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2005年(平成17年)度決算特別委員会県土整備部審査 筒井もとじ
2006年12月12日

ひょうご21世紀県営住宅整備・管理計画について

■筒井もとじ■ あらゆる人にとって生命、健康、暮らしの基盤である住宅について、住宅建設計画法や個別法にゆだねられてその重きとなる規定がなかったが、本年2月に住生活基本法が国会に上程された。これに基づいてひょうご住宅マスタープランが作成され、住宅の信頼度アップや多様な住宅困窮者対策など、7つの戦略が決められた。
 住宅を取り巻く情勢の特徴を私が考えると、一つは、住宅規模については欧米に比べてなお低いレベルにある、特に都市部の借家が狭いという問題がある。二つ目に、耐震性、バリアフリーなど依然として欠陥住宅、既存不適格などが残っている。3番目に、民間の賃貸住宅では高家賃であり、高齢者、障害者、外国人などに対する貸し渋りなどの差別があり、公的住宅は、家賃滞納などによる強制退去がふえている。4番目に、住環境も低層住宅地にマンションが増加し、住環境破壊が合法的に行われているというような問題があると思っている。
 これらを見ると、その背景に住宅政策の基本的スタンスとして、市場重視、民間任せ、ストック重視等が見てとれる。そこで私は、多様な住宅の困窮者の問題に焦点を当てて質問をしたい。
 本年4月改定のひょうご21世紀県営住宅整備・管理計画によると、建てかえによる供給は、この10年間の目標として県住5,900戸で、うち、建てかえ5,500戸、借り上げ400戸であり、新規建設は0戸となっている。つまり、建てかえはするが、新規の建設や建てかえによる戸数増はしないというお考えだと考えていいか。

■奥田公営住宅課長■ ひょうご21世紀県営住宅整備・管理計画をこの4月に策定したところであるが、これに基づいて説明すると、県営住宅については、公共事業投資全体が「つくる」から「つかう」ということを中心に展開しているところから、建てかえの範囲で事業を進めていくということである。
 ただ、建てかえと言っても、現地で建てかえられない場合もある。そういうことは、いろいろと現地での対応として、いろいろと計画はあり得るということである。

■筒井もとじ■ 今のお話では、集約等によってその場所よりも少し大きいものが建てるが、集約する別のところの戸数と合わせると減ると、こういうことだと理解する。つまり、全体として県営住宅はふやさない、建てかえに重点を置くというような考え方だろうと理解している。
 兵庫県の住生活基本計画における公営住宅供給目標の案によると、空き家による供給が10年間で1万9,500戸とされ、建てかえによる供給5,900戸と合わせて2万5,400戸とされている。空き家による供給は1万9,500戸、これは10年間であるから、年間にすれば平均200戸だと思うが、この積算の根拠は何か。

■武井住宅計画課長■ 住生活基本計画の案における空き家の供給量10年間の戸数の根拠については、これまでの県営住宅、市町営住宅の空き家供給の実態を踏まえ算定したものである。

■筒井もとじ■ 高齢者として安定した生活を送るために欠かせないものの一つは、言うまでもなく住まいである。65歳以上の単身者のうち、持ち家があるのは国勢調査を見ても大都市部では半数である。低い家賃で暮らすことのできる公営住宅は、交通の便のよいところほど倍率が高く、十数回応募しても当たらない。高齢者お断りの民間の賃貸住宅も多い。最後のよりどころであるはずの県営住宅、公営住宅がふやされない一方で、公営住宅の補完的役割を果たす公社賃貸住宅も、原価家賃制度から市場家賃制度に変わっている。震災の影響が非常に強く残っている地域もある。私の東灘などでは、民間の低家賃のところにいたアパート、マンション、こういうもので死者が最もようけ出た。県営住宅は幸いなことにほとんど、補修はするところはあったが、倒壊して死者が出るというようなことはなかったのである。
 ますますふえるワーキングプア、高齢者の増加、それから子育てのための支援として若い人たちの県営住宅入居も期間を決めて行うというようなことが言われているが、こういうことになれば、公営住宅をふやすことなしにそういうことはできるのか。公営住宅の供給量をふやす以外にこのニーズにはこたえられないと思うが、どのようにお考えになっているか。

■奥田公営住宅課長■ 公営住宅の中に期限付入居を導入するということに対するご質問かとお聞きする。期限付入居を導入したのは、利便性の高い、あるいは保育所が隣にあるとかいう団地にもかかわらず保育所と関係のない方が長いこと住んでいるということは、逆に外部の人から見れば不公平感がある。こういう点から、期限付入居を特に子育て支援に絞って今回募集をしているという経過である。
 もともとそういう人たちは、公営住宅法上は継続入居ということを認めているので、期限が来たからといってどこか民間へほうり出すということではもちろんない。必要な対応をしていく。

