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2010年度予算特別委員会産業労働部 新町みちよ
2010年3月8日

安定した雇用へ、「2009年問題」の取り組みを

■新町みちよ■ 近年非正規雇用が社会問題となって、人間を物のように使い捨てにする派遣切りが生存権 まで脅かす事態となっている。製造業まで派遣を適用させ、原則自由となった労働者派遣法を抜本改正できるかどうかが今焦点になっている。現行派遣法のもと でも、ルール違反、違法な状態が横行している。製造業では最長3年の派遣可能期間が満了する労働者が多く出ることから、2009年問題と言われてきた。
 国は、2008年9月26日付のいわゆる2009年問題への対応についてで、適正に対応するとしてきた。通知では、労働者派遣は、あくまで臨時的・一時 的な仕組みであるので、同一の業務について、派遣可能期間を超えることはできないとし、指揮命令が必要な場合は、直接雇用にすることとなっている。この機 会に、派遣から直接雇用へ正社員へと安定した雇用を行うべきだと考えるが、いかがか。

■しごと支援課長(岡本俊久)■ 委員ご指摘の2009年問題等のこともあり、県としては、権限はないが、県民の生活安定を図る観点から、県内主要経済団 体や関西経済連合会などに対し、非正規労働者の雇用維持安定、あるいは2009年問題に対応する派遣労働者の直接雇用、非正規労働者の正社員への登用の拡 大など要請してきたところである。
 また、現国会において、今度新たに、派遣労働者法の改正が上程されることになると聞いておるところであり、現在、これからの審議状況を見守りたい思っている。

■新町みちよ■ 安定雇用へというのは、今、本当に常識になってきていると思うが、しかし、やはり安定雇用ではなく、雇いどめ、いわゆる派遣切り が横行している。私の地元の川崎重工明石工場での汎用機カンパニー、これはオートバイを製造している部門であるが、派遣労働者を今月3月末ですべて雇いど めにすると発表し、今問題になっている。ここでは、昨年の3月末でも、約200名が契約打ち切りで解雇されている。今回打ち切られるのは、昨年にも残った 労働者、本工以上に技術を持っていると言われているベテラン労働者である。これまでも人が嫌がるきつい、汚い仕事を長年やってきて、その上に資格も持って いる、優秀な人たちで、長く働いてきたことから、40代以上も4割以上を占めていると言われている。
 私も2月12日に川重明石工場に対し、雇いどめ計画の撤回を申し入れた。対応された勤労課長は、雇いどめを認められた上で、法は守ると言われたが、3年 以上も派遣で働けば、解雇ではなく川重に直接雇用の義務がある。労働者からは法を守っていないと、告発のメールが相次いでいる。10年、11年以上働いて いる、しかし、解雇はこれで2度目だ、クーリングオフとして3ヵ月別の職場に移された、そのうち正社員にしてやると言われ、休まずに働いてきたが、今回の 解雇になってしまう。正社員になりたい、こういう切実な訴えが寄せられている。
 ここに川重と派遣会社が結んだ人材紹介委託契約書というのがあるが、これによると、この人材採用を決定した場合、派遣会社は初年度にこの派遣労働者の年 収の20%の紹介手数料を手に入れるということになり、同時に消費税相当分を払うということになっている。人ではなくて、資材扱いである。しかし、労働者 は物ではない。家族もあり、暮らしもある。兵庫の有効求人倍率0.43である。今、解雇されれば、路頭に迷う労働者も大勢出てくる。
 そこでお尋ねする。3年を超えて業務を続けている職場や派遣労働者は、派遣先が、この場合は川重になるが、直接雇用する義務があり、現行の派遣法の趣旨に雇いどめというのは、反すると思うが、いかがか。

■しごと支援課長(岡本俊久)■ 委員ご指摘の労働者派遣法の期間の関係であるが、国において、本年2月に、期間制限を免れるために、専門26業種と称し た違法派遣への厳正な対応を求めるプランを策定し、関係団体へ要請を行ったほか、全国の労働局による集中的な指導監督が行われると聞いている。県について は、残念ながら、指導監督権限はないが、労働局の方で、そういう対応がなされると聞いているところである。

■新町みちよ■ 私が尋ねたのは、3年を過ぎて、そして業務を続けているこういう職場、また派遣労働者、これについては、派遣先が直接雇用する義 務があるのではないかということを尋ねたが、明確な答えはなかった。これは今の現行法だから、しっかりと守るべきだと思う。
 しかも、このオートバイ製造部門では、上半期、比較的少ないけれども、下期、10月から翌年の3月であるが、生産は多くなる。この22年度は、今年度よ り、さらに増産をすると伝えられている。そのためには、雇いどめをした後、下期には契約社員やまた外国の研修生などを受け入れるというような新たな採用の 計画をしているようだという労働者からも告発がある。まさに、調整弁として使うということだから、この非情なやり方に、労働者からは怒りを抑えられないと いう訴えが来ている。
 川崎重工は、カワサキグループ・ミッションステートメントでは、高い倫理観とすぐれた人材を持ち、社会と人々から信頼される企業人になるとうたってい る。2009年3月決算でも、3325億円の内部留保を持っており、県下の代表的な企業である。兵庫県や明石市でも地域経済にとって、大きな影響力を 持っている。それだけに、放置できないという問題だと思う。
 兵庫の労働局は、川重の兵庫工場に対して、昨年の12月に日系ペルー人とブラジル人の派遣労働者11人を解雇したということに対し、これも派遣期間が3 年を超えているということで、是正指導をしている。まさに、明石の工場でも、今回このようなことが起ころうとしているわけである。川重明石では、これまで も請負も含めて、何年も働いてきた、そして派遣労働者を直接雇用するという義務を果たさずに、法違反の打ち切りを行いながら、新たに同じような条件で、契 約社員など不安定雇用をしようとしている。これでは繰り返しになるわけである。県としても、国、兵庫労働局と一緒になって、企業に本当に法律を守るよう要 請をすべきだと思うが、いかがか。

