駐車違反の民間委託の問題点
■新町県議■ 道交法改正により、駐車違反の取り締まりが民間委託ができるようになり、本県でも6月から導入されます。まず駐車違反についてお尋ねしますが、現行制度では、車両の運転手に反則金という罰金を科すという刑事責任を追及するものです。ところが今度は車両を使用をする権限をもつ使用者に放置違反金を支払わせる行政責任を追及するということになります。反則金は国庫に入って県には交通安全対策特別交付金として入ってきます。新年度ではこれは約20億円、一方放置違反金は県の諸収入で約15億円入るとされています。反則金は、違反行為を認め特定しなければ支払いを命ずることができない。これに比べて違反金は、違反をしていなくても使用者は管理責任が問われるということで払わなくてはいけなくなります。逆に言えばお金さえ払えば減点にならないということもあって、違反行為に対して罰するということにはならないと思うんですが、いかがですか。
■中川交通部長■ 新たな駐車法制下におきます駐車取り締まり、これにつきましては、運転者の責任、使用者の責任についてはご指摘のあったところです。反則金、点数はなくなりますけれども、その違反行為に使われました自動車自体に対する使用制限という処分が出てきますので、違反に対する放置違反金の官命力といいますか、これは違反と同じだと思っております。
■新町県議■ 車両の責任者は運行管理責任として車両を使用することによって便益を得るというふうなこともあって、駐車違反をしていない、しかし罰金を法的に払わせる。これは少し無理があるのではないかというふうに思います。兵庫県でも約10万件駐車違反が確認をされて、そしてそのうち3万件がいわゆる逃げ得ということが言われてますけれども、これを許さないということで今回こんなふうに改正がされるというふうに言われますが、しかし、その実、この逃げ得を認めることにはならないか。むしろお墨付きを与える。こういうことは今回の法改正の大きな矛盾点だというふうに指摘をしておきたいと思います。
この駐車違反の確認の写真を撮るとこういうことと、放置車両の確認標章を取り付ける、これを民間ですることができるというわけでございますけれども、これまで交通巡視員の方や警察官の方がこれを行ってきたものを民間でやるということですから、この不正が生じないかどうか、また個人情報はちゃんと保護されるのかどうか。公平性、公正性こういうことが確保されるかどうかというのが大きな問題だと思うんですが、いかがですか。
■中川交通部長■ 今ご指摘のありましたところが懸念されますことから、今回の委託する法人の決定に際しましては、単なる最低価格の入札方式ではなしに、そういう管理能力だとか公平性、適正性そこらを要求するために総合評価方式を取り入れたところでございます。
■新町県議■ それは法人を決めるにあたって、どういうふうに評価をして決定をするかということだと思うんですが、今回、この違法駐車を管理される方はいろんな資格ももちろん取られて、講習も受けられて公務員とみなすというふうにはされるとは思うんですけれども、しかしそれで本当に担保されるかということなんですね。民間の方が公的な違反を確認をするという、こういう仕事をするわけですから、やはり不正の余地のないこういうものにしなければいけないと思います。また、現場で心配をされるのが違反の確認をめぐってですね、様々なトラブルが発生をするのではないかということなんですね。これまでは、先ほどの委員の質問にもありましたように、警官の方が一定チョークで時間を見るというようなこともされますけれども、この監視員の方は、即貼るということですね。即写真を撮ると。要するに個人の判断の余地をいれないということで行われます。そのためにトラブル、どういう方が駐車違反をされているかどうかわかりませんけれども、脅迫をされるとか暴行を受けるとか、こういうことも予測ができると思うんですね。この場合に、だれがどう防止をする責任を負っているのか。この安全の問題ですね、これはどういうふうになっているでしょうか。
■中川交通部長■ 先ほどご指摘の通り適正に取り締まりをして確認事務をやっていく、このためにご質問もありましたように資格者証制度ができておりまして、14時間の講習を受けて警察官等と同じような能力をつけて考査を受けて合格された方が監視員になるわけですけれども、そういう中でトラブル等を防止する、トラブル等発生した場合の措置としておっしゃいましたようにみなし公務員の規定があります。ですからそれに対して暴行だとかいろんなことがあれば、公務執行妨害という刑法犯も成立もしますでしょうし、トラブル等を解消するためにはその監視員を抱えております確認機関に統括責任者というものを配置するようにしております。この統括責任者が第一義的に処理をしていく。もう一つ詳しく申しますと、放置車両の確認ですから、監視員の方が現場を巡回されておるときに、大半が、運転手さんが車におられないというのが実態だろうと思うんです。おっしゃいましたように写真を写したり、写真でも1枚だけではございませんので、何枚かそれが駐車違反だと放置違反だと確認するためにそういう手続きをやっていきます。そういう過程で運転手さんが戻ってこられて、違反になるのかならんのかいろんなことになるとは思いますがそういうことに対しては十分対応できるような講習をしておるところでございます。