■筒井もとじ■ 私の聞いているのはそういうことではない。確かに高齢化が特に進む公営住宅の中では、自治会活動もできないというような状況もあり、若い人の入居は望まれていると思うし、子育てのために公営住宅を提供することはいいことであると思う。しかし、そういう門戸を広げると、余計に県住をふやさないと、公営住宅をふやさないとやっていけないのではないか。ニーズに合わなくなるのではないか。つまり、公募しても当たらないという人たちがますますふえていくのではないかということを聞いている。
 公営住宅法の中で、公共団体は常にその区域内の住宅事情に留意し、低額所得者の住宅不足を緩和するため、必要があると認めるときは公営住宅の供給を行わなければならないという規定が公営住宅法には明記されている。安くて質のよい公営住宅を供給せずして住生活基本法は絵にかいたもちになってしまうのではないかと思うので、これでは足りないからふやさなければならないのではないかということについて、もう一度ご答弁をいただきたい。

■奥田公営住宅課長■ ひょうご21世紀県営住宅整備・管理計画を策定した内容についてもう少し説明させていただく。
 住宅審議会の答申を受け平成18年4月にひょうご21世紀県営住宅整備・管理計画を改定した。それの公営住宅の役割のあり方というのは、1.低所得者世帯など市場において自力で適正な居住水準の住宅は確保できない階層、2.高齢世帯、障害者など市場では入居制限を受けやすい世帯への対応、障害者等ハンディキャップパーソンを対象にした作用、3.子育て世代など市場では十分な量が供給されにくい住宅を必要とする世帯などへの対応というふうに公営住宅自身を規定している。
 この公営住宅の役割を踏まえ、ストック総量の考え方としては、人口が緩やかな減少局面に現在転じているというようなところから、人口の社会移動が小さくなるなど、新規の住宅需要は漸減していることがまず一つ。二つ目には、民間賃貸市場における最低居住水準未満世帯率が平成10年度の11.4%から平成15年度には8.4%に減少するなど、潜在的な公営住宅需要世帯数は減少の方向にあることなどから、現状としては、県と市町のストック割合を基本にし、県営住宅ストック総量を10年間の計画期間内において5万5,000から5万3,000へ漸減すると規定したものである。

■筒井もとじ■ それは高齢化社会の中で人口が減っていくということを非常に浅くとらえているのではないか。先ほども言ったように、若い人の中でもワーキングプアの人たちがふえていく、高齢者は、次々死んでいくが、まだまだふえていく。団塊の世代と言われている方々がもうすぐ高齢者になっていくというような状況の中で、さらにDVの被害者とか、あるいは外国人の居住者がふえてくる、こういうような状況の中で、私は、これ以上ふやす必要はないのだと、やがて余ってしようがなくなるのだというような考え方は、まだ今とるべきではない。むしろこれからある程度ふやして建てかえも、空き家が、たくさん政策空き家として残しているが、こういうむだなやり方を改め、少しふやして、新しく建てるところに希望者を入れて、スムーズな建てかえができるようにしていく、そのぐらいのゆとりのある計画をとるべきではないかと思う。
 これは私の意見であって、ここで答弁を求めてもなかなか難しいと思うので、そういうことをぜひ検討していただきたい。公営住宅の差し当たりの10年間の戸数を減らしていくような、あるいはもうふやさないというような方針は撤回をして、改めてほしいということを強調しておきたいと思う。

県営住宅の家賃滞納による退去者について

■筒井もとじ■ 次に、強制退去者の滞納家賃の徴収について質問する。
 借りたものを返すのは当然であるが、強制退去者の滞納徴収を回収業者に委託している問題がある。業者委託依頼の実情と実績はどのようになっているか伺いたい。

■大住住宅管理課長■ 県営住宅を退去した家賃滞納者については、退去後の住所・居所の把握が難しいことや、多重債務者が多く、その滞納家賃の回収が困難であることから、平成17年9月、滞納家賃の収納業務を民間債権回収会社に委託した。
 民間債権回収会社では、長年培われたノウハウを活用し、滞納者の住所・居所を把握し、また、そのノウハウを生かして多重債務者であるなどの滞納者個々の事情を勘案した分割納付の相談に乗るなどして家賃の収納の実績を上げている。
 昨年の9月から本年の11月までの実績であるが、約7,500万円の分割納付誓約を整え、そのうち、約2,000万円を収納している。

