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2007年度予算特別委員会農林水産部審査 筒井もとじ
2007年3月6日

淡路島酪農協の合併問題と「生乳処理プラント」建設について

■筒井もとじ■ 淡路島酪農協の牛乳プラント建設と、酪農協の合併問題についてお尋ねしたい。
 今年1月1日をもって、旧洲本酪農協と旧三原酪農協、両者が対等合併し、淡路島酪農協が発足した。しかし、今になっても、これまでの合併の経過について、また、合併に伴って建設が計画されている生乳処理プラント、すなわち新工場建設をめぐって、不安や不満が組合員の中から噴き出ている。
 まず第1に、合併に至るまでの経過と県の責任についてである。
 昨年2月に、旧三原酪農協と旧洲本酪農協が、それぞれ合併に向けて総会を開いたが、両組合とも承認に必要な3分の2の賛成を得られず、合併を否決した。そして、8ヵ月後の10月19日に、2回目の合併総会が開かれた。しかし三原酪農協は合併を可決したものの、洲本では否決となり、再度合併が見送られている。ところがその後、1ヵ月もたたない11月14日に、3回目の総会が開かれ、ようやく合併が成立し、今年1月に淡路島酪農協が誕生した。しかし今、旧三原・旧洲本両酪農協の組合員の多くから、「だまされた」、「合併は間違っていた」との声が出、組合脱退者も出ているようである。
 そこで、この合併がなぜスムーズに進まなかったのか。県当局は、その原因をどのように分析しておられるのか。また、県下1酪農協をめざしている県として、今後の合併に向けて、どんな役割を果たされるのか、お尋ねしたい。

■渡邊畜産課長■ 酪農家の減少に伴い、県下の酪農専門農協の組織基盤が弱くなってきている。このことを踏まえて、兵庫県酪農農業協同組合連合会では、県内の酪農専門農協の組織力を強化しようということで、平成10年に、県下1酪農協をめざす組織整備計画を策定し、酪農専門農協の再編を進めている。県もこれを支援してきた。
 とりわけ県内の最大の産地である淡路地域における酪農協の合併は、最も重要な課題としてとらえている。このため、平成15年10月に発足した洲本・三原地域酪農協合併研究会、さらに平成17年8月に、これを発展改組した同合併推進協議会において、組織体制の整備あるいは業務の効率化等に指導を行ってきた。また、洲本市酪農協及び三原郡酪農協の合併合意に向けた助言も行った。このため、合併が成立したと考えている。

■筒井もとじ■ 昨年2月に合併が否決され、10月の2回目の合併総会のとき、合併経営計画書が、組合員に示された。この内容については県も承知のはずである。この計画書に添付された「新工場建設にかかわる損益計算書計画」や借入計画及び償還計画では、総事業費47億円のうち、補助金を除いて22億5,000万円が自己資金で、全額借り入れをし、平成21年度から12年間、最初3年間は3億円ずつ、その後9年間は毎年1億5,000万円ずつ返すことになっている。ところが、現状はどうかというと、牛乳の消費量は減少傾向でだぶつき、販売価格は低下の一途の中で、高齢化や後継者不足、売上不振などにより、牛乳生産量が低下している。
 平成17年度は、洲本、三原とも、全営業部門の総合計で赤字決算で、巨大プラントを建設すれば借金が大きく膨らみ、採算はとれない。健全な経営はとても見込めないというのが実態であり、多くの酪農家が最も心配している。このことは、農林水産省も早くから認めていて、昨年6月14日、農林水産省経営局構造改善課から兵庫県に対し、施設整備に当たって、採算性に関し十分審査するよう注意喚起があったが、この注意喚起に対し、県はどのような対策をとったのか、具体的に答弁をお願いしたい。

