予算組み替えに対する他会派・議員の反対討論(大要)
福祉切りすて「新行革プラン」・県予算を推進する与党会派
自由民主党 森脇保仁県議の反対討論
私は、自由民主党議員団を代表し、まず本委員会に付託された第1号議案から第22号議案、第50号議案及び第109号議案について、意見表明を行う。
昨年後半以来、アメリカ発の金融不安に端を発した世界的な景気後退の波は、我が国の経済・雇用情勢にも深刻な影響を及ぼし、日ごとに深刻さを増しつつある。
本県においても、それは例外ではなく、非常に厳しい経済・雇用情勢の中にあって、我々は行革を進めつつも、悪化する県内経済への対策にも取り組まなければならない。新行財政構造改革推進方策、いわゆる新行革プランは、世界の景気がこのような急激な変化の兆しを見せるのとほぼ同時期の昨年10月に議決したものである。平成21年度予算枠の新行革プランの議決後、最初の予算編成であり、従来にも増して重要なものである。
また、いまだ明るい兆しの見えない経済・雇用情勢の中で、今後の行財政構造改革の行方を占う意味でも大きな意味を持つものであると認識している。
まず、歳出については、投資事業の前倒しや、中小企業等の経営安定化対策、雇用安定対策を引き続き実施するなど、これまでの補正予算とあわせ、切れ目のない一体的な対応を図ることで、県として景気を下支えするために可能な取り組みを総動員している。
また、その中にあっても、消費者行政の強化や障害者への支援の充実など、県民の安心確保への対策も図られており、歳出の観点からは評価できるものとなっている。
一方で、歳入の観点からは、世界全体の経済状況がこれだけ混迷の度合いを深め、不透明さを増しつつある状況の中で、本年1月に内閣府が示した経済成長率をもとにした試算では、平成30年度までの10年間で1,025億円の要調整額が生じる見込みとなっている。この要調整額を起債と基金の取り崩しで賄うことについては、安易な起債や基金の取り崩しは厳に慎まなければならないところではあるが、今回は景気の悪化が余りにも急激であり、他の歳出削減を検討するだけの時間的余裕もなかった点を考慮すると、21年度予算についてはやむを得ないと考えている。
新行革プランの変更については、わずか5ヵ月前に議決したばかりの新行革プランの財政フレームを修正することに対しての評価は難しいところではあるが、平成22年度以降の要調整額について、その解消策が示されていなかったことについては釈然としない。もちろん、国の予算編成、地方財政対策がベースになることは十分承知しているが、本県独自の調査・分析もこの際、必要ではないか。
そこで、22年度以降の要調整額の解消に向けた歳入歳出両面からの具体的な改革の方策については、ことし上半期の経済情勢や税収状況を踏まえ、遅くとも平成22年度当初予算の編成作業が本格化する本年秋ごろまでには示されることを改めて強く求めるものである。
特に、公社、外郭団体のさらなる整理・統合、事務事業の見直し、高額な維持管理費を要するハーバーランド庁舎などからの撤退、当分の間の海外出張の自粛などを検討する必要があると考えている。
また、今回の財政フレームの変更は、税収の見込みが甘かった面も否めない。不確定要素が大きく、先行きが不透明な経済情勢の中ではあるが、税収や地方交付税についての見積もりの精度をより高めるとともに、厳しく想定しておく必要があると考える。
さらには、今回の財政フレームの変更には、内閣府の示した経済成長率の3種類のパターンの中でも中位のものを根拠として算定しているが、危機管理としてさまざまなケースを想定した準備は常にしておくべきである。
加えて、地方の行財政運営は、現行システムの中では限界に近づきつつあることも踏まえ、国に対し、地方税財源の充実等を求める活動も十分に行うことを求める。
以上のような点を踏まえ、我々はこれからも新行革プランの不断のチェックを行い、厳しい経済情勢の中での行革を支えることの決意を込めて、今回付託された新行革プランの変更議案及び平成21年度予算案に賛成する。
しばらくは厳しい経済情勢が続くと見込まれる。その中にあっても、行革を推進することで、将来に夢と希望の持てる雄県兵庫が復活することを期待している。
次に、日本共産党議員団から提出された第1号議案、第4号議案、第6号議案及び第9号議案の編成替えを求める動議に対し、反対する立場から意見表明を行う。
日本共産党議員団から提出された動議のうち、主なものについて我が会派の見解を申し上げる。
