議会報告

  • 2025年02月28日
    本会議

    第370回本会議 一般質問 庄本えつこ

    1.齋藤元彦知事違法疑惑告発文書問題について
    (1)公益通報について
     竹内英明元県議のご逝去に心からのお悔やみを申し上げます。
     昨年来の知事の違法疑惑告発文書問題をめぐる県政の混乱と停滞は、収まることを知りません。告発文書を入手した齋藤知事が、公益通報として扱わなかったということが重大問題であり、混乱の根源です。

     2月18日、わが党の辰巳孝太郎衆院議員が、衆院総務委員会で、この問題をめぐる兵庫県の公益通報制度・公益通報者保護法の扱いについての質疑を行い、消費者庁が答弁しています。
    消費者庁は、①マスコミなど外部への3号通報であっても、公益通報者保護法の保護の対象にしなければならない、②保護対象になるには、通報時において根拠となるものが示されていなくても、あるいはその中に誤りや思い込みが含まれていても、保護に該当しないということにはならない、③外部から不正行為が指摘された知事・当局(事業者)においては、その調査・是正にあたり、事実に関係する者を関与させないことなどを述べられました。

    これら消費者庁の答弁からも、齋藤知事が昨年3月に告発文書を、事実無根で誹謗中傷性の高い文書と決めつけ、告発者探索、処分のための調査を行ったことは不適切で、告発内容を、告発された当事者である知事や副知事、当時の総務部長、県民生活部長を告発内容の調査に関与させることなく、第三者による調査機関を設置するなどして、調査をおこなうべきでした。知事は、これまでの態度をあらため、自身の初動対応が不適切であったことを認め、昨年3月27日の記者会見での元県民局長への発言と、その後の処分の撤回を求めますが、いかがでしょうか?

    (齋藤知事答弁要旨)

    文書に事実と異なる記載があること。他に個人名企業名が多数含まれていること。放置していれば多方面に著しい不利益を及ぼす内容と認識したため、幹部職員にしっかり調査対応。文書に事実と異なる記載がある場合に、作成された方を特定し、文書の内容が真実に足り得る相当の理由があるかどうかを確認することが、法律上禁止されているとは考えられてはいない

    (2)県保有情報の流出について
     知事らが、不適切な調査を行うなかで得た個人情報は、県が組織として保有する以上、公文書として適切に扱われる必要があります。しかし、百条委員会で、この個人情報を元総務部長が、県議に見せたとの調査結果が得られており、事実解明が求められています。
     この個人情報は、初動調査に関与した片山安孝元副知事により百条委員会の場で口外し、そのやり取りを増山誠元百条委員会理事が、不当に録音を行い、音声データと文書をN党の立花孝志党首に渡したと証言しており、岸口実元百条委員会副委員長も百条委員会に関わるメモを立花氏に渡したと証言しました。立花氏は、それら情報を悪用し、竹内氏や元県民局長らを誹謗中傷する言説をふりまきました。この立花氏の誹謗中傷言説が拡散されることで、知事選挙結果に大きな影響をあたえ、竹内氏は命をも奪われることになりました。
     立花氏、岸口氏、増山氏らの責任は問わなければならず、党県議団としても維新議員へ辞職を求めています。しかし同時に、その大元となったのは、知事らの告発文書に対する不当な初動調査であり、そこで得た個人情報管理が不適切であったことによるもので、知事らの対応が大きく問われざるを得ません。
     知事と県当局は、この事態を重く受け止め、一連の事実関係を明らかにする責任があります。
     現在、2つの第三者調査委員会を立ち上げ調査しているとしていますが、その調査内容が公表されるかは不明であり、十分ではありません。流出が明らかな当時の総務部長が、誰の指示で、あるいはどのような意図で情報を流出していったのか、流出元、流出ルートが他にあるのか、片山氏がなぜ百条委員会で、非公表の県保有個人情報を不当に証言しようとしたのか、その情報を増山氏らがどういう意図で、立花氏に渡したのか、これら一連の事態を明らかにするとともに、不当不法な行為に対し処分や刑事告発も含めた厳格な対応を行う必要があるのではないでしょうか。
    Q県政の混乱を収め、正常化させるためにも、当事者でもある齋藤知事と県当局の責任において、知事が関わる部分は、客観的な調査機関にゆだねるなど適切な事態の事実解明と厳格な対応を行うことを求めますが、いかがでしょうか。

