他会派議員の日本共産党の予算組み替え動議に対する反対討論
自由民主党 大前はるよ県議の反対討論
自由民主党議員団を代表し、まず本委員会に付託された第1号議案から、第21号議案、および第47号議案について意見表明を行います。
国では景気が穏やかに回復している。回復基調にあることがうかがわれますが、一方で、本県におきましても依然としてきびしい財政状況にあり、第三次行革プランがスタートする平成26年度の当初予算は、従来以上に重要であると認識しております。
まず歳出についてです。一般会計は、対前年度比99.6%の1兆9502億円と、4年連続マイナスであるものの、2月の補正予算とあわせた効果により、消費税率引き上げ後の景気の腰折れを回避するために、防災・減災対策をはじめとした投資事業量の確保や、前倒しに実施により、有効需要の創出するともに、中小企業の経営安定化策や、雇用確保対策など、経済効果の速やかな発現と、切れ目のない対策を講じるため、可能な限りの取り組みを総動員されています。
また、行財政全般にわたりゼロベースからの見直し、選択と集中をすすめ、21世紀ひょうご長期ビジョン、共生の舞台、兵庫の実現にむけ、阪神淡路大震災20周年を機に、これまでの経験と教訓を国内外に発信するとともに、大規模災害の備えをはじめ、県民の健康や生きがいづくり、少子高齢化対応、農林水産業、環境対策、地域再生などに積極的に取り組むことにしており、評価できるものであります。
次に歳入についてです。税収入は企業業績の回復や、消費税率の引き上げにともない、前年度を541億円上回る6923億円が計上されたものの、地方交付税の減額もあり、なお572億円もの収支不足が生じることから、第三次行革プランのフレームの範囲内であることから、退職手当債や行革推進債の発行、県債管理基金の活用をすることとしている。県債残高は高く推移しており、起債や基金の取り崩しは、慎重を期すべきであり、引き続き縮減をすすめ、県税収入の確保や未利用地の処分、資金管理や、課税自主権の活用など、自主財源の確保を積極的にするめ、歳入基盤の確保に最大限取り組むことを要望いたします。
なお、社会保障関係費の自然増は避けられず、県単独事業にしわ寄せを及ぼすきびしい財政運営を強いられております。国の中期財政計画で、一般財源総額が平成25年度と同水準とされるなかにあっても、地方財政制度の充実について、全国知事会や関西広域連合とも密接に連携をとりながら、国への強い働きかけを申し添えます。
さて、第三次行革プランについては、わが会派としても、県議会の行財政構造改革調査特別委員会に先立ち、検討委員会を設置して検討を行いました。県当局におかれても、行革特別委員会や行革県民会議をはじめ、広く県民や市町、関係団体からの意見などを踏まえ、取りまとめたものと認識しておりますが、事務事業や公社のあり方などについては、再考すべき点があることは指摘しておきたいと思います。どうか引き続き検討を行っていくように要請します。
そして、なによりも県民の行革への理解と協力を得ながら、このプランにもとづく改革を推進することで、平成30年度における収支均衡を確実なものとし、安全・元気、ふるさと兵庫の実現につながっていくことを期待いたします。
わが自由民主党議員団は、井戸知事とともに将来を展望しつつ、直面する課題に的確に対応し、これからも県民の負託をうけた最大会派として責任を果たすことを決意いたしまして、本委員会に付託された平成26年度予算案および、行財政構造改革推進方策の変更案に賛成の意を表明いたします。
次に、日本共産党議員団が提出した、第1号議案、第4号議案および、第16号議案の編成替えを求める動議に対し、反対の立場から意見表明を行います。
わが会派では、行革プランの策定にむけて、全事務事業を対象に、事業実施のあり方や内容を検討し、特別委員会でも真摯に議論を行って上で、付託議案に賛成しようというもので、共産党の主張には大いに疑問があります。以下、いくつかの事業を取り上げ、わが会派の主張を述べます。
まず、総務費については、自衛隊員募集事務費を削除しておりますが、阪神淡路大震災から20年、東日本大震災から3年、こうした節目のときにもかかわらず、世界からも称賛をうけた隊員の救援活動を忘れたかのような主張は、断じて認めることはできません。
次に、商工費について、新事業・雇用創出型産業集積補助事業など、企業誘致を促進し、景気刺激や雇用創出に寄与する施策について、一部企業の事例をとりあげて削除、減額するとしていますが、本県の経済、雇用情勢の認識が不足しているとしか思えません。
