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2010年度予算特別委員会農政環境部 新町みちよ
2010年3月9日

ノリ養殖支援、健康な海づくりを

■新町みちよ■ ノリ養殖業の支援について、お尋ねをしたいと思う。
 2008年の3月5日、明石海峡で船舶3隻が衝突し、4人が死亡・行方不明になった事故から丸2年がたった。油の流出によって、最盛期を迎えていたイカナゴ漁は、一部の漁場のみの漁となって、また、ノリの養殖は、網の撤去を余儀なくされて、生産は即できなくなった。5月18日には、神戸市垂水漁港で明石海峡油被害抗議漁業者集会が開かれて、近隣だけてはく、但馬や瀬戸内各県から駆けつけた1500人の漁業者が、特定航路での漁業の安全確保や、漁業補償などに対する国の責任を求めた。
 しかし、ノリの焼却の経費や水道料金への行政からの一定の補助はあったが、事故に対する漁業者の責任は全くないのに、衝突事故に対する補償は1円もなかった。県からは利子補給していただいて、豊かな海づくりの資金、融資があるだけで、この融資の件数は、全県で398件、総額で約18億円になり、1経営体で約500万円の融資を受けている。その借金の返済が、おおよそ今月から始まる。5年間返済のために、年間100万円返さなければならない。県として、改めて船舶衝突事故に対する補償を国に求めていただきたいことと、せめて融資の据置期間の延長、返済期間を10年に延長していただきたいと思うが、いかがか。

■水産課長(山村雅雄)■ 船舶事故の補償については、本来、原因者である船舶所有者等が行うべきであるが、今回のように、大規模な事故では、船主責任制限法により、責任額以上の補償が免除されることになっている。このため県では関係団体と協力して、今回の事故を契機に、船主責任限度額を超える被害を救済する基金の創設など、新たな制度作りをこれまでと同様、引き続き国に強く要望している。
 また、事故により被害を受けたノリ養殖業者に対する救済対策として、当初は緊急対策では、定点観測、共済金の早期支払い、先程委員ご指摘のあった、豊かな海づくり資金の融通等を行ってきた。
 さらに、時期を同じくしてノリの色落ち被害も同時期に発生して、ノリ養殖の全体を踏まえて、種々ノリの総合対策も実施をしてきた。先程お話のあった災害資金の猶予については、もともと豊かな海づくり資金、通常災害資金は、償還期間5年、据置期間1年をとっているが、これは今回の事故に関しては、それぞれを7年、据置期間2年に延長し、さらに金利を無利子とする優遇をとって、この事故対策に備えた。
 既に償還を始められている漁業者もいるし、市、県、金融機関とも調整をして、この制度の創設をしたところなので、今現在のところは、このままの制度で続けていきたいと考えている。

■新町みちよ■ 大変な窮状になっているので、ぜひ今からでも延長を検討していただきたいと思う。
 全国の養殖ノリの生産の3割が瀬戸内で行われており、その56%は兵庫県産、平成20年度では15億980万枚、121億2500万円の生産を上げている。生産枚数では全国第2位、生産金額で3位の重要な位置だと思う。ノリの養殖は、9月下旬の栽苗、10月の育苗後、11月下旬から前期の生産、そして1月下旬には網を張り替えて、2月から4月までの後期生産となる。生産の時期は色落ちを横目で見ながら、寝ずの操業となる。色落ちも含めて、しけなど自然に左右されるため、経営は大変不安定なものである。
 ノリ1枚、19センチ、21センチであるが、1枚が10円以上の値がつけば採算は何とかとれるということだが、ノリの等級は、私も見せていただいたが、大変細かく分かれている。単価一覧表で見ても、60以上に分かれていた。それによると5円代が多い。ほとんど10円以下であった。であるから、大変な状況だと思う。真っ黒で、それは食味がいいということだが、エビとかのまざりものもなくて、縮みや破損も、そして重量もかかわって、大変厳しい基準となっている。
 経営体は、明石で見ても、5戸程度の家族的な経営が多くあって、10戸というのは一番大きい経営体の状況だと考える。
 数千万円もするノリの乾燥機、それからノリのもぐり船、これなどの設備投資が莫大であり、業者間では次期に買い替えができるのか、設備投資が大きなネックとなっている。これは漁業組合長さんが話してくれたが、猟師の間では息子が猟師を継ぐと言っても、親の方がそんなばかなことはやめておけという状況だと言われている。つまり自分の代でやめる、廃業を考えているということで、船舶衝突事故からも既に廃業も出ていると思う。
 国の強い水産業づくり交付金、これのノリ養殖業構造調整・競争力強化施設の整備事業で、大型ノリの自動乾燥機やノリ刈取船などへの設備への補助が行われているが、費用の50%を国が、県が6%の補助をしている。これは平成19年度から実施をされている事業だが、ノリの経営体は全県で366と聞いており、このうち今年度までで75の経営体がこの補助事業を受けているが、率でいうと全体の2割にしかなっていない。そして、この事業は、来年度は何とか予算も確保されているが、その後は継続できるかどうか分からないということである。
 実施されて3年しかたっていない。本当に助かる事業なので、猟師さんの間でも余り知られていない。そこでパンフレットなどを作成していただくなどして、事業の周知を猟師さんに徹底をしていただきたい。それから、予算の増額も含めて、23年度以降も、ぜひとも継続をするように、国に強く求めていただきたいと思うが、いかがか。

