04年台風災害復旧事業についての県の責任
■筒井もとじ委員■ ただいま藤原委員の方から厳しいご質問があった。私もそれに関連をして質問をしたいと思う。
まず、この問題が明らかになった時点で、未竣功とされた30ヵ所の地区や事業の内容、事業費、業者名等の資料を求めたが、報告はなかった。この後、県土整備部関係で豊岡市で同様の事態が発生したが、県土整備部は直ちに資料を公表している。このような事件が起こったときに、事実を隠す、あるいは発表しないということになると、疑惑や憶測が生じ、解決が困難になるのではないか。こういう事実の公表について、今厳しいご指摘があったので、私は質問をするつもりであったが、省略をして次に移る。
復旧事業の執行体制についてであるが、台風災害が起こったのは平成16年の10月、予算査定などを行い、事業費の決定がなされたときは年度末ぎりぎりで、実際の復旧事業はほとんど翌年、平成17年度にならないとできなかったことは、農林水産部関係の平成16年度復旧事業予算287億円のうち73%が翌年に明許繰り越されたことからも明らかである。特に洲本市では、市内の水没で市街地のインフラ復旧に最大限の力が注がれたため、農地関係の復旧は大幅におくれることは容易に予測されたはずである。
ところが、早期復旧を急ぐ余り、大半の事業を16年度の事業として予算化したため、事実上、平成17年度1年間ですべて完了し、繰り越しを絶対認められないという事態を引き起こしたものである。洲本市の責任と同時に、補助金申請で国と市町との間に入って具体的な手続を行った県の判断が甘かったのではないか、どういうふうに考えておられるか。
■村上農村環境課長■ 災害復旧事業は、農地災害に関する暫定法により、災害発生年の4月1日の属する会計年度から3ヵ年以内に完了することができるように財政措置がとられている。近年、国は、早期復旧の観点から、初年度に全体事業費の約8割近くを割り当てる方針で臨んでいる。県としても、次年度の営農、作付に支障が出ないよう、早期復旧に必要な予算を国に要望し、洲本市に予算割り当てをしてきたところである。
■筒井もとじ委員■ その説明では納得しかねるが、時間の関係があるので次に進む。
それと同時に、膨大な予算執行をしなければならないにもかかわらず、それに見合った体制ができていなかったことも重大ではないか。平成17年度の通常の農林事業予算は、人件費を除いて670億円程度であるが、前年からの繰り越しも含め、その43%に当たる291億円もの災害関連予算が上積みされ、一方、農地関連職員は平成16年度から6人も減らされているという事実からも、事業がおくれざるを得なかったという県の責任が問われていると思うが、その点はどうか。
■米澤農林水産部総務課長■ 台風23号災害への対応に当たっては、平成17年1月には、淡路県民局地域振興部に災害対策担当主幹を設置した。さらに同年4月にも、洲本土地改良事務所の農村計画第2課に2名増員するなど、組織体制の整備を図ってきたところである。また、平成18年度においても、災害復旧事業の早期完了に向けて、17年度のこの体制を引き続き維持してきたところである。
なお、災害発生時には、緊急措置として他府県から52名、延べ日数で503日、本庁、他の土地改良事務所から131名、延べで1742日の応援により対応したきたところである。
■筒井もとじ委員■ 対応は十分とれていたというようなご説明であるが、工事完了見通しについて、県の指導性に関連してお聞きする。
その結果、工事が竣功していないのに、補助金を受け取るために工事完了届を出す羽目になったわけである。しかし、その結論を出す前に、洲本市から事業進捗や見通し、平成17年度への振りかえなど、予算調整について相談があったはずである。その時点で、県として相談に乗ったり、指導する責任があったと思うが、どのように対応されたかお伺いする。
■村上農村環境課長■ 災害復旧事業は3ヵ年で工事完了しなければならないため、洲本市から契約件数、完了件数の報告を受けて、進捗状況を把握し、適正な執行に向けた指導を行ってきた。しかし、洲本市の相談内容は予算流用のみの話であって、繰り越しの話は全くなかった。
■筒井もとじ委員■ どうも県が責任がなくて、全部洲本市が悪いみたいなお話であるが、次に、平成17年度末に工事完了届が出されたとき、県は完了検査を行ったが、その際、余りにも件数が多いことを理由に、本来義務づけられている現地調査もせず、書面審査で済ましたとしているが、書面審査は事業費50万円以下の工事についてのみ認められた方法であることは、昭和48年に県自身が出した「工事検査等の実施要領について」との通達でも明記されている。今回の対応は、明らかに県の方針にも違反しており、県の責任が問われるのではないか。
