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2010年(平成22年)度決算特別委員会病院局審査 杉本ちさと
2011年10月19日

県立病院の建替・移転整備、特に津波対策について

■杉本ちさと■ 県立病院の建て替え問題と防災対策について伺う。
 9月28日、中央防災会議の東北地方太平洋沖地震を教訓とした地震津波対策に関する専門調査会が報告案を出した。中でも、防潮堤などの海岸保全施設等について、これらは設計対象の津波高までに対しては効果を発揮するが、今回の巨大な津波とそれによる甚大な被害の発生状況を踏まえると、海岸保全施設等に過度に依存した防災対策には限界があったと。そして、住民等の命を守ることを最優先として、どのような災害であっても行政機能、病院等の最低限必要十分な社会経済機能を維持することが必要であるという指摘は、兵庫県政や県立病院にとっても大変重要だと考える。
 私は11日の決算特別委員会でもこのことを取り上げ、防災計画課長は、社会福祉施設、病院等の整備については、報告の趣旨を踏まえて、地域防災計画の見直しに際して適切に対応していきたいと考えると答弁された。
 現在、移転、建て替え工事中の県立淡路病院の場所は海から50メートルという場所であり、今後起こる可能性が指摘されているマグニチュード9クラスの巨大地震で浸水区域に想定されている。淡路島唯一の公立病院、災害拠点病院として災害時に病院機能がきちんと機能するのかという不安や疑問が、住民や医師会を初めとする関係者の方たちから出されている。
 私たちも、防災面で今からでも計画を凍結し、見直すべきだと考えるが、どうか。

■企画課参事(齊藤芳樹)■ 県立淡路病院の建て替え整備地については、沿岸部に防潮堤が整備されていることから、過去最大級の津波に対しては、浸水等の被害は発生しないものと想定されている区域となっている。
しかしながら、東日本大震災を受け、国の中央防災会議において、津波高の見直しが検討されており、その内容が決定されるまでの暫定的な対応として、兵庫県においては、現行の想定津波高を2倍にして、種々の防災対策を検討することとしているが、想定津波高を2倍にした場合、整備地周辺では最大で60センチメートル程度、防潮堤を越流する可能性がある。
そのため、新病院においては、自家用発電設備であるとか、受水槽等を2階以上に設置する他、病院施設の周囲に浸水防止壁を整備して、施設内への浸水を防ぎ、医療提供機能を維持する方向で検討を進めているところである。

■杉本ちさと■ 企画県民部の審査でも指摘したが、津波の専門家も「「防潮堤を乗り越えないから大丈夫」では安心できない」と言われている。ここなら大丈夫という安心感が危険だということは、東日本大震災での大切な教訓なのではないか。今からでも遅くはない、計画を中止して、改めて見直していくべきことを強く要望して、次の質問に移る。
 次に、同様に防災面などで心配されているのが、県立こども病院の建て替え整備の問題である。建て替え候補地として、須磨区にある現地での建て替え、そして移転建て替えの場合が検討されているが、新聞報道されているポートアイランドの神戸市立中央市民病院隣接地の他に検討している場所は何ヵ所かあるのか。
 そしてその際、先程も触れた東日本大震災の教訓を踏まえた防災面の検討がしっかり位置づけられているのか、どうか。

県立こども病院の建替整備について

■企画課長(中島明彦)■ こども病院の整備場所については、現地建て替えの他、ポートアイランドを含む複数の候補地の中から総合的に比較検討した上で選定することとしている。
 委員ご指摘の中央防災会議の最終報告案、これについても念頭に置いた上で、適切に候補地を検討していきたいと考えている。

■杉本ちさと■ 仮に移転、建て替えを選択し、神戸中央市民病院のあるポートアイランド2期になった場合、液状化が心配されている。この問題について神戸市は、この土地は神戸西区の複合産業団地を造るときの土で埋め立てたものであり、粘土層だから大丈夫と説明しているが、平成17年に完成した埋立地であり、阪神・淡路大震災のときには未完成だったので、震災で試されている訳ではない。神戸中央市民病院隣接地とその周辺の地盤が、マグニチュード9クラスの地震で大丈夫だという根拠は何もない。
 また、ポートアイランド2期の地盤が、仮に大丈夫だったとしても、ポートアイランド1期、つまり南側の2期に行くときに通過するポートアイランド1期の土地は、阪神・淡路大震災のときに液状化した後、土壌改善はされておらず、そのまま建物が建てられている。ポートアイランドの1期の土地がまた液状化する可能性があるということは、神戸市当局も認めているところである。
このような場所への移転は、東日本大震災の教訓を受けて、防災面を重視することから見れば、避けるべき選択肢ではないかと考えるが、どうか。