■水産課長(山村雅雄)■ 本県の主要な水産物であるノリ養殖、その消費形態が贈答用からおにぎり用に変化してきたことに伴い、販売単価が低迷し、ノリ養殖業者は協業化による生産規模の拡大や省コスト化が求められている。
 委員ご指摘の県では構造改革計画に基づき、省力化や生産コストの軽減を図るため、大型ノリ自動乾燥機やノリの刈取船に対する整備を漁業者に補助を行っている。さらに、資金面からも漁業近代化資金等の低利子融通を行うとともに、21年度から、緊急経済対策として、漁協系統団体と連携して、積極的な漁船、養殖施設の緊急利子補給事業を導入し、近代化資金の無利子化も図っている。委員ご指摘のあったノリの養殖、全自動乾燥機に対する補助については、有効な事業であると私どもも考えている。
 国の制度が、一たん、22年度までとなっているが、引き続き導入ができるように国に強く要望を続けていきたいと考えている。

■新町みちよ■ ぜひ事業の周知も徹底をしていただいて、本当に使いやすいということで広がるように、よろしくお願いしたいと思う。
 健康な海づくりについて、海の環境についてお尋ねをしたいと思う。
 ノリの色落ちは、1999年より毎年発生して、2005年以降は頻繁に起こっている。しかし、色落ちの原因はまだ突きとめられていない。したがって、抜本的な対策とはなっていない。
 県の水産技術センターでは、1973年から毎月1回、播磨灘の19の地点で、水温とか栄養塩など、漁場の環境観測を続けられておられる。それによると、栄養塩は、1970年をピークに低下をしている。また、水温も1997年ごろから、平年値を上回って上がっている。栄養塩の低下によって、ノリの色落ちが起こっている。水温の条件は、ノリの育苗、本張りにも深くかかわっているし、水温が低下するために、目落ちが発生して、生産にも大きな支障を来している。ノリだけではなくて、イカナゴやタコやその他の魚も減っている。漁獲量は、最大時、これは1969年の8万トンから4万トンへと半減をしている。海の環境が大きく変化をしていると思う。
 沿岸の干潟、藻場の消失に大きくかかわる埋め立ては、1970年ごろをピークに、東部の瀬戸内海北岸の浅い海域を中心に進められた。1965年から2006年まで、埋め立てをされた面積は、累計で5418ヘクタールにも上っている。浅い海域を産地としていた二枚貝・ウチムラサキの減少も埋め立てが主な原因と考えられている。年間500トンから1000トン程度漁獲されていたアサリも、1990年代後半には数十トンまで急減をして、現在も回復していない。
 アサリの急減の時期とノリの色落ちと栄養塩の低下は時期が重なって、関連性が示唆されるとなっている。日本は有数の漁場を持ちながら、世界の水産物貿易の4分の1を輸入に頼っている。世界最大の輸入国である。水産物の自給率は54%にすぎない。漁業を振興させるために、どうしても水産資源に恵まれた健康な海を取り戻さなければならないと思う。一日も早い原因究明や抜本対策が望まれるが、県の行革によって、水産試験技術センターも定数や人件費、平成30年度までに研究員も含めて、3割減らすとなっている。職員数は平成19年度の52人が、来年度は46人まで減らされている。
 そこで、水産技術センターを行革での人減らし対象にせず、基礎研究に十分な予算をつけていただくこと、藻場・干潟の再生、二枚貝の育成など、兵庫県として漁場資源を生み出す健康な海を取り戻すための施策を一層進めるように求めるが、いかがか。

■総合農政課長(三浦恒夫)■ 水産技術センターにおいては、先ほどのノリの色落ち対策として、珪藻赤潮の予報システムの構築や西播磨地域沿岸におけるカキ養殖技術の開発といった漁業経営の安定の技術にとどまらず、二枚貝の増殖による海洋環境の改善技術など、兵庫の豊かな海と水産資源を再生する技術開発に取り組んでいるところである。
 これらの技術開発には、他府県の海域にも及ぶ海洋観測、栄養塩のモニタリング、食物連鎖の中で、えさとなるプランクトンや稚魚の資源量調査など水産資源の維持・増大に向けて、長期にわたる調査・研究が不可欠であると認識している。
 今後とも適正な人員配置による効率的な体制のもと、本県の水産行政に不可欠なこれらの調査・研究を継続していくとともに、国、他府県の研究機関における人材や設備を有効活用できる共同研究、さらには外部資金の積極的な獲得なども行いながら、試験研究の充実に努めてまいりたいと考えている。

■新町みちよ■ ぜひご努力をいただいて、水産業振興のためにお力をいただきたいと思う。質問を終わる。ありがとうございました。

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