつつ、一般的な診療において頻繁に関わる負傷及び疾病に適切に対応できるよう、基本的な診療能力を修得するものです。
厚生労働省においては、当面、基幹型病院の半数程度が第三者評価を受審することを目標として、これまで以上に受審を促進し、各基幹型病院における研修の質の維持・向上及び研修環境の整備を推進することが必要であると考えています。しかし、第三者評価を受審する病院は、金銭的コスト及び人的コストを負担しなければならないため、過重な負担となっています。そのため受審する基幹型臨床研修病院の受審経費について支援するとしています。兵庫県においても第三者評価であるJCEPの受審が促進されるよう基幹型病院の半数程度の目標設定、受審のための財政等支援が求められます。基幹型臨床研修病院のプログラム責任者や指導医同士のネットワークの形成も求められます。
中小病院では患者やその家族、地域の医療機関や介護関係者とのつながりを経験し、看護師、臨床検査技師などの医療従事者により近いところで医療を学ぶことができます。しかし兵庫県は大病院を優先するあまり研修病院の規模や機能のみ評価しており、地域医療の実際を学ぶことや第三者評価の受審を適切に評価していません。臨床研修制度の趣旨には相容れないものです。千葉県はJCEPによる臨床研修評価の受審を受け、認定されている場合は1名加算しています。臨床研修制度の趣旨に則り大学病院から中小病院まで幅広く定員配分をし、令和8年度0名通知を受けた病院に対して、令和9年度は2名以上に戻すことが求められます。
定員決定においての判断根拠の基本方針・検討事項は毎年変わり事後通知です。基本方針・検討事項が事前に公表されないため、基本方針・検討事項に合わせた研修内容の改善ができません。それは医療の質の向上にも影響を与えます。他県の定員配分を決める会議体では一般市民は傍聴可能で議事録の公開も行われているにも関わらず、兵庫県は隠すかのように会議体は非公表、議事録は黒塗りだらけです。定員決定プロセスの不透明さを是正し、兵庫県が謳う「県民の参加と協働による県行政の推進」を実行し、協議会及び地域医療対策部会の日程や議事録を公開、基本方針・検討事項の事前公表、他県と同様に全ての臨床研修病院が参加する会議体の設置が必要です。よって本請願は不採択ではなく採択を求めます。
以上、議員各位の賛同をお願いして私の討論を終わります。