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2009年(平成21年)度決算特別委員会財政状況 星原さちよ
2010年10月7日

2009年度決算における「新行革プラン」の影響

■星原さちよ■ 今回の決算を見ると、単年度黒字というふうになっている。しかしながら、それは県民や県職員を犠牲にし、基金を取り崩した上での黒字であるということである。その結果、新行革プランは、教育や福祉だけではなく、あらゆる分野に大きな影響を与えている。
 ところで最近、日本経済新聞のコラムに目を引く記事が載っていた。それはケインズ理論に立ってのものであったが、日銀に一層の金融緩和を求めたりするよりも賃上げの環境を整備すべきである。そして、自治体に対しては、景気対策には、公共事業だけではなく公務員の給与引き上げを盛り込んではどうかと。それ が結局、民間の賃上げを誘発することになるはずだと、こういうコラムの記事であった。これは私たちがこれまで主張してきたように、内需を大事にする、それ を中心にするということであるというふうに考える。
 そういうことで、私は、真の景気対策、財政再建のためには、基本的な認識を変えなければならないという見地から、人件費、雇用形態を柱に質問をしたいと思う。
 まず、人件費の問題についてお聞きする。
 この新行革プランによって県の職員1人当たり、全職員の平均で人事委員会勧告分が幾らになるか、行革によるものが幾らなのか、課長級、部長級はどうなっているかお願いする。

■人事課長(片山安孝)■ お答えする。まず、平成21年の人事委員会勧告による給与の削減額は、これは主として期末・勤勉手当で落ちたものであるが、年収で見ると部長級が約27万円、課長級では約22万円、全職員平均で約16万円である。
 次に、新行革プランに基づく行革の給与削減であるが、これも年収額で見ると部長級では約144万円、課長級で見ると約95万円、全職員平均で見ると約32万円である。

■星原さちよ■ 今、ほおという声が出たが、特に課長、部長の場合というのは大きな影響があるんではないかと。場合によっては、生涯設計まで狂わ されたというふうなそういう方もおられるのではないかと思う。職員全体で合わせると48万円というふうなことであるが、これは非常に大きな負担というふう に言えると思う。
 この給与に関して、和歌山県ではちょっと変わったことをやっている。昨年10月、人事委員会がその勧告を上回る行革での給与削減について、給与勧告制度 の趣旨とは異なるものであり、職員の士気や生活に及ぼす影響も懸念されるところであるから、このような状況を速やかに解消し、地方公務員法に定める給与決 定の原則により措置することということを要望した。そして、ことし4月に独自カット分が回復された。
 この人事委員会の立場は、極めて正当なものであると思う。兵庫県においても、新行革プランカット分、これを給与勧告制度の趣旨にのっとって開放すべきではないか、いかがか。

■人事課長(片山安孝)■ 本県においては、従来から人事委員会勧告を尊重しており、この基本姿勢については変わりない。しかしながら、給与の独自カットについては、この勧告とは別に厳しい社会情勢と財政状況等を勘案して実施しているものである。

■星原さちよ■ これを併せたときに非常にひどくなっていると、こういうことを申し上げているわけである。
 もともと給与勧告制度というのは、公務員にスト権を認めない代わりに、生活の収入を保障するという制度であるわけである。であるから、この制度にのっとっていけば、行革分というのは異常な犠牲になるというふうに考える。
 財政が大変だということで、家族も子供もいる県職員への結果として勧告を上回る給与カットは、本当に不当なものだと思っている。職員の士気や生活に及ぼす影響の懸念というのは、和歌山だけではなく兵庫県にもそのまま当てはまるのではないだろうか。そこで、もし兵庫県の人事委員会が、もうすぐ勧告が出るようであるが、和歌山と同じような要望を行った場合、どうされるのだろうか。

■人事課長(片山安孝)■ 繰り返しの答弁で申し訳ないが、給与の独自カットは、勧告とは別に実施しているところである。本県の極めて厳しい財政状況を考 慮して実施しているものである。したがって、このことについて、仮に人事委員会の勧告があればどうかということではなく、全く別の観点から実施しているも のである。

