政策・見解・議員団活動
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新型コロナウイルス感染症対策に、日々ご精励いただいていることに感謝申し上げます。
第5波の深刻な感染急拡大で、8月20日から兵庫県にも4度目の緊急事態宣言が発令されました。
8月18日~20日の3日間の新規感染者は3,000人を超え、確保病床の2.5倍に当たります。感染者の半数が20代以下であること、ワクチン接種済みの高齢者や医療従事者等がブレークスルー感染し、高齢者施設・医療機関などで再びクラスターも発生しているのが特徴です。
療養環境は深刻で、8月22日時点での療養者6,702人の内、自宅療養が3,537人にも上り、入院・宿泊療養調整中の方も1,542人(うち入院調整中878人)です。入院は823人、宿泊療養施設は757人で、入院率はわずか12%、宿泊療養施設での療養者も11%に過ぎず、多くの方が自宅療養、自宅待機を余儀なくされています。
デルタ型など変異株の感染力は強く、自宅療養中に家族全員が感染する事例、基礎疾患の有無に関わらず30~40代でも重症化する例、自宅療養者の自宅での死亡も相次いでいます。
入院・宿泊療養調整中の自宅待機、あるいは自宅療養中、医療機関・福祉施設の留め置きで家族や施設内で感染を広げることや、医療が間に合わず命を落とすということは絶対に避けなければならず、早急な対策が必要です。
また、保健所の業務が追い付かず、感染者の症状の把握や濃厚接触者の特定に支障をきたしています。
感染者の約3割は無症状と言われますが、例えば8月22日に確認された1,038人の感染者の内、無症状者はわずか40人(約4%)にとどまり、8月6日以降、陽性率はほぼ20%を超え、検査が圧倒的に不足していることを示しています。
8月18日に知事が発表した「新型コロナ第5波への対応(対策パッケージ)」では、保健所体制の強化や宿泊療養施設の拡大、自宅療養者等対策の強化、抗体カクテル療法の実施に向けた検討、ネーザルハイフロー療法実施に向けた医療機関などへの支援、ワクチン接種促進などが出されていますが、病床ひっ迫を理由に、入院対象を事実上中等症Ⅱ以上に限定し、自宅療養を基本にしようとしていることに懸念があります。無症状、軽症から悪化する事例が多数あることから、早期に加療して重症化を防ぐことこそ必要であり、入院対象を中等症に絞ることはかえって重症者を増やすことにつながるからです。
よって、以下、提案・要望をいたします。
記
1、症状に応じて必要な医療をすべての患者に提供すること。
(1)国に対し、「原則自宅療養」の方針を公式に撤回し、症状に応じて必要な医療を全ての患者に提供することを大原則にすることを求めること。合わせて、兵庫県としても、実質「自宅療養」になっている現状を改めること。
(2)入院対象者を重症者、中等症に絞らず、症状に応じて必要な医療をすべての患者に提供するため、限られた医療資源を最も効率的に活用することを考慮して、体育館などを借り上げた臨時の医療施設や医療機能を強化した宿泊療養施設を大規模に増設・確保すること。
(3)すべての医療機関を対象に減収補填と財政支援を行うこと。コロナ治療の最前線で日夜献身している医療従事者をはじめ、宿泊療養施設や臨時の医療施設、訪問診療に携わる医療従事者も含めて、すべての医療従事者に対する待遇の抜本的改善をはかること。2、感染の連鎖を断つために大規模検査を実行すること。特に以下の施設でのクラスター発生を未然に防止すること。
(1)感染拡大が顕著になっている事業所、学校、保育園、学童クラブ等に対する大規模検査を、県が主導して実行すること。
(2)行政検査を抜本的に拡充するとともに、事業所、学校、保育園、学童クラブ等などで感染者を発見するための大規模定期的検査を行うこと。希望する施設を募るのではなく県が検査キットなどを配布し行うこと。
(3)ワクチン接種が済んでいる高齢者や医療従事者のなかでも感染者が出てきている。高齢者施設での定期的検査を重視し、希望する施設ではなく県が検査キットを全施設に配布し、施設での実施を促すこと。高齢者施設の従事者のワクチン接種を早急に完了させること。医療機関の全職員に対する定期的検査を行うこと。3、国は緊急事態宣言の解除基準をワクチンの接種状況や重症者数を重視する見直しを行おうとしているが、宣言そもそもの目的は感染者数を減らしていくことであり、新規感染者数や病床の使用率が高いまま宣言解除をすることのないよう、国に求め、県としてもその立場に立つこと。
4、東京五輪の開催を強行したことが、国民への誤ったメッセージとなり、感染爆発を招いたことは明らかである。パラリンピックを中止し、命を守る対策に全力を集中することを国に強く求めること。
以上
兵庫県知事 齋藤 元彦 様