警察「裏金疑惑」の解明を
■中村まさひろ委員■公安委員会の審査を行う。
北海道警の捜査用報償費の不正支出疑惑で、道警本部長は内部調査で、署長・副署長らが関与した組織的不正と認定をした。静岡県警のカラ出張についても他山の石では済まされない問題だと思う。その他疑惑が表面化しているのは、先ほども出たが、宮城や高知、福岡などにも及んでいる。
警察庁も庁内に予算執行検討委員会を設置して、警察庁長官が全国に異例の通達を行ったことはご承知のとおりである。国民の命と財産を守るために、まじめに働いている、職務に専念している大多数の警察官は、幹部が組織的、構造的に公金を不正に使い、国民から厳しい批判と不信を買うような事態が続いている現実をどう見ているだろうか。
今回、新年度予算が出されたが、報償費として、やはり警察は4億3000万円余り予算化されている。
そこで、3月11日警察庁長官、官房長から出された通達の中に、「これまで捜査協力者に謝金を出す際には領収書については本人以外の名義でもやむを得ず受け取ってきた」と事実として書かれており、当然本県警察においてもそのような事態があったことは確かであると思う。
そこで、2002年、2003年において、捜査協力謝金は何件出し、総額で幾ら支出したのか、また、そのうち本人以外の名義の領収書は一体何件あるのか、答弁をお願いする。
■小寺総務部長■捜査協力者に対して、その当該捜査協力者本人名義の領収書をちょうだいすることが、ご指摘のように原則である。
ただ、捜査の特性と言うか、捜査活動の混乱性など、あるいはその協力者あるいは情報提供者が、自分の名前を表に出してほしくない、勘弁してほしい、ペンネームでこらえてほしい、こういった場合に本人が自分以外の名義のペンネームで提出してきた際においては、やむを得ずこれを受領してきた事実は本県にもある。
そういった特殊な状況、暴力団捜査あるいは薬物捜査、けん銃捜査等々の中では、情報提供者あるいは捜査協力者は自分の命をかけて提供してくれるというところもある。そのような捜査の特性等にかんがみ、ご理解を賜りたい。
ただ、今、委員からご指摘のあった、今回の事案を受けたところの警察庁からの通達で、今後においては、いわゆるペンネームによる領収書の徴収はしないように、また、それが取れない場合には詳細な報告書等々をもってそれにかえるという指示があるので、これに誠意を持って対応していきたいと考えている。
2点目の質問で、2002年あるいは2003年、協力者の謝金、その中身、あるいはそのペンネームの件数が幾らかという話であるが、いわばその捜査協力に係るところのその対象が、協力者謝礼が幾ら、あるいは情報提供謝礼が幾らで何人といった中身については、まさに捜査活動の中身に入るため、答弁については差し控えさせていただきたい。また、人別の分類、対象別人員、そういった数字はもともと出しておらず、答弁については差し控えたい。ご理解を賜りたい。
■中村まさひろ委員■数字そのものが、「捜査活動の中身にかかわるから」というこの答弁は私は納得できない。しかも、分類はしていないということであるが、ただ、この数字は、今回の問題、北海道ではそうだった。そこが明らかになっていなかったけれども内部文書でそれが明らかになったから実態が出てきた。
北海道警でこれが最初に出されたのは、道議会で去年の12月4日、我が党の議員が内部文書を明らかにしたときだった。そのときには本部長は、明確に当時の新聞にも書いているが、「内部監査で記載指摘はなく、指摘事項はなく改めて調査する考えはない」ということを言われていた。
先ほど答弁されたのと同じである。岡 委員に対して答弁されたときにも、「監査委員からも適正と言われている」と。だから、疑っているというよりも、私はそういう事実が現に全国で発生しているからこそ、今、それを明らかにすることが必要ではないか。しかもあれからもう3ヵ月以上たっているわけであるから、それなら内部で、こういう問題がひょっとしたらあるのではないか、本部長等知らない中でも、あるんじゃないか、そしたら一回調べてみなさいということで調査をするのが当然じゃないかと思う。私はやはり、本当に不正がないというなら自信を持って調査して県民に明らかすることこそが今求められていると思う。
私は、具体的に再調査をし、そしていつまでにされるのか、そのことを明らかにしていただきたい。また、捜査活動の中身にかかわるから差し控えたいと言われるが、私は何も具体例を聞いているのではなく、これは決算事項であるから、全体で幾ら支出して、その中で、ペンネームと言われたが本人の名義でないものが一体幾らあったのか、これからはそういうものはないということであるから、これからのことはいいけれども、だからこそ、過去の問題についてさかのぼって、そういうものが一体どれぐらいあったのかを検討資料として提出していただきたいということをお願いしたのだが、その考え方についてもう一度答弁を願いたい。
■小寺総務部長■先ほども申し上げたが、捜査活動にかかわるところの諸経費というのは、捜査本部事件の設置あるいはいろいろな捜査活動に使っている。そしてその中に、いわば情報提供者に対する謝礼あるいは捜査協力者に対して、個別にどれぐらいの情報をいただき、その重要性はどうだったかということで対応している。従来、その捜査に関して、額が情報提供でこれだけ、あるいは協力者謝礼がこれだけという分類をしてきておらず、先ほども申したが調査のしようがなく、あるいは膨大なところの作業、それも個々に事件ごとに違うことから、いわば不可能ではないかと私自身は承知をしている。そういったことでご理解をいただければと思う。
