政策・見解・議員団活動
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新型コロナウイルス感染症対策について、昼夜分かたず、対応されていることに心から敬意を表します。
全国的には、39県で緊急事態宣言が解除され、兵庫県でも新たな患者数が、減少傾向にあるとはいえ、PCR検査数が伸びておらず、感染の全体像をつかむという点と感染拡大を防ぐため、感染者を徹底して保護するという点で、PCR検査実施件数がまだ不十分です。
また事業所、事業者への休業要請が一部解除されてはいますが、コロナ禍のなかで、県民の生活と営業、子どもたちの学習・生活に大きな影響が広がっています。
よって、さらなる対策の強化として、以下のことを申し入れます。
1、医療・検査体制の強化について
(1)保健所を通さず医師の判断で、すぐに検査を受けられるよう、PCR検査センターを設置し、民間や大学などにも協力を得るなどの体制を整えること。死亡者数を増加させないために、陽性率を抑えるために広くPCR検査が行えるようにすることが求められる。感染第2波などにも備え、3,4月の実績から陽性率を5%以内におさえられるようにするために、PCR検査の処理能力を少なくとも一日1000件以上に拡充すること。
(2)入院先の調整や疫学調査など仕事が過重になっている健康福祉事務所や、健康科学研究所などの体制補強をおこなうこと。
(3)承認された抗原検査キットをひろく医療現場で活用できるように手立てをとること。
(4)発熱があっても、自宅待機を指示されたり、かかりつけ医から診断を断られる。また救急搬送された発熱患者の受け入れ先が見つからず、たらいまわしになる事例が起きている。発熱患者がすみやかに受診できるよう「発熱外来」を早急に抜本的にふやすこと。そのためのスタッフ配置や防護服・マスク・フェイスシールドなど、医療従事者の個人防護具を、国に緊急に要請すること。また各病院の役割分担を明らかにして、病院間でそれらの情報共有がなされるようにし、救急搬送患者が、治療を断られることのないように対応すること。
(5)コロナ対応で財政負担がかかる病院への財政的補償を十分行うこと。国へ十分な財政支援を要請すること。
(6)医療関係者を感染から防護するために、防護服、N95はじめ医療用マスク、ゴーグル、消毒液などを速やかかつ十分に供給すること。人工呼吸器の供給の抜本的強化を図ること。また、新型コロナウイルス感染症を扱わない一般民間病院やクリニック、保険薬局でもガウン、マスク等医療用衛生資材が枯渇している。医療用マスクや消毒液などの医療資材の提供を強めること。
(7)軽症者・無症状者を受け入れるホテルなどでの対応には、常時医師の配置も含め、万全の体制をとること。
(8)新型コロナウイルス感染症対策にあたる医療関係者専用の宿泊施設を確保すること。
(9)オンライン診療に係る診療報酬の引き上げを国にもとめること。
(10)福祉関係事業所のマスク、消毒液、ガウン、施設運営の安全指針など感染症防止対策をはかること。
(11)コロナ以外の疾患で症状悪化しないように、定期的な通院や気になる症状があれば、不要不急ととらえず、適切に受診するよう周知をはかること。
(12)感染者や関係者、医療従事者などへの不当な差別や偏見、誹謗中傷などの風評被害について、知事を先頭に正しい情報を発信するとともに、相談窓口を設けるなど被害の回復に努めること。
2、暮らしと営業への十分な補償をおこなうこと
(1)コロナ禍で苦境にたたされている中小企業、個人事業主などへ家賃・地代・水光熱費・リース代などの固定費への直接助成をはじめ、損失に見合う補償を行なうこと。
(2)県が行っている経営継続支援事業は、「休業要請をおこなった事業者」「収入50%減額」などの要件を撤廃し、外出自粛要請により、直接的・間接的に打撃を受けている事業者すべてを対象にするとともに、支援額を抜本的に引き上げること。
(3)がんばるお店・お宿応援事業補助金は、4月24日以降に事業をはじめ、発注、納品、支払った経費を対象にするとされているが、それ以前にも対象を広げること。また受付件数を拡大すること。
(4)持続化給付金(仮称)について、収入が前年同月比50%以上減少した事業者などの要件を撤廃させるとともに、「雑所得」「給与所得」で確定申告しているフリーランスにも支給するよう国に求めること。あわせて、ただちに郵送などでも申請できるようにすること。
(5)コロナ禍により影響を受けている県立施設や県庁舎内、県の外郭団体等の事業者への賃料、テナント料、利用料などを減額免除すること。