■企画課長(中島明彦)■ 液状化対策の関係であるが、ご指摘のようにポートアイランド1期については、この前の震災のときにも液状化現象が発生したが、2期の場所にはほとんど発生はしていない。もちろん、病院等建築物、大きなものを建てる場合には、当然、現在の淡路もそうであるが、地盤改良も行っていくので、液状化が起こらないような対策も当然した上で建築するということになるので、そういった面については問題ないと考えている。

■杉本ちさと■ さきに兵庫県が国に申請した地域医療再生臨時特例交付金では、建て替え候補地を検討中にもかかわらず、県立こども病院をポートアイランドに移転し、神戸市立中央市民病院との連携、一体的運用などをうたっている。その交付金の内示が先日あり、県の医務課が計画の練り直しを進めている。県立こども病院の建て替えはもちろん必要であるが、このような問題を抱える神戸市立中央市民病院隣接地への移転はふさわしくない。
神戸市は、医療産業都市構想の説明のパンフレットの中に、県立こども病院(協議中)と書き入れて説明している。神戸市は熱心に誘致を図っているが、それに応じるべきではないと思う。
基本計画、建て替え整備に当たっては、今年度中に現地にするか移転するかも含めた計画を策定することになっているが、移転先については、8月にパブリックコメントをした基本構想でも全く触れられておらず、県民からの意見は一度も聞いていない。小児の3次救急を担い、総合周産期センターである県立こども病院をどこに置くかということは、県民にとって大きな問題である。県と病院局だけで決めていいという問題ではない。
 開業医の団体である保険医協会でも、ポーアイへの移転について、会員全員にアンケートを行い、1,073の回答がある中で、「賛成」か「どちらかといえば賛成」22%に比べ、2倍以上の45%が「反対」か「どちらかといえば反対」と回答している。また、県医師会も反対を明確に表明されている。
患者さんを初め、住民や医師会を初めとする関係者など、幅広い県民からの意見を聞く機会を設けるべきと考えるが、どうか。

■企画課長(中島明彦)■ こども病院の整備候補地については、先程の建て替え整備基本構想のパブリックコメントを行った際にも、県民の方から一定ご意見を伺っている。
 今後、こういったご意見も踏まえながら、県においては最初にご答弁申し上げたとおり、複数の候補地の中から基本構想に記載した条件に適合する場所、これを総合的に比較検討し、適地を選定すると、こういうことにしているので、ご理解をお願いする。

■杉本ちさと■ 先程も指摘したように、パブリックコメント、基本構想では、ポーアイへの移転の問題は一切触れられていない。複数の候補地と言われたが、さまざまな側面から、さらに住民、また県民の意見をしっかりと聞くことが必要だと思う。県民からの意見を聞かずに進めることは、今後の県立病院の事業にとって大きなマイナス、禍根を残すことになると思う。
 また、ポートアイランドを移転先とすることには、もう一つの問題がある。それは、神戸市が進める医療産業都市構想や医療ツーリズムの問題である。
 これは、海外の富裕層を対象に、医療を観光などと連携して、一層お金もうけをしようというものであるが、その中に県立こども病院も位置づけられることになるのは、全県的な立場で小児や母子の命を守ることを最優先とする、使命とする県立こども病院の役割からして、大きくかけ離れたものとなる。
 また、国の地域医療再生交付金は、国の公立病院ガイドラインに沿ったもので、その目的は公立病院の統合・再編による病床数の削減に他ならない。仮にポーアイ移転となり、一体的運用が進められるとすれば、今後、県立こども病院や神戸市立中央市民病院の小児ICUも含めて、病床数の削減がないと言い切れるのか。医療産業都市などの問題と併せて、お答え願いたい。

■企画課長(中島明彦)■ 現在、整備候補地の選定に向けて検討を行っている段階であり、それ以上のことについては検討していない。

■杉本ちさと■ 地域再生医療交付金の申請書には、ポーアイ移転が確定的に書かれている。こういったごまかしのような答弁というのは、やはり県民からの病院事業への信頼を失うということを指摘して、私の質問を終わる。ありがとうございました。

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