議会報告

  • 2025年10月22日
    本会議

    第372回議会 本会議 決算認定議案反対討論 庄本えつこ

    私は、日本共産党議員団を代表し、上程中の決算認定議案のうち、認第1号議案、認第2号議案、認第3号議案、認第5号議案、認第7号議案、認第10号議案、認第11号議案、認第14号議案ないし認第17号議案、認第19号議案、認第21号議案、第22号議案、合わせて第77号議案、計15件に反対し、以下その主な理由を述べます。

    まず、認第1号議案「令和6年度兵庫県一般会計歳入歳出決算の認定」についてです。
    反対の第1の理由は、一般会計決算が、県民の暮らし、営業を支えるものになっていないからです。2024年度決算における県税等の収入は9735億円と過去最高とされていますが、最大の税収項目は、地方消費税の2745億円で、前年比106%となっています。
    しかし物価高騰の影響などにより、2024年の兵庫県内の平均実質賃金は2020年比95.9%で、3年連続で引き下がっており、県民の暮らしは疲弊しています。さらに2024年の中小企業は倒産件数が前年比8.4%増の570件、休廃業・解散企業は前年比47%増で初めて2,000件を超える2,176件となり、営業は深刻です。
     いま県の大きな役割は、物価高で疲弊した県民の暮らし、中小企業の営業を応援する施策をすすめることです。先に行われた参議院選挙では、ほとんどの政党が、消費税の減税や廃止を掲げました。毎日の買い物にかかる消費税の負担を減らすことが、もっとも効果的な暮らし応援となるからです。
     兵庫県として、税収構造は、消費税に中心をおくのではなく、消費税の減税を国に求め、財源は、巨大な内部留保をためている大企業の法人税を引き上げて賄うことなどを求めるべきです。
    また賃上げが求められている中、岩手県、徳島県から始まった中小企業に対する直接支援が、茨城県、群馬県、山梨県、奈良県などへ広がっています。兵庫県も賃上げ支援金等の直接支援を行うべきです。
     
    反対の第2の理由は、財政が厳しく投資的事業を見直すとしながら、過大な需要予測による不要不急の開発型の大型公共事業工事を継続しているからです。
     2024年度も「基幹道路八連携軸構想」による大阪湾岸道路西伸部事業、地元で反対の声が大きくなっている播磨臨海地域道路事業など不要不急の高速道路網をすすめています。人口減少はさらに加速し、都市部でも自動車交通量は減少に転じている中、「基幹道路八連携軸」計画の抜本的見直しを求めます。不要不急の大型開発の公共工事ではなく、地元建設業者が直接受注できる防災減災型の公共事業へ転換するべきです。

    反対の第3の理由は、地域医療構想の名のもと急性期病床削減など、医療、社会保障を切り捨てているからです。
     県は地域医療構想に基づき、病床数適正化支援事業の推進などで、2014年度には2万9840床あった急性期病床を毎年減らし続け、2024年度までに7497床を削減しました。病院の統廃合が進められ病床数が減った地域では、不応需率が高くなり救急車の到着時間も長くなっています。コロナ禍の教訓として突発的な新興感染症が流行したときでも、十分に対応できるように、平時からゆとりを持った病床体制にしておくべきです。また2021年度からは消費税を財源に病床削減を行っていることも認められません。

    反対の第4の理由は、生徒数の減少を理由に県立高校統廃合を進める決算になっているからです。担任がいないなど教員不足は解消されず、教員の業務多忙化等によって病気休職者、年度内退職者を生むという悪循環を起こしています。また子どもたち一人ひとりに丁寧な教育を行うためには少人数学級が必要ですが、実現できていません。教員不足解消と少人数学級を早急に行うことが求められます。県は、県立高校教育改革第3次実施計画に基づき、今年度は14校を6校に統廃合しました。生徒や地域に与える影響が考慮されておらず、生徒や保護者からは存続の声が上がっています。県立高校は存続させることが求められます。

    反対の第5の理由は、産業立地条例等大企業呼び込み型の経済政策を続ける内容になっていることです。
     2023年度に産業立地の促進について条例を改定し、全県域で成長産業の補助率を最大10%に引き上げ、投資促進地域にベイエリア地域を設定し、重点的に支援するとしました。体力のある大企投資事業をさらに優遇するものです。
    2024年度の、産業立地補助金の支出は、大企業、約13億985万円、中小企業、約4億9,263万円で約7割が大企業、本事業トータルでは、大企業245億円、中小企業等54億円で82%が大企業への支援となっています。これでは、県の経済の主力を担っている中小、個人事業主などの支えにはなりません。企業支援の在り方として産業政策の中心を、大企業中心の産業立地支援から、中小、個人事業主などの営業を支える直接支援への転換が必要です。