■筒井もとじ■ 2,000万戻ってきた、よかったということになるのか非常に難しいところだと思う。これは業者が4割もらう。6割だけ入ってくる。それで2,000万。2,000万でも今までは、はい、さようならと言ったらそれっきりだったものが取り戻せたという点で、業者も利益を上げて、県も利益を上げるというお金の面だけ見れば確かにそれでいいかもわからない。
 しかし、これは滞納対象者のうちの何割が捕捉されたか。例えば半数の捕捉ができたとしても、あとの半数はどうなっているのかということが問題になる。公営住宅というのは、住まいのセーフティネットというか、先ほど野宿生活をしておられる方の話が若干出たが、本当に深刻な問題だと思う。
 ハード面を担当しておられる部局として、こういうことはなじまないと言われればそれまでであるが、少なくともこの中身については、企業から報告をもっと細かく受け、その人たちが県営住宅を出てどこに入っているのか、どんなところに入っているのか、つかめない人の実態が一体どんな状況なのか、こういうことをつかむ必要があるんじゃないかと思う。少なくとも福祉と連携するような部署というか、そういう役割を果たす人を、最低そういうものを置きながら今後の、今現在入っている人に対してもそういう不幸な事態が起こらないようにどうしていくかというような相談も含めたそういう部分の役割を、福祉とのつなぎの役割を果たすような部分、そういう仕事が、非常に行革で厳しい中であるが、県民のための公営住宅だ、県営住宅だという立場からすれば、そこから滑り落ちていっている人たちのこと、滑り落ちるかもわからない現在の入居者に対する温かい配慮がやれるような体制をぜひ考えていただきたいと思っている。本人の都合とはいえ、県営住宅がセーフティネットの役割を果たせていない。福祉との関係で総合的な取り組みが必要ではないか。現在県住にいる人も含めての話である。
 1996年6月、イスタンブールで第2回の国連人間居住会議が開催されたことはご存じだろうと思う。これは住宅の問題にかかわっている人は全部読んでおられると思う。一般にハビタットUと呼ばれている会議で、世界171ヵ国から政府代表、国連の機関、NGO等市民代表が参加し、12日間議論が交わされた。その結果、居住の権利という新しい概念が独立した基本的人権として位置づけられたことが承認され、それぞれの政府が自国の住宅政策の最重要課題として努力し合うことが確認をされた。地球温暖化防止などと同じようにグローバルコングレスとして居住の権利の確認であった。ぜひこういう点を行政に携わる者は心していただきたいということを申し上げて、次に移る。

特定優良賃貸住宅について

■筒井もとじ■  特優賃について午前中に既に掛水委員からご質問があったが、私は、それについて具体的に伺いたい。
 西宮にあるフレシア西宮、全戸数123戸は、JR西日本貨物が建設し、県公社が管理受託しているものであるが、現在、特優賃として提供しているのは28戸で、県営住宅化されたものが95戸ある。残された特優賃に入居されている世帯の収入状態がおわかりになれば教えていただきたい。

■大住住宅管理課長■ ただいま資料を持ち合わせていない。

■筒井もとじ■ 28戸のうち、8割ぐらいの方が年金生活者。それらの方は、公営住宅並みの収入階層になっている。公営住宅並みの収入階層になっておられる方にとって、周りが県の施策で公営住宅になっているのに、同じ中でなぜ私たちは同じ住宅に入っているのか、何倍もの家賃を支払わなければならないのか、公営住宅並みの家賃に引き下げてほしいという要望がなされている。この要望にこたえるべきではないか。お尋ねする。

■大住住宅管理課長■ 特定優良賃貸住宅制度は、中堅所得者に対して優良な住宅を供給するという目的で供給されたものであり、その入居者の家賃は国の制度において家賃算定基礎額が定まっている。
 入居時においては、その収入基準を満たしておられた方であるが、その後の収入経過により、公営住宅階層まで低下した方がおられたとしても、それは制度上、家賃の低減はできないこととなる。

■筒井もとじ■ 特優賃を公営住宅に変えるには、3ヵ月間空き家でなければならないという用途廃止の条件がある。この条件、おかしいのではないか。クリアすべき課題はこういうことがあるが、県の公社が内規で決めただけのものではないのか。現に住んでいる人への対応策として、県としてその基準を再検討すべきではないか。

■大住住宅管理課長■ 特定優良賃貸住宅の用途廃止の基準というのは、国の要領で定まっているもので、募集しても、3ヵ月以上入居者がいないときに限って用途が廃止できるということで、国の基準である。