■藤原農業経営課長■ 県では従前から、補助事業の実施に当たっては、計画段階から、1.事業の必要性と緊急性、2.整備する施設の規模と内容、3.経費負担と採算性等に対する指導助言を積極的に行うことにより、適正な事業実施に努めている。
 このたびの淡路島酪農協が整備を計画している牛乳工場については、平成20年度の完成をめざし、国の経営構造対策事業を活用し、建設することとしている。この牛乳工場建設においては、酪農協が合併する以前から、県は、本庁関係課並びに淡路県民局とが一体となった推進体制のもとに、事業を想定して濃密な指導助言を行ってきた。
 さらに、本年1月の酪農協の合併以降、酪農協が主体となって、将来の乳業情勢を踏まえた販売戦略に基づき、牛乳処理プラントの規模と仕様並びに収入・支出の明確化を図るなど、採算性を十分検証する中で、事業計画を検討しており、県としては現在、牛乳工場建設が円滑かつ適切に実施されるよう指導助言を行っている。

■筒井もとじ■ なぜ合併する前に見直しを指導されなかったのかが問われている。県が合併を急がせる余り、また組合の方も、合併問題のみを優先させたことにより、肝心の採算性を含め、経営計画が十分検討できなかったことが、今の深刻な状況を招いているのではないか。抜本的な見直しをせず、合併を急がせたことは、今、大きな障害になっていると思う。
 10月に行われた2回目の総会では、2人の幹事が、「このような事業計画はすぐ破綻を来す。今は合併プラント建設だけにとらわれず、広く牛乳の販売方法を模索することが、組合員の利益につながる道だ」と意見書を出し、また、金融機関も、過剰投資に対する懸念を表明している。組合長さんの話では、一番最初の段階から、県はずっと会合に参加してきた、その中で、工場建設の採算性などの話は出たことはあるが、そのことについて議論を深めるような指導はなかったというふうに言っている。
 そこで、合併の前にもっと真剣に相談に乗り、農家の皆さんが納得し、安心して酪農に取り組めるような支援をすることが必要であったのに、十分それを行わず、合併を急がせた県の責任は免れないと思うが、どのように認識されているか。

■藤原農業経営課長■ 県の酪農協に対する指導については、事業概要構想の策定の段階から、先ほど申し上げたように、県の関係課並びに洲本の淡路県民局が一体となって、酪農協に対して指導・支援を行っている。その内容については、先ほど申し上げたように、事業計画内容が将来の経営を左右するという大前提において指導している。

■筒井もとじ■ 質問してきたように、国からの注意喚起に対する対応のおくれ、合併推進を先行させたことなど、県の見通しの甘さから、工場建設事業が進まず、平成18年度に予定していた関連予算は全額減額補正で、先送りしなければならなくなったなどの状況を見たとき、今後の県の指導性と支援のあり方が重要になってくるのではないかと思われる。
 そこで、地元農家の方が求めておられる第1に工場建設の一時凍結、第2に合併後の事業計画についての再構築、第3に地元負担を軽減するため、国庫補助に追加して県随伴補助について、それぞれ県としてぜひ前向きに取り組んでいただきたいと考える。特に県費の随伴補助については、昨年12月、組合幹部がそろって知事に直接会って要望されたと聞いている。ぜひ誠意ある答弁で、農家の意欲を引き出す対策を強く求める。その点については、どうお答えいただけるか。

■藤原農業経営課長■ 県は、農協等が実施する経営構造対策事業等の補助事業に対して、従前から、国庫補助金に加え、随伴補助でなく特定補助残融資により支援することを制度化している。
 このたびの本件牛乳工場については、この経営構造対策事業により、2分の1を上限に国庫補助金を交付する予定であり、さらに補助残の80%相当について、本県の独自制度として、一般農業近代化資金よりも利子補給率が高い特定補助残融資で支援を行うこととしている。