    (当局答弁要旨)

    第3者調査委員会で調査している。

    (3)SNS上の誹謗中傷について
     現在の混乱の要因となっている立花氏らによるSNSでの誹謗中傷は、いまだに止みません。
     立花氏は、竹内氏が亡くなられた後も、「竹内氏は、任意の取り調べを受けており、逮捕されることがいやで亡くなった」と陰謀論の類のデマを発信し、冒とくしました。これを受け、1月20日の警察常任委員会で、県警本部長は、「全くの事実無根であり、明白な虚偽がSNSで拡散されていることについては極めて遺憾」と立花氏の発信を強く否定し、立花氏もこの誤りをいったん認めました。
    しかし齋藤知事からは、立花氏の誹謗中傷に対して、「止めよ」という発信が一向になされません。立花氏は、齋藤氏を当選させるために立候補したと公言しており、知事はその当事者です。人の命が失われている結果を招いていることを正面から受け止めるべきです。
    神戸新聞の県庁担当記者は、元県民局長のプライベート情報の内容を報じていないことについて、その理由を、①告発者の人格と告発内容の真偽は無関係、②元県民局長の私的情報を県当局が収集した経緯に違法性の疑いが拭えない、③私的情報そのものの真実性の裏付けがないとしています。これが本来の良識的な対応ではないでしょうか。
     上司である知事が、元職員を誹謗中傷する発信について、何も言わないもとで、職員が安心して働くことができるでしょうか?
    Q齋藤知事は、当事者として、立花氏やそれに同調し、元県民局長や竹内氏への誹謗中傷を拡散する行為に対し、「発信、拡散を止めるべき」と表明し、刑事告発を行うべきだと考えますが、いかがですか。

    (当局答弁)

    個人間の問題に行政は介入できない。

    2.2025年度県予算案についてです。
     齋藤知事は、2月10日、過去2番目の規模となる総額4兆5,150億円の2025年度兵庫県当初予算案を発表しました。 県の外郭団体「ひょうご農林機構」による分収造林事業や企業庁が産業用地などを造成・分譲する地域整備事業が抱える多額の借金の返済処理のために県債管理基金を取り崩し予算規模が大きくなっています。一般会計は、総額2兆3,582億円で、過去4番目の規模です。4年連続過去最高更新の県税等収入9,982億円のうち、最大税収となる地方消費税収が2,827億円(前年比3.0%増)で、県民の暮らしを圧迫しています。県民の暮らしや営業は深刻で、兵庫県の2024年の平均実質賃金は前年比98.1%、2020年比では、95.9%と引き下がり、倒産件数は前年比8.4%増の570件、休廃業・解散企業は前年比47%増で初めて2,000件を超える2,176件となっています。しかし経済対策は大企業中心の産業立地補助金19.3億円が計上されている一方、暮らし、中小企業への直接的な支援はほとんどありません。教育に関わって県内生の県立大学授業料等無償化事業の対象を2年生以上に拡充、県外院生の入学金負担軽減、私立高校等の授業料補助2万円拡充等はありますが、県外生含めた県立大学無償化実施や学生への県独自の給付制奨学金、学校給食費無償化等には背を向けたままです。 一方、地域住民から反対の声が大きく広がっている播磨臨海地域道路計画や名神湾岸連絡線、大阪湾岸西伸部など不要不急の高速道路等の事業には138億円、三宮の一極集中をすすめる三宮再整備事業補助に、前年比10億円増の38億円、混迷・破たんをきたしている大阪・関西万博関連事業には、他府県よりも大きな17.5億円もの予算を計上しています。

    Q県民の暮らしや営業が深刻な中、不要不急の大型開発、計画破綻の万博事業に予算をつぎ込むのではなく、中小企業への賃上げ支援や一時金、阪神・淡路大震災を受けた兵庫県独自の問題として緊急災害復旧資金の返済免除、学校給食の無償化などの県民の暮らし支援、さらには、私立高校も含めた高校学費の無償化、県立大学の県外生への学費無償化、県独自の給付制奨学金の創設など、暮らし、営業と教育拡充の抜本的予算への転換を求めます。お答えください。

    (齋藤知事答弁要旨)