■星原さちよ■ 力は強いが、非常に冷たさを感じた答弁であった。
 今、新行革プランの3ヵ年の点検をやっているが、給与カットによる職員への影響については、数字のみを上げて、プランどおり実施、これもうまくいっていると言うだけで、職員の生活そのもの、それから県民サービスなどへの影響、職場の状況、どのくらい疲れているかそういうふうなことについては一切触れられ ていない。
 私たちは、景気回復のためには国民・県民の懐を暖め、購買力を高めていくことが重要であるということを折に触れ発言してきた。もう皆さん、耳にたこがで きるくらいにお聞きになっていると思うが。富士通総研、それから国連の貿易開発会議でも、デフレ脱却、経済成長のためには、賃上げとそれによる内需拡大を 提言している、こういうことをご存じだろうか。
 公務員の給与カットは、民間給与にも影響を与える。デフレ、しばらくこういう言葉があるが、そういうふうに全体として雪だるま式に賃金が落ちていってい る。これは最近、新聞にも出ていた。かなりの減額であった。その影響を与えているし、ひいてはそれが県の税収にも結局は反映してくるという関係にあるということを申し上げたいと思う。であるから、内需を拡大する方向こそ必要であるということを強く主張し、次の問題に移りたいと思う。
 新行革プランによって、県職員は既に14.5%も削減されているが、その一方で、反比例式に県の臨時・非正規雇用の増加が今、問題になっている。特に、1年契約の臨時・非常勤を5年、10年と続けている例はあるのか。

■人事課長(片山安孝)■ 臨時的任用職員、また非常勤嘱託員については、原則として1年を上限として雇用している。そのため結果として、同一の所属、同一の職務に5年を超えて継続雇用をしている場合があるかどうかは承知はしていないところである。

■星原さちよ■ 承知していないというのは無責任ではないか。かなりいると予想できるが、10月5日の朝日新聞にこれも特集が組まれていた。「公 務員削減でふえる短期契約」という特集であった。結局、その特集が組まれるほど官製ワーキングプアが生み出されてきたということではないだろうか。
 そして、臨時それから非常勤の問題というのは、今、大きな問題になっているが、それは特に昨年の4月、総務省が出した通達によって非常に混乱をしてきている。
 その内容であるが、非常勤が多くなるにしたがっていろんな問題が出てくるので、前にも新聞をにぎわしていたような問題が出てくる。非正規の雇用期間が長 くなると自由に雇い止めができなくなるということで、長期雇用の制限を自治体に押しつけているものである。こういう通知が出されていた。その結果、自治体 の雇い止めが各地で問題になっている。
 県の外郭団体、住宅供給公社などでも、プロパー職員の1年更新で5年満了という雇い止めがされているそうである。家族を抱えている職員がいつ雇い止めを言い渡されるか分からないという不安な状況にかなりの方が置かれているとも聞いている。
 新行革プランによって、県の支出削減が優先されることからこのようなことも起きているのではないだろうか。県財政、新行革プランを考えていくときに、極 力、人件費削減ありきでない方向、すなわち正規と同じように働いてきた臨時職員を、雇い止めでなく正規職員にすべきだと思うが、この点いかがだろうか。

■人事課長(片山安孝)■ お答えする。非正規職員は、正規職員でもなく執行可能な業務を行っており、仮に長期間継続雇用している者がいたとしても、これ をもって正規職員と同等の能力実証がなされているとは言えず、さらに地方公務員法においては、正規職員の採用試験に合格することなしに正規職員として採用 することはできないこととなっている。
 また、私どもは、県の施策を実施していくに当たっては正規職員だけで行うのではなく、非常勤職員・臨時職員等、多様な任用形態の職員を有効に活用することが重要であると考えており、何も私どもは不安定雇用を増長しているとの認識はない。
 なお、新行革プランに基づき正規職員の定員の削減を進めているが、その一方で、非常勤職員、臨時職員等についても、業務の見直しと併せてその職員数についても見直しを行っているところであり、平成19年度と比べて非常勤臨時職員は減少しているところである。

■星原さちよ■ 何度も言うのは嫌だが、臨時、非常勤の人たちがどういう思いでいるのか、いつもびくびくしている。家族を養えないようにいつなるかという不安な状況になっているという状況をちっとも考えていらっしゃらないということだろうか。
 この県職員の削減、給与カットの影響は外郭団体にも及んでいる。行革並みの事業費と人員削減が現場では求められている。
 例えば、平成21年、県は15の県立障害者施設を社会福祉事業団立にして自主運営にした。この事業団は、民間準拠の給与となっているが、新行革プランの もとで県の財政支出の削減を迫られ、大幅な給与カットも行われている。特に、5級職の大幅カットは、中高年の職員に響いて、訴訟もされているということが 報道されている。新行革プランの影響がこのようなところまで及んでいるというふうなことであろうと思う。
 今、新行革プランの3年目の見直しで公社・外郭団体の基数が議論となっている。その中で、人員削減や県の支出の削減ばかりに目が奪われがちだが、やって いる事業が県民にとってどのような意味があるのか、これは新行革プランとも関連させながら、働く職員の問題も考慮に入れ議論を進める必要があると思うが、 いかがか。

