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2017年度 予算特別委員会 産業労働部 入江次郎
2017年3月9日

波及効果のない産業立地補助金の見直しをもとめる

■入江次郎■ 日本共産党の入江である。
 早速質問に入る。
 産業集積条例の経済波及効果について伺う。
 県は、平成14年の産業集積条例施行後、これまでに県が立地補助金を交付した立地企業に係る平成27年度の経済波及効果を試算し、産業労働常任委員会で公表している。
 立地企業による経済波及効果を答えていただきたい。

■産業立地室長(竹村公秀)■ 企業立地は、設備投資や雇用創出をはじめ、関連企業への生産誘発、消費の拡大、関連企業の進出など、本県経済全体に幅広い波及効果が期待できるものである。
 お尋ねの平成14年度の産業集積条例施行後、平成27年度までに立地補助金を交付した117社に係る平成27年度の経済波及効果を兵庫県内産業連関表を用いて試算したところ、付加価値誘発額は4,385億円で、県内GDPの2.15%に相当し、雇用誘発数は4万6,487人と推計され、県内経済に大きな影響を及ぼしていると認識している。

■入江次郎■ ありがとうございます。
 姫路市も県条例と同じく企業誘致促進策として、立地企業に対し、設備投資額に応じた補助金を支出することとしており、パナソニック姫路工場に対して6年間で80億円もの補助金を支出している。県と合わせると150億程度になるが、姫路市の補助金支出に対して、平成26年度に包括外部監査が実施されている。この監査報告によると、補助金の支出について、こう述べている。
 姫路市にどの程度経済効果が波及したのか。事業者の投資動向にどの程度影響を与えたのかなど、補助金の効果の測定を姫路市に対し指摘をしている。
 姫路市はこの包括外部監査の指摘に対して、平成20年度以降、補助金を交付した企業61社に対し、企業ヒアリングやアンケート調査、その他統計等の数字を用い、実態調査を行っている。
 また、調査分析に当たっては、大企業と中小企業別に集計を行い、効果の具体的測定を行い、平成26年に報告書としてまとめている。これは産業立地室長にも紹介した。
 この報告書によると、例えば、製品の出荷、納入先について、こう指摘している。
 中小企業が5割程度を市外に出荷、納入しているのに対し、大企業はほぼ全額を市外へ出荷している。大企業は、市外需要を取り込む形で売り上げを上げ、中小企業は大企業に比べてより多くの市内取引を通じて、市内経済の活性化、循環等に貢献していることが分かる、このように指摘している。
 また、補助金の対象となっている設備投資については、当該設備を姫路市内から調達した割合は、中小企業が3割程度、大企業で数%と、大企業に比べ、中小企業による設備投資は市内への波及効果がより高い効率で見込まれる。
 大企業は導入設備が特殊であることなどから、特定の取引先より調達する機会が多く、市内からの調達率は中小企業に比べ、低い水準になっているものと考えられると指摘をしている。
 もちろんこれは姫路市の調査による試算であるから、県にそのまま当てはまるとは言わない。
 そこで伺うが、県が実施した立地企業の経済波及効果は、先ほど答弁のあった兵庫県の産業連関表が用いられると伺っている。
 県の産業連関表では、大企業別、中小企業別の規模別の分類はされているか。

■産業立地室長(竹村公秀)■ 私どもの産業連関分析は、基本的には姫路市と同様の手法である。
 つまり、立地補助金などを出した企業に対して、アンケート調査を行い、そこから売上高等のデータをいただき、これをそれぞれ県なり市なりの産業連関表に基づいて、分析をする。
 今回、私どもそれぞれ補助金を出した先ごとにこのデータをいただいている。その中で、業種ごと、規模ごとの連関分析の係数をかけ合わすことで、基本的には姫路市と同じような形で調査をしているところである。