    産業立地補助、高速道路事業などの必要性を主張しながら、高校学費の無償化、学校給食無償化などについては「国の動向を注視する」との答弁。

    3.阪神・淡路大震災30年について
     本年1月17日、死者・行方不明者が6,437人を数える阪神淡路大震災から30年となりました。阪神・淡路大震災では、避難生活中に疾病などで命を落とす「関連死」が初めて注目され、その後の災害でも問題となっています。死者6,434人中、関連死は919人(14%)に上っています。
    阪神・淡路後の大地震を見ても、関連死の深刻さがわかります。2004年10月の新潟県中越地震では死者68人中、関連死は52人で76%に上りました。11年3月の東日本大震災では死者1万9,775人中3,802人、19%、16年4月の熊本地震は死者276人中221人、80%、18年9月の北海道胆振東部地震は死者44人中3人、7%、24年1月の能登半島地震は死者462人中235人、51%を占めています。災害で助かった命が守られない人災は、政治の責任で防がなければなりません。
    阪神・淡路大震災の教訓として、体育館など一次避難所の衛生環境や空調、プライバシーの保護、仮設住宅の快適性、緊急医療体制の充実が多少図られているものの関連死はあとをたたず、さらなる対応が求められています。
    2016年に内閣府が『避難所運営ガイドライン』で「飲料・生活用水は1人一日15リットル」「トイレは20人に一基、男女比は1:3」「お風呂は50人に1つ」「居住スペースは1人3.5㎡」などのスフィア基準を参考にすべき基準としましたが、昨年1月の能登半島地震では、避難所での雑魚寝、冷たい食事、女性に「林でトイレをしてくれ」と言うなど劣悪な実態が生じ、基準が満たされていない状態が浮き彫りになりました。
    内閣府は、この状況を踏まえ、2024年12月に自治体向けの避難所に関する取り組み指針・ガイドラインの改定をおこない、よりスフィア基準などが満たされるよう促しています。災害支援において、この基準が48時間以内に満たされることが最低限の水準として求められます。兵庫県では、このスフィア基準などによる被災者支援体制と備品の整備をおこない、48時間で対応できるようにするとともに、すべての自治体がその整備が行えるようこの基準をガイドラインに留めるのではなく、最低限の体制として整備されるよう国に求めることを要望しますが、いかがですか。

    (当局答弁要旨)

    国が改定した取り組み指針、能登半島地震を踏まえた県の有識者検討会の成果などをふまえ、避難者管理運営指針を見直す。女性や高齢者の視点をふまえた運営対策の構築、迅速な生活水準の確保、保険、医療、福祉の連携した支援、避難所以外の避難者への支援にとりくむこととしている。

    4.大阪・関西万博の子ども招待について
    万博開催まで1カ月半となりましたが財政問題、ガス爆発、土壌汚染によるメタンガス、強毒ヒアリ、水道、熱中症対策,避難ルート、医療体制、万博IDの登録、トイレなど問題が山積しています。
    2024年3月28日、会場となる夢洲で可燃性ガスの爆発事故が起こりました。
    「ガス抜き管のガス濃度測定結果」を見ますと、二酸化炭素を除いたメタンガス、一酸化炭素、硫化水素、アンモニアの濃度は基準値超えが続発していますし、特定の管では複数の有毒ガスが基準値超えで排出されています。それらのガス抜き管の排出口は、10月時点で万博に招待された子どもたちがバスから降り立ち、エントランスに向かう道沿いなどに、設置されています。党国会議員の聞き取りに、大阪市環境局担当者は、万博用地のどこでも爆発する危険性があると認めています。

    ヒアリ問題も重大です。昨年6月28日に万博会場の夢洲で、大変危険なヒアリが見つかりました。見つかったのはコンテナヤードで、万博会場とは道路を挟んだ位置にあります。殺虫処理を行い、現在のところ人への被害は確認されていませんが、子どもたちが万博に行く場合、ヒアリ対策として、長袖長ズボンで、裾を靴下の中に入れるよう指導がされており、問題が解決されたとはいえません。

    また、招待される子どもたちが万博のチケットを手に入れるためには、万博IDの登録が必要になりますが、その際に個人情報である氏名、ニックネーム、性別、生年月日、住所、電話番号、メールアドレスを入力しなければならず、万博協会に詳細な個人情報が蓄積されるものです。個人情報の漏洩、不正利用されることも懸念されています。

    Q)万博のメインスローガンの「いのち輝く」どころか、「いのち脅かす」になりかねない事態が次々と明らかになってきています。県として万博そのものから撤退すべきです。そして危険な大阪・関西万博に兵庫の子どもたちを招待することは、今からでもやめるべきと考えますがいかがですか。

