議会報告
-
日本共産党県会議員団の庄本えつこです。
予算組み替え提案の説明の前に、知事に一言申し上げます。3月5日百条委員会からの報告書が議会で了承され、3月19日には文書問題第三者調査委員会調査報告書が提出されました。知事に置かれては、報告書を真摯に受け止め、厳正に身を処すことを求めます。
それでは、日本共産党の2025年度兵庫県予算案の編成替えを求める動議について、提案説明を行います。
物価高騰等により、兵庫県内の平均実質賃金は2020年比95.9%で、3年連続で引き下がり、県民の暮らしは疲弊しています。中小企業は倒産件数が前年比8.4%増の570件、休廃業・解散企業は前年比47%増で初めて2,000件を超える2,176件となり、県民の暮らし、営業は深刻です。
地方自治体の予算の役割は、県民の暮らしと営業を守り、福祉向上に資することです。しかし知事提案の「第1号議案 R7年度兵庫県一般会計予算」では、経済・産業政策の中心が、体力のある大企業向けの産業立地補助事業であり、東播磨道、播磨臨海地域道路事業や、大阪湾岸道路西伸部事業補助、三宮開発補助などの不要不急の大型開発事業の推進をはかる一方、県民の暮らしや中小企業の営業を支援する施策は、ほとんどありません。
参加そのものが危険で、招待される子どもからも「行きたくない」と悲鳴があがる大阪・関西万博関連予算には、他県と比較しても破格の予算を費やしています。若者・Z世代支援は不十分であり、兵庫県で子育てし、学び成長し、将来の支え手を育成しようというものになっていません。深刻な地球温暖化打開の施策、被爆80年を機とする平和構築の施策なども不十分です。
日本共産党県議団は、知事提案の2025年度兵庫県予算案を県民の立場からチェックし、県民の願いにこたえる予算として、25年連続となる予算組み替え動議を提案するものです。
組替えでは、まず全体の規模について、一般会計で見直しが必要な事業66項目、合計約578億円(約2.5%)を減額し、そこから生み出された一般財源、特定財源など約272億円を、若者・子育て、教育、医療・福祉分野、中小事業者・農家支援、脱炭素、防災・減災、平和事業など18事業について増額、あるいは新設し充当しています。
また、県債の発行額を、一般会計と1つの特別会計で、約247億円抑制しています。
新設事業や増額予算の主な内容について説明いたします。
第1の柱は、若者・子育て応援パッケージによる組替えです。
県立大学無償化は、県外生にも拡充するため、県立大学授業料等無償化事業費を10.5億円増額、高等教育就学支援新制度の対象者を年収500万円未満まで拡充するために、約5億円を計上します。小中学校給食費無償化事業を創設し、145億円を計上します。子どもの医療費について、15歳までの無料化を県が責任を負うために68.6億円を増額し、各市町の上乗せで18歳までの無償化をすすめます。母子家庭等医療費補助については、18歳までの子どもと、母、父などの医療費補助を所得制限なしで行えるよう3500万円増額します。国の施策で小6まで措置される35人以下学級について、中学1年生までの拡充をするために、中学校職員費を9億円増額しています。
第2の柱は、医療・福祉対策の充実です。
後期高齢者の医療費負担増が大きな負担となっており、高齢者の医療費負担軽減が求められています。老人医療費負担助成制度の復活のための予算を2億4500万円計上しています。さらには、重度障害者医療費補助を第二次行革プラン前にもどすために、8000万円増額します。
共産党議員団が繰り返し求めている高齢者補聴器購入補助については、1000人に4万円の補助を行う恒久制度を提案しています。
また看護師確保事業として、看護学生など就学資金支援金制度を創設し、1人年間50万円を60人対象に支給する制度として、3000万円を計上しました。
第3の柱は、中小企業、小規模農家支援です。
中小企業に対しては、賃上げ支援金として、50円の時給アップをした企業に対し、1人5万円、1企業最大40人分200万円の補助を行える制度を創設し、1000事業者、20億円を計上、ジェンダー平等促進中小企業支援事業費として、女性を正規職員として雇った中小企業に1人あたり100万円の補助金をだす事業を創設し、1億円計上しています。かねてより求めている住宅・店舗リフォーム助成には、1.2億円を計上しました。
兵庫農業の基盤を底辺から支えているのが、家族経営など小規模農家です。国連が2019年に「家族農業の10年」をスタートさせているように、小規模・家族農業支援の充実が必要です。とくに中山間地の小規模農家を支援するために、小規模農家公的サポート事業として、1.4億円の予算を確保しました。