■入江次郎■ 企画県民部に確認したところ、この産業連関表では、規模別のことはしていないと。中小企業庁に問い合わせたところ、中小企業庁では、中小企業専用の産業連関表があり、そこでは規模別の産業連関を用いていると言われていた。
 姫路市もそうであるが、規模別の産業連関表を用いていない。聞き取りや実態調査で把握をしている。
 だから、県独自でもこのような調査をしていただきたいと思う。
 例えば、我々は、これまでも指摘してきたが、雇用の問題について、姫路市は3年に一度総合計画を作る中で、平成21年に、市民に対してアンケートを行っており、市政に最も望む、最重要、市政の満足度について、アンケート調査を実施している。
 姫路市に最も望む施策として挙がっているのが、高齢者福祉、その次に雇用の安定と続く。
 一番満足していない、不満足度の断トツの最下位が雇用の安定となっている。
 この間、数字を出していただいたが、この産業立地促進条例の補助金を受けた企業について波及効果があることはよく分かっているが、直接の雇用効果として、205名の雇用がそこで生まれ、この205名の雇用の中で、大企業が雇用した正社員の数は54人に対して、中小企業は151人も正規雇用があると。
 だから、本当にこの産業集積条例に基づく補助金は、巨額な補助金投入しているわけであるが、県民のニーズに合った効果がしっかりと波及しているかどうかという検証を改めて私は求めたいと思う。
 次に移る。
 さらに報告書では、奨励金支出が事業者の投資動向にどの程度影響を与えたのかと、そういう効果の検証も求めている。
 私はこの検証こそがこの立地補助金の効果の検証に最も大事なことだと思っている。
 ここでも姫路市の報告書ではこう指摘をしている。投資の決定や、立地の選定について考慮した点を見ると、大企業がインフラが充実していることを重視し、中小企業においては、奨励金の交付が受けられることが突出する形で考慮した点に挙げられており、大企業に比べ、経営基盤の弱い中小企業にとって、奨励金は投資、立地の決定に当たり、大きなインパクトとなっていることが分かるとある。
 つまり大企業にとっては、立地補助金が立地選定の決定的条件になっているわけではないということである。
 県の条例では、設備投資額が大きくなればなるほど補助金の上限額は青天井に支出されることになっている。ご存じのとおり、自治体は予算を執行する際に、最小の経費で最大の効果を発揮しなければならないとある。
 この立場に立てば、巨額の経費を要する補助金支出が最大の効果を発揮しているとは思えない。
 この補助金の支出が企業誘致、とりわけ大企業誘致に最大の効果が発揮されているのかどうか、そのあたりの検証も私は必要だと思うけれども、これはどう思うか。

■産業立地室長(竹村公秀)■ まず、この補助金等の効果という点で、大企業よりも中小企業の方が雇用面で効果があるのではないかというお尋ねである。
 基本的に私どもこの大企業、中小企業問わずにこの企業を誘致することが県内の地域の活性化及び雇用の創出に効果があると考えている。
 特に、そんな中で大企業、中小企業どちらにも来ていただきたいわけであるが、特に中小企業には配慮をするということで、例えば設備投資の補助に関しては、大企業は20億のところを中小企業であると10億、但馬・丹波・淡路であれば1億まで引き下げる。そのようにさまざまな配慮はしている。
 なお、そのような形の中で、雇用補助等については、元来、中小企業に利用いただくケースが多いこともあり、結果として中小企業の雇用数が多くなっているという状況であると思う。
 私どもは、大企業、中小企業ともに来ていただく、そして中小企業には配慮するというスタンスでいる。理解いただきたいと思う。

■入江次郎■ 設備投資額が大きくなれば、補助金の支出額が増えていくという仕組みになっている。
 ただ、大企業の当の本人がこの補助金が設備投資の動向に決定的な影響を与えたとは言っていない。そういう点では、自治体の予算執行の最大の使命である最少の経費で最大の効果を上げているとは私は言えないと思う。
 最後に、この産業集積条例の廃止、そして見直しも含めた検討を求めて、時間が来たので、私の質問を終わる。
 ありがとうございます。

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