■新町県議■ 昨今のことですから、些細なことで、利害関係も何にもないのに殺傷事件になるということは私が言うまでもなく、そういうことがたくさんありますので、その利害が絡むということですから、本当に駐車違反の監視員の方、それから、いまおっしゃったようなところでは帰ってこられた運転者の方と暴力事件なんかが本当に起こらないのかという心配があるんです。警察官の方ですとやはり権力がありますから、しかたがないというのもあるんですけれども。さっきおっしゃたように資格があると言われても、民間の方ですから、民間人どうしのもめごとというふうになりますよね。その時に統括責任者の方が責任を持たれるということだと思うんですけれども、本当にその場で統括責任者の方がいらっしゃるわけではないですから、本当にその安全が大丈夫かと。民間人同士だからこそよけいに危険性が高いのではないかと思われるんです。ですから、安全性の確保が大きな課題だと思います。
新年度は、違法駐車確認の委託料というのは9警察署で42人分、6月ですから10カ月で1億7400万円で落札がされています。9警察署を4ブロックに分けて4社が落札をされていますが、兵庫県では総合評価一般競争入札方式がとられています。金額だけではなくて総合的にいろんな要素で業者を決定されたということなんですが。その決定をされた後のどういうふうに判定をされたのかという基準とか、その採点の内容は公表されていないんです。県民から見まして、本当に公平な公正な評価が行われたかどうか。今問題になっています天下りですね。警察の方からの天下りが優先されていないかという疑問もあります。今回の落札社の中で役員などのなかに県警OBの方含まれているでしょうか。
■中川交通部長■ 警察で委託する法人を決定いたしました手続きについては、委員から今ご指摘のあった通りです。ただこれは総合評価方式を採用いたしましたのは、先ほども申し上げましたように単なる価格だけでやりますと安かろう悪かろう、また契約の途中でやれないと県民の方に迷惑をかけることになります。そういうようなことから法人の適格性だとか公平性を判断いたしました。それで公表の問題ですけれども、総合評価方式、ご案内と思いますけれども、価格の分での評価とそれから法人の適正、公平性だとか、そういうところを評価をして、総合で評価をしたわけですけれども、これを一概に全部を全部公表することになりますとそこでその法人の信頼性だとかいろんなところに影響が出てきます。そういうところもございまして、警察では委員会を設置をして5名の学識経験者等でそこらの評価を意見をいただいて決定をしたところでございます。今のところ詳細について公表するという考えはございません。
■新町県議■ 統括責任者の中にOBの方がいらっしゃるのかどうかまた後でもお答えをいただきたいのですけれども、今のお話ではやはり天下りという懸念が払拭はできないです。わが党の国会議員の質問に対しまして、小野国家公安委員長は、基本的にはこの一般競争入札を原則とすると。そして委託先の選定にあたっては、選定過程の透明性の確保がきわめて重要であると答弁をされています。天下りを生まないように、今基準を総合的にと言われましたけれども、やはりその結果を基準も含めて採点内容を県民に公表するべきだというふうに思います。そして天下りの行き先に仕事が得られるということはあってはならないと思います。いままで様々に今回の民間委託について意見を申し上げましたけれども、民間委託というのはできるという規定でございますので、これらの問題点を解決をできなければ、この導入というのは急ぐ必要がないと思いますが、いかがでしょうか。
■中川交通部長■ 先ほど答弁が漏れておりましたけれども、委託法人における警察OBの関係ですけれども、これは当初からそういう疑念を抱かれるとかそういうことがありまして、入札に参加された法人の中に警察OBはどれくらいおるかというようなことは調査もいたしておりませんし、把握もいたしておりません。法人の中には、違法駐車の確認ということで警察OBの方の知識を使いたいと採用されておるところもあるかも知れませんが、具体的には把握はいたしておりません。規定ではすることができるということですけれども、違法駐車の問題につきましては、兵庫県でも都市部を中心に慢性的な駐車問題が発生しております。これに対して警察力をこれ以上、なかなか治安情勢全体から見て避けきれないという問題もあります。これを委託しないとなりますと、兵庫県下における都市部の慢性的な駐車問題これが改善できないということで、県警として民間委託を導入することを決定した上で、予算を要求して準備のための予算を平成17年度においても認めていただいてその準備をすすめてきたところでございます。
■新町県議■ 安全第一でこの駐車違反の確認は県警の本来業務として行われるよう主張して終わります。
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