    反対の第6の理由は、県が推進してきた大阪・関西万博について問題点が次々と露呈していることです。
    大阪・関西万博が今月13日閉幕しました。来場者数は、想定していた2820万人に対し2,500万人と遠く及ばず、入場券販売も累計約2,200万枚と目標の2,300万枚に届いていません。運営費について230億円から280億円の黒字としていますが、約255億円の警備費や約240億円の途上国出展支援などが国費負担とされ、この措置がなければ大幅な赤字です。さらに建設費未払問題があります。10か国以上の海外館の工事について下請けへの未払い被害額は10億円以上と言われています。被害業者は責任の追及とともに建て替えや無利子融資を訴えていますが、大阪府知事や国・協会は「契約当事者ではない」と拒否する態度です。被害業者からは「協力業者も連鎖倒産の危機」「家族も含め1,000人から2,000人が路頭に迷いかねない」と訴えています。
    メタンガスの問題はその後も爆発濃度が検知される、貴重な渡り鳥の住処を破壊して作られた会場でのユスリカ大量発生、絶滅危惧種の中継地の湿地が損なわれたなど、公表されなかった問題がたくさんあります。「命輝く未来社会のデザイン」とは真逆の実態です。
    その万博に前のめりになっていたのが兵庫県です。2024年度の万博関連予算は18.6億円、過去4年間で53.6億円です。万博来場者を誘客しようとした、フィールドパビリオンは成功したとの声は聞かれず、楽市楽座は1日3,000人~5,000人の来場を見込んでいましたが1日平均2,100人でした。わが会派はこれら事業について、事業計画の不十分さを指摘してきました。万博後の継続した誘客促進の事業実施にあたってはこれまでの事業検証と課題抽出を十分に行い、目的や理念を明確にした事業計画であること、観光需要の喚起を行い、地域活性化のためには、地元中小企業や地域へ直接支援を行うべきです。

    反対の第7の理由は、温暖化対策が不十分だからです。
    2025年の夏は、これまでの平均気温から+2.36℃となる、観測史上、最高に暑い夏となりました。地球温暖化の要因となっている温室効果ガスなど、二酸化炭素の排出を抑制、ゼロカーボンにする事業は待ったなしです。
     しかし、兵庫県の温室効果ガスについて、2022年度速報値は6,249万8千トンで、前年比1,934トン増加しています。これは、2022年2月に3号機、2023年2月に4号機が稼働した神戸製鋼石炭火力発電所からの二酸化炭素排出が増え、電力排出係数も2021年0.309㎏が、0.420kgに増加したためと考えられます。世界の温度上昇を1.5度以内に抑えようというパリ協定の実施のためには、COP28では、2035年までに2019年比60%の削減が必要とされています。県は、神戸製鋼の石炭火力発電所に対し、環境影響評価を行い、従来よりも二酸化炭素の排出を増やしてはならない旨を報告書にも記載しています。よって、2023年度の施策において、石炭火力発電の稼働停止などの措置が必要でしたが、なされていません。神戸製鋼など県内のすべての石炭火力発電所を停止、中止させるとともに、再生可能エネルギーの抜本的拡充をすすめることを求めるものです。
     なお、本一般会計決算では、斎藤元彦知事の違法疑惑文書が指摘する阪神・オリックス優勝パレードにかかる信用金庫等からのキックバックに関わって、詳細は述べませんが、各信用金庫から50~500万円の寄付額に対し、6700万円~997万5千円の補助金(中小企業経営改善・成長力強化支援事業費)が支出されていることが明らかになっています。百条委員会で指摘しているように、この問題は、背任容疑の告発状が県警で受理されており、その結論をまだ得ていません。いまだ疑惑が残ったままの状態で、本決算を認めるわけにはいきません。
    以上から、認第1号議案に反対します。

    次に認第2号「令和6年度兵庫県県有環境林等特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。
    兵庫県は過大な開発により土地購入等を推し進めた結果、多額債務に陥りました。計画性がないうえに、資産状況を明らかにしてこなかったことなど過去の用地取得事業の失敗を反省することなく、新たに矢野、小犬丸地区を県有環境林として取得するものです。県有環境林という美名のもと県民に十分な説明もなく、効果の検証もないまま、事業を続けていくことは認められません。