土木費では、緊急を要する施設の老朽化対策や、防災対策、地域や経済活動の活性化に資する基盤整備は、県土の強靭化に必要不可欠なものであり、削除・減額が妥当とは思えません。
民生費にかかわる、重度障害者、障害児や老人医療費公費負担助成費、母子家庭など医療費給付事業の助成費などの増額は、第二次、第三次行化プランの策定の際に、県民負担について度重なる検討や議論を踏まえ、決定してきたものであり、自らの都合のためによる主張は論外であります。
教育費での道徳教育推進事業費や、副読本配布の事業費、ひょうご学力向上プロジェクト事業費は、基礎学力の定着や豊かな心の育成に資するものであり、削除は断じて認められません。
第16号議案については、 防災対策を施し、平成27年度の竣工をめざす県立こども病院の建て替え・整備事業に関し、高度医療を早急に必要とする子供たちの存在を無視するものであり、削除は考えられません。
当局からは、県政課題に的確に対応した予算が提案されており、歳入を含めて組み替える必要はないものと判断し、予算組み替え動議には反対を表明いたします。
民主党・県民連合 越田謙治郎県議の反対討論
民主党・県民連合議員団を代表して、知事提案の第1号議案ないし第21号議案、ならびに第47号議案の22件の議案に賛成し、日本共産党議員団提出の平成26年度予算案の編成替えを求める動議に反対する立場から、意見表明を行います。
さる2月18日、井戸県政4期目のスタートにあたる平成26年度当初予算が提案をされ、「安全・元気・ふるさと兵庫の実現」と名付けたスタートがきられました。県当局は平成25年度一年間をかけて、第二次行革プランの3年目の総点検を行い、また県議会に設置されました行財政構造改革調査特別委員会の議論に対しても真摯に対応をしていただきました。このことに対して、まず大きく評価できるものと考えております。
しかし、平成26年度の当初予算については、景気が回復基調であることをうけ、歳入の大幅な増加が見込まれることから、歳入歳出収支は前年度に比べ、163億円改善されたとは言うものの、いまだ572億円の不足額が生じております。また、中期財政フレームにおいても、第三次行革プランのなかで示された歳出歳入対策を行ったとしても、なお今後5年間で1520億円の財源が不足するというきびしい状況です。しかもその前提となる数値は、国が示した中長期の経済情勢に関する試算のうち、長期財政計画をふまえた経済再生ケースの名目成長率を採用しており、国の経済成長による税収増が、平成30年度の収支均衡の前提条件となっていることを考慮すると、今後の財政運営に大きな危機感をもっております。
井戸知事は、あらゆる場面で、「平成30年度の収支均衡を是が非でも達成する」と財政健全化への強い決意を繰り返し述べられております。ただ財政健全化という名前であっても、個別の事業の見直しに関して、反対の声が大きく、なかなか進まないという現状のなか、我々は、ともに覚悟をもって取り組まなければなりません。
アメリカの経済学者、ローレイス・コトリコフは、「将来世代への負担の先送りを、財政的幼児虐待」という表現で問題点を指摘しました。財政健全化は、財政当局のみの責任ではなく、議会が果たすべき役割、担うべき責任も大きいと考え、わたしたち民主党・県民連合としても、平成30年度の収支均衡を絶対条件として、今後、議会でのさまざまな議論を通じ、具体的な提案をおこなっていきたいと思っております。
一方、財政健全化は、あくまでも持続可能な行財政体質を構築する手段であることは言うまでもありません。県政が未来と同時に、現在の県民生活に対して、大きな責任を担っている以上、県民が将来に希望を持つことができるよう、限られた行政資源を県民本位の施策に反映され、最大の効果が得られるよう、より一層、選択と集中を図っていく必要があります。そのような観点から、平成26年度の予算に対する意見を述べさせていただきます。
まず、投資的経費に関しては、今年度予算において、1912億円計上されています。2月補正をあわせた公共工事の促進がすすめられておりますが、社会風潮のなかで、人への投資が後退をすること、また財政健全化の足かせになることがないか、このことに関しては懸念をしております。もちろん、国庫補助事業を最大限活用して、あくまでも県民に必要な事業、防災・減災対策、さらには老朽化対策などは必要でありますが、将来世代に対しても、説明責任を果たせるような事業の選択と集中をより一層求めてまいります。