■筒井もとじ■ 県住化に伴う明らかな矛盾である。解決のための努力と検討を求めたいと思う。さらに、県としてはやはり責任があろうかと思う。
 特優賃は、震災のとき、災害公営住宅が足りないために収入基準を外して、所得の少ない方も入居できるように応募した。現在、特優賃全体で被災者世帯が何世帯ぐらいいまだに入居しておるかわかるか。わかれば数字だけ教えてほしい。

■大住住宅管理課長■ 今現在、県下全体で特定優良賃貸住宅は1万2,492戸あるが、そのうち、災害復興の準公営住宅として建設されたものは1万1,258戸である。このうち、かなりの方が災害で入居されているとは思うが、その当時でも一般の方も入居されているので、そのうち、被災者が何名かは判明していない。

■筒井もとじ■ 私も避難所、そして、仮設、公営住宅、こういう復興の過程をずうっとたどってきた。私は本会議で、避難生活を私も続けて、避難所を転々と回りながら皆さんの声を聞いて県当局とつなぐことをやってきた。私は一番最後に入る、仮設住宅を私までつくるかと、こういって貝原知事に迫ったのを思い出す。本当に避難所に入った三十数万の人は、確かに自分の家に戻って、あるいは再建したりしている人もいるが、ずうっとその道は非常に狭かった。先の方は狭くなってきた。復興公営でも入れた方は幸せだったのであるが、そうでない、そういう生活をやっている人たちがいるわけである。この人たちは、公営住宅を希望していたが、震災後、公営住宅が足りないために入ったのである。県もわざわざ収入基準を取り払って、公営住宅並みの家賃でも入れるようにしていただいた。
 フレシア西宮の特優賃の入居者の半数も被災者で、公営住宅を希望し、それに入るためにこの住宅にやむを得ず入り、今なお公営住宅並みの収入状態の方々である。家賃を公営住宅並みにしてほしい、もしくは今住んでいる住宅を周りの住宅のように公営住宅に変更してほしい。つまり、一遍出て、応募して、また公営住宅に入ってくれというしゃくし定規のやり方で一遍出なきゃならんということではなく、そのまま公営住宅にしてほしいというのは、決してむちゃな声ではないと思う。被災者の声にこたえるためにも、県営住宅化か、家賃の引き下げをすべきではないかお尋ねする。

■坂井住宅建築局長兼まちづくり局参事■ 震災当時、住宅が12万5,000戸の戸数が必要だということで、急遽、住宅復興3ヵ年計画をつくっている。そのときの考え方としては、いろんな被災者がいらっしゃる。収入の低い人、持ち家を希望される方、あるいは建て直したい方とあるので、そのいろんな方にいろんなメニューを提供しようということでいろんな施策を打ってきたのが今までである。その中で、公営住宅もある、特優賃も言われるとおりつくっている。
 特優賃については、その後、相当に経済が破綻したので、途中で計画戸数を中止して、ほか足らない分については公営住宅をふやしたという経緯もあるので、県として大変被災者に対して冷たい対応はしていないと考えている。
 この中で、現在、特優賃住宅を県住化、一部県住化するような仕組みをつくっている。これについては、県住を建てかえするときに、従前、居住者の移転先を確保する住宅にしようというのが一つ。あとは、公営住宅需要の高い都心部で公営住宅のニーズに対応しようということでオーナーの了解を得て県住化している。
 筒井委員の言われる県住化をしたらどうだと、今住んでいらっしゃる方の県住化をしたらどうだということについては、二つ大きなハードルがある。一つは、先ほど住宅管理課長が言ったように、特定優良賃貸住宅は県住化するためには特定優良賃貸住宅の用途廃止をしないといけない。その用途廃止するには、今の特定賃貸住宅が空き家でないとできない、しかも、3ヵ月以上空き家でないとできないという仕組みがある。
 あと一つは、公営住宅法として入居者の選定は原則公募ということになっているので、他の入居者との公平性、もう既に入っている方、あるいはその方が大変かわいそうだからそれを県住化しようというのは、なかなか制度としてできないということをご理解いただきたいと思う。

■筒井もとじ■ 制度としていろいろな枠があるのは承知の上であえて聞いている。公営住宅が果たしてきた役割には大きなものがあった。公営住宅……

■加茂忍 委員長■ 筒井委員に申し上げます。
 申し合わせによる時間が経過しておりますので、質疑は簡便に願います。

■筒井もとじ■ もう結論に入っているので、公営住宅と公社と公団と、この三つが日本の住宅をよくすることに大きな役割を果たしてきた。しかし、時代が変わってはきている。変わってはきているが、依然として公営住宅の持っている大きな役割をぜひ県土整備部の皆さんがご認識いただき、いろんな制度の枠を乗り越えて入居者のために、低所得者のために一層ご奮闘いただくように特にお願いして質問を終わる。

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