■新行政課長(田中基康)■ ご指摘のあった公社等の職員の給与については、各公社それぞれの経営状況を踏まえて判断することになるが、給与制度が県に準拠している団体については、県と同等の見直しというものが出てくる。
 そういったことを含めて、改革の過程では、当然ながら、各方面に負担を求めることがあるということになるわけであるが、この改革を着実に実行するという ことによって、県民の安全・安心の確保、あるいは地域の活性化、あるいは経済・雇用対策といった多くの課題により的確に対応することができるということに なっている。
 したがって、行財政構造改革はその基盤作りであるという点のご理解をいただきたいと思う。

地域主権改革と県財政について

■星原さちよ■ まさに新行革プランの犠牲にされているというふうなことだと思う。
 次に、県財政と新行革プランにも影響を与える問題として、政府が進めている地域主権改革の認識について、伺いたい。
 井戸知事は、今回の提案説明で、地域主権関連3法案の成立と地域主権改革の実現に期待などと発言されている。また、6月の政府の地域主権戦略大綱の閣議 決定についても、義務づけのさらなる見直しで国の基準を参酌基準にすべき、従う義務のないものにすべきと主張をされている。兵庫県として地域主権改革をどう見ておられるのか。
 例えば、保育の国の基準などは全くのフリーハンドにして、都道府県が自由に条例で定めればいいという立場であるのか。また、今年度予算で公共事業の分野 の一括交付金化が一部なされたが、さきの民主党の代表選挙でも、国の財源捻出の議論、そして予算の削減として一括交付金が議論され、今後は社会保障や教育 にも導入が予想されている。
 現在の国庫支出金・負担金・補助金が大幅にスリム化される危険があるが、県の事業を進める上で、将来的に十分な財源が確保されるのかどうか非常に不安である。地域主権改革についてどのように考えておられるのだろうか。

■広域行政課長(森安秀和)■ 私の方から地域主権改革について、義務付け・枠付け及び一括交付金化について、回答させていただく。
 地域主権改革は、地方主権関連3法案で定義されているが、地方自治の本旨である団体自治、住民自治の拡充と同義というふうに考えられる。言い換えると、 地方の基準設定や予算配分等について自由度を高め、地域住民のニーズに即したまちづくりや住民サービスを可能とする地方行財政システムを構築しようという ものである。
 こういうことを前提として進められている、まず義務付け・枠付けの見直しについては、保育所の設置基準など条例制定権の拡大等により、地域の実情に即した行政サービスの展開を可能としようとするものである。
 本県においては、現在の国の義務付け・枠付け等の基準が地方の条例に委任された場合には、個々の基準について、地域の実情に照らし、見直しの必要性・効果等を検証した上で、条例や規則の制定・改正が必要である場合は、必要な対応をすべきものと考えている。
 ただ、残念ながら、現在、法案化されている義務付け・枠付けの見直しのうち条例委任された項目には、委員ご指摘のとおり、国の基準に従いそのまま条例化 することが法律で強制されているといった「従うべき基準」などの問題も残っており、このような問題については、国に対しその見直しを働きかけているところ である。
 また、一括交付金化については、従来のひも付き補助金の使途の制限や手続を緩和することにより、地方の知恵や創意工夫を生かして、より効果的、効率的に活用することを可能にしようとするものである。
 ひも付き補助金が一括交付金化されることにより、逼迫する国の財源捻出の手段とされるといったような懸念もある。このため、一括交付金化に当たっては、 地方の自由裁量の拡大に寄与しない補助金、例えば社会保障や義務教育といったようなものは一括交付金化の対象にしないことや、一括交付金の総額について は、一括交付金化の対象となる現行の補助金額に加え、今後、増加が見込まれる事業についても総額を確実に確保することについて全国知事会等とも連携して、 国に強く要請しているところである。
 また、一括交付金等も含めた地方税財政制度の改革に当たっては、国と地方の協議の場も活用し、地方税体系の抜本的な見直し等による自主財源の確保等と併せて、一体的に国に制度提案をしているところである。