■しごと支援課長(岡本俊久)■ もとより労働者派遣法、あるいは労働基準法等諸法令があり、そういうことに、仮に違法な状態があれば、当然のことながら是正されなければならないと思っている。
 県については、具体的な指導権限はないが、先ほども申したが、主要経済団体等に対しても、そういう適切な形での雇用をお願いしているところであるので、今後とも、必要に応じそういうことは行いたいとは思っている。

労働者派遣法の抜本的改正を

■新町みちよ■ しっかりと雇用維持、今問題になっているのは雇用破壊だから、雇用を維持するように、そして、この際、正社員にという要請を県としてもしていただきたいと思う。
 先ほどお話しあったように、今、国で議論されている労働者派遣法の改正について、私ども日本共産党は、先日、抜本的改正のための修正提案を発表した。国 の案では、製造業の派遣については、1年以上の常用型雇用を認めるという方針である。この常用型雇用でいけば、製造業の63%も占めていて、1年雇えばい つでも解雇できる、これでは、全く歯どめにならないと思う。原則禁止ではなく、原則容認だと思う。ものづくり産業を強みだとする兵庫県であるが、こんな細 切れで、そして不安定な雇用を続ければ、技術の継承、また安全性にも大きな問題が出るのではないか、トヨタの二の舞にならないのか、川崎の将来はあるのか と、不安の声もたくさん聞かれる。常用型雇用を認めないよう、労働者派遣法の抜本改正を県も国に働きかけることが必要ではないのか。

■しごと支援課長(岡本俊久)■ 本県においては、兵庫県雇用政策懇話会での議論を踏まえ、平成20年7月、国に対し派遣受入期間の制限を受けない業務区 分の見直し、日雇い派遣の原則禁止、製造現場での構内請負等に係る規定整備から成る労働者派遣法の改正提案を全国に先駆けて行ったところである。昨年6月 にも、国の予算編成等に対する緊急提案として、同趣旨の要請を行ってきたところである。

■新町みちよ■ 今言われた中で、大変な大きな問題があると思う。20年7月、国に対して行われた労働者派遣法の改正提案について、この中で、労 使団体の代表者・学識経験者で構成する兵庫県雇用政策懇話会で議論が行われ、そして、政労使三者の共同の取り組みから、労働者派遣制度の根幹にかかわる基 本的な方向について改正提案をされたとなっている。
 その中で、先ほど言われたが、製造現場の構内請負等にかかわる規定整備として、現行法では、いわゆる偽装請負が法律違反に当たるので、労働者派遣にしな ければならないけれども、派遣にすべて置き換えることは無理があると、だから、労働者派遣法のもとにあっても、適法に存立できるよう、請負要件も緩和し て、技術指導以外にも業務上必要な指示や指導等を行えるように規定を見直し、明確化すると求めておられる。偽装請負を適法にせよということか。

■しごと支援課長(岡本俊久)■ 雇用政策懇話会については、委員の言うように、経営者団体、あるいは労働者団体の方も含めて委員になっていただき議論し たところである。先ほど偽装請負を適法化せよということかということでおっしゃったが、もちろんそういうことではなくて、もともと請負制度が偽装請負という問題がある中で派遣へ移行されたということが現実に起こったので、派遣を、制度を改めるに際してはまた元に戻るのではいけないので、そういう部分につい ての規定整備もやっぱり必要ではないかということの趣旨から、そういう提言となったと聞いている。

■新町みちよ■ 再度確認させてもらうが、ここに文章があるが、「請負の注文者が、一部の技術指導を除いて、直接請負労働者を指示、その他の管理 をしてはならないとされているため、多くの構内請負が法律違反に当たるとして労働者派遣に切りかえられ派遣労働者急増の一因ともなっている。しかし、この ような形態の請負を、臨時的・一時的な労働力の需給調整を担う労働者派遣にすべて置きかえることは無理がある。このような製造現場での構内請負等が労働者 派遣法のもとにあっても、適法に存立できるよう請負の要件を緩和し、請負の注文者が技術指導以外にも業務上必要な指示や指導等を行い得るように規定を見直 し明確化すること」こういうふうになっている。部長、これは、偽装請負を適法化せよという意味ではないのか。

■産業労働部長(高井芳朗)■ 従前のいわゆる偽装請負と呼ばれたそのままの状態を適法化しようというものでは、決してない。

■新町みちよ■ 規制を緩和して、そして、やっぱり働きやすい労働者を調整弁にして使いやすいようにしようということで、政労使三者の取り組みを されているんだと思うが、これでは、資本の論理を適用していくと、もっと労働者を使いやすいようにしようということだと思えるので、これは、改めていただ きたい、撤回をすべきだということを要求して、質問を終わる。

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