まず、民生費の重度障害者・児医療費公費負担助成費や、老人医療費公費負担助成金、母子家庭等医療給付事業助成費など、既に昨年度からの行財政構造改革調査特別委員会において、たび重なる検討、議論を重ね、本議会として意思決定したものについては、今さら差し戻しというのは論外である。
また、商工費については、放射光利用促進費や産業立地促進費など、県内への投資等を促進し、県内の景気刺激効果や雇用創出効果に寄与する施策についての減額が示されており、現在の経済・雇用情勢に対する理解が不足しているとしか思えない。
公共事業については、県土の均衡ある発展、県民生活の安全性の確保といった観点から、県民生活に密着した社会基盤の整備は必要不可欠である。本県の河川整備率、県管理道路改良率、林道整備率などは、全国的に見ても不十分であり、また自然災害に対する備えや老朽化する既存ストックへの対応、地方における生活道路や播磨臨海地域道路や東播磨南北道路など、整備を必要とする分野や地域が残っている。
こうした公共事業の持つ景気刺激効果や雇用創出効果といった側面も大変重要であり、その意味でも、当局提案の予算案は、そのような課題、必要性に対応するものであり、妥当であると考えている。
警察費については、凶悪事件が後を絶たず、警察の役割がますます重要になっている中にあって、捜査費の減額を求めるなど、県民の安全・安心を軽視しているとしか思えない。
その他、当局からは、総務、労働、教育関係など、経済・雇用対策と行革を同時に進めなければならない中にあって、本県がかかわる課題におおむね適切に対応した予算が提案されており、その提案された予算案について、歳入を含めて組み替える必要はないと判断し、予算組み替え動議には反対を表明する。
民主党・県民連合 掛水すみえ県議の反対討論
私は、民主党・県民連合議員団を代表して、知事提案の第1号議案ないし第22号議案、第50号議案及び109号議案の24件の議案に賛成をし、日本共産党議員団提出の平成21年度予算案の編成替えを求める動議に反対する立場から意見表明を行う。
本県では、危機的な財政状況のもと、新たな行財政構造改革の推進に取り組み、昨年6月定例会において新行革プランを議決・策定した。しかし、世界的な金融危機を背景に、県内経済・雇用情勢は急激に悪化する中、編成された当初予算案は、歳入では、企業業績の悪化や株価の低迷、消費の低迷によって、法人関係税、個人県民税、地方消費税、自動車取得税など、主な税目が軒並み前年度当初予算を下回る非常に厳しい見込みとなっており、特に法人関係税については、企業業績の悪化に加え、地方法人特別税の創設に伴って、大幅な減となっている。
このため、新行革プランの財政フレームに定められた財源対策を講じても、なお不足する145億円の収支不足について、行革推進債の追加発行、県債管理基金の追加取り崩しにより、特別な財源対策を講じるなどの方策がとられたところである。
また、歳出では、厳しい経済・雇用情勢に対応し、県民生活の安定を確保するため、1月の補正予算とあわせて各種の基金を活用した雇用安定対策や中小企業対策、保育所整備事業を初めとする県民の安心確保対策を講じたが、法人県民税の超過課税の活用によって、子育てと仕事の両立支援、子育て世帯の支援策を講じることとしている点は一定評価できるところである。
このような対応は、現在の経済・雇用情勢や、少子化を初めとする本県の実態を踏まえた必要不可欠な事業を選択し、重点的に実施するために必要な額を確保したものであり、かつてない厳しい財政環境の中にあって、県政を取り巻く重要課題に積極的に取り組み、活力を生む元気な兵庫づくり推進への努力がうかがえる予算となっている。
一方、日本共産党議員団から提案された予算案の編成替えを求める動議に対しては、以下の点について、特に意見を表明しておく。
動議は、福祉・医療等の民生費を初め、土木費、警察費、教育費などの予算について、新行革プランの対象となった各分野の事務事業等を根本的に覆そうとする内容となっており、行革特別委員会における真剣かつ真摯な議論を踏まえ、昨年の9月定例会で可決した新行革プランそのものを真っ向から否定しようとするものである。
また、動議に示された土木費や労働費等の大幅な削減は、今の経済・雇用情勢をどう認識しているのか大いに疑問を感じる。
私たち会派は、新行革プランの作成に当たっては、県民の生命と生活に直結する、医療、福祉、教育、治安等については、極力、行革の対象とすべきではなく、選択と集中によってめり張りのある改革を行うとともに、県民だれもが納得できる、社会的に弱い立場にある方々に光を当てた、公平感のある改革を取り組むよう求めてきたところであり、改革の対象となった各分野において、残された課題は少なくないと考える。
