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2018年度 予算特別委員会 農政環境部 きだ結
2018年3月9日

神戸製鉄所石炭火力発電設置計画について

■きだ結■ 日本共産党のきだ 結です。
 私からは、神戸製鉄所石炭火力発電所増設計画について、お伺いする。
 まず、石炭火力発電所廃止の世界の流れについて、ご認識をお聞きする。
 パリ協定を踏まえ、昨年のCOP23の会場において、2050年までに石炭火力発電の全廃をめざす19カ国6市州からなる脱石炭発電連合ができた。イギリス、カナダ、フランスでは、2030年までに石炭火力の全廃を行う政治指針を持っている。
 この流れも踏まえ、先月2月19日、外務大臣の諮問機関である外務省の気候変動に関する有識者会合が、気候変動対策で世界を先導する新しいエネルギー外交の推進をという提言を発表し、同席していた河野太郎外務大臣に提出した。提言では、パリ協定が求める脱炭素社会に向けて、各国が変革を推し進める中、日本が大きく立ち遅れていることを指摘した上で、石炭火力発電は最新のものであったとしても、パリ協定の2度目標と整合しない、日本は石炭火力発電所の廃止を覚悟し、その基本姿勢を世界に公表していくと述べている。
 そこで、時代の要請、流れから、石炭火力は全廃する必要がある、少なくともこれ以上増やすわけにはいかないと考えるが、認識を伺う。

■温暖化対策課長(小塩浩司)■ 温室効果ガスの排出係数が天然ガスの約2倍の石炭火力発電所については、地球温暖化対策上の懸念があり、先ほどのご指摘のように、諸外国においては石炭火力発電所からの温室効果ガス排出を抑制する流れがあることは認識している。
 また環境省は、国内に石炭火力発電所の新設増設計画が多数存在し、2030年度の削減目標達成に深刻な支障を来すことに懸念を示すとともに、パリ協定の長期目標の達成に向け、削減の道筋を明確化する必要があるとしている。今後、国においてこういったことが検討されるものと考える。

■きだ結■ 今おっしゃったように、環境省では2030年目標に、深刻な支障を来しているというような認識で、県としてもそういった認識のもと、進めていただきたいと思う。
 次に、現在、住宅地からわずか400メートルという場所に、神戸市灘区、2基130万キロワットの神戸製鉄所石炭火力増発計画が進められようとしている。兵庫県は審査会において、環境影響評価を行っており、3月2日の審査会部会の議論を踏まえ、答申案をまとめ、答申案を踏まえ、知事の意見書をまとめようとしている。世界の石炭火力発電廃止の流れも踏まえ、知事の意見、経産省の判断が注目されている。
 一方、神戸製鋼は、データ改ざん問題発覚で、社長、副社長が辞任するなど、この点でも注目されている。そして、この発電所増設計画の環境影響評価書準備書には、データ改ざんを行っていたコベルコ科研が提供したデータが含まれており、その信ぴょう性が問われた。県は審査会を一旦延期し、その検証を行ったが、計算や予測の妥当性の確認を可能な限り行い、その範囲内において、不適切なデータ処理は確認できなかったとの結論、先日の一般質問に対する私どもへの答弁のとおりである。
 当局自ら、その範囲内においてデータ処理は適切だったとおっしゃるとおり、まだ検証すべき点を残しているということを認めている。そのとおりで、測定値そのものの信ぴょう性は何ら検証されていない。この段階で、信頼できない部分を残したデータをもとに、知事意見を形成されるのか。評価するなら、せめて信頼に至るデータを再度提出させ、審査をやり直すべきだと考えるが、いかがか。