(6)1人当たり10万円の給付金支給は、住民登録がない人にも福祉窓口から緊急的に支給するようにすること。世帯支給でなく、すべての個人に渡るようにすること。DV被害者や学生など住民票のある住所に居住していない人にも速やかに手渡るようにすること。DV被害者は、居所が明らかにならないよう配慮すること。
(7)県は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う解雇・離職者、減収した人に対する県営住宅の提供をおこなっているところではあるが、家賃や敷金などの自己負担分を凍結するなど、当面無償で提供できるようにすること。
民間シェルターから紹介されたDV被害者なども入居対象とすること。
(8)新型コロナウイルス感染者による被用者への国民健康保険による傷病手当支給について、市町での条例改正などただちに実施できるようにすることとあわせ、事業主・家族従業者、フリーランスなども支給対象に含めるよう市町に要請すること。
(9)雇用調整助成金の上限額を引き上げること、手続きの簡素化、支給対象の拡充、相談・審査人員の増員などを行ない、大規模に迅速に支給できるよう国に手立てを求めること。県としても特別窓口を設置するなど対応できるようにすること。
(10)自粛要請にともない介護・障害者施設、放課後デイサービス、保育・福祉施設等の自粛の影響による減収に対する補填を行なうこと。
(11)イベント中止などで花卉農家が大きな損失をうけている。損失をうけている花卉農家への十分な補償を行なうこと。
(12)アルバイト学生への収入減に対する補償を行なうこと。
(13)コロナ禍によりさらに大量の解雇、派遣切りが予想されている。県として解雇、派遣切りなどの実態をつかみ、兵庫労働局と連携し、対策を講ずること。
(14)緊急経済対策として、消費税を5%にすることを国に強く申し入れること。
3、教育・子どもにかかわる分野の要望について
(1)長期化する臨時休業期間中の児童・生徒に対する学習・生活支援を丁寧に行うこと。
(2)学校再開にあたっては、専門家からの意見をふまえたうえで、保護者や生徒の理解・納得が得られるように慎重に対応すること。
(3)学校再開にあたっては、クラスの過密状況を避けるため、少人数学級を実施すること。特別支援学校についても、過密状況を改善すること。
(4)再開するうえで、非接触体温計、消毒液、マスクなど必要な衛生資材の支援を十分行うこと。
(5)休業終了後の授業時間の確保のために、調査や研修、研究指定、連合行事など不要不急の事業は思い切って削減すること。学力テストと体力テストは中止すること。夏休みの過度な短縮は行わないこと。
(6)万が一学校内で感染者が発生した場合の体制整備や、子どもの心のケアなどに必要な人員確保、地域医療機関との連携強化を行うこと。また、そのために市町への支援を行うこと。
(7)特別支援学校の臨時休業中に子どもたちがどこで(学校、放課後デイ、家庭、祖父母の家など)過ごしているのかを把握し、適切に支援が行われるようにすること。
(8)新型コロナウイルス感染症の影響で、保護者の収入減など家計急変に対し、公立高等学校授業料減免、私立学校生と授業料軽減臨時特別補助の拡充、高校生等奨学給付金の拡充が行われるが、生徒・保護者への周知を徹底し、もれなく受けられるようにすること。
(9)休校要請により休業となった私立学校について、休校中の授業料が保護者や学校の負担とならないよう検討すること。
(10)国立、私立大学などにおいても学費減免をするよう国に求めること。
(11)奨学金返済の免除もしくは猶予をおこなうよう国に求めること。
(12)学校の一斉休業にともないキャンセルになった給食調理やスクールバス、学校図書館の運営、用務、通学時の見守り等の委託民間事業者やシルバー人材センター等と、これらで働くパート労働者等に対し、損失補償を行うこと。
4、国、県予算での抜本的対応を求める
(1)国は、4月補正予算を組んだが、検査・医療体制についても、くらし、営業への補償についても、きわめて不十分と言わざるを得ない。検査・医療体制の抜本的充実と、くらし、営業のための十分な補償がおこなえるよう抜本的な予算措置をおこなうことを国に強くもとめること。
(2)県として、さらなる医療・検査体制の充実、県民と事業者への抜本的な補償を行うために、高速道路の新設や調査、病床削減のための予算などを組み替えて、県独自でも最大規模の予算出動を行えるようにすること。
以上
兵庫県知事 井戸 敏三 様