しかし、残された課題については、この動議のように何らの議論も経ず、唐突に提案されるのではなく、新たに制定された行革の推進に関する条例に規定されたフォローアップの仕組みを活用し、ルールにのっとって行うべきと考える。
以上の理由から、危機的な財政状況の中で、議会の議決を経て策定された新行革プランに基づき、厳しいやりくりを行った上で編成された知事提案の予算案に賛成し、日本共産党提出の編成替えを求める動議に反対するものである。
以上、民主党・県民連合の意見表明をする。
公明党・県民会議 渡部登志尋県議の反対討論
私は、公明党・県民会議議員団を代表して、知事提出の予算案に賛成し、日本共産党議員団提出の平成21年度予算案の編成替えを求める動議に反対をする立場から意見表明を行う。
まず、知事提出の予算案については、財政健全化に向けて大きく一歩踏み出した途端、米国に端を発した経済危機により急激に景気が悪化していく状況の中での予算編成となっており、行革での財政フレームの見直しについてもやむを得ないものと思う。
歳入面では、県税収入が法人関係税の大幅な落ち込みなど、全体で約1,300億円の減収が見込まれる中、新たな手数料の設定など、自主財源確保の取り組みを進めるとともに、歳出面では、人件費は引き続き定員・給与の見直し等を、事務事業についても、171事業を廃止するなど、施策の選択と集中に取り組まれているところである。
そのような中で、経済対策として県内の有効需要を創出するため、年度末と年度初めの空白期間対策と、22年度以降の投資事業の前倒しにより、1月補正とあわせて20年度当初予算並みの事業量を確保されたことは一定評価するものである。
一方、日本共産党議員団から提出された動議については、基本的に土木費を減額し、民生費を増額しようとするものであるが、今回の100年に1度と言われる経済危機に対して、適切に対応できるものか甚だ疑問のあるところである。
以下、幾つかの事業について言及すると、第1に、福祉サービス事業については、本格的な少子化を迎える中、我が会派がこれまで強力に推進してきた乳幼児医療費助成事業に関しても、このたびこども医療費助成制度を創設されるなど、その姿勢を評価するところである。我が会派は、県民生活に直結した福祉サービスの低下は何としても避けるべきであると繰り返し主張し、その充実は求めている。しかし、共産党が増額を求める事業は、新行革プランの対象で削除されているものであり、これまでの真摯な議論がなされ、議決された新行革プランを根底から覆そうとするものであり、また将来にわたり持続可能な福祉医療体制を構築していく中で、給付のみを要求する無責任な提案であり、これに賛同することはできない。
第2に、勤労福祉事業に関しては、このたび法人県民税超過課税の活用として、勤労者の仕事と生活の調和を実現し、多様な生き方、働き方、健康で豊かな生活環境の確保が可能となる社会づくりのための事業を進めようとしており、評価をし、さらなる充実を求めるところである。したがって、共産党が主張される、ひょうご仕事と生活センター事業そのものを削減することには賛同できない。
第3に、産業立地促進事業に関しては、外国・外資系企業の立地促進は、すぐれた技術等が導入され、地域経済の活性化や産業構造の高度化にもつながり、地域経済の国際化にも寄与するものであり、その取り組みを図っていくべきものである。共産党の主張は、その取り組みを後退させるものであり、賛同することはできない。
第4に、投資事業に関しては、厳しい経済・雇用情勢を踏まえ、公共事業量を確保されたところであり、その削除には賛同できない。
また、国直轄事業負担金については、個々の事業内容に関して、国と県とのかかわり等も十分に検討すべきものである。
今回、この予算提出に当たり、知事初め財政の方々の、この見通しの立たない中での予算編成は大変苦労も多いとは思われるが、総括審査でも我が会派が発言したように、昨今の経済の見通しを見ると、下方修正と、なお一層厳しいものとなっている。行革の断行に当たっては、いま一層、厳しい見通しを基本とすべきである。
また、賛成する来年度の予算の執行においても、さらなる歳入の確保とともに、経費節減など、一層の歳出削減を強く図るべきである。
さらに、国において戦後最大の経済危機を乗り切るために、補正予算の検討もされている状況であり、追加経済対策にも国の動向を見きわめながら迅速な対応を講じるべきと考える。