■環境影響評価室長(上西琴子)■ 神鋼石炭火力発電所計画の準備書に関する県・神戸市のデータ検証では、「施設の稼働」に関する環境影響評価項目のうち、数値データ及びそれを用いた予測計算過程を検証対象とした。その理由は、まず、石炭火力発電施設という事業特性から、施設稼働時の環境影響が大きいと考えられること、また、数値照合により検証が明確に行われることからである。
 検証では、大気汚染防止法等に基づく届け出値や県・市等による測定結果等の公共測定データと比較し、事業者データとそごのないことを確認している。また、事業者の自主検証では、事業者が外部の専門機関に検証方法の妥当性について評価を委託し、妥当と判断されたと聞いている。
 この事業者の自主検証で、一部数値の転記ミス等が確認されたが、データの故意の書き換え等の不適切行為は確認されなかったと認識しており、準備書の環境影響評価の結果に影響を及ぼすものはなかったと考えている。
 また、環境影響評価法では、手続中に対象事業が一定規模以上増大する場合等、環境影響が相当程度を超えて増大する場合、再手続が必要とされている。今回はこの要件に該当しないと考える。よろしくお願いする。

■きだ結■ 繰り返しになるが、先ほど、例えばデータの転記ミスであったり、誤転記、そういうことがなかったかどうかという検証にとどまっていて、結局、その測定値そのもののやはり信ぴょう性については、何ら検証されていない。まだ、検証すべきが残っているという自覚のお答えだったと思うので、やはり環境に大きな影響を及ぼす石炭火力発電所増設への評価をこのまま行うというのは、やはり県民に対して無責任であり、環境アセスの目的とも合致しないと考える。再度、審査をやり直すことを求めておきたい。
 その上で、今、出されている環境影響評価準備書を見ても、環境に大きな負担をかけるのは一目瞭然である。増設による二酸化炭素の新たな排出量は約700万トン。現在、稼働中の2基700万トンと合わせると、神戸市で1年間に出される二酸化炭素量にほぼ匹敵する。さらに、神戸製鋼が示す二酸化炭素削減策なるものは、世界では通用しないものである。内容は、関西電力が保有する二酸化炭素の排出量がより少ない天然ガスや石油火力発電の稼働を抑制して、その分、石炭火力発電に置きかえるという、逆リプレイスとなるものである。そして、それだけでは二酸化炭素排出量が増えるので、あろうことか、その増やした二酸化炭素排出は、消費者努力による再生可能エネルギーの普及により相殺されると答弁するという、当該企業の企業倫理をも問われるようなでたらめな削減策だと言わざるを得ない。
 さらに、立地予定の地域は、大気汚染物質、特にNOxは、環境告示で0.04から0.06ppmの範囲内の現状非悪化地域で、窒素酸化物を現状より増やしてはいけない地域だということも、この間、指摘してきたところである。
 そこで、今出されている環境影響評価準備書を検討しても、環境を著しく悪化させて、とてもこのまま設置を進めるわけにはいかない事業だと考えるが、いかがか。

■環境影響評価室長(上西琴子)■ 境影響評価手続は、事業者に配慮書から評価書までの一定の手続を履行させることにより、事業者の環境保全上の適正な配慮がなされることを期するものである。委員ご指摘の内容については、今、審査中である。事業者が行った調査予測評価の手法及び結果については、神戸市長・芦屋市長意見、公聴会の意見等も勘案して、審査会答申を踏まえ、適切な知事意見を形成し、発電所の許認可を行う経済産業大臣に提出していくと考えている。

■きだ結■ 今、審査中ということだが、とにかく今より環境を悪化させてはいけない立地だということである。
 以前、この窒素酸化物、今、0.04から0.6ppmの範囲内ということで述べたが、この昭和54年に出されている環境局長通達のこの解釈だが、これは0.06ppmを超えなければいいというものではなく、例えば現在、0.05ppmになっているのであれば、0.05ppmから悪化させてはいけないというのが、環境告示の趣旨とのことだったので、これもぜひ踏まえていただきたい。
 そして、二酸化炭素については、いまや国の基準による算定では間尺に合わない、総量でどう規制するかが問われている。二酸化炭素排出を大幅に削減しないといけない。
 しかし、繰り返すが、現時点の環境影響評価準備書でも、二酸化炭素を増やす計画になっている。地域の住民にとっても、世界の温暖化対策から見ても、そして2050年までに温室効果ガス80%削減とする国の政策目標とも整合性を欠く点でも、このままでは絶対に是認できない計画である。
 環境影響評価とは、一般質問での環境部長答弁にあるように、環境保全により配慮されたかどうかを確認するものである。なぜ、今、石炭火力なのか、そのこと自体も問われてくる。そして、どうしても火力発電というならば、なぜ、二酸化炭素排出係数の低い天然ガスではないのか。このままの計画では環境に負担をかけるので、認めるわけにはいかないというのが、環境保全の見地から知事が示すべき正当な意見ではないか。当局の見解を改めて伺う。