■中村まさひろ委員■そういう姿勢だから疑惑がどんどん増してくるのではないか。私は何も個別に聞いていない。全体でどうだったのかと聞いている。警察ではいろいろな資料を出されている。防犯にしても刑法犯にしても、データを全部出しておられる。その中の一つとして捜査に協力いただいた方への謝金は全体で幾らか、何件あったか、それは当然出して問題ないと思うが、それでも支障を来すのか。何に基づいてそれを判断しているのか。支障を来すというのは、そういう根拠があるのか明確にしていただきたい。
■小寺総務部長■捜査費そのものの県費は年間9300万円強である。その中で、今、委員ご指摘のような捜査に関しての協力者謝礼あるいは情報提供謝礼が幾らかという話については、繰り返すが、分類を個々の事件をとらえての統計をとっておらず、何件あるか、何割程度あるかということについては答弁ができかねるということでご理解を賜りたい。
■中村まさひろ委員■個々のは聞いてないと言っている。領収書はちゃんとあるわけで、それで見れば、時間はかかってもできるはずである。これは、間違いなしに県民の税金である。
私は、こういうところを見るとますます疑惑が入ってくるんじゃないかと思う。しかも、先ほどいみじくも、暴力団の情報もそういうところから得ているんだということを言われた。暴力団の情報というのは恐らく一般市民だけではそんなに出てこないと思う。組織内部に詳しい暴力団員からの情報でなければ有力な情報は得られないと思うが、そうすれば、暴力団員にもこういう協力金、謝金が支払われているということになると思う。一般の人には、恐らく謝金というのは1000円、2000円単位だと思う。ところが、暴力団は恐らくそんなところでは納得しないんじゃないかと思う。
であるから、1件あたり大体幾らぐらい払っているのか。どれがというのではなくて、幾らから幾ら、最高、最低ぐらいでも結構なので、それをちょっとお答えいただきたい。
■小寺総務部長■捜査活動に関して、協力者謝礼あるいは情報提供謝礼、先ほど来申し上げているように、相当の経費を使って捜査活動に活用させていただいておるということである。
先ほどの、暴力団からの情報提供を受けて、その数は十分、いわば一般論として、アンダーグラウンドのそういった方々を協力者あるいは情報提供者ととらえて、いろんな暴力団絡みの事件を解決してきておるというところはご理解を賜りたい。
そして、その額等々については、先ほども申し上げたが、事件の性質や重大性あるいは情報の角度、事件解決に寄与したところの中身であったかどうか、そういったことを個別にとらえて検討し、ご協力いただいておるというものである。その中身が個別に基準があって云々というものではないし、いわばこういった席で公表することについては、今後の捜査活動に重大な支障も来すと思う。
自分が情報提供するといったところで自分の名前がひょっとして出るかもわからん、こういったことになると、そういった情報提供をいただいてやっておる捜査活動が今後非常にしにくくなってくる、あるいは萎縮してくる、こういったことが容易に考えられるところであり、この辺の苦しい、いわば一般行政機関と異なった困難な捜査活動をしておるというところをご理解賜りたい。
■中村まさひろ委員■私は、この質問、何も暴力団に幾ら払っているか、だからそれが問題だと言って取り上げているのではない。最初に戻ってみていただきたい。そういうことを口実に、内部で不正経理が行われていたという事実が他のところであったので、それを明らかにするためには、納得のいく説明をしていただきたい。そのためには調査も必要だろうということを申し上げている。領収書そのものが現にあるわけであるから、その中でペンネームのものはどうだったのか、それをもう一回審査をちゃんとやって調査をして、それが事実そこに支払われたものなのかどうか、いや、これはひょっとしたら全くの架空のもので、本人に渡ってないんじゃないかとか、今一番そこが焦点になっているわけであるから、そこまで含めて内部でやはりきっちり調査する、内部で調査してもだめな場合、私はやはり外部からの監査も受け入れるべきだと思うし、先ほど県の監査については率直に受け入れるということを言われたが、しかしその監査の内容についても、私は今のままではまだまだ不十分だと思っている。
こういう問題はまだこれからも出てくると思うが、最後にもう1点、県警本部の中の職員報償費について伺いたいと思う。
署長等の幹部の交際費が今回も積算されているが、その一部が内部の職員の香典等に使用されていると聞いている。大阪の国税局は、業務との関係が明確でないとして追徴課税をしたりしている。東京や愛媛、鳥取なども、香典支出などやめているが、本県ではどうしておられて、どう考えておられるのか、答弁願いたい。
■安保警察本部会計課長■お尋ねの職員報償費であるが、本県では主に慶弔経費と賛助経費等に使っているところであり、これは従来どおり厳格に基準を示して、各所属には通知をしておるところである。
今のところ見直す必要性はないので、本年度も予算を要求しているところである。
■中村まさひろ委員■調査し直す必要はないとの答弁だが、最近、刑法犯の事件数がどんどんふえてきている。そんな中で、国民がいろいろ不安を感じる犯罪が急増している中で、治安のプロとしての警察に対する国民の期待と同時に最近では不信や不安も広がってきているわけである。
そんな中で、公務員である警察官の非違、非行が続出していることは、絶対に許されないことだと思う。
特に、組織的に行われるものについては、その事実と原因を徹底的に明らかにしなければならないと思うし、組織そのものを刷新していかなければならない。このことを厳しく指摘をして、質問を終わる。
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