以上、危機的な財政状況の中で、財政健全化と経済対策とのバランスの中、このたび編成された知事提出の予算案に対し賛成し、共産党提出の予算組み替えを求める動議に反対するものである。
丸尾牧県議の反対討論
私は、知事提案の第1号議案、2009年度兵庫県一般会計予算及び第50号議案、行財政構造改革推進方策を変更する件に反対の立場で、その他の議案に賛成の立場で、星原さちよ議員から提案された予算案の編成替えを求める動議に対し、反対の立場で意見表明を行う。
今回の知事提案であるが、厳しい経済状況の中、中小企業融資枠の拡大や失業者等の雇用確保等の推進等の緊急経済対策をとるとともに、個々の施策として、無年金外国籍の高齢者、障害者の福祉給付金の引き上げを行い、こども医療費助成制度を入院についてのみ中学3年生まで引き上げることなどが入り、大変評価できる部分もある。
一方で、新年度予算案で全国第4位の約2,300億円が組まれている投資事業費は、本来、新年度において、前年度と比べ230億円削減し、さらに全国の状況を反映させる時点修正を行う必要があった。具体的には、第1段階の時点修正として、少なくとも2009年度地方財政計画にある投資事業費の対前年度比マイナス5.1%に相当する、年120億円から130億円程度を削減し、年2,020億円から2,030億円程度まで削減をしなければならなかった。この時点修正を行えば、本来の投資事業費の削減とあわせ、行財政構造改革推進方策を変更する議案に出てくる、後年度の要調整額を含め、すべての要調整額をなくすことができたのである。
逆に、この時点修正をおくらせればおくらせるほど、全国で投資事業費が削減される中、目標とする全国の投資事業費の水準と県の水準の差が縮まらず、場合によってはどんどん格差が広がり、本来、新行革プランの考え方に沿うと支出する必要のない公費がどんどん投資事業費に注ぎ込まれることになる。直ちに投資事業費の時点修正を行うべきである。
もちろん経済対策が必要なことは重々承知をしており、投資事業費は一定程度削減した上で、他の福祉、農林水産業を含む環境対策等にもっと力を注ぐことが、より多くの産業にとってバランスのとれた経済対策につながるものと理解している。
予算特別委員会における私の質疑の中で、自治体問題研究所が作成をした投資事業への投資よりも、医療、保健、社会福祉への投資の方が、経済効果だけではなくて、雇用効果も高くなるというデータも示したが、そのことから考えても、知事の提案はバランスの悪いものと映る。投資事業を減らし、新年度に福祉医療助成事業を、従来どおり、もう1年実施する方が、経済効果、あるいは雇用効果が高かったかもしれない。
また、昨年、環境関連経費が大幅に削減されたが、新年度も環境関連経費が入っている農政環境部門の予算が、今年度と比べ、56億円、8%カットされている。環境問題への対応に猶予がないことを考えると、新年度の環境対策予算削減は、次世代に対し、余りにも無責任な対応ではないか。
以上のことから、財政、環境問題、福祉問題、福祉制度ともに持続可能な枠組みになっているとは思えず、議案第1号、50号には反対をする。その他の議案については賛成をする。
次に、星原議員から提案された修正動議についてである。
評価ができる点として、県財政が厳しいことから、予算規模を縮小し、県債発行額を減額すること、そして知事の退職金、あるいは広報活動費、県民交流広場事業の見直し、原則、福祉医療制度の従来どおりの継続、太陽光発電施設設置促進制度の創設等、評価のできる施策が並んでいる。
一方で、行財政構造改革推進費を削除しており、行財政改革は不要という立場をとっているが、それは理解ができない。
また、ひょうご仕事と生活センター事業費など、ワーク・ライフ・バランスを進めるための予算カットも賛成ができない。
保護者から評価が高い自然学校推進事業費を削減することも、県民ニーズに沿っているとは思えない。
同和問題を特別扱いする必要はないと考えるが、その他の人権問題も含め、人権教育推進費をばっさりと切り捨てることにも問題があると考える。
また、よりよい予算を成立させるために修正動議を提出することについては理解をするが、修正項目が多岐にわたるにもかかわらず、先週の後半の説明では、その内容について十分に調べる余裕もなく、修正動議の修正を議論する時間的余裕もない。修正動議が出されたことに一定の理解はするが、進め方に課題が残り、内容にも一致できないものが少なからずある。
以上から、星原議員提案の修正動議には反対をし、意見表明を終わりたいと思う。 |