■星原さちよ■ 全体としてはまだ未確定な部分があるということであるし、一括交付金化により財源が不足しないようなそれは強く国に求めていくと言われたが、その点、極力努力をしていただきたいと思う。
 この地域主権改革というのは、自民党・公明党政権のときには地方分権改革と呼んでいたが、この流れは、市町合併や三位一体改革の中で、結果として、地方 交付税の大幅削減や地方切り捨てにつながったという批判を受けてきた。その流れを引き継いで、憲法に保障されたナショナルミニマムに関係する国の基準、責 任を取り払おうとする内容が盛り込まれたのが地域主権改革だと思う。
 そういう意味では、国民にとって、より危険な方向だと言えるのではないだろうか。地方交付税が大幅に削減されたという三位一体改革の反省も踏まえ、県民の立場を代弁して、地域主権改革には反対していくべきだと思うが、いかがか。

■広域行政課長(森安秀和)■ 先程も答弁させていただいたが、地域主権改革は、地域主権関連三法に定義されているが、まさしく憲法で規定されている地方自治の本旨である団体自治と住民自治の拡充ということとほぼ同義である。
 ということは、まさしく地方の基準設定や予算配分等について自由度を高めて、地域住民のニーズに即した行政展開を可能とするようなシステムを構築するようなものである。
 ただ、基本方向は、我々全く賛同するものであるが、個別の諸課題を見ると、義務付け・枠付けの見直しにおいて国の基準を従う基準として、そのまま地方に 条例化を迫ろうとするような問題、一括交付金においては、総額削減によって国の財源捻出にしようとするような問題、国の出先機関の原則廃止ということをうたいながら、省庁の消極的な姿勢によって改革が後退してしまうのではないかといったような懸念など、地方自治の拡充という観点から見ると、注視していくべき課題や懸念が残っている。
 三位一体改革の際には、国庫補助金の一般財源化に当たり地方交付税が大幅に削減され、そのことが地方財政を圧迫し、地方の疲弊を招いたといったことも踏 まえ、地方主権改革の名のもとに地方自治の後退につながるような事態が生じないように、地方が制度設計に参画して積極的に意見を述べていくということが必 要であろうと考えている。
 このため、本県としても、特に、国と地方が一緒になって制度設計をするという意味で、非常に重要な国と地方の協議の場の法制化を含む地域主権関連3法案 の早期成立を初めとして要請活動を行うほか、一括交付金制度や国出先機関の原則廃止等について制度提案するなど、国に積極的に働きかけているところであ る。

国の出先機関の廃止問題、関西広域連合について

■星原さちよ■ 地方自治というのは、憲法の5大原則の一つになっている。であるから、これは実際、地方自治に向かっていかなければならないが、 それは先程申されたように、あくまでも国民、県民の幸せにつながる、そういうものでなければならないと思う。そういう意味でも、私たちも同じように、この動きをもっともっと注視をしていきたいと思っている。
 最後であるが、関西広域連合に関して、1点だけお聞きをしたいと思う。
 せんだっての議会で、この広域連合設置が県議会で議決された。私たちは道州制に結びつくのではないかというふうなことで反対をしたわけであるが、出先機 関の廃止によって移譲の受け皿が広域連合になるか、それとも都道府県になるかということが説明されていた。その中で、事務の移譲とともに人員がどうなるか が注目をされている。
 特別委員会の議論の中で、当局は、国の出先機関の移譲の受け皿になることについて財源はきちんと移譲されるべきであるが、人員については適切な能力のある職員のみを引き受けるべきと、スリム化した上での移譲を国に迫ることを発言されている。国の出先機関は移譲される前に削減されるということが前提となっているのだろうか。

■広域行政課長(森安秀和)■ 私の方から、関西広域連合と国の出先機関の廃止について、答弁させていただく。
 関西広域連合は、防災を初めとした7分野において、関西の広域行政主体としての実績を重ねつつ、国の出先機関の事務権限のうち、府県域を越える事務の移譲を積極的に国に要請し、それを受けることを一つのねらいとしている。
 国の出先機関からの事務移譲については、そもそも財源とのセットが大前提である。加えて、人員についても、真に必要な人員のみを受け入れるよう、構成団体とも協議して国と交渉していくこととしている。
 このため、こうした前提が満たされれば、各府県や広域連合にとって新たな負担になるものとは考えていないところである。また、県職員は広範な業務を実施 しており、高い専門性も備えていることから、国から円滑な権限移譲が行われれば、県職員をスリム化してまで国職員を受け入れなければならないといった必然 性を現時点では想定しているところではない。ましてや、県職員のスリム化を前提とするなどは、今のところ考えていないところである。

■星原さちよ■ 出先機関の人員削減というのは地方にもこれは無関係ではないと思う。それで、この地域主権改革は、憲法や地方自治から見ても非常 に危険であると私たちは主張をしているが、国・地方の大幅な人員削減につながる、そういう危険性も持っているということ、それを指摘して、私の質問を終わ らせていただく。ありがとうございました。

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