■筒井もとじ■ 地元の人たちは、国や県に対して、「酪農、畜産をめぐる環境は、日々厳しさを増している中、現状打開のために酪農家は、経営の合理化、近代化、高度化に取り組みながら、協同組合としての団結を固め、一致協力して苦境を乗り切るために、今、必死の思いです」との思いを述べられている。
 一方で、ある農家の方は、「県に強制されて、牛乳工場をつくらされているようなものだ」とまで言っている。また、「南あわじ市で、堆肥供給者の酪農家をつぶすことは、野菜農家をつぶし、そして南淡路の農業をドミノ倒しのごとくつぶすことに直結していく」と指摘する方もおられる。
 こういうことがないように、地元の要望に十分こたえていただくよう要望して、次の質問に入る。

育波浦漁業協同組合について

(1)組合の経理状況と県の責任について

■筒井もとじ■ 次は、育波浦漁業協同組合についてである。
 淡路市の育波浦漁業協同組合は、昨年10月、県漁連の会長も務めた組合長とその他の理事4名、さらに幹事3名とも辞任して、新しい組合長、理事、幹事が選任された。県下でも有数の漁業組合で、役員の全員が一挙に交代する、このような事態そのものが異常と言わなければならないが、今、多くの組合員の方々は、新しい組合長のもとで、元気いっぱいで漁業に取り組んでおられる。
 一昨日3月4日には、育波浦漁業協同組合で漁まつりが開かれた。これは192人の組合員が、毎年この時期に、七つの地区ごとに寄り合い、豊漁を祈願する行事である。今年はその中で、前組合長のときの組合経理に、多額の使途不明金や役員に対する旅費の二重払いなどについて指摘する「育波浦漁業協同組合経理の監査状況について」との組合長からの文書が、全組合員に配付された。
 それによると、1.役員等9人に対する日当が、420万円も二度払いになっている。2.根拠不明の飲食費が454万円。3.塗装工事代金483万円が使途不明金となっている。4.業務外と思われる香典、祝い金が15万円。5.政党、政治団体への寄附が、理事会で審議もされず130万円。6.預金口座4件が、取引明細不明のまま解約されているなどとなっている。
 合計1,500万円以上、組合のお金は、漁師さんが水揚げをした4%を組合に支払っているいわゆる利金というものである。
 そこで質問であるが、団体の検査を行う県は、この組合に対しては2年に1回の検査を実施することになっているが、この漁協に対しては、いつ、何について、どのように行ったか。そして、明らかにされたこの事実について、どう認識し、県として責任をどう考えているかを伺いたい。

■杉田団体検査室長■ 常例検査に当たっては、漁協が作成した議事録、出納簿、貸借対照表、伝票等々によって、組合運営が適正になされているかどうかを確認している。
 具体的には、組合の開催状況や財務基盤の充実のために必要な引当金等が十分積み立てられているか等チェックするほか、不祥事の防止の観点から、支出伝票等を抽出して、適正な稟議が行われているかどうかなど、内部牽制機能のプロセスチェックを重点に行っている。
 育波浦漁協の検査については、水産業協同組合法第123条第4項の規定に基づき、2年に1回の周期で常例検査を実施している。最近では平成17年6月に、組合の会計年度である平成16年1月から12月末及び17年1月から検査基準日にした4月30日までの間の検査を実施している。
 委員指摘の、組合員に対するチラシについては、委員から、育波浦漁協漁まつりの際に、組合員さんに文書が配られているという情報をいただいたので、組合関係者に確認したところ、確かにそのような文書が組合員に配付されていたことであり、当該文書を昨日入手した。
 16年度の検査に当たっては、文書にある関係については、抽出検査であるために、事実確認はできていない。
 なお、文書については、組合員さんに配付されたものであるので、内容について発言する立場にはないと思う。

(2)国・県の補助について
■筒井もとじ■ この漁協に、過去5年間、国、県の補助金は出されているのか。出しているとすれば、どのような名目で幾ら出されているのか、お答えいただきたい。