また、各種事業においては、事業の見直しによって削減をした5%、削減額10%の2分の1相当額を、新規事業分とした配分されてきました。このことは、多様化する行政ニーズに的確にとらえる上で必要なことだと考えております。また新規事業のなかには、原則として3年で見直していくことを表明しているなど、変化の激しい社会においては重要な取り組み、改革への姿勢が盛り込まれていると思っております。今後、適切な事業評価との組み合わせによるPDCAサイクルを徹底していくことが必要。
もちろん、課題がないわけではありません。わが会派が、これまで主張してきた二重行政の解消や、外郭団体の見直し、県と市町の役割分担の見直し、いわゆる事業の精査は、いまだ改善の余地が残されていると考えております。また部局審査においては、各事業において効果が見込めない事業や、その事業の矛盾点については具体的に指摘をさせていただきました。さらには地域医療の充実、女性・若者・障害者雇用のさらなる充実、教育環境の整備をはじめ、部局審査や総括審査のなかでも、わが会派の議員が指摘した各分野のなかで、精査すべき課題への取り組みについては、今後より一層強化していただきたいということは申し上げておきます。
ただ、平成26年度予算編成に関しては、このような課題はあるものの、県民生活を重視するわれわれの政策に関しても十分に配慮していただいており、概ね評価できるものと考えております。今後は、財政状況や改革姿勢について、より県民に分かりやすい広報の充実、説明責任を果たしていただきたい。
一方、日本共産党議員団から提案された予算案への編成替えを求める動議に対しては、以下の点に対し、特に意見を表明いたします。
動議のなかでは、第三次行革プランの対象となった福祉医療の民生費をはじめ、土木費・教育費・警察費などの予算について、各分野の事務事業等を根本的に見直す内容となっておりますが、これは、行財政構造改革調査特別委員会のなかで、半年以上をかけて議論をし、それを受け止め作成された第三次行革プラン案そのものを否定しようとするものであり、真摯な議論をしてきた私たちの会派としては、到底受け入れることはできません。また、見直しをする際には、その影響を最小限にとどめる工夫を、県民生活に配慮したバランスのとれた施策展開がもとめられますが、動議に示された内容は、残念ながら、各分野の施策のバランスを欠くだけでなく、単に削除・削減を求めるものが多岐にわたっており、これまで継続してきた事業について、なんらの代替措置を明らかにしておらず、県政や県民生活に多大な損失と大きな混乱を招くことはまちがいありません。
もちろん、先ほどから我々も指摘しているとうり、改革の対象になった各分野において、残された課題はすくなくないと考えますが、課題に対しては、この動議のようになんらの議論も経ず、唐突に提案されるのではなく、行財政構造改革の条例に記載された規定・仕組みを活用し、ルールに沿って、その都度、解決を図っていくべきだと考えます。
以上の理由から、これまでの議会での議論を踏まえ策定された第三次行革プラン案に基づき、行政経費全体のゼロベースからの見直しと、選択と集中を図り編成された知事提案の予算案に賛成をし、日本共産党議員団提出の編成替えを求める動議に反対を表明をいたします。
公明党・県民会議 越田浩矢県議の反対討論
私は、公明党・県民会議議員団を代表して、知事提案の予算案に賛成し、日本共産党議員団提出した平成26年度予算案の編成替えを求める動議に反対する立場から意見表明を行います。
まず、井戸県政4期目の初年度予算となる来年度の予算案は、昨年度の知事選挙での取りまとめた上、策定された「安全・元気・ふるさと兵庫実現プログラム」の実現にむけた第一歩であり、三年目の総点検をうけ、本定例会に提案されている第三次行革プランにおける改革を着実にすすめるためにも重要な予算であると言えます。
提案されている予算案をみると、ひきつづき財政環境が厳しい中で、防災・減災対策等の安全・安心への投資の促進をはじめ、子育て環境の充実や、健康づくり支援など、多様化・増大化する県民ニーズに的確に対応しようとすう苦心の跡がうかがえるものです。