■環境影響評価室長(上西琴子)■ 繰り返しになるが、環境影響評価手続の趣旨にのっとり、今、審査中である。是認できないというふうな意見というのは、環境の保全の見地からということに関しては、そういった言い方を行うものではなく、あくまでも環境保全措置が適正になされることを意見として提出するものだと考えている。
 発電所の許認可を行う経済産業省が、環境の保全の見地、それから環境の保全外のことも含め、総合的な判断がなされるものと考えている。

■水大気課長(正賀 充)■ 先ほど委員から、二酸化窒素の環境基準の0.06もしくはそのゾーン内ということでご指摘があったが、昭和53年の環境告示については、委員ご指摘のとおり、昭和52年の環境濃度を踏まえて評価されており、この神戸地域については、1時間値の一日平均値が0.06を超えている地域ということである。なので、現在でも0.06を達成するよう努めるという地域である。

■きだ結■ 先ほど、こちらから申し上げたが、0.06を超えなければいいという趣旨ではないというのが、今回、環境省にも問い合わせをしてみた。昭和54年だと思うが、局長の通達で、7年以内に改善させようという目的だったが、それは0.04から0.06ppmであればいいということではなくて、例えば今、現状が改善されて、先ほどもちょっと、繰り返しになるが、0.05ppmになっているのであれば、そこから現状悪化させてはいけないというのが、この現状非悪化地域という、その局長通達の趣旨であるということも、今回、環境省にも問い合わせをして確認しているので、確認をしていただきたいと思う。

石炭火力発電所立地禁止をもとめる

■きだ結■ それから、石炭を燃料とする発電方法であること、それから、世界にまれに見る都会のど真ん中である、そして現状非悪化地域であるという、その立地の問題の二つがクリアできなければ是認できない、中止すべきだ。先ほど、もちろん許認可は経産省にあるが、環境保全の見地から、環境保全により配慮されたかどうかを確認したときに、そのような意見を述べることがやっぱり必要ではないかということを、再度求めておく。
 そして、冒頭述べたように、世界は今、地球温暖化防止のために、石炭火力は廃止すべきというのが趨勢である。今、永続可能な地球を次世代に残すために、石炭火力発電をやめるという決断が求められているのではないか。
 兵庫県は、石炭火力発電の計画が次々起こっていたが、赤穂の関電の石炭火力発電は中止し、高砂のJ−POWERも事業計画が一旦ストップしている。仙台市は関電の石炭火力発電設置計画を踏まえ、杜の都仙台のきれいな空気と水と緑を守るための指導方針を策定し、仙台市内への石炭火力発電設置の自粛を求めた。こうした世界の流れに合致した努力が、我が県でも求められているのではないか。
 そこで、兵庫県において、新たな石炭火力発電の建設を禁止し、今ある石炭火力発電は縮小、廃止をめざす政治指針を策定することを最後に求めるが、いかがか。

■温暖化対策課長(小塩浩司)■ 兵庫県も仙台市のように石炭火力の自粛を表明すべきではないかというご質問だったが、基本的には、エネルギー施策は、先ほどもご答弁申し上げたが、国が対応すべきものだと考えている。県では、石炭火力発電所に限らず、温室効果ガスを大量に排出する事業者の新増設については、県の地球温暖化対策推進計画の目標達成に影響が生じるおそれがある場合には、環境の保全と創造に関する条例に基づき、適切な指導を行ってまいりたいと考えている。

■きだ結■ 世界の真剣な地球温暖化対策の努力に学んで、子供たちに環境に優れた兵庫県と日本、世界を手渡すために、兵庫県が脱石炭火力発電の先頭に立つことを最後に求めて、私の質問を終わる。ありがとうございました。

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