議会報告

  • 2025年10月02日
    本会議

    第372回議会 議案反対討論 久保田けんじ

     私は、日本共産党県議会議員団を代表し、上程されている議案のうち、第81号議案、第83号議案、第84号議案、第86号議案ないし第89号議案、計7件に反対し、第80号議案について意見します。

     まず第81号議案「個人番号の利用、特定個人情報の提供等に関する条例の一部を改正する条例」についてです。                               

     マイナンバー制度は個人情報を容易に照合できる仕組みであり、プライバシーの侵害や個人情報が流出したときの被害は甚大であり、この制度そのものに反対しています。本議案は、個人情報のさらなる利用の拡大につながるもので賛成できません。

    次に第83号議案「県民緑税条例の一部を改正する条例」についてです。

     県民緑税は、2006年度から県民1人当たり年間800円、企業からは、年額2,000円から8万円が課税され、併せて年間約24億円、5年間で約120億円を徴収しています。5年ごとを1期として条例が改正され、本議案は5期目の延長を行おうとするもので、125億円の徴収を見込んでいます。対象事業は、防災のための森林整備、まちなみ緑化事業などです。今期4期目は120億円の支出のうち、災害に強い森づくり事業には88億円、まちなみ緑化事業には32億円が支出されます。また、2019年度に成立した「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」に基づき2023年度までは借入金などを原資として国事業として森林環境譲与税による森林整備が新たに行われています。2024年度からは復興税の市民税加算分が廃止されることに伴い、国税である森林環境税の課税が始まりました。これは、森林の吸収源対策や公益的機能の恩恵を口実に、国やCO2排出企業が引き受けるべき負担を、国民個人に押し付けるものです。新たに国民一人当たり1,000円の森林環境税が徴収され、県民にとって県民緑税と共に、2重の負担が課せられています。                                 

     防災のための森林整備などは必要な事業です。まちなみ緑化事業のほとんどは住民団体の緑化活動に対する補助で、僅かとはいえ企業内の敷地内緑化など本来、企業自身が責任をもって行うべき事業まで含まれていることは問題です。物価高に加え、県民の実質賃金が低下しているもとでの5年間の制度延長には賛同できません。

     次に第84号議案「使用料及び手数料徴収条例等の一部を改正する条例」についてです。     

     現在、マンションでは、建物の老朽化と居住者の高齢化の課題があります。高経年マンションには、耐震基準を満たしていないものも多く、防災上も建て替えや大規模修繕が必要なマンションが急増しています。しかし物価高の中、建築費用が高騰し、現状の修繕費用積立金では必要な費用が出せず、建て替えの必要性を認めつつも計画に同意できないなどの問題が生じています。                             

     マンション関連法改正では、多数決決議など手続き面での要件緩和を行いますが、資金がないなどの理由で住んでいるマンションを退去せざるを得ない人が出てきます。退去せざるを得ない人への支援策はほとんどありません。また、マンション管理業者の提携業者が修繕も行うなど、住民の思いと違う方向に行きかねない問題もあるなど法改正そのものに賛同できず、本議案には反対します。           

    次に第86号議案「国営加古川水系広域農業水利施設総合管理事業」、第87号議案「国営土地改良事業についての市町負担額の決定」についてです。                          

     国が行う水利施設の管理事業と施設整備、国営土地改良事業について、市町と農家に負担を求めるものであり、本来、国で一元的、総合的に行うべきものであり、市町負担にすべきではありません。また国営東播用水土地改良事業、東条川地区、加古川西部地区は国の減反政策などにより大きく縮小しています。いま、米不足といわれ、国は、コメ増産をうたってはいますが、これまでの減反政策をあらため、主食米の作付面積拡大の支援を行いながら、水利施設管理整備事業は国が責任もっておこなうべきです。

     次に第88号議案「県が行う建設事業についての市町負担額の決定」についてです。

     本議案には、県道園田西武庫線が入っています。園田西武庫線は、三菱電機敷地内を含め尼崎市内を東西に走る道路で、総事業費約198億円かけて整備するもので、このうち約55%が三菱電機の敷地1万8600㎡の用地買収、物件移動の補償費に充てられ、合わせて108億円にも上ることから、従来から事業そのものに反対しています。整備予定の東園田側、藻川工区の方々にお話を聞きました。関係住民は、用地問題、道路設計などについて勉強会を重ねながら、県に何度も要望や提案をしてきました。今着々と工事が進められていますが、関係住民の中に反対の意思をお持ちの方々がおられ、住民の合意が得られていないことから賛同できません。

    次に第89号議案「国営明石海峡公園整備事業についての神戸市負担額の決定」についてです。                                            

     「本事業は、総事業費約958億円を投じ、神戸地区と淡路地区合わせて330haに及ぶ巨大な公園整備を進めようとするものです。淡路地区では都市計画法改正によって、㈱アクアイグニスが国営公園としては初めて2020年11月から20年間にもわたるpark-PFI事業としての計画認定がされました。PFI事業は、民間開発事業者が公共施設である都市公園を自由に使用することが懸念され、公共の福祉増進という公園の本来機能が損なわれる恐れがあります。また、民間事業者による公共還元型収益施設の設置に係る公募選定制度には住民の意見聴取が義務づけられておらず、住民不在のまちづくりが推し進められる危険性があります。淡路地区でも住民説明会も開催されないまま事業がスタートしました。PARK-PFI事業は、事業者が公園管理者に土地使用料を支払い、収益施設を公園内に設置することができます。県当局が土地使用料について国へ問い合わせたところ、国有地であり、県も出資している国営公園であるにもかかわらず、国は「土地使用料は公表できない」としています。 公共の福祉の増進を目的とした都市公園が、住民説明会も開催されないまま、土地使用料さえ公表されないまま、民間の利益追求の場になることになります。神戸地区には隣接して、県民に親しまれているしあわせの村があり、公園整備事業として必要性のない国直轄事業に地元負担を求めるべきではなく、本議案に反対します。

    次に「令和7年度兵庫県一般会計補正予算(第2号)」について意見を述べます。    

     今年度の大阪・関西万博関連予算は17億円、万博関連に過去3年間で45億円を費やしています。フィールドパビリオンは万博来場者を誘客しようとしましたが効果検証が不十分です。ひょうご楽市楽座は1日3000人~5000人の来場を見込んでいましたが実際はその半数程度です。わが会派はこれら事業について、政務調査会などで費用対効果見込みの曖昧さなど事業計画の不十分さを指摘してきました。「2025大阪・関西万博後の継続した誘客促進」は、これまでの万博来場者誘客事業の検証や今後の計画性が不十分です。事業実施にあたってはこれまでの事業検証と課題抽出を十分に行い、目的や理念を明確にして事業計画を作成すべきであるということ、観光の魅力を発信し観光需要の喚起を行い地域活性化を進めるためには中小企業や地域へ直接支援を行うべきであると意見します。

    以上、議員各位の賛同をお願いして私の討論を終わります。

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