    (当局答弁要旨)

    (万博は)特別な学びの場で、子どもの未来にとって貴重な場。各府県と連携して安全対策を進める。

    5.医師確保対策について
     OECD医療関連データの国際比較2019によると日本は、1000人当たりの医師数が2.4人、32位と最下位クラスで常態的な医師不足が深刻です。医療現場では医師数増加が要望されています。兵庫県は公立病院等の統廃合をすすめていますが、その背景にも医師不足があります。
    県医師確保計画では、県内における地域偏在、 診療科偏在の是正を図っていくとされていますが、医師不足を偏在問題にすり替えるものです。

    医師不足解消のためには、国として医学部の定数を増やすなど抜本的な対策とあわせて、研修医定員を増やすことが必要です。
    しかし、厚生労働省は都市部に医師が偏在しているとし、2025年度の兵庫県の定員を414人から404人へと10人減らしました。2025年度は、市立芦屋病院や尼崎医療生協病院など7病院への配分が0となりました。実質的な臨床指定取り消しです。病院統廃合等特別な事由以外で臨床研修病院の研修医募集定員を機械的に0人にしている事例は兵庫県以外にありません。京都府や奈良県などは病院や各機関で、受入ゼロを生まないよう調整を行っています。

    厚生労働省は「臨床研修制度は、医師としての基盤形成の時期に、患者を全人的にみることができる基本的な診察能力を習得することにより、医師としての資質の向上を図ることを目的としており、地域の医療提供体制の整備にあたっても、重要な役割を果たすことが期待されるものである」としています。
    200床以下の病院で研修したある医師は、「患者さんの病気だけではなく生活背景、経済状態、家族の状況、考えや健康観、人生史なども含め、全人的に診るということを学び、医師としての土台がある」とおっしゃっています。
    大きな病院だけではなく、地域に根差した医療を提供している中小病院での臨床研修が有効であるということです。

    Q兵庫県として、国に医師確保の抜本的対策、臨床研修医定数の拡大をおこなうことを求め、県として、臨床研修医の受け入れを希望する病院について、少なくとも2人以上の配分を行うことを求めますがいかがですか。

    (当局答弁要旨)

    国が県ごとの定数を決めており、難しい。

    6.訪問介護事業所支援について
    訪問介護は、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう訪問介護員が利用者の自宅を訪問し生活支援を行うものです。食事や入浴などの身体介護に加え、買い物や掃除など生活援助、また心や体や認知症上の変化に気づき、早期に専門的な支援につなげる役割をもっています。要支援者や要介護者や家族を支える事業の要です。
    訪問介護の介護報酬は元々低いにも関わらず、2024年度の介護報酬改定がマイナスとなり、2024年12月時点の県内の訪問介護事業数の休・廃止件数は前年同月6%増の142件となっています。また介護の現場では年末一時金の大幅減額が続出し、平均約10万円のマイナスとなり、前年比で平均額が下がった職場は57.5%に上っています。訪問介護施設や職員からは、「従業員が確保できずに休廃業することになった」「田舎では次の訪問先まで距離があり時間がかかるので1日に訪問できる件数が限られているため報酬が得られない」「訪問の際のガソリン代などの移動費用は自費」などの切実な声が寄せられています。
    介護報酬改定により実質賃金も引き下げられ、介護離職がすすみ、事業継続ができない事業者が増えている状況を変えなければなりません。
    千葉県流山市では介護福祉士に月9,000円の賃金補助を行い、東京都世田谷区では高齢者、障がい者施設への緊急安定経営事業者支援給付金の支給決定をして訪問介護1事業所当たり88万円を補助、その他ショートステイやデイサービスなどの居宅サービスや施設にも補助を出しています。介護事業者への賃金などへの直接補助が求められているのではないでしょうか。

    Q兵庫県では来年度の事業として実務者研修等開講経費補助や経営改善の専門家活用費用補助などを予定していますが、結局は事業所の自助努力が基本であり、訪問介護事業所の救済にはなりません。継続的な賃金の補填、経営資金の提供など直接支援が必要であると考えますが、ご答弁ください。

    (当局答弁要旨)

    介護報酬などで国として適切に対応されるべきものであり、事業化には、多額の予算を必要とするものであり、慎重な検討が求められる

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