第4の柱は、地球規模の気候危機対策です。
世界気象機関WMOは、2024年の気温上昇幅が産業革命前と比べ1.55℃上昇し、パリ協定の抑制目標としている1.5℃を上回っていることの懸念が表明されているように温室効果削減は待ったなしです。ところが兵庫県には、いまだにCO₂を大量に排出する石炭火力発電所が既設で8基あり、神戸製鋼が新しく建設した2基の発電所により、前年よりも上回るCO₂を排出していることもあきらかになっています。これらを早く稼働停止、再生可能エネルギーなどに転換させるために、石炭火力発電所廃止促進事業費として、石炭火力発電所廃止条例策定のために300万円を計上しました。
また県の脱炭素化事業は、削減効果すらわからない水素事業が中心になっていることを指摘してきましたが、提案では、脱炭素化事業の中心を再生可能エネルギーに思い切って転換が図れるように、再生可能エネルギー普及総合支援事業費として、再生可能エネルギー施設設置補助のために約1億円計上しています。
第5の柱は、南海トラフなど災害対策の拡充のための組替えです。
今年は、阪神淡路大震災から30年、東日本大震災から14年、能登半島地震から1年、南海トラフへの備えも加速させる必要があります。阪神淡路大震災でも東日本大震災でも多くの犠牲を払った住宅の耐震補強のために、ひょうご住まいの耐震化促進事業費を3億円増額しました。
また災害対策の要となる土木職員13人を増員し、当面はいまだに復旧作業をもすすんでいない能登半島支援に派遣する予算を計上しました。
第6の柱は、平和行政に関わる組替えです。
今年は、広島・長崎被爆80年、そして非核神戸方式確立から50年です。昨年、被団協がノーベル平和賞を受賞し、核兵器廃絶の機運が高まっています。兵庫県は、北東アジア地域の自治体の共同発展と世界平和に寄与することを目的にした北東アジア地域自治体連合に、1996年の設立当初から参加していますが、その設立のさいに、当時の貝原俊民兵庫県知事は、「阪神淡路大震災のちょうど50年前、日本人は原爆により被災を受けました。人間の手によって、人間を大量に殺害する過ちは2度とあってはなりません。私たちは、世界の恒久平和が実現するよう、すべての国の核実験に反対し、今後の実験の即時中止と核兵器廃絶を求めるものです」と発言しています。ところが、来年度、総会があるにも関わらず、関連予算は、国内旅費の4万円のみであります。提案では、北東アジア地域自治体連合の総会や事前協議に参加し、連合が、非核の北東アジア構築のためのイニシアチブを発揮できるよう、兵庫県として働きかけることなどをすすめるために、200万円を増額します。
なお、本日9時、米軍艦艇が、非核の証明書なしに神戸港・摩耶埠頭に寄港しました。1975年3月18日、神戸市会で「核兵器搭載艦艇の神戸港入港拒否に関する決議」が全会一致で採択されて以降、非核証明書なしの軍艦の寄港を一隻も許してきませんでした。それをこともあろうか、50年の節目の年に、外務省と神戸市は、「核は積んでいない」という口頭の確認だけで入港を許可し、米軍も強行してくるという異常な事態となっています。自治のルールを踏み破り、神戸・兵庫の平和を踏みにじるもので、許すわけにはいきません。
神戸港を有する兵庫県として、県民・市民の非核平和を求める立場から、知事は、国と米軍に対し厳しく抗議し、神戸市に対しても「非核神戸方式」という自らのルールに基づく対応を行うことを求めるよう、強く要請します。
さて、見直し減額する事業は、播磨臨海地域道路や大阪湾岸西伸部、東播磨道など過大な高規格道路事業188億円、三宮再開発事業補助38億円、大企業中心の産業立地促進補助事業約20億円、地域医療構想による病床削減予算26.3億円、万博関連事業11.2億円、マイナンバー関連、水素関連、同和関連事業などです。800億円の負債に関わる地域整備事業などの返済のための県債管理基金の積立金への120億円の計上は、事業に反対しているため削除しています。
また、公共事業用地先行取得事業特別会計の公共事業用地先行取得事業費30億円は削除します。
以上が、第1号議案「令和7年度兵庫県一般会計予算」、第4号議案「令和7年度兵庫県公共事業用地先行取得事業特別会計予算」に対する組替え動議の主な内容です。
知事におかれては、第1号議案、第4号議案を撤回し、以上述べた提案にそって速やかに編成替えを行い、再提出することを求めて、動議提案説明とします。
議員各位のご賛同を呼びかけまして、説明を終わります。ご清聴ありがとうございました。