また、県は、事業箇所が膨大であったことから、4月以降、補助金交付と並行して現地確認検査を実施することとしているが、担当職員は2名だけ、それも日常業務との兼務であるため、洲本市内だけをとっても、問題発覚までの7ヵ月余りの間に全体の4割程度しか検査ができていない。今回発覚した未竣功箇所30ヵ所は、すべて検査をしていないところから出ている。災害という特別の事情であればこそ、なおさら、特別な体制と方法が必要である。
そこで、今回の完了検査について、県の非を率直に認め、今後の改善策について答弁を求めたいと思う。
■村上農村環境課長■ 委員ご指摘のように、今回の3月末の検査件数は、淡路地域全体で約3300ヵ所、旧洲本市でも600ヵ所あった。すべてを実地検査することは当時困難な状況であった。このような状況の中で、従来からの市との信頼関係に基づいて、やむを得ず抽出検査を実施した。市から提出のあった工事完了届が添付されていたことから、補助金を交付したものである。結果として、未竣功工事の確認ができなかったことについては反省している。
■筒井もとじ委員■ 本当に全部書面審査したのか。やっていなければ、県の責任もあると思うが、書面審査についてもう一度お答えいただきたい。
■村上農村環境課長■ 完了地区一覧表というものが完了届のところについており、この一覧表でもって、どの地区が完了したのかというのを確認をしている。書面については、先ほど申し上げたように、その中から抽出して検査せざるを得なかったという状況である。
■筒井もとじ委員■ 書面審査ぐらいは全部やれなかったらおかしいのではないか。なぜ抽出で、あとは信頼関係だということでやめたのか。人数が足らないから、結局そういうことをせざるを得なかったのではないか。もう一度そこのところを答えていただきたい。
■村上農村環境課長■ 検査当日は3月31日であり、そのほかの県営事業、あるいは団体の土地改良事業等もある。事務所の職員数の手いっぱいの中では、当時、災害に充てられる人数というのは限界があった。通常の年と違って非常に莫大な検査件数があったというのが、一つには大きな原因だろうと思っている。
■筒井もとじ委員■ 書面審査であれば、写真等の添付もあるわけであるから、見れば、未竣功かどうか、未着工かどうかまで含めてわかると思うので、その辺のところに県としても責任があったのではないかというふうに思う。
以上述べてきたように、復旧に必要な事業の規模に見合った執行体制や期間についても、事業執行の状況把握についても、また、とりわけ工事完了検査のあり方についても、県とのかかわりは大変重要である。洲本市だけに補助金返還の責任を負わせてよいのか考えなければならないと思う。
もちろん、復旧事業そのものは速やかに完成させることを最優先することが必要であると同時に、返還しなければならない補助金など、住民に影響を及ぼすわけであるから、県としても一定の役割、負担というか、そういうものを考えるべきではないか。未着工の箇所はどうしようもないと思うが、途中まで進んでいる部分とか、そういう部分については県も一定の考えを持たざるを得ないのではないかと思う。
その辺のところは、最終的な落としどころというのは非常に難しいと思うが、県の立場、もうこれは洲本市の問題であるというだけで割り切れるのかどうか、その辺のところの答弁を最終的に部長からお願いをしたい。
■西村農林水産部長■ このたびの未竣功工事について、県と市との信頼関係が損なわれてしまったというのは非常に残念である。るる担当課長からご答弁したように、異例の被災件数であったこと、工事完了届が添付されていたこと、それから、また言いわけと言われるが、従来から市との信頼関係に基づいてということで抽出検査を行って補助金を交付したというのが事実である。結果として、抽出検査を行い未竣功を把握できなかったことについては反省材料であると認識をしている。
しかし、この災害復旧工事について、早期に実施すべきだというのは十分理解をしているが、当該案件については、16年度の繰り越し分が30件未着手である。未着手事業について、現時点で何らかの市事業になったとしたときに、県から支援を考えろということについては、現時点では、農林水産部としては支援は考えていないということである。
■筒井もとじ委員■ それ以外のところについては考えているというふうに受けとめていいと思うが、もう時間が来たので終わらせていただくが、最近、知事のいろんな腐敗、汚職の問題、こういう問題の中で議会のチェック機能の甘さということも、また、非常に大きな問題になっているところである。そういう点で厳しい質問をさせていただいたが、今後そういう地元の方々の立場というものも考えながら、県としての対応をよろしくお願いを申し上げて、私の質問を終わりたい。 |