    次に認第3号「令和6年度兵庫県港湾整備事業特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。
    2022年度の外部監査人により、ひょうごふ頭の港湾施設使用料に、県の多額の減免を継続した結果、ひょうごふ頭が15億円の資金を蓄積していることが明らかになりました。これに対し、県政改革方針で固定資産、従業員の退職金積立額以外の9億6,500万円を港湾施設の整備、修繕に活用することを確認しました。2024年度は、上屋の設計に1,400万円、野積場修繕等に5,600万円、計7,000万円が予定されていましたが、実際に使われたのは600万円です。設計の遅れという説明がありましたが、決めたことの進捗状況など県民に対し説明責任を果たすべきものですが、なされることなく進めています。
    さらに、県はひょうごふ頭への業務委託から指定管理者制度にしました。指定管理者制度は業務委託とは異なり、管理権限までも受託担当に至るものであり、予算の使われ方など不透明になるなど問題が多いことから、共産党議員団は反対をしました。県の施設については県が責任をもって直接運営すべきであり、本議案には賛同できません。

    次に認第5号「令和6年度兵庫県営住宅事業特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。
    県は、2021年7月、「ひょうご県営住宅整備・管理計画」を改定し、2020年4月1日時点で49,950戸あった県営住宅管理戸数を2030年に45,000 戸へと削減する計画を決定しています。
    2024年度は、西昆陽、白川台、山本住宅などの建替えで271戸増がありましたが、明石舞子南や新多門などで建替除却、八鹿伊佐テラスなどで集約除却が行われ、全体で799戸削減、管理戸数は46,227戸から45,478戸になりました。貧困と格差が広がる

    中、また、子育て支援などの観点から、低廉な家賃で住宅を供給するという県営住宅の役割がますます高まるもとでの管理戸数削減は認められません。

    次に認第7号「令和6年度兵庫県庁用自動車管理特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。
    2023年度は1職員が5人から12人に減っています。
    2024年度は14人に職員の増になっていますが、人員配置の変更によるもので、新たな増員ではありません。職員が退職などで減員しても、不補充の方針は変わっていません。タクシーなども利用するとしていますが、庁用自動車の運転はただ人を運ぶというものでなく、自動車の中で執務を行うこともあるなど直接雇用の職員が担当するべき部署であり、不補充という人員削減方針には賛成できません。

    次に認第10号議案「令和6年度兵庫県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。
    令和6年滞納繰越分の回収率は69.1%となっています。福祉的な貸付であることを考慮し、返済の意思がありながらも返済困難な人に対しては、民間債権回収業者による機械的な徴収強化ではなく、返済アドバイスをしたり、少額返済や減免措置をしたりするなど、生活実態に見合った丁寧な対応を行うべきです。

    次に認第11号議案「令和6年度兵庫県小規模企業者等振興資金特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。
    本制度は、同和対策特別措置法等の認定にもとづく事業計画であり、無利子での貸し付けを行うなどの特例を設けてきたものです。過剰な貸し付けを行い、長年にわたって資金回収できていない状況は看過できません。

    次に認第14号議案「令和6年度兵庫県国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定」についてです。
    県は2026年に標準保険料率を示し、2030年には完全統一保険料にするとしています。年々高くなる1人当たりの保険料調定額の2025年度県平均は10万5,211円です。29市町が10万円を超えています。現在の一般会計からの繰入の減額を市町に競わせる保険者努力支援制度、加算点数が多ければ特別交付金が手厚く交付される仕組み、市町の納付金の算定に医療費水準を反映させないことは、県内の市町全体に痛み分けとして負担を課し、県下の保険料の水準統一を目指すためのものです。これではますます保険料が高くなることを、わが会派は指摘してきました。
    保険料の水準統一の方針撤回、医療費の増加を国庫負担の増額で支える仕組み、保険料の引き下げ、均等割の廃止など、制度の抜本的見直しが求められます。

    次に認第15号議案「令和6年度兵庫県病院事業会計決算の認定」についてです。
    病院事業に企業的手法を導入した公営企業会計の全部適用が行われており、賃金、労働条件が一般行政職と切り離され、水準の切下げが可能な仕組みになっています。また、全10か所の県立病院が赤字経営の中、給与抑制方針の継続、在院日数の短縮と稼働病床率の引上げ追求のための早急な退院や転院がなされています。赤字経営の根本となる診療報酬の引き上げを国に求めるべきです。命と健康を守るという医療理念をもとに事業展開することが求められています。

    次に認第16号議案「令和6年度兵庫県水道用水供給事業会計決算の認定」についてです。
    過去の過剰な水需要予測による施設整備や二部料金制などにより、高すぎる県営水道料金は、改善されていません。2024年度の県水の平均供給単価は1トン当たり約118円で、尼崎市は約139.04円、西宮市では117.38円となっています。
    一方で、阪神水道企業団の平均供給単価は1トン当たり尼崎市、63.14円、西宮市は65.78円です。高い県水を市町に押し付けていることから認められません。