歳入の面では、県税等は、景気回復の影響により個人関係税は今年度より89億円増の2307億円、法人関係税も、企業業績の好転から、2302億円と、今年度より292億円の増が見込まれているものの、国の財政運営戦略にもとづき、地方一般財源の総額がおさえられていることもあり、地方交付税等は逆に129億円のマイナスとなっています。現在の国のきびしい財政状況を考えると、今後の一般財源総額を前年度と同水準に固定されることが想定され、来年度以降、消費税率の改定により、増収が見込まれているものの、社会保障費等義務的経費の増加は避けられず、ますますきびしい財政のかじ取りを迫られることになると思われます。地方一般財源総額を前年度と同水準にするという国の方針は、われわれ地方の増収努力を無にしかねないものであることから、あらゆる機会をとらえ、地方税財源の充実を、国に対し、ひきつづき強く働きかけるよう求めるとともに、第三次行革プランで示された経常収支比率の目標未達成にもみられるような硬直化する財政構造を緩和させるためにも、より一層の行政コストの削減や、組織のスリム化の努力を継続してすすめるよう、あらためて指摘いたします。
次に歳出面では、人件費は現行の削減計画にもとづき、定員ならびに給与の見直しが行われております。また事務事業についても、選択と集中によって、県民ニーズを踏まえた組み替え等を行うことで、205の事業を廃止する一方、チャレンジ枠の活用による、先進的な分野へのあらたな取り組みなど、97の新規事業に取り組むこととされました。わが会派は、県政において、なによりも優先すべきは、県民生活を守ることであると一貫して主張し、行動してまいりました。その意味からも、予算申し入れ等において、わが会派が求めてきた持続可能な行財政構造の確立に向けた取り組みをすすめつつ、ハード・ソフト両面からの総合的な防災・減災対策や、保育サービスの充実をはじめとする子育て環境の整備、安心して暮らせる医療福祉の充実など、県民の多くの思いを受け止め、まさに県民の安全・安心を守る施策を積極的にすすめようとしており、評価するところであります。
また、地域経済の再生にむけた景気雇用対策については、来月からの消費税の増税による景気の腰折れを回避し、現在の回復基調を持続的なものとすべく、先に成立した補正予算と来年度当初予算をあわせた14カ月予算として、中小企業への資金繰り支援をはじめ、前年度と同規模の投資事業費が確保されたことは、一定の評価をするものであり、予算案に盛り込まれた対策の効果を早期に発揮ささるためにも、切れ目のない予算の執行が望まれるところであります。
今回、日本共産党議員団から提出された動議は、基本的に土木費等を減額し、民生費等を増額しようとするものであります。長期間のデフレ経済から脱却に向け、長期の需要増加等の対策が求められているなか、提出された動議は、現在のデフレギャップに適切に対応できるものか、はなはだ疑問のあるところであります。
以下、いくつかの事業に言及しますと、第一に、福祉サービス事業に関しては、知事提案の予算案では、先に述べたように、幅広い観点からの少子対策や高齢者の生活と健康を支援する施策などが計上されており、本格的な少子高齢化社会を迎えるなかで、その姿勢を評価するところであります。
共産党が増額を求める事業については、社会の安全安心の基盤として、医療や介護、年金の他、子育て支援など、社会保障、福祉を強化し、その枠を超えた課題を取り込んだ新しい福祉の構築をめざす我が会派としても、その基本的な考え方は首肯できるものでありますがが、これらは今後、景気の回復や財政状況の好転を図りつつ、中長期的に取り組むべき課題であり、現時点において賛同することはできません。
第2に、新事業・雇用創出型産業集積促進補助事業に関しては、知事提案の予算案では、国内外を問わず、地域間競争が激しさを増す今こそ、本県の魅力発信とともに、積極的な企業誘致活動の展開が不可欠との認識であり、全額削除すべきとの共産党の主張は、本県経済の衰退にもつながるもので、賛同することはできません。
第3に、投資事業に関しては、橋梁や下水道の老朽化対策や幹線道路の整備のほか、治水対策や学校・病院の耐震化など、県民の安全・安心を高める防災・減災対策は喫緊の課題であります。将来を見据え、地域にとって真に必要な社会資本を整備することは、地域経済の活性化という観点からも、今後とも実施していくことが必要であり、共産党が求めるような削減を行うことには賛同できません。
最後に予算の執行においては、県民からの信頼、理解と協力が不可欠であることに十分留意しつつ、県議会をはじめ、県民への説明責任を果たし、さらにその透明性を高めてよう求めておきます。
以上、第三次行革プランのスタートの年として、財政健全化に向けた取り組みを進める中、防災・減災対策を初め、地域の医療や福祉対策、経済・雇用対策等、いままさに県が直面する課題に積極的に対応すべく編成された知事提案の予算案に賛同し、共産党提出の編成替えを求める動議に反対するものであります。 |