■大谷水産課長■ 育波浦漁業協同組合に対する過去5ヵ年間の補助金は、平成17年度、漁業構造改善事業のクレーン建設の際に交付した6,016万8,000円である。

■筒井もとじ■ このように、国や県が補助金を出している団体が、政党や政治団体に寄付することは、認められているのか、お尋ねしたい。

■大谷水産課長■ 政治資金規正法の中でそのような規定があることは、了知している。

■筒井もとじ■ 今回の指摘内容は、税理士が行った正式の検査の結果である。そこで、証拠も明らかにして、現組合長から報告書があれば、県として、検査を改めて行う必要があると思うが、県の態度は、どのように考えておられるか、お尋ねしたい。

■杉田団体検査室長■ ただいま委員ご指摘のように、現在組合において、いろいろ精査中であると聞いている。その結果、正式に検査要求があれば、水産業協同組合法の規定に従って、適正に対応してまいりたいと思う。

■筒井もとじ■ 「組合から、組合長が正式に報告をされた場合は、検査をする」とお答えがあったと認識してよいか。

■杉田団体検査室長■ 水産業協同組合法の検査には123条第1項から第4項まであり、第4項が通常私たちがやっている会計検査である。第3項は漁協を対象にした認定検査である。
 第1項が、組合員の10分の1以上の同意を得て出された請求検査。これについては、状況によるが、検査しなければならないとなっている。第2項によると、「法令等に違反する疑いがあると認めるときは、検査することができる」という条文があるので、検査要求があれば、適正に対応したいと思う。

(3)漁業構造改善事業のクレーン建設について

■筒井もとじ■ 最後に、育波浦漁業構造改善事業のクレーンの建設についてお尋ねしたい。
 このクレーンについては、農林水産常任委員会で視察をさせていただき、漁民の方もたくさん集まってきて、いろんなご意見を聞いているが、このような状態である育波浦漁業協同組合に対し、漁業構造改善事業のクレーン建設で多額の補助を行っているが、事業の実施に当たって、組合員の総意に基づかず、一部役員が強行して進めたという意見も出ている。年間維持費が500万円必要とも聞いているが、県は事業の必要性などをどのように認識し、検証した上で補助を行ったのか。

■久保田漁港課長■ 育波浦漁協は、組合員数197名、登録漁船220隻を有しており、船びき網漁業により、シラスやイカナゴを主として漁獲をしている。
 従来、漁船の修理あるいはカキ落としなどの作業を、既存の船揚げ斜路において行っていたが、足場が斜めになり不安定なことから、また、大型漁船は喫水が深く、満潮時しか利用できないなど、障害も発生していたので、新たな施設整備が求められている。
 このため、組合では、総会の議決を経て、漁船を陸揚げするためのクレーンを新設することとなり、平成17年度に、国、県、市の補助を得て、約1億3,000万円の事業費で設置工事を行い、平成18年3月に完成したところである。
 なお、この事業については、利用料による年間収入額が約440万円と見込まれており、これにより適正な維持管理を行うとともに、クレーン設置のための借入金についても、十分償還できる計画であると判断されたため補助を行ったものである。

■筒井もとじ■ これについては、今後問題になるかと思うが、いずれにしても、漁業合併促進法というものがつくられて進められている。これは農協も酪農協も全部そうであるが、今、厳しい情勢が、漁業をめぐってもあるわけで、一つの選択肢として漁協の合併が必要になることは当然あり得ることだと思う。しかし、漁村も漁業も多様であり、生き方も多様である。上からの合併ではなく、組合員参加の現場主義で進めるようなやり方こそ原則とすべきではないかと思う。
 行政の支援策については、合併促進法は、合併漁協に漁業振興策の事実上の優先実施を盛り込んでいるが、同一の水産業施策において、合併するかしないかによって差別を持ち込むようなことは絶対にあってはならない。公正、公平な水産行政を期待して私の質問を終わる。

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