    次に認第17号議案「令和6年度兵庫県工業用水道事業会計決算の認定」についてです。
    工業用水道事業は、日本製鉄株式会社など、大企業に供給している揖保川第1工業用水の水道料金が、1トン当たり4円30銭で、54年前の1971年から2円しか値上げされていません。工業用水道事業法でうたわれている「社会的経済的事情の変動により著しく不適当」な料金状態であり、不当に安い価格に据え置いていることから認められません。

    次に、認第19号「令和6年度兵庫県地域整備事業会計決算の認定」についてです。
    2023年2月、企業庁経営評価委員会は、「将来、帳簿上の収益を得られる可能性が低い資産がある等実質的には債務超過状態にある可能性が高く、事業会計持続可能性に懸念」を表明し、「何もしなければ2028年度には資金ショートが見込まれる」として対策が求められました。もともと、日本共産党議員団は、青野運動公苑や淡路夢舞台、国際会議場などの地域整備事業について公金を投入する事業ではないと反対をしました。
    今議会で青野運動公苑の民間売却を決定し、さらに淡路夢舞台のホテル等の民間売却が決められたことも含め、今後、課題解決のためにプロジェクトごとの実態を明らかにし県民に明らかにすることを求めるものです。

    次に認第21号議案「令和6年度兵庫県地域創生整備事業会計決算の認定」についてです。
    県は開発用地として県内各地の土地を購入し造成整備してきましたが、その負債は約800億円に上っています。現在ひょうご情報公園都市などに1378.6haの進度調整地が残されています。過大な土地購入について総括されておらず、県民に負担を強いるものになっています。このような中、あらたにひょうご情報公園都市第2期整備事業を展開することそのものに賛同できません。

    次に認第22号議案「令和6年度兵庫県流域下水道事業会計決算の認定」についてです。2017年12月に、流域下水道事業会計は特別会計から企業会計に変更されました。公営企業は独立採算が原則であり、地方公営企業法の財務規定の適用がされることで、これまで行われていた一般会計からの繰入も制限されました。施設の維持管理に係る費用負担について2024年度までに約4,069万円の市町負担増となり、23年度から1,713万円も増えています。市町に負担を課すべきではなく賛同できません。

    最後に、第77号議案「知事及び副知事の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例の制定」についてです。
    知事は提案説明で、「保有文書を適正に管理すべき立場にある組織の長として責任を重く受け止め、自らの身を処して、県民の信頼回復に

    努めるため、給与の減額を行う。」としました。

    しかし、秘密漏えい疑いに関する第三者調査委員会の調査報告書は、井ノ本氏による漏えい行為は、「知事及び副知事の指示のもとに行われた可能性が高い」と結論付け、その目的は、告発者の人格や人間性に疑問を抱かせ、告発文書の信用性を落とすことにあったと認めました。第三者委員会が、井ノ本前総務部長、前理事、元副知事の供述が時期及び内容においてほぼ一致していると認めたことは極めて重大です。知事は、いまだに「指示をしていない」と否定していますが、第三者委員会は「知事の供述には不自然さも否めない」、「知事の供述は採用することが困難」と結論付けています。知事の主導のもとに「告発つぶし」と言える行為が行われたことの責任は大変重いものです。
    この問題は、井ノ本氏に対し、地方公務員法第34条の守秘義務違反で、齋藤知事、片山元副知事を地方公務員法第62条の「そのような行為を企て、命じ、故意にこれを容認し、唆し、又はそのほう助をした者に対する罰則規定」により、刑事告発が行われています。

    元西播磨県民局長による告発文書問題は、いまだに収束を見ていません。今議会の代表質疑、一般質問、決算特別委員会総括質疑においても知事の答弁は「対応は適切だった」という主張を繰り返すのみで全く誠意のないものでした。これでは、県民、議会、県職員の理解、納得は得られません。

    秘密漏えい問題について、知事自身が指示したことを認めないまま、他人事のように給与カットで問題を終わらせようとしていることも含め、これまでの一連の知事の行為は、行政の長としての資格を失しています。これ以上斎藤知事が県政運営を行うことは認められず、日本共産党議員団は、辞職を求めています。よって知事の給与カット条例議案については認められず、継続審査も必要ないとの立場を表明します。知事は、すべての非を認め、辞職すべきであることを再度訴え、討論とします。

    以上、議員各位のご賛同をお願いし、私の討論を終わります。ありがとうございました。

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